
年の初めを迎えて、体調はいかがでしょうか。暴飲暴食という言葉は、この時のためにつくられたのかと思える程、年末年始はさまざまなイベントや会食が続きます。付き合いの良い人は多少無理をしてでも様々な関係者と飲食を共にされたことでしょう。
皆さんご存知のように、「七草がゆ」はこうして疲れた胃腸を労って休ませてあげようという昔人の知恵だといわれています。しかし、飽食の時代といわれて久しい現代。お正月でも24時間休むことなく、様々な飲食物を購入できるコンビニなどが身近にある生活では、そうした昔人の知恵だけでは、疲れきった胃腸が簡単に回復しない程、内蔵疲労が重症化しているという人も少なくないことでしょう。
そこで今回は、年末年始で弱った内臓を労るということをテーマにしたいと思います。
養生の基本
養生をするという言葉があります。貝原益軒の「養生訓」を思い起こす人もいることでしょう。益軒はその中で、「人は飲食によって生命が養われ、飲食は半日も欠くことができない。飲食は人間の最も大きな欲で、その欲望に任せていると病気になり、命を失う」と言っています。
それはわかっていても飲食の欲望には負け、つい食べ過ぎ、飲み過ぎをしてしまうのが人の性。さらにそれが宴会などで、美食や美酒が並ぶということになれば、いくら益軒が「養生訓」で「酒はほろ酔いでやめ、食事は満腹の半分でやめるべきだ」と言ってもそれを守り抜くことは至難の業。「わかっちゃいるけどやめられない」ということになってしまう人も多いことでしょう。
しかし、負担を一手に引き受ける胃や腸はそれではたまりません。まずその働きについて知識を新たにしておくことで、無茶な食欲に少しブレーキをかけましょう。
胃と腸の働き
簡単に説明すると以下のようになります。
胃は、食物を消化する代表的な器官。粘液を内膜全体に分泌し、強力な胃酸から内壁を守っていますが、暴飲暴食やストレスによって粘液の分泌がうまくいかなくなると、胃の内壁が胃酸で荒れたり、潰瘍を生じることがあります。
腸は、食物の消化と吸収を行います。胃ほど強い消化能力はありませんが、その長さを生かして繊維質をはじめとする分解されにくいものをゆっくり消化し、同時に栄養分も腸壁から吸収します。
しかし、腸はこの常識的な認識からさらに飛躍的な発見に基づいて、その働きの重要性が認められました。
アメリカの神経生理学者のマイケル・D・ガーション医学博士が、「セカンド・ブレイン 腸にも脳がある」という本の中で、脳に存在しているはずの神経伝達物質「セロトニン」が腸にも存在する事を発見し、体内のセロトニンの95%が腸で作られているということを発表したのです。博士は「つまり腸に脳があるこということだ。信じ難いことに、腸は豊かな感情を持ち、脳や脊髄からの指令がなくとも反射を起こさせる内在性神経系を持っている。我々の先祖はアメーバの原生的生物から進化して脊椎を獲得した時、頭蓋と腸の両方にそれぞれ別の感情を持つ脳を発達させたのである」と述べています。脳とは腸から進化して最後にできたものだというのです。
いかがでしょう。こうした高度な機能を有する器官を、アルコールや暴食で痛めつけていいものでしょうか。
疲れた胃腸を癒すには
我々に備わった大切な器官が、疲れて弱っていたとしたら、それをほったらかしにすることは、もうできませんね。それでは、その回復法について紹介しましょう。
夜行性動物でない人間は、昼間働いて夜休むということを習慣化してきました。この習慣は体内リズムとなり、このリズムを守ることが、胃腸の健康のためにはとても大切だといわれます。この体内リズムを整えるために大切なのが食事のタイミング。一日三食、決まった時間に食事を食べることが体内にリズムを生み出します。
また、寝る三時間前からは何も食べない、そして間食はなるべくしないということも大切です。こうすることで体内リズムが整い、快便にもつながります。
胃の生理からいえば、問題となるのは食事の回数よりその間隔だといわれます。空腹が長時間続くと胃液が胃の粘膜を荒らしたり潰瘍ができやすくなったりするのです。朝食を抜いてのたばこやコーヒーは、さらに胃を荒らす原因になります。
朝食はきちんととり、その後は5~6時間あけて食事を取るのが体には一番いいようです。
しかし、前日に宴会などで胃腸が疲れていると感じられる時は、スープやみそ汁などで胃腸を温める程度の朝食にして休ませてあげたほうが回復は早まります。
よく噛むことも大切
よく噛んで食べることが大切だとよく言われます。現代人は噛む回数が減っているという指摘もよく耳にします。ある実験によると弥生時代の人々が食べていたものを咀嚼するためには、一回の食事で4000回近く噛まなければならなかったといいます。ところが現代のファーストフードでは1000回を大きく下回り、600回程度噛めば食事が終わってしまうという結果になりました。
噛むという行為は、食べ物を小さく砕き消化しやすくするというだけでなく、脳や胃腸を刺激し、全身を活性化してくれるのです。また唾液と混ぜ合わせることで胃への刺激を減らす効果もあります。
さらにこの唾液には、様々な働きがあるとされています。 唾液の中には粘性タンパク質のムチンという胃を保護し食べ物を飲みやすくする成分がありますが、それ以外にも様々な成分が入っています。例えば、ご飯やパンを分解して麦芽糖にする酵素アミラーゼ。抗菌作用を持つ物質、ラクトフェリン、リゾチーム。その他にも、細菌の発育の抑制をするラクトフェリンや、免疫作用に関係するIgAという抗体、歯の中にしみ込んでいって歯を石灰化して強くさせるスタテリンなども含まれています。
噛むことで唾液と食物が混じり合い、消化吸収されやすくなるのですが、忙しいと早食いになってしまい、噛む回数が減ると胃は余分に働くことになってしまいます。噛むことが胃腸を疲れさせないためにも大切だということですね。
また、食後すぐ動いたり入浴してしまうと、胃に十分な血液が回らなくなって、消化がスムーズにできなくなります。食後は30分以上ゆっくり休むように心がけたいものです。
暴飲暴食は誰もが陥りやすいものですが、今年も元気に過ごせるよう、自分の健康は自分で守り、維持していきたいものです。


先日なにげなくテレビをつけたところ、とても姿勢の良い初老の男性がでてきました。別に芸能人でもなければ、体操の先生でもないようです。しかし、その姿勢の良さが生み出す雰囲気がとても若々しく、歌声もなかなか素敵で、実際の年齢を聞いてたいへん驚きました。「姿勢年齢」という言い方があるとすれば、その若さを保つということは大切なことでしょう。今月は、その方法についてご紹介しましょう。
肩こりを例にあげれば、約5kgもある頭部を首と肩甲骨周辺の筋肉が抗重力筋として支えているということがそもそもの出発点です。通常は、脊柱の自然なS字カーブで頭部の重みを上手に分散して支えていますが、姿勢が悪いと頭部の重さは、脊柱の上に上手く乗らずに首と肩の筋肉で主に支えることになります。5kgの重さというと2ℓ入りのペットボトルを2.5本分。片手で持ったら5分もしないうちに下に置きたくなる重さです。
デスクワークの長い人は、1時間に一度ぐらいは立ち上がって自然体で少しでも歩くようにしましょう。また、良い姿勢で座るということも大切です。椅子に座った良い姿勢というのは、背もたれとの間に隙間を作らないように深く腰掛け、骨盤の下にある座骨で椅子に座りこの座骨の上に骨盤から脊柱を真っすぐに乗せます。腰を引かずにやや骨盤を前傾させるようなイメージで椅子に深く座ればこの姿勢になります。
健康のためにウォーキングを始めても長続きしないという人は、姿勢と歩き方に問題があるかもしれません。特に、歩くための筋力をアップしようと、足腰の筋肉を意識して早歩きしようとすると、すぐに疲れてしまいます。最悪の場合、筋肉がコリ固まりケガをしてしまうこともあります。
人類の歴史は、ウイルスとの戦いの歴史だとされます。一説によると美男や美女が異性にモテるのは、ウィルスに負けない免疫機能を持っている人が、左右シンメトリーな身体や美しい容姿を有するからだと言われます。美しい容姿を持つ人ほどウイルスに負けない健康な子孫を残す確率が高いので、自分の子孫を残そうという本能によって、そうした伴侶が求められるというわけです。
これらは、それぞれ別の型の遺伝子のインフルエンザですが、1977年に流行したソ連インフルエンザは、1918年に流行したスペインインフルエンザと同じものです。このように、いったん終息してもまた流行するものや、さらに抗インフルエンザ薬の効かない遺伝子への変異が懸念される恐ろしいものもあります。
こうした、ウイルスによるパンデミックが起こった場合、自衛手段としてもっとも有効なのは、なるべく外出を避け感染者との接触を極力減らすということになります。特に発生した直後は、医療体制や対処法などが確立されていないということを想定して、不要不急な外出を控えるということが必要になります。しかし、外出を控えるとすぐに日常生活に支障をきたすことになります。そうした場合に備え、必要最小限の備蓄をしておくことが大切です。何をどれぐらいというものについて、4人家族が2週間生活をするための備蓄品のリストが農林水産省のホームページで紹介されていますので参考にしてください。最低限必要になるカロリーから割り出した食材の量等が目安として紹介されています。
外から帰ったら「手洗い」「うがい」をするということを日本人は子供の頃から躾けられていますが、海外では意外に「うがい」は一般的ではないようです。その効果の検証が十分されていないということがあるようですが、日本では神社にお参りするときに行う「手水」(てみず)が手や口を清める作法としてあるように美しい文化の一つとして継承したいものです。
今年の夏は異常な暑さが印象的でした。それに続く急激な気温の変化と天候の不順。気持ちの良い日本の秋の到来が待ち遠しいところでしたが、10月に入り、やっと身体を動かすにはちょうど良い季節がやってきました。
「ラジオ体操」は、運動競技や日常生活をスタートする前の軽いウォーミングアップとして広く活用されていました。ところが「ストレッチ」が、1970年代後半スポーツの指導者などにより急速に広まり、まずアスリートの準備運動がこの新しい科学的なスポーツメソッドに取って代ったのです。
では、「動的ストレッチ」でもある「ラジオ体操」のどこが現在の人気を呼んでいるのでしょうか。その理由のいつくかを挙げてみましょう。
運動強度としても、ある程度のスピードで歩くウォーキングと同程度。体脂肪を燃焼させ、免疫力を高めて病気になりにくい体質にしてくれるちょうど良い強度ということになります。
さらに精神的にも、ストレッチの気持ち良さがリラックス効果をもたらし、質のよい睡眠とストレスの軽減をもたらしてくれます。また、筋肉のコリによって悪くなった姿勢も良くなります。パソコン作業などのデスクワークを長時間行っていると、肩や背中、腰などの筋肉が硬くなります。さらに続けると太腿の裏側の筋肉が硬くなり、この筋肉が縮むことで骨盤が引っ張られて後傾し、猫背気味の悪い姿勢になってしまいます。
運動の前にストレッチをすると良いというイメージがありますが、筋肉は暖まった状態のほうがよく伸びます。また、運動の後に溜まった乳酸を上手く流す効果も期待できるので、運動をして十分身体が暖まった後、クールダウンの一環として行うと身体の柔軟性を高めることができます。
脂肪とは一体何なのかを確認しておきましょう。体内には、脂肪酸、中性脂肪、コレステロール、リン脂質の4種類の脂肪があります。このうち中性脂肪と呼ばれるものが、肉の切り身で目にするあの白い脂身の部分です。皮下脂肪や内臓脂肪として蓄積される脂肪は、全て中性脂肪で、体内の脂肪の約90%を占めるとされています。この中性脂肪は、万が一に備えて貯蓄される脂肪の貯金です。しかし、度を越すと、肥満や健康を害する一因となります。
それでは、そうした脂肪の蓄積が行われる時、体内でどのようなシステムが働いているのか紹介しましょう。ご存知のように食べ物が体内に入ると胃や腸で消化が行われ、さまざまな栄養が吸収されます。ごはんや麺類、パンなどの多く含まれる炭水化物は、体内でブドウ糖になり、肝臓から血液中に送り込まれます。これが身体のエネルギーとなるわけですが、このブドウ糖の量が多くなると膵臓からインスリンというホルモンが分泌され、インスリンはブドウ糖をエネルギーとして活用するために働きます。また、余ったブドウ糖を中性脂肪に変えて脂肪細胞に取り込む働きもします。
[問題のある悪生活習慣]
筋肉痛は、その痛む筋肉をこれ以上酷使するなというサイン、身体の防衛機能という側面もあります。まず、睡眠によって回復を図ることが大切で、特に筋肉の修復をするために大切な働きをする成長ホルモンが多く分泌される夜10時から朝の2時までの睡眠のゴールデンタイムと言われる時間帯はしっかりと寝るようにします。
運動した後、痛みが起きる前にストレッチを行う習慣をつけると、痛みを軽減することができます。また、運動前にウォーミングアップを十分にして、ストレッチも行うようにすれば、なお効果的です。
筋肉痛は、運動不足の証明でもあります。毎週末に山に行っているような人は、登山での筋肉痛とは無縁です。同じ筋肉であれば日頃十分刺激を与えておけば筋肉痛になることはありません。しかし、そうした運動習慣があっても、新たなスポーツやフォームに挑戦して、それまであまり稼働させていなかった筋肉を動員するとやはり痛みは起こります。それでも運動習慣のある人は、比較的軽くて済むのです。これは、運動習慣によって血管や心臓の機能が正常に保たれ、全身の血流が良くなるという運動効果の現れです。

炎天下での長時間の活動は、避けてください。亜熱帯化が進んでいると言われる日本では、最近35度を超える気温になることもあります。ご存知のようにこの気温35度というのは、日差しを遮ったところで計る温度です。アスファルトなどの照り返しを受ける炎天下の道路などは、さらに高い温度になっているのです。
先ほど紹介した「熱けいれん」の場合は、けいれんしている箇所を軽く伸ばし、マッサージをします。また、「熱疲労」の場合は、心臓よりも足を高くして仰向けに涼しいところに寝かせます。スポーツ飲料を少しずつ飲ませましょう。
毎年5月17日は高血圧の日とされていることをご存知ですか?
血圧が高くなる原因は、遺伝的な要素、肥満によるもの、運動不足によるもの、塩分の高い食生活や喫煙、飲酒の習慣などがあげられますが、普段あまり意識していなくともストレスが要因となることもあります。また、糖尿病や腎臓病などの病気が原因で血圧が高いという場合もあります。
日本人は高血圧になりやすいといわれますが、その要因の一つが遺伝子にあったわけです。この高血圧が日本人に最も多かった時期が、1960年代前半で、この時期をピークに下がる傾向にあるとされています。これは、1955年に高血圧の治療を受けている人が人口10万人に対して61人しかいなかったのに、1975年には475人になり、降圧薬を飲む人が増えたということからです。
また同時に降圧効果のある運動もお勧めします。運動療法は薬物療法や食事療法とともに高血圧治療に有効だとされています。また、体を動かすことで、心肺機能を高め、血液もサラサラにしてくれるので、心筋梗塞や動脈硬化予防にも役立ちます。
4月は、進学や就職、転勤など、新生活に適応するために何かとストレスの多い時期。何事にでも意欲的に取り組むのは素晴らしいことです。しかし、頑張り過ぎてしまうという人もいるでしょう。新しい環境にすんなり適応できる人はよいのですが、物事はなかなか上手く行かない場合も多いものです。俗にいう五月病に取りつかれてしまい、何やら疲れを感じてやる気を失ったりする人もいるのではないでしょうか。
疲れた身体をコーヒーで無理に覚醒させる習慣のある人は要注意。また疲れた時にカフェイン含有量の多いチョコレートを食べると、このカフェインが副腎を刺激してコルチゾールの分泌を促すため、自分を鞭打つ習慣がついてしまいます。結果的にはそれが副腎を疲労させてしまうのです。
新しいチャレンジとして、少々増えすぎてしまった体脂肪を落とすことも兼ねてスポーツに取組む人もいると思います。適度な汗をかく運動は、様々な健康効果をもたらしてくれますが、実は副腎のストレスも軽減してくれるのです。副腎から分泌されるコルチゾールは体内に蓄積された重金属が酸化して体内で炎症を起こした場合、対処のために使われます。この水銀などの重金属は、皆さんの大好きなマグロなど大型魚を食べるとそこに多く含まれているのですが、副腎を疲労させる原因の一つになってしまうのです。