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「味覚障害」を予防して、おいしく食べよう!(2010年1月)

 

     
 
1月のテーマ:
「味覚障害」を予防して、おいしく食べよう!
 新年明けましておめでとうございます。昨年猛威を振るった新型インフルエンザもようやく落ち着きをみせてきましたが、まだまだ油断は禁物です。新しい年の始まりを祝うと共に、改めて気を引き締め、家族みんなが健康で過ごせるよう生活面を見直しましょう。さて、お正月といえばおせち料理や親戚が集まっての外食やご馳走など、食べる楽しみも多い時期。今回は、そんな「食べる楽しみ」を守る、味覚障害の予防についてお話します。
 
     

 

味覚障害とは
 
 味覚障害とは、読んで字のごとく「味」を感じる味覚に障害が起こる病気。最も多い症状は「味覚の低下」や「味覚の消失・脱失」で、食べ物の味がわからなくなってしまうというものです。この症状は味覚障害患者の約7割に現れており、続いて多いのが『何も食べていないのに苦い味がする』などと訴える「自発性異常味覚」で、この症状は味覚の低下と一緒に現れる場合もあります。この他、本来の味と違った味を感じる「錯味(さくみ)症」や「異味(いみ)症」、何をたべてもおいしく感じられない「悪味(あくみ)症」などがあります。思い当たる症状がある場合は、一度、内科や耳鼻科で受診をしてください。

また、自覚症状がない方も、以下のチェックシートで自己診断をしてみましょう。当てはまる項目が多いほど味覚障害になっている恐れがあるので注意してください。

<味覚障害チェックシート>

最近、食べ物の味がしなくなった気がする
以前に比べて食べ物を「おいしい」と感じなくなった
「甘い」「酸っぱい」「辛い」「苦い」のうち、感じない味がある
口の中に何も入っていないのに味がする
色々な臭いを感じなくなった
舌がピリピリと痛むことがある

 

味覚障害の原因
 
 そもそもなぜ「味覚障害」が起こるのでしょうか?その主な原因は、血液中の亜鉛不足にあると言われています。また、薬の副作用や、肝障害・腎障害・消化器障害・糖尿病などの病気、食品添加物の影響などによっても起こることがあり、原因の分からない「特発性味覚障害」もあります。

このように、「味覚障害」の起こる原因はさまざまですが、共通するのは身体の組織や細胞医必要な亜鉛の欠乏と考えられます。亜鉛が不足することによって舌の奥にある「味蓄(みらい)」という部分の味細胞の生まれ変わりが遅くなり、味細胞の構造や機能に影響を与えるということが最近の研究結果で明らかとなってきたのです。

<味覚障害の主な原因>

血中の亜鉛不足…
  偏った食生活などが原因で、味覚機能を維持するために必要な血液中の亜鉛の量が正常値より少ない状態。
二次的な亜鉛不足…
  薬や食品添加物の影響/一部の薬や食品添加物が、消化管内で亜鉛と結合して体内への亜鉛の取り込みを低下させたり、体内からの亜鉛の排泄を促進させたりする。

全身の病気の影響/糖尿病や肝障害・腎障害は体内での亜鉛の利用を妨げる。消化器障害は体内への亜鉛の取り込みを低下させる。

特発性の味覚障害…
  血液中の亜鉛の量は正常で原因は不明だが、亜鉛を内服すると症状が改善する。

 

味覚障害を予防するために
 
 味覚機能は年齢と共に徐々に低下し、70歳くらいになると一気に低下すると言われています。しかし、味覚障害になるのは高齢者に限ったことではありません。将来的に味覚障害にならないためにも、次のことに気をつけて味細胞が正しく味を感じられるようにしておくことが大切です。

<味覚障害を防ぐためのポイント>

亜鉛を含む食品を食べる。
  厚生労働省では、亜鉛の1日の摂取量の目安を成人男性11~12mg、成人女性9~10mgと発表しています(アメリカやカナダなどの先進国では男性15mg、女性12mgとされている)。しかし、普段の日本人の食事では6~9mgしかとれていないと言われており、目標の半分しか摂取できていないのが現状です。緑茶や抹茶、牡蠣など、亜鉛が含まれている食品を意識的にとるように心掛けましょう。ちなみに、牡蠣は特に亜鉛が豊富で、100g中に40~70mgの亜鉛を含むので、大粒の牡蠣を1つ食べれば1日の目標値を軽くクリアすることができます。
栄養バランスのとれた規則正しい食生活を心がける。
  亜鉛は体内で合成されないため食品からとらなくてはいけませんが、現代は土壌中のミネラルが少なくなった土地が多く、そこで育った作物中のミネラルも減ってきています。ただでさえとりづらくなった亜鉛を効率的に摂取するため、インスタント食品やファストフードなどの手軽な食品を食べるのを控え、栄養バランスのとれた食事を心掛けましょう。

また、加工食品のとりすぎにも注意が必要です。ほとんどの食品にはポリリン酸ナトリウムなどの食品添加物が含まれており、これらは体内から亜鉛を排出してしまうのです。そしてパンや漬物、しょうゆなどの変色・変質を防止するために含まれるフィチン酸という天然物質も、亜鉛を吸収しづらくする作用があるので注意してください。

喫煙・飲酒を控える
  舌に直接刺激を与える喫煙が良くないのはご存知のとおりですが、アルコールも味覚障害の原因のひとつです。これは、アルコールを分解するためにたくさんの亜鉛が使われるためです。また、亜鉛が不足するとアルコールを分解する酵素のはたらきが鈍くなるので、お酒をよく飲む人ほど亜鉛をとるようにしましょう。

 

   その他、「唾液が出るように、よく咀嚼(そしゃく)して食事をする」「朝晩と食後に歯を磨き、口の中を清潔に保つ」なども、普段の生活の中で気をつけて欲しいポイント。いつまでも食事をおいしく食べるため、味覚障害にならないよう普段から気をつけていきましょう。

 

 

身近な危険「やけど」の予防と応急手当について(2009年12月)

 

     
 
12月のテーマ:
身近な危険「やけど」の予防と応急手当について
 早いもので、今年も残すところあと1ヶ月になりました。大掃除など新年を迎える準備に追われ、何かと慌しいこの時期は、注意力も散漫になってしまいがちです。最近でも、電子レンジで加熱するタイプの湯たんぽが破裂する事故が話題となりましたが、やけどは冬場の家庭で起こりやすい事故のひとつ。今回は、やけどの危険を取り除く「予防」と、やけどしてしまった場合の「応急処置」についてお話します。
 
     

 

やけど(火傷・熱傷)とは
 
 やけどとは皮膚に高温が作用したために起こる傷害のこと。皮膚症状が中心ですが、やけどを受けた面積が広ければさまざまな全身症状があらわれることもあり、炎によるものは、熱湯によるものと比べて重症となることが多いとされています。

やけどの範囲が狭く、軽度のものであれば皮膚症状(赤くなったり・はれたり・痛み)のみで数日で治りますが、範囲が広く深いものでは皮膚症状のほかに、血圧の低下やショック状態などのさまざまな全身症状が現れます。やけどの程度は熱の温度と皮膚に作用する時間によって決まり、受傷の深さによってⅠ度からⅢ度までに区分されています。

ちなみに、生命の危険度(重症度)は受傷面積とその深さによって決まり、

成人では受傷面積が体表面積の40%以上で生命の危機、20%以上でショックをおこす危険がある。
乳幼児や老人では30%以上で生命の危機、10%以上でショックをおこす恐れがある。

とされています。体表面積の1%の目安は人の手のひら1つ分ですが、乳幼児の体表面積の10%は大人の手のひらの2つ分に相当するため、特に注意が必要です。

 

やけどを予防するには
   まず第一に、熱を発するものに触れないよう気をつけることが大切です。小さな子供のいる家庭では特に、やかんやポット、使用中のアイロンなどの置き場所には十分注意をしましょう。最近はストーブなどの暖房器具の全体が熱くなることは少なくなりましたが、吹き出し口の近くは高温になることもあるので、うっかり触れないようゲージを設置するなどの対策をしておきましょう。また、ストーブなどの温風や、ホットカーペットの熱を長時間同じ箇所に当て続けていると「低温やけど」の原因にもなります。

その他、炊飯器の蒸気や鍋の蓋など見落としがちな熱源や、熱いお風呂など、意外な場所にもやけどの危険は潜んでいます。

 
やけどの応急処置
 
 やけどを負ってしまった場合は、とにかく早めに冷やすことが大切です。高温のものに触れたときは直接流水で5分以上(直接流水をあてられないときは氷嚢などを使う)、目安としては痛みを感じなくなるまで冷やします。衣服の上から熱湯をかぶってしまった場合は、服や下着、靴下、オムツなど直接皮膚に触れているものは脱がせずに、衣服の上からシャワーなどの流水で冷やすようにしましょう。慌てて脱がせると水泡がつぶれたり、場合によっては皮膚がむけてしまう危険があります。

赤みやヒリヒリ感が数時間で治まる軽度のやけどは問題ありませんが、範囲や広いやけどや深度の深いやけどは、感染を起こしたり跡が残ってしまったりする恐れがあります。やけどは受傷直後の応急処置がもっとも重要で、初期治療が遅れるとキズは深くなり、治療期間も長くかかることになるので、あきらかに軽度のやけど以外は早急に医師の診断を受けましょう。軽度のやけどに見えても、数時間後に水泡ができた場合は、破れて感染を起こす恐れがあるため念のため受診してください。また、口や鼻の周りのやけどは、表面からは見えなくても熱いものを吸い込んで内部にやけどを負っていることもあるので注意が必要です。

 

   熱い味噌汁やコーヒーをうっかりこぼしてしまったり、調理中や調理直後の熱い鍋やフライパンなどに触れてしまったり、ちょっとした不注意で起こるのがやけどの事故。普段から注意するとともに、大掃除の機会にもう一度家庭内に危険がないかどうか見渡してみてください。

 

 

冬場に増える腰の痛みは、正しい「姿勢」で予防しよう(2009年11月)

 

     
 
11月のテーマ:
冬場に増える腰の痛みは、正しい「姿勢」で予防しよう
 寒さが厳しい季節になってきました。身体が冷えると、血行が悪くなり筋肉が収縮してしまうため、関節などの痛みが出やすくなります。日本人の多くが抱える腰の痛みにも寒さや冷えは大敵。筋肉が収縮して固くなっている状態で急激な負荷が加わるといわゆるぎっくり腰になりやすいので、冬場は特に注意が必要です。ぎっくり腰に限らず、腰痛は脊柱(せきちゅう)のS字カーブが崩れることで生じます。脊柱を支える腹筋や背筋をしっかり鍛えると共に、普段の生活から「姿勢」を正しく保つことが大切です。
 
     

 

腰痛の原因と症状
   ひと口に「腰痛」と言ってもさまざまな症状があり、その種類には以下のようなものがあります。

椎間板(ついかんばん)ヘルニア

年齢による骨や筋肉の変化、スポーツなどによる負荷がきっかけで、椎間板の中身がとびだして神経根(しんけいこん)や脊髄(せきずい)を圧迫し、腰の痛みや足のしびれを引き起こします。手術が必要なこともありますが、軽度の場合は姿勢や動作に気をつければ自然に治ることもあります。

 
ぎっくり腰

中腰で重いものを持ったりしたときなど、急に腰が痛くなり動けなくなった状態を、一般的に「ぎっくり腰」といいます。また、軽い腰痛や、原因がはっきりしない腰痛などを総称して、いわゆる「腰痛症」といいます。

 
腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)

比較的高齢者に多い疾患で、脊柱管内が狭くなり、神経を刺激して起こります。初期は腰から足に痛みやしびれが発生して歩きづらくなるものの少し休むとまた歩けるという間歇跛行(かんけつはこう)という症状が出て、しだいに一度に歩ける距離も短くなってきます。

 
筋・筋膜性腰痛

スポーツの後や長時間同じ姿勢でいたときなどに、腰背筋に負担がかかることで起こる症状です。

 
腰椎分離(ようついぶんり)・すべり症

激しいスポーツなどで腰椎の一部の骨が断裂したものが腰椎分離症で、分離した腰椎が前方にズレたものが腰椎すべり症です。

 
変形性腰椎症(へんけいせいようついしょう)

椎間板内の水分が減少することでクッションの役割が低下し、椎体が刺激を受けて骨棘(とげ状の骨)が出てきます。これが神経を刺激し痛みやしびれを引き起こすケースです。40代半ば以上の人に多くみられる症状です。

 
骨粗しょう症(こつそしょうしょう)

骨の密度が減少し、もろくなって起こる「骨粗しょう症」によって腰が痛むケースで、ある程度以上の負担がかかると圧迫骨折を起こすこともあります。高齢の女性に多くみられます。

 
ぎっくり腰や腰痛を予防するには
 
 腰痛には、姿勢や生活習慣、運動やケガなどによる骨の変形や筋肉疲労、内臓疾患、精神的なものなどさまざまな要因があり、専門医の治療が必要な場合もありますが、骨や筋肉などの整形外科的要因から生ずる腰痛は、以下のように普段の姿勢や動作に注意すれば予防・もしくは症状を緩和できます。
物を持ち上げるときは前かがみで持ち上げず、しゃがんで腰を伸ばし、下半身の力を使って持ち上げる。
高い所から物をとるときは、背伸びせずに踏み台を使う。
長時間立ち仕事をする場合は、片足を台にのせ、前屈姿勢になるのを防いで腰への負担を減らす。
長時間運転する際は、シートを立て、腰をまっすぐな姿勢に保つ。また、1時間ごとに車外で軽い運動をするのも効果的です。
長時間デスクワークをする際は、足を組み、時どき左右の足を交互に組みかえるようにして腰が前に傾くのを防ぐ。
高いヒールの靴は腰を前に傾けてしまい悪影響があるため、ヒール高は3cm以内に。
きつい下着を着けていると血行が悪くなるため、身体に跡の残るようなサイズのものは使用しない。
ベッドや布団は柔らかすぎると腰とお尻が沈み、また、硬すぎると腰椎の前彎がなくなり腰に負担がかかるため、脊柱のS字カーブが維持される硬さのものを使用する。
   
腰痛になったときは
 
 腰に痛みを感じたら、マッサージなどを行うよりもまずは休ませましょう。軽度の腰痛なら、腰を支える腰サポーターの使用も有効です。また、痛みがひどい場合は自己判断せず、速やかに医師の診察を受けるようにしましょう。

腰を休ませるには、腰に負担のかかる姿勢や動きを避けることが大切です。

腰をくの字にして、横向きに寝る
お腹の下に座布団を入れてうつぶせに寝る
足の下に座布団を入れてあおむけに寝る

などの姿勢で安静にしましょう。

ぎっくり腰など急に生じた腰痛は、冷やすことで痛みを和らげることができますが、痛みが増すような場合は中止してください。また、長時間の冷やし過ぎは回復を遅らせるおそれがあるので注意が必要です。

   腰痛はそれだけでも辛いものですが、深刻な病気を示唆する危険信号の場合もあります。長期間痛みが続く、腰だけでなく足にも痺れが出る、排泄が困難になるなどの症状が出た場合は、早めに医師の診断を受けるようにしてください。

 

 

お薬の「正しい飲み方」知っていますか?(2009年10月)

 

     
 
10月のテーマ:
お薬の「正しい飲み方」知っていますか?
 気温が下がりはじめ、外出時には上着が欠かせない季節になってきました。新型インフルエンザに関するニュースも続き、一層の注意が必要ですが、そうでなくてもこれからの時期は風邪をひきやすいもの。改正薬事法の施行によってコンビニエンスストアなどでも風邪薬などの一般医薬品(※)を購入できるようになりましたが、安易な薬の服用は思わぬ弊害を引き起こすこともあります。薬についてきちんと理解し、正しい服用を心がけてくださいね。

※<一般医薬品の定義>

医薬品のうち効能・効果の人体に対する作用が著しくなく、医薬関係者から提供された情報に基づき需要者の選択により使用されるもの。

 
     

 

薬を飲む前に気をつけること
 
 病院で処方された薬も薬局などで求めた薬も、飲む前にきちんと「説明書」を読み、用法や用量、服用時間などの指示通りに使用しましょう。薬の説明書には効果や効能の他にも、使用上の注意や副作用などの重要な情報が記載されています。指示通りに使用しないと効果が期待通りに現れなかったり、副作用などが出てしまう場合もあるので注意してください。

◎服用時間について

食前→お薬の吸収、効果を考えて空腹時と指示されていますので、食事の前に飲みます。食事の直前でも構いませんが、なるべく30分ぐらい前を目安にしましょう。
食直前→食事を取る10分ぐらいを目安に服用します。食直前の服用を指示される薬の代表的なものに、糖尿病の薬(食事からの糖の吸収を抑える効果を持つ)などがあります。
食後→食事の後に飲みます。食事が終わった後、30分以内を目安に服用しましょう。空腹時に飲むと胃に影響があるため、食後という指示をしていることもありますが、食後に飲む習慣をつけて飲み忘れを防ぐためという理由もあるようです。
食間→この「食間」を、「食事をしている間=食事中」と解釈して、「食べている途中で薬を飲んで、また食べはじめる」と、勘違いされる方も多いようですが、正しくは、食事と食事の「間」に飲むという飲み方です。一般的に、食事の前後2時間以内に飲みます。これは、食事の内容物によって薬の吸収や成分が影響されないようにするためです。

例えば「1日3回、食間に服用」と指示されたときには、「朝食の2時間前、朝食と昼食の間、昼食と夕食の間」に飲む方法と、「朝食と昼食の間、昼食と夕食の間、夕食の2時間後」に飲む方法の2通り飲み方がありますが、どちらが適しているかは医師や薬剤師に確認してください。

◎食事が摂れない場合は

では、薬に食前食後などの指示があっても、体調や気分が悪くて食事が摂れない場合や忙しくて3食きちんと食事ができない場合はどうすれば良いのでしょうか。これは薬によって「食事を摂ってなくても時間通りに飲んだ方がいい薬」や「必ず食事の後に服用しなくてはいけない薬」など、薬の種類によって対応が異なるため、一概には言えません。例えば、痛み止めなどは副作用で胃が荒れるのを防ぐために食後の服用が指示されているなど、重要な理由がある場合も多いため、自分で判断せず、医師や薬剤師に確認してから服用するようにしてください。

 

薬を飲むときに気をつけること
  ◎十分な量の水で服用する

飲み薬は、水分制限が無い限り、十分な量の水または白湯で飲みましょう。水の量が少ないと、食道にくっついて潰瘍ができたり、胃の中で溶けにくかったりします。また、牛乳やジュース、アルコールなどで薬を飲むと、効果がなくなったり、効果が強くでることがあるので注意しましょう。

◎薬の相互作用について

相互作用とは薬の「飲み合わせ」のことで、複数の薬を用いることによって、薬の効果が必要以上に強くなったり、打ち消しあったりすることを言います。また、相互作用は薬と薬の間だけでなく、薬と飲食物の間に起こることもあります。薬の種類が増えることによって相互作用が起こる可能性も高くなり、予測するのも難しくなるため、受診時に服用中の薬があるときは必ず医師に伝えましょう。

 
 薬の効き目は個人差がありますが、副作用などの影響が特に出やすい小児や妊婦・授乳婦、高齢者は服用に際してより一層の注意が必要です。自己判断での服用は避け、医師、薬剤師に相談の上、正しい用法・用量を守ってください。

 

 

寝る子の”頭”は育つ!?(2009年9月)

 

     
 
9月のテーマ:
寝る子の”頭”は育つ!?
  例年なら残暑が厳しい季節ですが、既に肌寒い夜も多く、早めの衣替えが必要になりそうな今年の秋。急激な気温の変化は体調にも影響を与えやすいので、気をつけて過ごしてください。さて、四季の移ろいには変調がありますが、すっかり日が短くなったのは正真正銘の秋を迎えた証拠。新学期もはじまり、学校へ通うお子様を持つ家庭にとっては、夏休みの生活リズムから普段のリズムに戻す時期でもあります。就寝時間と起床時間を見直して、早めに生活リズムを整えましょう。追い込みの時期に入る受験生にとっても、睡眠のリズムを整えるメリットは高いので、是非ご一読ください。
 
     

 

睡眠と勉強効率の関係
 
 「寝る子は育つ」という言葉があるように、睡眠が身体の成長に大切な要素であることはご存知の通り。以前は「四当五落」(4時間の睡眠で勉強する受験生は受かる、5時間も寝ているようでは落ちる)という言葉もありましたが、東大合格者のおよそ8割は受験勉強中にも7~8時間の睡眠をとっていたという調査結果もあり、寝る間を惜しんで勉強するのが効率的な勉強法とはやはり言えないようです。アメリカのブラウン大医学部の研究でも、小学生の睡眠不足は記憶力・集中力の低下など学習能力に悪影響を与えると発表されており、身体の成長だけでなく脳の成長にとっても睡眠は重要と言えるのです。

また、睡眠には「身体と脳を休める」はたらきだけでなく、「記憶を定着させる」はたらきもあるそうです。そして、このはたらきが現れるのはノンレム睡眠と呼ばれる深い眠りの時間帯で、ノンレム睡眠を得るためには最低6時間の睡眠時間が必要とも言われています。つまり、勉強したこと、暗記したことをしっかり覚えるためにも、徹夜の勉強や一夜漬けは避け、毎日きちんと睡眠をとることが大切なのです。

 

睡眠障害は現代病?
 
 睡眠障害と聞くと「眠りたいのに眠れない」という症状を思い浮かべますが、すっきり目覚められない覚醒障害なども、睡眠障害のひとつ。その原因はさまざまですが、多いものは「生活(睡眠)リズムの乱れ」と「睡眠環境」のようです。生活(睡眠)リズムの乱れから起こる睡眠障害は「概日リズム睡眠障害」と呼ばれ、生体リズムに逆らったスケジュール(夜勤や交代制勤務など)での生活が引き起こす睡眠障害や、生体リズムそのものの変調によって睡眠と覚醒のタイミングが慢性的にずれてしまう睡眠相前進(後退)症候群などがあります。

夜型の生活のほうが勉強や仕事がはかどる、という人も多いかもしれませんが、人間の生体リズムは本来太陽と共にあるもの。夜眠り、太陽の光で目覚めるという”あるべきリズム”を意識して、就寝時間と起床時間を見直してみましょう。

   
正しい睡眠環境は、身体のはたらきも整える
 
 睡眠が脳の成長、記憶の定着に大切なはたらきを持つことを先に紹介しましたが、正しい姿勢での睡眠は、身体のはたらきを整える効果も期待できます。これは、例えば毎日6~8時間の睡眠をとるとして、その間に背骨のゆがみを整えるという考え方です。姿勢の悪い人や、デスクワーク・立ち仕事などで身体の一部に負担をかけ続けている人などは、日中背骨がゆがんでいる状態。背骨は全身の器官に通じる神経や血管の通り道なので、背骨がゆがむと神経や血管を圧迫し、各器官のはたらきに悪影響をおよぼしてしまいます。日中にゆがみが生じた背骨を、本来の形状に戻すためにも、毎日の睡眠は大切なのです。

ちなみに、背骨のことを考えるならふかふかのベッドやマットレスはNG。寝返りがうちづらく、身体が沈むのでかえって脊柱が歪曲してしまうこともあります。起きたときに身体に違和感がある、ぐっすり眠れないなどの悩みがある人は、寝具を見直してみるのもひとつの手です。

 
 
「芸術の秋」「食欲の秋」「スポーツの秋」など、秋に関する言葉が多くあるとおり、暑すぎず寒すぎず、過ごしやすい「秋」は何をするにも最適な季節。「秋の夜長」を上手に活かし、少し早めに就寝する習慣をつけてみてはいかがでしょうか?

 

 

正しく使おう、日焼け止め(2009年8月)

 

     
 
8月のテーマ:
正しく使おう、日焼け止め
  海開きも済み、子供たちはいよいよ夏休みに突入しました。海やプール、炎天下で長時間遊ぶ機会も増え、皮膚ガンや肌の老化の原因となる紫外線の影響が気になる季節です。女性は特に、日焼けしないよう普段から気をつけている方が多いものですが、子供や男性にとっても過度の日焼けは考え物。真っ黒に焼けた肌は元気で健康なイメージではありますが、身体への影響を考えて、日焼け止めを上手に使う習慣をつけましょう。
 
     

 

日焼け止めの種類
 
 ドラッグストアなどへ行くと、実にたくさんの種類の日焼け止め剤が並んでいます。紫外線が肌に浸透するのを防いでくれる日焼け止め剤ですが、肌に直接塗るものなので、メーカーや価格だけでなく、成分や肌との相性を考えて選びましょう。
SPF値とは
  日焼け止めには、その性能を表すためにSun Protection Factor(サン プロテクション ファクター)という値が用いられています。このSPF値は紫外線B波(UV-B)を防ぐ力を示しており、何も塗らない状態と比べてサンバーン(皮膚が赤くなってヒリヒリする状態)が始まるまでの時間を何倍に延ばすことができるか、ということの目安です。例えば、「SPF2」と表示してあれば、サンバーンが始まる時間を約2倍に延ばすことができるという意味です。ちなみに、個人差はありますが、成人が夏の日差しの下にいた場合、サンバーンを起こすほどの紫外線を浴びるには約20分かかるといわれています。ただし、一般的にSPF値が高いほど肌への負担が増え、通常の洗顔剤やボディソープでは落としにくくなるので、お天気や時間帯、用途によって使い分けましょう。
PA値とは
  PAとはProtection Grade of UVA(プロテクション グレイド オブ UVA)の略で、UV-A防御指数とも言われます。

これはUV-Aに対する効果を表しており、SPFは肌が赤くなるのを防ぐのに対し、PAは皮膚の黒化を防ぎます。PAは、効果によって次の3段階に分けて表示されています。

○PA+ :PFA2以上4未満・UV-A防御効果がある。

○PA++ :PFA4以上8未満・UV-A防御効果がかなりある。

○PA+++:PFA8以上・UV-A防御効果が非常にある。

また、PA値もSPF値と同じように、数値が高いほど肌への負担や落ちにくさが増します。

 

日焼け止めの成分と選び方
 
 日焼け止め剤には、紫外線防止剤という成分が含まれていますが、紫外線の一部を吸収する「吸収剤」と紫外線を反射する「散乱剤」の2種類があり、これらを単独、もしくは組み合わせて用いられます。
紫外線吸収剤とは
  紫外線吸収剤は、紫外線吸収剤が紫外線を吸収し、熱エネルギーに変えることで、肌への浸透を防ぐというものです。熱エネルギーに変えるという化学変化を起こすことで皮膚への浸透を防いでいるため、肌への負担にもなります。また、紫外線を吸収することにより酸化による肌への影響が高いため、使用頻度が高くなると肌のもつ基礎体力を損なっていきます。ちなみに、紫外線吸収剤はSPFやPAの高い日焼け止めに多く使用されているため、日焼けに対しては非常に有効ですが、長時間使用することで紫外線吸収剤が肌へ与える影響も大きくなります。
紫外線散乱剤とは
  紫外線散乱剤は、 紫外線散乱剤が肌を覆い、紫外線を反射して日焼けを防ぐものです。主な成分は酸化チタン、酸化亜鉛で、紫外線吸収剤に比べて肌への負担が少ないのが特徴です。SPFやPAの低い日焼け止めは、紫外線吸収剤を控えて主に紫外線散乱剤で構成されているものが多いため、ちょっとした買い物や子供の送り迎え、洗濯物を干したりする程度なら、紫外線吸収剤が少ないものや含まれていないSPFやPAの低い日焼け止めを利用することで肌への負担を考慮した日焼け対策ができます。
   
日焼け止めの上手な使い方
 
パッチテストをする
  日焼け止めは紫外線から肌を守るメリットを持つと同時に、その成分によって肌を傷めるデメリットも持っています。肌質や体質によっては炎症等を起こしてしまう場合もあるので、使用前にパッチテストを行うことをおススメします。テストの方法は、皮膚の内側などの目立たない部分に少量の日焼け止め剤を塗り、かゆみやほてりなどが起こらないかチェックします。なるべく使用する2日前までに行っておきましょう。
適量を塗り、こまめに塗りなおす
  ほとんどの日焼け止め剤は塗ると肌に白く残ってしまいますが、白浮きが嫌で薄くのばしてしまうと十分な効果が得られなくなります。SPFとPAの値は、日焼け止め剤を1平方センチあたり2ミリグラムずつ塗った状態を基準にしているため、白く残るのが適量なのです。また、汗などで落ちてしまうため、2~3時間おきに塗りなおし、水遊びをした後にも塗りなおすようにしましょう。ウォータープルーフのものも、皮脂が混じると落ちやすくなるため、一度塗っただけで安心するのは禁物です。
日焼け止め+αの紫外線対策を
  肌のことも考えると、日焼け止めをたっぷり塗るより帽子や日傘を併用した紫外線対策が安心。帽子はつばの広いものを選び、衣服は紫外線をカットしやすい羊毛やポリエステル素材のもので、黒くて肌の露出の低いものがベストです。
日焼け後のアフターケアと洗浄をしっかりと
  いくら日焼け対策をしても、紫外線を完全に防ぐことはできません。焼けてきたと感じたら、すぐに冷水で冷やすなどしてお肌をクールダウンしましょう。帰宅後はローションやパックでの水分補給と保湿も、シミやしわ、肌の老化を防ぐために効果的です。また、肌に残った日焼け止め剤をしっかり落とすのも忘れずに!SPFやPA値の強いもの、ウォータープルーフなど“落ちにくい”タイプのものには専用のクレンジングもあります。
 
 母子手帳からも「日光浴」という言葉が消え、日焼けは身体に害を及ぼすというイメージがすっかり定着してしまいました。とは言え、一日中紫外線の届かない室内で過ごすより、やはり太陽のもとで身体を動かすほうが、身体にも心にも健康的。日焼けと上手に付き合って、楽しく夏を過ごしましょう。

 

 

ベトベト汗を防いで、夏をサラッと快適に!(2009年7月)

 

     
 
7月のテーマ:
ベトベト汗を防いで、夏をサラッと快適に!
  梅雨があければ、いよいよ夏本番。夏休みを楽しみにしている子供たちのために、レジャーの計画をたてているご家庭も多いのではないでしょうか。たくさんの人で賑わう観光地や電車の中、ショッピングセンターなど、むっとする人いきれの中に出かけると、汗や体臭が気になるもの。夏に汗をかくのは当然の生理現象ですが、実はこの汗も健康のバロメーターなんです。生活習慣の改善で、さらっとしてにおいのない、快適な汗をかける身体づくりを目指しましょう。
 
     

 

汗の種類とメカニズム
 
 汗はベタベタしてくさいもの、というイメージがありますが、体質や生活習慣によってそのベタつき具合やにおいが異なります。そもそも汗は体内にたまった熱を放出するためにかくもので、汗を分泌する「汗腺(かんせん)」にはエクリン腺とアポクリン腺の2種類があります。
エクリン腺
  運動をしたり暑いときにかく汗がでるところで、全身に約230万本あると言われています。体外へ熱を放出する大切な役割を担っており、基本的にこの汗腺から出る汗はさらさらしていてにおいもほとんどありません。
アポクリン腺
  脇の下、陰部、乳首やおへその周り、耳の中など特定の部位にある汗腺。ここから出る汗は、脂肪、鉄分、尿素などの成分を含み、乳白色で独特の臭気があります。わきがの主な原因となるのはここから出る汗で、この汗腺が大きかったり多かったりすると起こりやすくなります。

 

あなたの汗はどのタイプ?
   通常全身のエクリン腺からかく汗はさらさらしてにおいも少ないものですが、エアコンに頼りすぎた生活や運動不足などで汗腺の機能が鈍ると、ベタベタした汗をかくようになります。また、汗に含まれている成分によって皮膚の常在菌が繁殖することで、いやなにおいが発生することも。まずは以下のチェック項目から、ベタベタ汗の危険度をチェックしてみましょう。

<ベタベタ汗診断>

入浴はシャワーですますことが多い
運動はほとんどしない
室内ではいつもクーラーをかけている
汗をかいてもそのままにしている
耳垢が湿っている
便秘がち、あるいはくさいおならがよく出る
食事は肉が中心で野菜はあまり食べない
ストレスがたまりやすい、いつもイライラしている
煙草を吸う
お酒が好き

6個以上の項目に当てはまる方は、ベタベタ汗の持ち主、あるいは予備軍の可能性大です。ベタつきやにおいの少ない快適な汗をかけるよう、生活習慣の改善を心がけましょう。

   
生活習慣改善のポイント
 
1. ぬるめのお風呂にゆっくり浸かり、湯上りのクーラーは控える。
  汗腺の機能を回復するためには、「ゆっくり汗をかく」ことが大切。岩盤浴もおススメです。
2. 水分補給と有酸素運動を心がける。
基礎代謝が高まると、血液だけでなく汗もサラサラしてきます。水分補給とともにミネラルの摂取も心がけて。
3. エアコンに頼り過ぎない。
冷房の効いた部屋と蒸し暑い屋外への行き来を繰り返すと、汗腺や脳に変調が起き、ベタベタ汗の原因になってしまいます。
4. 食生活を見直し、腸も健康に。
肉をはじめとする高タンパクな食事を減らし、食物繊維や発酵食品を積極的に摂りましょう。
5. ストレスをためないよう、上手に気分転換を。
ストレスによって交感神経が緊張すると汗をかきやすくなり、におい物質を発生させる原因にもなります。
6. お酒・煙草は控えめに。
お酒を飲む量や回数が多いと肝機能が低下し、血中の遊離脂肪酸濃度が高まりくさい汗の原因に。また、煙草に含まれるにおい物質もくさい汗の原因となります。
 
 このように、健康的な生活、バランスのとれた食生活を送っている人ほど汗のべたつきやにおいが気にならない、サラサラ汗をかけるようになると言えます。もちろん体質など個人差があるので一概には言えませんが、ベトベト汗やにおいの強い汗が気になる場合は、生活習慣や食生活を見直して、快適な汗をかけるよう心がけましょう!

 

 

「治療」よりも「予防」。予防接種のススメ(2009年6月)

 

     
 
6月のテーマ:
「治療」よりも「予防」。予防接種のススメ
  雨が多く、過ごしやすいとは言いがたい季節ですが、梅雨も四季がある日本の豊かな風土の特徴のひとつ。雨だからとダラダラ過ごすのではなく、読書や芸術鑑賞など、心の栄養を蓄える絶好のチャンスと考えて楽しんでみてはいかがでしょうか?

さて、未だ猛威を振るう新型インフルエンザ。感染症・伝染病の恐ろしさを改めて実感した方も多いと思います。そこで今回は、転ばぬ先の杖・予防の大切さについてお話します。

 
     

 

まずは自分自身の健康管理を!
 
 インフルエンザに限らず、あらゆる病気に対する「予防」の第一は、病原体に負けない強い身体を作ること。そのためには、規則正しい生活、適度な運動、バランスのとれた食事など、普段から健康的な生活を心がけることが大切です。「そんなの当たり前」と言わず、まずは当然のことからはじめましょう。
また、今回の新型インフルエンザの流行に伴い、手洗いやうがい、マスクの着用などの大切さが改めてクローズアップされました。風邪やインフルエンザの流行する季節は「冬」に限らないということも、痛い教訓として実感できたのではないでしょうか。これからの季節も、油断せずに体調管理と身近な予防を心がけていきましょう。
予防接種を受けよう!
   予防接種とは、一般的に「ワクチン(不活性化もしくは無毒化したウイルスや病原菌)を接種することにより、病原体に対する免疫をあらかじめ成立させておくことで病気にかからないか、症状を軽くできる」ものです。
◎予防接種の種類

生ワクチン

生きたままの病原菌の毒性を弱めて作ったワクチンのこと。これを接種することでその病気にかかったときと同じ状態にし、免疫を作り出します。ただし、きちんと免疫ができるまでは時間がかかるので注意が必要です。また、接種後は発熱、発疹などが起きやすくなります。

例)BCG、ポリオ、麻疹(はしか)、風疹(ふうしん)など

不活化ワクチン・トキソイド

ウイルスや細菌をいったん死滅させ、必要な成分だけを抽出して作ったもの。病原菌は体内で増殖しないので、何度か接種することで、細胞に抗原を記憶させ免疫を作る狙いで接種されます。

例)日本脳炎、DPT(ジフテリア・百日咳・破傷風の混合ワクチン/3種混合)など

予防接種の多くは、生後数ヶ月の乳幼児から中学生までの子供が対象のものですが、ことインフルエンザに関しては、毎年流行が予測される型に応じたワクチンの予防接種が、子供から高齢者までを対象にして行われています。また、海外旅行に行く際も、訪問先に応じて積極的に予防接種を受け、感染を未然に防ぐよう心がけましょう。

予防接種を受ける前に!

持病や体調などによっては、予防接種が受けられない(受けるべきでない)ケースもあります。以下のような方は予防接種を避けてください。また、服用中の薬等がある場合も事前に必ず担当医に相談してください。

発熱など、体調不良の人
妊娠中、もしくは妊娠の可能性がある人
アレルギーを持っている、もしくは持っている可能性がある人

 

 予防接種はこれまで、天然痘の根絶をはじめ、ポリオの流行等、多くの疾病の流行の防止に大きな成果をあげ、感染症による患者の発生や死亡者の大幅な減少をもたらすなど、わが国の感染症の対策に重要な役割を果たしてきました。しかし、忘れられた感染症が突然流行することもあり、油断は禁物です。予防接種はあくまで任意のものですが、その意義を正しく理解し、面倒がらずに予防接種を受けるようにしましょう。

 

 

サンダル履きの素足に注目!巻き爪、大丈夫?(2009年5月)

 

     
 
5月のテーマ:
サンダル履きの素足に注目!巻き爪、大丈夫?
  肌寒い夜もありますが、日中は半そで一枚で過ごせる陽気も多くなり、木々の新緑にも初夏を感じる季節になりました。大型連休もあり、キャンプや川遊びなど、アウトドア・レジャーに出かけるご家族も多いのではないでしょうか。そんな時、水辺で遊ぶには欠かせないのがビーチサンダル。レジャー以外でも、夏に向けて素足にサンダルを履く機会も増える季節です。以前にも「外反母趾」や「靴の選び方」など、足に関するお話を何度かしましたが、今回は足の「爪」についてお話します。
 
     

 

巻き爪とは
 
元々季節の変わり目は、気候の変化やホルモンバランスの変化によって、体調を崩しやすい傾向があります。特に春は、風が強く、花粉やホコリなどが大気中に舞うため、肌にとっては決して優しい季節ではありません。そして、夏に向けて紫外線も多くなる時期。まずはトラブルの原因を知りましょう。
巻き爪の原因
    生まれつき巻き爪という人を除き、日常生活を過ごす中で巻き爪になってしまうのは、爪に何らかの負担がかかっている証拠。爪が薄いとその分変形しやすく、巻き爪になりやすい傾向はありますが、一般的に考えられる主な原因は以下のとおりです。

外部からの圧迫
  足の巻き爪の原因として、一番多いと考えられるのが「靴」による圧迫。例えば、つま先が細くなっているデザインの靴や、ヒールの高い靴などを日常的に履いていると、足の指先(特に親指)が圧迫される状態が続き、爪を変形させてしまいます。また、窮屈な靴ではなく、サイズの合わないぶかぶかの靴も指に体重が集中してしまうため、巻き爪の原因となることもあります。
爪の切り方
  いわゆる「深爪」が原因となるケースも多く見られます。普段から深爪がちな場合はもちろん、巻き爪の初期段階で、爪が肉に食い込むのを防ぐために短く切ってしまうのも、実は巻き爪を悪化させる原因となります。これは、爪がどこまで伸びればいいのかを知らせる「爪のアンテナ」を、深爪によって切り落としてしまうしまうためと言われ、深爪を続けた結果、本来なら伸びない皮膚に向かって爪が食い込むように伸びてしまう原因となります。
スポーツや怪我など
  足をふんばるスポーツやサッカーなど、足の指に負担や衝撃が加わる場合にも、巻き爪になることがあります。これは靴と同じく外部からの圧迫で爪に負担がかかるためです。また、足の指を強くぶつけたり、足の上に重いものを落としてしまった場合なども、足の指が腫れて両側から爪を圧迫し、巻き爪の原因となります。
体重の増加
  妊娠などで、急激に体重が増加した場合も、足の指に普段以上の負担がかかることになり、巻き爪を引き起こす恐れがあります。こういう場合は特に、ヒールの低い靴を履くなどして、足の指に負担がかからないよう注意して過ごしましょう。
巻き爪を防ぐには
    巻き爪を放っておくと、指の肉に爪がどんどん食い込み激しい痛みを伴うだけでなく、ひどいケースでは巻き込まれた皮膚が化膿してしまうこともあります。また、巻き爪による足の痛みをかばうため、歩き方が不自然になり、足首や膝、腰などを痛めてしまう場合も。その他、重心を無意識に小指側にかけるためにO脚になってしまったり、巻き爪が身体全体のバランスを崩してしまうこともあります。そうなる前に、正しいケアで巻き爪を防ぎましょう。

爪は「スクエアカット」に
  爪を短く切りすぎる「深爪」が良くないことは先にお話しましたが、爪を切るときは先端に丸みをもたせる「ラウンドカット」ではなく、先が四角くなる「スクエアカット」にしましょう。爪の先の左右を伸ばすことで支えができ、爪が巻きにくくなります。ただし、あまり長すぎると先端が圧迫されて変形を助長してしまうため、白い部分を1ミリ程度残す長さを目安に。また、左右の角がとがっているとストッキングなどに引っかかってしまうため、やすりで少し丸く整えると良いでしょう。
靴選びも重要!
  つま先に負担や圧迫をかけないよう、足に合った靴を履くよう心がけましょう。また、パンプスなど、ヒールの高い靴や先の細い靴でなくても注意が必要です。靴の中で足が遊んでしまうような場合は、サイズや形が合っていない証拠。巻き爪だけでなく、外反母趾など足の変形の原因にもなるので、普段履いている靴もこの機会に見直してみましょう。また、仕事などでどうしても窮屈な靴を履かなくてはいけない場合は、時々靴を脱いで足をマッサージするなどの工夫をして、足先への負担を減らしましょう。
 
  巻き爪は、サンダルの足元がスマートに決まらないばかりか、痛みや身体のゆがみなどのトラブルの原因にもなります。靴選びや爪の切り方など、普段からできるケアをしっかり行い、巻き爪にならないよう気をつけてくださいね。また、子供や赤ちゃんの爪を切るときにも、深爪にはご注意を!

 

 

素肌美人を目指せ!春の肌トラブル対策(2009年4月)

 

     
 
4月のテーマ:
素肌美人を目指せ!春の肌トラブル対策
  桜の花が咲き始め、季節は春を迎えました。入学や入社など、新生活がスタートする4月ですが、「春一番」に代表されるように風の強い春は、実はお肌のトラブルが起こりやすい季節。新しい生活の始まりに心躍らせる時期に、肌の悩みを抱えていては楽しい気持ちも半減してしまいます。正しい対処法を知り、美しい肌で自信を持って新生活に臨みましょう。
 
     

 

春に肌トラブルが起こりやすい理由
 
元々季節の変わり目は、気候の変化やホルモンバランスの変化によって、体調を崩しやすい傾向があります。特に春は、風が強く、花粉やホコリなどが大気中に舞うため、肌にとっては決して優しい季節ではありません。そして、夏に向けて紫外線も多くなる時期。まずはトラブルの原因を知りましょう。
大気中の汚れ
  風の強い春は、ホコリやチリ、細かい砂など様々な汚れが大気中に含まれます。春は皮脂の分泌が増加する季節でもあるため、これらの細かい汚れが皮膚に付着しやすくなります。この汚れが、肌荒れやニキビなどのトラブルを引き起こしてしまうのです。
アレルゲンの増加
  花粉症の人には辛い季節ですが、花粉症の症状が出ていない人にとっても、花粉のアレルゲンは油断できないものです。また、ダニなどの活動が活発になる季節なので、花粉だけでなくダニの死骸などもアレルゲンとなります。アレルゲンが皮膚に付着すると、その刺激から肌を守ろうと防御システムが働き、肌が赤くなったりかゆくなったりする、アレルギー症状を引き起こすこともあります。
紫外線
  紫外線に注意するのは、日差しの強い夏の間だけでいいと思っている人も多いかもしれませんが、実は春から初夏にかけての季節のほうが、紫外線は強く降り注いでいます。しかも、冬の間日光に当たる機会が少なかった肌は、紫外線への抵抗力が弱まっています。そのため、いつも以上に紫外線の刺激を受けやすく、痛みや赤み、乾燥などを引き起こしてしまいます。
 
春の肌を守るには
    このように、春は過ごしやすく見えて、お肌にとっては厳しい季節。新生活が始まると生活リズムが変化し、また、昼夜の温度差も大きいため、いつもよりもしっかりとした意識で体調管理をすることも大切です。新しい生活の始まりに合わせ、生活習慣の改善を含めてお肌のケアを行いましょう。

洗顔・保湿をしっかりと!
  まずは、毎日のスキンケアの見直しを。春は肌に汚れがつきやすい季節なので、朝晩の洗顔をきちんと行い、洗顔後は化粧水や保湿液をつけて乾燥や汚れから皮膚をガードしましょう。また、洗顔時や洗顔後には、併せてマッサージをするのもおススメ。血行がよくなり、新陳代謝を促すために、肌が活性化されます。
紫外線対策は万全に!
  夏のように強い日差しを感じることが少ないため、つい忘れがちな紫外線対策ですが、この季節こそ注意が必要。ちょっとした買い物や散歩、洗濯物を干す間も、油断は大敵です。日焼け止め効果のあるクリームなどを常に塗る習慣をつけ、出かけるときには帽子や日傘を持つようにしましょう。また、顔だけでなく、薄手の長袖をはおるなどして身体への紫外線にも注意してください。
旬の野菜を食卓に!
  旬の食材は、栄養分が豊富でおいしいもの。さらに、旬の季節に合わせて食べると、健康面にも良いとされています。春菊や竹の子、春キャベツ、山菜など、春が旬の食材を積極的に食事に採り入れ、身体を内側からキレイに元気にしていきましょう。また、春は身体の中の老廃物が排出されやすい季節でもあります。ハーブティーなど、デトックス効果のある食材も意識的に摂りましょう。
 
  漢方の古典 「黄帝内経(こうていだいけい)」 には、春は花や草木の芽が吹き、それまで静かにしていた動物や昆虫が外に飛び出し、川や海に住む生き物まで自然の全てが活き活きと栄えてくる季節として、春の3ヵ月を発陳(はっちん)と呼ぶと書かれています。そして、「この季節には少し早起きし、楽な格好で外に出てゆったりと歩き、春に芽生えた万物と同じように心身ともに活き活きと活動的な気持ちで過ごすと良い」とされているそうです。草花が芽吹くこの季節は、ウォーキングにも最適です。春の明るい景色を眺めながら身体を動かせば、ストレスによる肌トラブルも防ぐことができるはずです。