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まめ知識カテゴリ: 食と健康

血管の健康、気づかっていますか?(2006年8月)

 

血管の健康、気づかっていますか?

社団法人 茨城県栄養士会

染谷まゆみ
 
 
 

サラサラの血液

ふだんは血管の状態など考えたこともない方がほとんどだと思います。でも血管は休むことなく私たちの体を維持するために、血液を体全体に届ける役目を果たしてくれています。その大切な血管を知らず知らずに酷使していませんか。糖分やアルコール・脂肪などを摂りすぎたり、ストレスが溜まったりすると血液の粘度が増し、ドロドロとした血液になります。その結果血液の流れが悪くなり、血管に負担をかけることになります。そのような状態が長く続くと血管壁が厚くなったり弾力が失われたりして動脈硬化につながり、更に脳梗塞や心筋梗塞になる恐れもあります。次のような点に気をつけて血液がサラサラになるような食生活を心がけ、血管をいたわりましょう。

〔心がけたいこと〕

1.健康に良いといわれている食品でも食べすぎは禁物。エネルギーや塩分のとりすぎになりやすいので注意が必要です。今までの食事に追加するのではなく、食べ過ぎていたと思う食品を減らしてその変わりに食べる方がよいでしょう。

2.バランスの良い食事を適量摂取しましょう。できる限り主食(ご飯、パン、麺など)・主菜(肉、魚、卵、大豆製品など)・副菜(野菜、きのこ、海草など)をそろえるように心がけます。ごはんと汁物・おかずを組み合わせる日本型の食事はバランスがとりやすいでしょう。

3.野菜・きのこ・海草類を十分に摂りましょう。

これらは低エネルギーで、かつ血管に良い影響を及ぼす成分の宝庫です。ビタミンC、ビタミンE、β-カロテンが多く含まれており、血液をサラサラにする効果があります。食物繊維も豊富で血中のコレステロールを下げ動脈硬化を防ぐ効果や、血糖値の上昇を抑える作用もあります。野菜は小鉢に1~2杯を目安に毎食食べたいものです。

4.青背魚も積極的に食べましょう。魚に含まれる不飽和脂肪酸は血液の流れを良くします。夏向けにさっぱりとしたイワシ料理をご紹介いたします。開いた生のイワシに少量の酒と醤油で下味をつけ、たたいた梅干と千切りのしその葉を混ぜたものをのせて焼くだけです。

 

 

 

 

健康づくりの中のおやつ作り(2006年7月)

 

健康づくりの中のおやつ作り

社団法人 茨城県栄養士会

管理栄養士 吉田和子
 
 
 

間食の必要性

幼児にとって間食は3つの側面から必要である。

第1点は栄養的な面の役割である。幼児期の食事摂取基準は、幼児の体重1kg当たりで見ると成人の2~3倍にもなる。しかし、消化吸収などの機能はまだ未熟で発育途上にある。

このため、多くの食物を一度に処理することができず、大人のように三回の食事だけで必要な栄養量を充足することが困難である。そのため間食を食事の一部分と考え、身体発育の面からエネルギー及び各栄養素のバランスが大切である。また、代謝が活発であり、水分補給の点からも重要視されている。

第2点は精神的な面の効果を考えられる。おやつは幼児にとって食べることの楽しみを体験できるひとときである。通常の3度の食事とは異なる雰囲気や、時には友達や家族を含め食卓の団らんなどのコミュにケーションの仲立ちにもなり、幼児に休息、気分転換の機会を与える。また、おやつはその形態や食べ方の面において、子供の好みを取り入れやすく、心の発達を助ける点からも効果的である。

第3点は、しつけや健全な食習慣を形成するための栄養教育の効果的な場として評価できる。間食を通して食事のマナーや食物の衛生的な取扱い等を無理なく自然な形で教育でき、また、クッキーづくりなど、作ることの喜びや直接素材にふれることのできる体験学習の場として、食べ物に対して子供の関心をさらに高められる。

間食の与え方と問題

与える回数は1~2歳児は午前(朝食と昼食の間)と午後(昼食と夕食の間)の2回

3~5歳児は午後(昼食と夕食の間)1回として与えることが一般的だ。個々の幼児の生活リズムに合わせることも大事である。

与える量は間食全体で1日に必要な食事摂取基準の10~15%位が適当である。1~2歳児は100~180kcal、3~5歳児では140~240kcalに相当する。

しかし、最近の幼児の間食の実態は、間食による摂取エネルギーの割合が25%前後にもなることが多く、1日の食事の栄養配分や肥満などの面から問題となっている。

注意点

① 間食の種類として望ましいものは、

栄養的な偏りの少ないもの

薄味で甘味、塩味の強くないもの

消化のよいもの(胃内停留時間の短いもの)

ある程度の容積を持ち満腹感を与えられるもの

水分補給できるもの

脂肪や糖質の多すぎないもの

食品

牛乳、乳製品を中心とした飲み物、果物、野菜類、穀類、芋類、豆類等の糖質性食品を基本に手作りされたもの

これらは市販のおやつに含有量の少ないビタミン、ミネラルなどが豊富に含まれている。

最近は栄養成分が表示されている菓子も流通されているので添加物の表示内容や製造年月日なども確認して利用することが必要である。

②間食に市販食品を用いた場合、容器包装のまま多量に与えない。

間食として使用頻度の高いスナック菓子類の中には非常に多くの脂肪や食塩が含まれている。放任すれば1袋食べてしまう。次の食事が十分に摂取できない場合も生じる。

③間食の時刻を決めることは、食生活リズムを整える上から重要である。 

だらだらと遊び食いにならないように、間食所要時間は20~30分以内ですます。

④幼児期になると簡単な買い物行動も可能となる。このとき、買い物の場において直接食べることがある。これは食生活リズムを乱し、幼児のわがままを助長し、さらには衛生面での問題を生じる。

⑤間食の内容については幼児の好みを取り入れることは幼児に喜びを与えるが、その際には間食の意義を逸脱しないよう配慮する。

⑥幼児期は、特に地域の同年齢の子供たちの影響を受けやすい。近隣の幼児の母親同士の情報交換や話し合いにより子供にとって最も望ましい間食について考え、間食の作り方なども紹介しあい、健全な食習慣の形成に努める。間食を軽視しない。

好ましいおやつの例

① 材料そのもの風味を味わうおやつの例

  • にんじん、きゅうり、セロリのステック:1歳頃から与えると野菜になじみやすい。
  • 季節の果物、果汁:果物はあまり手を加えない。
  • 牛乳、ヨーグルト、チーズ、ゆで卵:カルシウム、たんぱく質が不足するときに用いる。
  • 枝豆、そら豆、とうもろこし、焼栗、ナッツ類:季節を味わう。
  • 芋や南瓜の素揚げ、焼き芋、じゃがいものバター焼き、衣かつぎ、干しいも:胃に満腹感を与える。
  • そばがき、麦こがし、餅、かき餅、きな粉おはぎ:伝統的味覚を養う。
  • するめ、昆布、いりこ:噛みごたえのあるもの

② おやつの組み合わせ例(エネルギー量)―水分を同時にとる

  • 牛乳100gとポップコーン10g(109kcal)
  • 牛乳200gとビスケット20g(225kcal)
  • りんご果汁100gと焼きじゃがいも80g、バター5g(145kcal)
  • お茶100gと餅50g、チーズ20g、海苔1g(185kcal)
 

 

 

赤ちゃんと虫歯(2006年6月)

 

赤ちゃんと虫歯

社団法人 茨城県栄養士会

寺門久美子
 
 
 

赤ちゃんには虫歯はありません

  生まれたばかりの赤ちゃんに歯がないので、当たり前ですネ。

赤ちゃんが5~6ヶ月位になると、離乳食を食べ始めます。離乳食は、初めはドロドロ状に仕上げ、次に舌でつぶすことのできる柔らかさの粒状に、そして歯ぐきでかめる程度の噛みごたえのある形に変えていきます。その頃には乳歯がはえてきます。

離乳食を、お母さんが口に入れて、カミカミして食べさせることがあります。これはお母さんの口の中のバイキンも一緒に食べさせることになり、やがて赤ちゃんが虫歯になってしまいます。

  虫歯は、歯の表面のエナメル質や、その内側のぞうげ質が侵されて、内部に向かって穴が空いた状態をいいます。

乳児は、エナメル質やぞうげ質の層が薄いために、虫歯の進行が速く、普段からのケアが大切です。初期の虫歯は、痛みがないので発見は難しいのですが、歯の一部の色が黄褐色になってきます。子どもが物を食べるときに、噛むのを嫌がる、熱い物や冷たい物がしみているときなどは要注意です。そのまま放っておくと、激しい痛みと共にあごの下のリンパ腺が腫れることがあります。

虫歯になると、痛みのため歯の噛み合わせが悪くなったり、あごの筋肉の発達に影響を及ぼしますし、発育に必要な栄養が十分にとれなくなります。

〔起きる原因〕

  歯質、糖分、虫歯菌(ミュータンス菌)が原因で虫歯になります。虫歯菌は糖分をエサとして、デキストランという歯垢を作ります。歯に付着した歯垢の中では虫歯菌によって酸ができ、これが歯の表面のエナメル質を溶かします。

〔予防と治療法〕

  赤ちゃんの時から薄味に慣れさせることです。三度の食事はバランスの取れたものをおやつは、ケーキ、おまんじゅう、甘みの強いジュース、あめ、アイスクリーム、チョコレートなどの糖分の多いものは避け、せんべい、さつまいも、りんご、にぼし、こんぶ、するめなどを、それぞれ時間を決めて与えるといいでしょう。

  乳歯が生え揃ってきたら、歯を磨くようにします。子どもが歯磨きをしたら、お母さんの膝のうえに子どもの頭を乗せて、「寝かせ磨き」をしましょう。そして、良くできたことをほめてあげましょう。

  予防には、食後と夜寝る前には歯を磨くものだという意識づけと習慣が大切です。フッ素を塗ったり、奥歯の小さなくぼみをシーラント(液状プラスチックの充填剤)でおおう方法もあります。

  治療としては、初期ならば進行止めの薬を塗ります。黒い色が多少つきますが、よく磨けばそれ以上の進行を防げます。

  食事は食物繊維の多い、ごぼう、れんこんなどの根菜類や、骨まで食べられる小魚など、噛みごたえのある食品を取り入れ、よく噛んで食べる習慣をつけましょう。

 

 

 

家族で毎朝 朝ごはんを食べよう(2006年5月)

 

家族で毎朝 朝ごはんを食べよう  
會澤千恵子
 
 朝ごはんを食べることは、心身が睡眠モードから活動モードに切りかわるので、生活リズムを整える上でとても大切なことです。また、睡眠中に下がった体温が上昇して血流がよくなるので、体が元気良く動きだします。さらに、消化器系も活動し始め腸が刺激されて、便通がよくなります。

<なぜ 朝ごはんが大切なのか?>
 人も子どもも年々朝食の欠食率が増加してきています。平成 14年の国民栄養調査では、約10%の人が、児童生徒も学年が上がるにつれて欠食率が上昇しています。この原因は、大人の生活が夜型化しているため、夜中に夜食をお腹いっぱい食べるなど不規則な食事になっていることや、就寝時間が遅くなり、朝起きられず、食べる時間がないことや、食欲もわかないので朝食が欠食になってしまっています。これに引きずられるように子どもたちの中にも、朝食を食べない子どもたちが増えてきているのです。

なぜ、朝ごはんが大切なの?

それは

  朝ごはんを食べることで、睡眠モードから活動モードに心身が切りかわるので、生活リズムを整える上でとても大切なことです。また睡眠中に下がった体温が上昇して血流がよくなり、身体が元気良く動きだします。また消化器系も活動し始め腸が刺激されて、便通がよくなります。

 

 

忙しい朝は、時間をかけずに用意をすることが大切です。事前に献立を考え、夕食の残りを利用したり、前日に料理の下準備をしておきましょう。

 

 

近頃

  お菓子やインスタント食品、栄養補助食品などを朝ごはんがわりにしている人が増えています。それらの食品は、「食事の補助」や「間食」用なので、食事代わりにすると栄養の偏りなどの問題がでてきます。

 

 

サプリメントって一体何者?(2006年4月)

 

サプリメントって一体何者?

社団法人 茨城県栄養士会

サプリメントアドバイザー

根本 偉代

 
 
 
近年、私達の日常生活の中で『サプリメント』という言葉をよく聞きますが、『サプリメント』って一体何でしょうか?
 
★サプリメントは薬それとも食品?
 
サプリメント(supplement)には補うという意味があります。

私達が口から入れるものの中で法律上
 「医薬品(医薬部外品含む)」
 「食品」のどちらかに位置付けされます。


医薬品
  • 病気の治療や予防を目的としてつくられたものです。
  • 用法用量が細かく決められていて効能効果もはっきり書くことができます。
  • 医師・薬剤師の指示・アドバイスが必要です。
   
サプリメント
  • 薬のように即効性があったり、病気の治療を目的としたものではありません。
  • ビタミン・ミネラル・アミノ酸など毎日の食事で不足しがちな栄養素を補うもので「栄養補助食品」ともいいます。
  • 錠剤やカプセルなど薬に似た形をしていますが、薬ではなく食品なので効果を表示することは出来ません。
   
★どこまでがサプリメント?
 
図1 保健機能食品の分類と名称
<保健機能食品>
医薬品

(医薬部外品を含む)

特定保健用食品

(個別評価型)

栄養機能食品

(規格基準型)

一般食品

(いわゆる健康食品を含む)

  栄養成分含有表示

保険用途の表示

(栄養成分機能表示)

注意喚起表示

栄養成分含有表示

栄養成分機能表示

注意喚起表示

 
厚生労働省医薬局長通知「保健機能食品制度の創設について」2001年3月より
・健康維持、増進に役立つ健康食品のうち一定の条件を満たしているものには、「保健機能食品」と表示できます。
栄養機能食品
  • 栄養機能表示が認められているのは、ビタミンA・βカロテン・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンB1・ビタミンB2・ビタミンB6・ビタミンB12・ナイアシン・葉酸のビタミン類です。
  • カルシウム・鉄・銅・亜鉛・マグネシウムのミネラル類です。
   
特定保健用食品(トクホ)
  • 保健食品、栄養補助食品と呼ばれている食品の中で保健の用途、有効性、安全性など医学、栄養学的に明らかにされたものです。
  • 健康への効果の表示が認められたものです。
  • 成分として、オリゴ糖・乳酸菌・食物繊維・ペプチド・たんぱく質・脂質・ミネラルなどです。
  • 表示内容・・・8つに分類
  1. おなかの調子を整える食品
  2. コレステロールが高めな方の食品
  3. 血圧が高めな方の食品
  4. ミネラルの吸収を助ける食品
  5. 骨の健康のための食品
  6. 歯の健康のための食品
  7. 血糖値が気になる方の食品
  8. 血中中性脂肪が上昇しにくい食品

となっています。

   
健康食品

(いわゆる保健食品)

  • 規定する法律、科学的根拠は認められていません。
  • 健康維持、増進の目的に期待されている食品ということです。
  • 栄養素を「補う」として本来はここがサプリメントとしての場所なのですが、一般に「栄養機能食品」をサプリメントとして呼んでいるようです。
   
★飲み方は?
 
サプリメントの説明書には「食生活は、主食・主菜・副菜を基本に食事のバランスを」と書かれています。

まずはご自分のライフスタイルから見直してみましょう。

いかがですか・・・・・・

サプリメントは『魔法』の薬ではありません。
毎日の食事の中からどうしても不足してしまう栄養素を補う『補助食品』であることを知っておいて欲しいのです。
サプリメントを利用したいときは、目的と十分な理解と判断で上手に活用して頂きたいと思います。

 

 

 

ストレスに強くなる食事の工夫!!(2006年3月)

 

ストレスに強くなる食事の工夫!!

社団法人 茨城県栄養士会

根本 鈴子
 
 
 
 

私たちの生活をとりまく環境は、近頃ますます複雑になってきており、人間関係にも影響をおよぼすなど、何かと精神的緊張を増して健康を阻害する大きな要因になっています。日常の食生活に十分気をつけて、ストレスに負けないようにしましょう。
 
★1 ストレスに強くなる食生活の基本は、やはり”バランス”のとれた食生活
 

強いストレスや心配事があったり、イライラしている時など胃酸の分泌が高まり、胃潰瘍や胃からの出血が起こることが少なくありません。この予防のためには普段から栄養素のバランスのとれた食生活を続ける事が大切です。特に胃の弱い人は、バランスのとれた食事を摂るとともに規則正しい生活を送るように心がけましょう。


   
★2 良質のたん白質を毎日欠かさず摂りましょう
 
ストレスが加わると、副腎皮質の機能が高まり、体のたん白質が壊されていきます。その結果、体力が消耗し、ストレスに対しての耐性も弱まります。そのような意味からも、体のたん白質の量が多いほど、ストレスに対応する抵抗力が強いといえます。

たん白質は、毎日の食事で十分に補っていかなければならない大切な栄養素ですが、とくに良質のたん白質を毎日必ず摂取するように心がけましょう。

   
★3 各種のビタミン、とくにCを十分摂りましょう
 

ストレスが加わる副腎髄質ホルモンの分泌が増して、体内での代謝が高まります。それによって各種ビタミン、とくにビタミンCの消耗が激しくなります。ふだんからビタミンCの補給に十分に心がけることが大切です。ビタミンCの働きは様々なビタミンの相互作用でも高まりますから、他のビタミンについてもバランスよく摂取しなければなりません。

ストレス社会を健康的に生きるためには、毎日規則的に食事をとるだけではなく、十分に睡眠と休養をとって生活リズムを調える、適度の運動をするなど、望ましいライフスタイルをつくり上げることが大切です。

 

 
 

 

 

「一年の計は元旦にあり」(2006年2月)

 

一年の計は元旦にあり」

茨城県栄養士会

大津 音江

 
 
 
 「一年の計は元旦にあり」といいますが、皆さんの年明けはいかがだったでしょうか?

健康も、実は年初めの食生活が大きく影響するのです。

寒さと日照時間の短さによる運動不足、忘年会やクリスマスなどでの年末に酷使した胃袋にさらに拍車をかけるようなおせち料理や新年会などの宴会料理が続きます。必要以上に蓄積された体脂肪、そのまま引きずってはいませんか?1kg増えた体重を元に戻すには7000Kcalの消費が必要ですが、1日30分【分速60m】歩行しても消費カロリーは100 Kcal程度、2ヶ月以上もかかります。その上2月はますます寒さが厳しい季節、外に出るのも億劫になる時期です。気づいた頃には体調不良で病院通い、生活習慣病の発症なんてことにもなりかねません。生活習慣病は、過食・偏食、運動不足、喫煙、多飲、ストレス、肥満などが起因する慢性疾患ですが、自覚症状のないうちに予防するのが一番です。さあ今日からでも遅くはありません。今年1年無病息災(一次予防、二次予防、三次予防)健康成就を願って食生活(日常生活)を見直してみましょう!!

 
自覚症状で健康チェック

(A)
1
のどが渇く【口渇】□
2
ジュースや水がやたらにほしくなる【多飲】□
3
夜間おしっこに何回も起きる【多尿】□
4
ジュースやコーラは水代わりに飲む、

1日ペットボトル1リットル~2リットルは飲んでしまう□

5
果物やまんじゅうがすき、毎日2~3個は食べる□
(B)
6
漬物や梅干、味の濃いお惣菜が好きで毎食のように食べている□
7
刺身にはたっぷりの醤油をかけて食べる、

塩焼魚にも醤油をかけて食べるのがすき□

8
ラーメンやうどんなど麺類が好き、つゆも残さず飲みきるほうだ□ 
(C)
9
てんぷらやフライなど揚げ物はよく食べる、

トンカツの脂身のところが特にすき□

10
ケーキやシュークリームなど洋菓子が大好き、

ソフトクリームもよく食べる□

11
あん肝や霜降り肉がすき、鍋物は水炊きよりすき焼きが好き□
12
和食より洋食、中華料理が好き、お浸しや酢の物は嫌い□
13
お酒はよく飲む、ほとんど毎日飲まないと寝付けない□
14
最近 体重が増えてきた、運動不足を自覚している□
15
お腹のまわりが眼に見えて太ってきたのがわかる□
(D)
16
スポーツの後に飲むビールと、焼肉は最高!毎日でもいける□
17
最近 胃の調子が悪い、食欲がない、背が張る、肩が凝る□
18
最近 寝起きの顔がむくんでいるような気がする、頭がすっきりしない□
19
野菜やきのこ類は苦手だ、ほとんど口にしない□
20
朝食抜き、昼は麺類か菓子パン、

夜はカップラーメンか外で飲むことが多い□

 
1~20の項目であなたはいくつ該当しますか?
(A)
2型糖尿病によくみられる症状です
(B)

高血圧のリスクファクター【要因】

(C)
高脂血症、脂肪肝(内臓肥満)、アルコール性肝炎などが疑われます
(D)
痛風や腎機能の低下、胆のう炎(胆石)、胃腸はだいじょうぶ?
 

※生活習慣病は、日常生活の多様な悪循環が複合して起きる病気です

該当する項目がある方は、早めに病院で検査してみましょう

病気は早期発見・早期治療で、あなたの健康寿命を延ばします 

食事も良質のたんぱく質や食物繊維の豊富な野菜をたっぷりとりましょう

 

《お知らせ》

 

◎栄養診断は、茨城県栄養士会で行っています

◎食事摂取基準や治療食について詳しくお知りになりたい方は、

専門の管理栄養士がお答えします

   
   

 

 
 

 

 

「食品の安全性」を守る(2006年1月)

 

「食品の安全性」を守る

社団法人茨城県栄養士会

管理栄養士 荒田玲子

 
 
 
 ちょうど 20 世紀から 21 世紀に変わる頃、大手乳業メーカーの食中毒事件、香料メーカーの違法行為や輸入牛肉など食品の偽装事件、鯉ヘルペスや鳥インフルエンザの問題等が起こり、食への不安が高まりました。食品の安全性と安心は、どのようにして守っていけばよいのでしょうか?情報が大量に入ってくる一方、知りたい情報を得ることができず、不安だけがつのる今日この頃です。 2003 年 12 月より輸入禁止となっていた米国産牛肉が、 2005 年 12 月より輸入再開されました。賛否両論の中、米国の圧力が見え隠れする中での輸入再開でしたが、皆さんはどのように考えますか?
Q.
 安全が確保されたとして、輸入が再開された米国産の牛肉は安全なのでしょうか?
 
A.

 内閣府食品安全委員会によりますと、 (1)生後 20 ヶ月以下の牛 (2)特定危険部位の除去この 2 つを厳格に守る事ができれば、国産牛と同じレベルの安全性が確保できるという見解が出されています。問題点としては、米国の「月齢の判定」と「特定危険部位除去」の 2 点が正しく行われるかにかかっているようです。また、 30 ヶ月以下へ漸次引き上げようという動きもあるようですから、今後も注意深く監視する必要があります。

  

Q.
BSEは、なぜ発生したの?

  

A.

  スクレイピー(BSEと同じ症状を起こす羊の病気)で大量死した羊の屍骸を肉骨粉として牛の安い飼料としたことが、
羊  ( スクレイピー )  → 牛(BSE) → 人  ( 変異型クロイツフェルト・ヤコブ病 )

の連鎖に繋がったといわれています。

また、 1973 年の第一次オイルショックの石油高騰により、レンダリング ( 肉骨粉製造時の煮沸処理 ) の温度を 100 ℃以上から 80 ℃に下げたことも、発生を拡大した一因ではないかといわれています。

1984 年イギリスのミッドファーストという小さな村で、初めて確認された牛のBSE。イギリス政府がきちんとした対策を講じなかったがために、 2001 年時点で 106 名の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の発症をみる結果となってしまいました。コスト削減と効率性ばかりを追及した結果、BSEが発生してしまったと言えるでしょう。

  

Q.
米国牛輸入禁止後も輸入販売されているオーストラリア産牛は安全なの?

 

 

A.

オーストラリア産牛肉の安全性は非常に高いといわれています。以下の予防を早手回しにやっている事からです。

(1)1952 年から生きた羊とやぎの輸入を禁止

(2)1966 年から肉骨粉の輸入を禁止

(3)1999 年から国内の肉骨粉使用も禁止

 

<  参考  >

日本の肉骨粉の使用禁止は、 2001 年 10 月(国内1頭目BSE感染牛発生直後)からです。

また、米国では現在も鶏や豚に安価で効率よい飼料として牛の肉骨粉が使用されており、食品安全委員会も肉骨粉の全面使用禁止を米国に求めています。

 

食品の安全性を守るには、「消費者の高い見識」が不可欠です。

   
 

  食品の安全性を守るには、安全な食品を作る生産者を守り育てる気持ちが不可欠です。スローフード運動や、地産地消運動の思想とも符合します。

安くて良いものも確かにあります。しかし一方、安価ではあるが、安全性に欠ける食品もたくさんあります。安さばかりを求める消費者が多ければ、安全性を第一に考える生産者は育ちません。

無農薬・減農薬野菜、無添加食品は、コストがかかるものが多いのです。安全性を高めるには、長期間にわたる、消費者の投資が必要です。

食品の履歴を確認できるトレイサビリティーの仕組みも日本で導入され始めています。知りたい情報が少しずつ入手可能になってきています。(仕組みの運営にかなりのコストがかかります。国や生産者、消費者もその費用を分担することになりそうですが、安全、安心のために必要な投資ですね。)

今回の牛肉問題も、長い目で安全を監視し、問題意識を持ち続けたいものです。
食品安全委員会 は、食の安全の問題を精力的に審議しています。月 4 回程度行なわれる委員会は公開で行なわれ、誰でも傍聴できます。委員会の活動や、食の最新情報、安全情報、委員会の開催日や議題は以下のホームページから見ることができます。正しい情報を得、「本物の食」を選び取るため、「食に関する高い見識」を持ちましょう。

食の安全確保は、未来の子どもたちへの贈り物です。目先の利益に惑わされず、守っていきたいものです。

   
 

食品安全委員会ホームページ

  

 

 

「高齢者の栄養と低栄養予防について」(2005年12月)

 

「高齢者の栄養と低栄養予防について」
社団法人 茨城県栄養士会

矢代あや子

 
 
 
 幼児から高齢者まで、「食べる」ことは大きな楽しみの一つです。

1日中テレビの前でお菓子をつまんだり、お茶を飲んだりしていると三度の食事がきちんと食べられなくなってきます。

食欲の低下により食事摂取量が減り栄養が不足しやすくなります。体重が徐々に減ってきたら要注意!低栄養状態(主にエネルギーやたんぱく質が不足した状態)になると、病気が治りにくい、認知症が進行する等の症状がでてきます。

予防のためにはまず、主食(ご飯やパン、麺類)や主菜(肉・魚・卵・大豆製品)をしっかりと食べるようにしましょう。
高齢者の体の特徴を考慮した、食べやすく飲み込みやすい食事の工夫をし、充分な栄養が補給できるように努めてまいりましょう。

1.
のどの通りを滑らかにする、のどごしの良い形にしましょう。
 
 唾液の分泌量が減り、嚥下(飲み込む力)が弱まります。食べ物がのどに詰まったり、気管に入ってしまわないように、汁気を多めに作ります。食材によってはつぶしたり、すり下ろす、裏ごしする、刻んで煮込んでからとろみをつけると食べやすくなります。
 
2.
入れ歯でも噛みやすい形にしましょう。
 
 あごの力が弱くなったり、入れ歯だったりして、噛む力がなくなってきます。噛みにくい肉や、繊維の多い野菜は小さく切りましょう。一口大の食べやすい大きさに切ったり、隠し包丁を入れ柔らかく調理すると噛まなくても歯ぐきや舌しつぶせるようになります。
 
3.
消化しやすい柔らかい形にしましょう。
 
 噛む力とともに、消化力も落ちてまいります。野菜や肉は柔らかく火をとおしましょう。圧力鍋を使用すると、短時間で肉や野菜が柔らかくなります。食材に応じて加熱時間や加圧時間を調整して調理しましょう。
 
4.
箸やスプーンでもつかみやすい形にしましょう。
 
 細かく刻んだ野菜や肉、表面がつるつるしている里芋などは箸ではつかみにくいものです。

あんをかけたり、スプーンの裏で押しつぶしたりするだけでも食べやすくなります。めん類等はスプーンにのる長さに切ってから調理すると食べやすくなります。

 

 

 

「健康の食事」(2005年11月)

 

「健康の食事」
社団法人 茨城県栄養士会

小林 智子

 
 
 
 大方の人は1日3食の食事をほぼ規則正しく摂り、日々繰り返される食事が健康とかかわりを持っていることを、おぼろげながら理解しつつ生活を続けていると思います。健康を損なってはじめて毎日の食事がいかに大切なものかを知るという方もいるはずです。

「食べること」は、人間にとって欲求のひとつです。その欲求を制限されることは、とてもつらいことです。ある期間、あるいは場所によっては生涯になるかもしれない自制の食生活。しかも、今日食べたから、あるいは食べなかったからといって、すぐに結果のでないのが食事です。ある一定期間の経過がなければ、それなりの結果が望めません。健康と食事の深いかかわりや社会環境・文化と密接につながる食生活を理解し、より健康な生涯を送るために私たちの道しるべとなるものが「食生活指針」です。

私たち一人ひとりの健康増進、生活の質の向上、食料の安定供給の確保などを図ることを目的にした「食生活指針」は文部省(現 文部科学省)、厚生省(現 厚生労働省)、農林水産省によって共同で平成12年3月に策定されたものです。10項目からなる「食生活指針」は食料の生産流通から食卓、健康へと幅広く食生活全体を見渡した内容です。実践のための具体的な方策も示されています。

食生活のあり方は、ライフスタイルや家族形態等と深くかかわっています。「食生活指針」は食生活に関する問題の解決の糸口を示すものです。家族や仲間と豊かで健康な暮らしを実現させるために「食生活指針」の活用をお勧めいたします。

<食生活指針の内容>
食事を楽しみましょう。
 
  • 心とからだにおいしい食事を、味わって食べましょう。
  • 毎日の食事で、健康寿命をのばしましょう。
  • 家族の団らんや人との交流を大切に、また、食事づくりに参加しましょう。
1日の食事のリズムから、健やかな生活リズムを。
 
  • 朝食で、いきいきした1日を始めましょう。
  • 夜食や間食はとりすぎないようにしましょう。
  • 飲酒はほどほどにしましょう。
ごはんなどの穀類をしっかりと。
 
  • 穀類を毎食とって、糖質からのエネルギー摂取を適正に保ちましょう。
  • 日本の気候・風土に適している米などの穀類を利用しましょう。
野菜・果物、牛乳・乳製品、豆類、魚なども組み合わせて。
 
  • たっぷり野菜と毎日の果物で、ビタミン、ミネラル、食物繊維をとりましょう。
  • 牛乳・乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などで、カルシウムを十分にとりましょう。
食塩や脂肪は控えめに。
 
  • 塩辛い食品を控えめに、食塩は1日10g未満にしましょう。
  • 脂肪のとりすぎをやめ、動物、植物、魚由来の脂肪をバランスよくとりましょう。
  • 栄養成分表示を見て、食品や外食を選ぶ習慣を身につけましょう。
適正体重を知り、日々の活動に見合った食事量を。
 
  • 太ってきたかなと感じたら、体重を量りましょう。
  • 普段から意識して身体を動かすようにしましょう。
  • 美しさは健康から。無理な減量はやめましょう。
  • しっかりかんで、ゆっくり食べましょう。
食文化や地域の産物を活かし、ときには新しい料理も。
 
  • 地域の産物や旬の素材を使うとともに、行事食を取り入れながら、自然の恵みや四季の変化を楽しみましょう。
  • 食文化を大切にして、日々の食生活に活かしましょう。
  • 食材に関する知識や料理技術を身につけましょう。
  • ときには新しい料理を作ってみましょう。
調理や保存を上手にして無駄や廃棄を少なく。
 
  • 買いすぎ、作りすぎに注意して、食べ残しのない適量を心がけましょう。
  • 賞味期限や消費期限を考えて利用しましょう。
  • 定期的に冷蔵庫の中身や家庭内の食材を点検し、献立を工夫して食べましょう。
自分の食生活を見直してみましょう。
 
  • 自分の健康目標をつくり、食生活を点検する習慣を持ちましょう。
  • 家族や仲間と、食生活を考えたり、話し合ったりしてみましょう。
  • 学校や家庭で食生活の正しい理解や望ましい習慣を身につけましょう。
  • 子どものころから、食生活を大切にしましょう。