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ちょうど 20 世紀から 21 世紀に変わる頃、大手乳業メーカーの食中毒事件、香料メーカーの違法行為や輸入牛肉など食品の偽装事件、鯉ヘルペスや鳥インフルエンザの問題等が起こり、食への不安が高まりました。食品の安全性と安心は、どのようにして守っていけばよいのでしょうか?情報が大量に入ってくる一方、知りたい情報を得ることができず、不安だけがつのる今日この頃です。 2003 年 12 月より輸入禁止となっていた米国産牛肉が、 2005 年 12 月より輸入再開されました。賛否両論の中、米国の圧力が見え隠れする中での輸入再開でしたが、皆さんはどのように考えますか?
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Q.
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安全が確保されたとして、輸入が再開された米国産の牛肉は安全なのでしょうか?
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A.
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内閣府食品安全委員会によりますと、 (1)生後 20 ヶ月以下の牛 (2)特定危険部位の除去この 2 つを厳格に守る事ができれば、国産牛と同じレベルの安全性が確保できるという見解が出されています。問題点としては、米国の「月齢の判定」と「特定危険部位除去」の 2 点が正しく行われるかにかかっているようです。また、 30 ヶ月以下へ漸次引き上げようという動きもあるようですから、今後も注意深く監視する必要があります。
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Q.
BSEは、なぜ発生したの?
A.
スクレイピー(BSEと同じ症状を起こす羊の病気)で大量死した羊の屍骸を肉骨粉として牛の安い飼料としたことが、
羊 ( スクレイピー ) → 牛(BSE) → 人 ( 変異型クロイツフェルト・ヤコブ病 )
の連鎖に繋がったといわれています。
また、 1973 年の第一次オイルショックの石油高騰により、レンダリング ( 肉骨粉製造時の煮沸処理 ) の温度を 100 ℃以上から 80 ℃に下げたことも、発生を拡大した一因ではないかといわれています。
1984 年イギリスのミッドファーストという小さな村で、初めて確認された牛のBSE。イギリス政府がきちんとした対策を講じなかったがために、 2001 年時点で 106 名の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の発症をみる結果となってしまいました。コスト削減と効率性ばかりを追及した結果、BSEが発生してしまったと言えるでしょう。
Q.
米国牛輸入禁止後も輸入販売されているオーストラリア産牛は安全なの?
A.
オーストラリア産牛肉の安全性は非常に高いといわれています。以下の予防を早手回しにやっている事からです。
(1)1952 年から生きた羊とやぎの輸入を禁止
(2)1966 年から肉骨粉の輸入を禁止
(3)1999 年から国内の肉骨粉使用も禁止
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< 参考 >
日本の肉骨粉の使用禁止は、 2001 年 10 月(国内1頭目BSE感染牛発生直後)からです。
また、米国では現在も鶏や豚に安価で効率よい飼料として牛の肉骨粉が使用されており、食品安全委員会も肉骨粉の全面使用禁止を米国に求めています。
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食品の安全性を守るには、「消費者の高い見識」が不可欠です。
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食品の安全性を守るには、安全な食品を作る生産者を守り育てる気持ちが不可欠です。スローフード運動や、地産地消運動の思想とも符合します。
安くて良いものも確かにあります。しかし一方、安価ではあるが、安全性に欠ける食品もたくさんあります。安さばかりを求める消費者が多ければ、安全性を第一に考える生産者は育ちません。
無農薬・減農薬野菜、無添加食品は、コストがかかるものが多いのです。安全性を高めるには、長期間にわたる、消費者の投資が必要です。
食品の履歴を確認できるトレイサビリティーの仕組みも日本で導入され始めています。知りたい情報が少しずつ入手可能になってきています。(仕組みの運営にかなりのコストがかかります。国や生産者、消費者もその費用を分担することになりそうですが、安全、安心のために必要な投資ですね。)
今回の牛肉問題も、長い目で安全を監視し、問題意識を持ち続けたいものです。 食品安全委員会 は、食の安全の問題を精力的に審議しています。月 4 回程度行なわれる委員会は公開で行なわれ、誰でも傍聴できます。委員会の活動や、食の最新情報、安全情報、委員会の開催日や議題は以下のホームページから見ることができます。正しい情報を得、「本物の食」を選び取るため、「食に関する高い見識」を持ちましょう。
食の安全確保は、未来の子どもたちへの贈り物です。目先の利益に惑わされず、守っていきたいものです。
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