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病気を防ぐ「あぶら」のとり方(2008年10月)

 

病気を防ぐ「あぶら」のとり方
茨城県栄養士会 佐藤 光恵
 
「あぶら」の種類は様々で、とり方によって、体にプラスにもマイナスにもなります。

健康によい「あぶら」を選んでとることは、メタボリック症候群を防ぐことにつながります。

   
 
「あぶら」の主成分「脂肪酸」にはさまざまな種類があります。
   
 
  サラダ油、ごま油、オリーブ油、肉、魚、乳製品、ナッツなどの食品から、私たちはさまざまな「あぶら」をとり入れています。「あぶら」は正式には脂質あるいは脂肪といい、たんぱく質、糖質とともに3大栄養素の一つです。

脂質は主に脂肪酸によって構成されています。脂肪酸は炭素、水素、酸素が結びついてできており、結びつき方で飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられます。また、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸は体内での生理作用が異なります。

   
 
脂肪酸の種類と特徴
 
一つの食材や油脂には、複数の脂肪酸が含まれています。多く含まれる主な脂肪酸と食品の種類、その特徴は下表のようになります。
 
脂肪酸の分類と主な種類 不飽和脂肪酸

n-3系多価不飽和脂肪酸

 α-リノレン酸。

 EPA。DHA

不飽和脂肪酸

n-6系多価不飽和脂肪酸

(リノール酸)

不飽和脂肪酸

一価不飽和脂肪酸

(オレイン酸)

飽和脂肪酸

 パルミチン酸

ミリスチン酸

ラウリル酸

ステアリン酸

主な食品 しそ油、えごま油、青背の魚 サフラワー油、

ごま油、大豆油

ひまわり油、

くるみ、とうもろこし油

オリーブ油、大豆油、菜種油、アーモンド、へーゼルナッツ ラード、ヘット

バター、肉の脂身

ショートニング

ヤシ油、ココナツ油

特徴
悪玉のLDLコレステロールをある程度下げる。
中性脂肪を下げる。血栓防止をする。
酸化しやすい
悪玉のLDLコレステロールを下げる。
善玉のHDLコレステロールも下げる。
酸化しやすい
悪玉のLDLコレステロールを下げる。
多くとると悪玉のLDLコレステロールを上げる。
不足すると血管がもろくなる。
   
 
積極的にとりたい脂肪酸、減らしたい脂肪酸
  食事でとった脂肪は脂肪酸に分解後、吸収され、エネルギーとして使われます。エネルギーとして利用されなかった残りは空腹時に備えて脂肪組織に蓄えられます。余れば脂肪になる点では炭水化物もたんぱく質も同じです。コレステロールは脂質の一種で、細胞膜や各種のホルモンの材料としてある程度の量は体に必要です。

健康によいと言われる脂肪酸を含む「あぶら」でも1gで9キロカロリーと、高エネルギーですから、とり過ぎると肥満を招きます。

国民栄養調査では多くの人が「あぶら」をとり過ぎているという調査結果になっています。

一般に肉などに多い飽和脂肪酸の摂取が多く、魚に多いn-3系多価不飽和脂肪酸や、一価不飽和脂肪酸は不足傾向がみられます。

「あぶら」の総量が過剰にならないようにし、様々な不飽和脂肪酸を含む「あぶら」をバランスよくとることが大切です。

   
  油のヘルシーなとり方
  肉に多く含まれる飽和脂肪酸は少なくし、魚に多く含まれるn-3系多価不飽和脂肪酸や、オリーブ油に多く含まれる一価不飽和脂肪酸を多くするように心がけることが健康的な「あぶら」のとり方です。

(1)   揚げ物にサラダ油。炒め物にごま油。パスタにオリーブ油とバランスよく料理に使い分け、1日の使用量を大さじ1~2杯までに抑える。
(2)   バラ肉、ベーコン、鶏肉の皮などはできるだけ控える。
(3)   魚の干物は酸化し易いので、新鮮なものを購入し、早く食べきる。
   
 
特定保健用食品に指定されている油
  「体に脂肪が付きにくい」「脂肪の吸収を抑える」などの表示がある食用油が市場に出回っています。あくまで、一般の食用油を使ったときと比べた場合に、表示されているような効果が得られると理解して使うことが必要です。特定保健用の油も1gは9キロカロリーなので、1日の使用量は普通の油と同程度にすることが勧められます。食べるほど効果が上がるものではないです。

 

 

緑に囲まれリフレッシュ、グリーンセラピーを採り入れよう(2008年9月)

 

     
 
9月のテーマ:
緑に囲まれリフレッシュ、グリーンセラピーを採り入れよう
 暦の上ではすっかり秋。夏の暑さが残ってはいるものの、朝夕は冷え込む日も多く、普段以上に体調管理に気をつけて欲しい季節です。さて、秋といえば実りの季節。果物をはじめ、雨期と夏の日差しを受けて豊かに実った秋の味覚が食卓を賑わせてくれます。実をつける草木だけでなく、一般的に植物にとって秋は春と並ぶ最盛期。ガーデニングや山歩きにも最適の時期です。そこで今回は、緑の癒し効果を生活に採り入れる、グリーンセラピーについてお話します。
 
     

 

グリーンセラピーとは?
 
 「グリーンセラピー」とは、その名のとおり植物の「緑」によって心身を癒す方法のこと。植物の緑にはリラックス効果や心を落ち着ける効果があることは良く知られていますが、視覚を通して緑を吸収するだけでなく、例えば森林、特に針葉樹から放出される「フィトンチッド」という物質にはさまざまな効果があるそうです。
 
「フィトンチッド」はいわゆる森の香りのもとで、植物が光合成でブドウ糖をつくる際に分泌されると言われています。フィトンチッドの発生している環境の中で過ごすことで、副交感神経のはたらきが活発になり、イライラした気分や不安感を鎮静させたり、アルファ波を増加させてくれるなどの効果が現れます。この香りの中で睡眠をとると疲労回復が早いという研究報告もあり、心を癒すばかりか身体へのメリットも期待できるのがグリーンセラピーなのです。
   
身近な場所で森林浴をしよう
   さて、植物の緑に満たされた環境というと、どうしても公園や森林などをイメージしてしまいます。「わざわざ出かけるのは面倒」「市街地で周りに緑が無い」など、今の環境ではグリーンセラピーの恩恵を受けるのは難しいと感じる方も多いかもしれません。
しかし、何も公園や森林へ出かけなくても“森林浴”は可能です。室内の観葉植物やベランダガーデンの花、庭木もれっきとした植物。大きな森林でなくても、身近にある植物の緑は言わば小さな森林。どんな小さな植物も、私たちの心を癒し、光合成によって新鮮な酸素とマイナスイオンを供給してくれるのです。
   
室内緑化を進めよう
   失われ行く地球の緑を守るため、社会規模での大規模な緑化運動が進められている現代。自宅やオフィスにおいても「室内緑化」の大切さが改めて注目されています。先に紹介したとおり、室内の緑も心を落ち着けてくれるのはもちろん、他にもさまざまな効用をもたらしてくれます。
テクノストレスや目の疲れの解消・緩和
   情報化が進み、パソコン等を使用する作業が増えたことで「テクノストレス」という弊害が生まれました。主な症例は視覚疲労やドライアイなど目に関するもので、その他、機器が発生する電磁波が身体に及ぼす悪影響などが挙げられます。室内緑化植物が視覚疲労を緩和させる効果については科学的検証がなされている途中ですが、昔から「緑は目にいい」と言われていることからも、その効果が期待されます。
シックビルディング・シックハウスシンドロームの解消
   建物の気密性が高まるにつれ、問題視されるようになったのが建材や塗料から発生する、ベンゼン、ホルムアルデヒド、トリクロロエチレンなどの揮発性有機化学物質です。これらは人体に悪影響を及ぼすとされ、室内の空気の汚染源となっています。植物にはこれらの有害物質を吸着・分解する作用があり、煙草の伏流煙などに対する有効性も注目されています。
室内のイオンバランスの調整
   パソコンやテレビなどから発生するプラスイオンが空間のイオンバランスを崩し、疲労感や肩こり・腰痛、冷え性などの原因になっていると考えられています。植物が光合成によって二酸化炭素を吸収し、酸素を排出するのはご存知のとおりですが、植物は酸素の他にマイナスイオンも発生し、室内のイオンバランスを整えてくれます。
   
   一言に「グリーンセラピー」といっても、その方法はさまざま。庭がある家ならガーデニングや家庭菜園を楽しむのもお勧めです。ベランダガーデンや屋上ガーデンも人気が高まっていて、植物が直射日光や外気と建物の緩衝材となってくれるため、省エネ効果も期待できます。また、室内の観葉植物が元気になる秋は植え替えにも最適な季節。根が張ってきた鉢物があれば、この機会に植え替えてみてはいかがでしょうか。土に触れ、水をやり、植物の手入れをする。緑を眺めるだけでなく、身近なものとして積極的に触れて「癒し」を感じてください。

 

 

朝食を食べる習慣をつけましょう!(2008年9月)

 

朝食を食べる習慣をつけましょう!
朝食の役割~朝食はからだの目覚まし時計~
 

寝起きの直後は血糖値が低く、内臓や神経、脳の働きも低下した状態になっています。

こうした機能を正常に戻し、体をすっきり目覚めさせるのが朝食の大きな役割です。

 
[お通じがよくなる]
人間の体は食事を摂ると消化器系が刺激され、それに伴い肛門の筋肉が緩みやすくなるように できています。

朝食を食べた後にトイレに行く習慣をつけると、毎朝の便通も良くなって快便生活が期待できます。

[仕事も勉強もはかどる]
シャキッと起きられずに、ぼんやりダラダラ過ごしていませんか?

朝食には寝ている間に低下した体温を上げる作用があり、活動をするためのウォーミングアップの役割があります。また朝食を摂らないと、脳のエネルギー源であるブドウ糖が不足して昼食を摂るまでやる気や集中力が出にくくなってしまいます。また昼食を朝食抜きの反動でまとめ食いをしやすく、満腹感で午後も頭がボーっとしがちです。

朝食をしっかり食べることで、一日の元気なリズムを作りハツラツと過ごせます。

[ダイエットにも効果的]
朝食を抜いてダイエットをしよう!なんて思っていませんか?

食事回数が減り、食事と食事の間隔があく事で体がエネルギーを蓄えておこうと働きます。

基礎代謝も悪くなる事で、貯めた脂肪を分解する力が落ちていき、「太りやすい体質」に・・・

朝食で摂ったエネルギーは夕食よりも消費されやすくなっているので、同じ一日の食事でも朝食をしっかりめに食べ、その分夕食を軽めにする習慣をつけるだけでもシェイプアップ効果が期待できると思います。

 
 
 
どんな朝食がいいのか?
朝食こそバランスが大切です。
[体温を上昇させるたんぱく質(主菜)]
炭水化物の3倍、脂肪の5倍もの体熱生産力があるといわれます。

血のめぐりがよくなり、寝起きの体が十分にウォーミングアップされます。

 
[即効性のエネルギー源(主食)]
糖質が分解されて出来るブドウ糖は脳を働かせる唯一のエネルギー源になります。
 
 
[野菜をたっぷり(副菜)]
野菜に含まれるビタミンが糖質を燃えやすくします。

効率よくエネルギーが生まれ生活習慣予防の効果も期待できます。

 
[乳製品や果物]
ヨーグルトや果物を加えるとビタミンやミネラル、カルシウムが摂れます。

 

おすすめ朝食パターン
[洋食セット]
パンとコーヒーだけでなく卵料理やサラダも一緒に食べることがおすすめです。
[和食セット]
日本の伝統的朝食としてご飯・野菜たっぷり味噌汁・魚・お浸しなどの組み合わせがおすすめです。ただし塩分の摂り過ぎに注意が必要です。
 

食生活の結果は、すぐに表面に表れるものではありません。

忙しい朝でも食べ物を口にするという「習慣」が大切です。

将来も健康に過ごせるように、明日からの朝食を大切にしましょう。

 

 

 

 

プールに行こう!水中ウォーキングのススメ(2008年8月)

 

     
 
8月のテーマ:
プールに行こう!水中ウォーキングのススメ
 いよいよ夏本番。蒸し暑い日が続き、クーラーのきいた部屋でゴロゴロ夏休み…というご家族も多いのではないでしょうか。こんなに暑いのに外で身体を動かすなんてとても無理!と思うのももっともですが、夏バテしやすい季節だからこそ、身体を動かして食事もしっかり摂りたいものです。暑いからといって家の中でゴロゴロして冷たいものばかり飲んでいては、余計に身体がだるくなって悪循環です。そこで今回は夏にぴったりの運動法・水中ウォーキングについてお話します。
 
     

 

泳ぐだけがプールじゃない!?
 
 夏のレジャースポーツの定番といえば、海やプールでの水遊びです。学校の授業以来、プールから足が遠のいているという方も多いかもしれませんが、ご存知の通り水泳は効率よくエネルギーが消費できるスポーツです。泳ぐのは苦手という方も、ご心配なく。水中で歩いたり体操をしたりして身体を動かすだけでも、実は結構いい運動になるんです。水中でのエクササイズは、水の抵抗があるためどうしてもゆっくりとした動きになりますが、その運動効果は床の上で激しい運動をしたときにひけをとらないほど高いという説も。陸上での運動と水中での運動は、条件がまったく異なるため明確に「どちらがいい」とは言えませんが、同じ酸素消費量の運動を行う場合、水中で行ったほうが脈拍数が少ないというデータがあります。つまり、水中での運動は少ない脈拍数で陸上より多くのカロリーが消費できるのです。
   
水中ウォーキングの方法
   水中でのウォーキングは、先にお話したとおり、水の抵抗があるため陸上と同じ姿勢・ペースでは行えません。正しい姿勢で行うことで運動効果も上がるので、ただ前に進むのではなく、足や腕の動かし方にも注意して歩きましょう。また、プール遊びを楽しんでいる他の人迷惑にならないよう、周りの状況にも気を配って行うことが大切です。

ウォーキングの姿勢
 

胸を張り、頭のてっぺんを真上に引っ張り上げるようなイメージでまっすぐ立ちます。前に進むときは下腹部を引き締めながら骨盤を少し前に出すようにして、できるだけ頭が揺れないよう水平な視線を保ち、まっすぐ前を見ながら進みます。速く歩く必要はないので、前かがみになったり上体を反らせたりせず、垂直の姿勢を意識しながら行いましょう。手足はなるべく大きく動かし、ゆっくり水をかくようにして進みます。

足の動きは、かかとから底に着地するようにして、つま先で身体を押し出すように重心を移動させます。プールの底をすべるようなイメージで前に進み、身体を上下動させるのではなく、水平に進むような姿勢で行いましょう。

 

   
アクアビクスの方法
   ここでは水中で行うエアロビクスを「アクアビクス」と総称しますが、これも基本的に陸上で行うエアロビクスとは違う運動になります。陸上でのエクササイズを水中で同じように行おうとしても動きづらいだけで、高い運動効果は得られません。水の抵抗や浮力を上手に利用して、水中に適した運動を行いましょう。プールによってはアクアビクスなどの教室を行っているところもあるので、自己流で始めるよりも、まずは教室で正しい方法を学ぶのも良いでしょう。

アクアビクスの姿勢
 

プールの深さにもよりますが、水面が胸のあたりまである深さがベストです。手のひらと手首は自然に伸ばした状態で、腕全体で水の抵抗を受け止めるように動かします。腕の動きや角度で水の抵抗を調整し、指を広げないよう、強くゆっくりとした動作で水を大きくかくように動かします。

   
プールに入るときの注意
 
プールに入る前に
 

陸上でのエクササイズと同じく、水中での運動もウォーミングアップが大切です。水中での事故を防止するためにも、まずは陸上でストレッチを。空腹時や満腹時にプールに入るのは避け、プールに入る前や休憩中の喫煙も避けてください。公共の場を利用するマナーとして、身体を清潔にして、水泳キャップの着用が義務付けられていないプールでもなるべく着用するようにしましょう。

プールからあがるとき
 

ウォーミングアップと同じく、クールダウンも大切です。泳いだ後や運動を終えたあとはすぐにプールサイドに上がらず、そのまま水中でクールダウンして、脈拍が平常脈に落ち着いてから上がりましょう。

   
 

水中で行うエクササイズは、「重力」の面でも陸上での運動と大きく異なります。肥満気味の方など、陸上では膝などに負担がかかりすぎてしまう人でも水中では浮力で体重が軽くなるため、少ない負担で運動が行えます。腰のあたりまで浸かることのできる深さがあれば、水面から出た上体の重さだけを支えるだけで動けるので、腰や膝を痛めている人でも比較的安全に運動できるという利点もあります。「運動するぞ!」と気負って出かけるのではなく、水に涼を求めるくらいの軽い気持ちで出かけるだけでまずはOKです。暑いひこそ、プールで身体を動かしてみませんか?

 

 

食事で脳梗塞を防ごう!!~若い頃からの食事が大切~(2008年8月)

 

食事で脳梗塞を防ごう!!

~若い頃からの食事が大切~

社団法人 茨城県栄養士会

管理栄養士 石津 和男

脳梗塞を防ぐ食事は、脳梗塞を引き起こす因子となる、高血圧、脂質異常症、糖尿病、肥満等を予防する食事と共通しています。その基本となるのがいわゆる日本型の食事をすることです。青魚や適量の肉、大豆・大豆製品、ビタミン類や食物繊維が豊富な野菜や芋類、きのこ、海藻類を積極的に食べること、そして低塩の食事を心がけることです。

    ◆脳梗塞予防にはこんな食事 

(1)
青魚を積極的に食べる
 
魚は良質なたんぱく質供給源であり、青魚に多く含まれている不飽和脂肪酸には、血液中のコレステロールや中性脂肪を減らす働きがあります。青魚は脂肪が多いからエネルギーが高い、と避けてしまいがちですが、脳梗塞の予防には積極的にとりたい素材です。

(イワシ、サンマ、アジ、サバなど)

(2)
適量の肉を食べる
 
動物性脂肪を含む肉は血管壁などを構成する重要な成分である良質なたんぱく質供給源なので、毎日摂取する必要があります。だだし、部位によっては脂肪を多く含むので、脂肪の少ない部位を選ぶこと、適量を守り食べ過ぎないようにしましょう。個人差はありますが、1日100g以内におさえ、もの足りないと思う人は、低エネルギーの野菜やきのこなどと合わせて調理しましょう。野菜に含まれる抗酸化物質や食物繊維もいっしょにとれるので栄養的にも優れたコンビといえます。
(3)
大豆・大豆製品を毎日食べる
 
大豆は良質のたんぱく源で、抗酸化ビタミンであるビタミンEを多く含み、食物繊維も豊富な食品なので毎日欠かさずとりましょう。特におから、凍り豆腐、納豆は食物繊維の多い食品です。また、納豆のねばねばに含まれる酵素には血栓を溶解する作用があるといわれています。(豆腐、おから、納豆、凍り豆腐など)
(4)
野菜を毎食100g以上食べる
 
野菜はビタミン類やミネラル、食物繊維を豊富に含んでいます。緑黄色野菜には動脈硬化の原因となる活性酸素の働きをおさえる抗酸化ビタミン(βカロテン、ビタミンC,ビタミンE)が多く、淡色野菜にはビタミンCが豊富です。野菜は毎日しっかり食べたい食材です。1食100g以上、1日350g以上食べることを心がけましょう。
(5)
を一日1品食べる
 
芋には食物繊維とビタミンCが豊富です。芋のビタミンCは加熱してもこわれにくいのが利点です。また、さつま芋の皮の赤は抗酸化物質アントシアニンの色素です。皮つきのまま調理しましょう。(さつま芋、里芋など)
(6)
きのこ、海藻類、こんにゃくなどを食べる
 
きのこ、海藻類、こんにゃくなどには食物繊維が豊富に含まれています。食物繊維にはコレステロールが腸から吸収されるのを抑制し、体外に排出して血中コレステロールを減らす働きがあります。また、低エネルギーなのでたっぷり食べられます。ただし調理に油は使いすぎないこと。

 

  

◆脳梗塞予防にはこんな運動(目安)
(1)
種類
有酸素運動(ウォーキング、ジョギング、水中歩行などが適しています)
(2)
目安
ウォーキングの場合、1回15~30分を1日2回が目安です。

1日1万歩を目標にしましょう。

(3)
頻度
出来れば毎日続けることが大切。ただし無理は禁物です。
 

 

これらは若い頃からの運動、毎日の食事で実践することが肝要になります。しっかり食べて、がっちり健康!!

 

 

 

 

お肌の露出が増える季節、むだ毛対策は安全に!(2008年7月)

 

     
 
7月のテーマ:
お肌の露出が増える季節、むだ毛対策は安全に!
 梅雨明けも間近、Tシャツ1枚でも暑いくらいの季節になりました。お肌の露出が多くなると、気になるのが腕や脚、ワキなどの「むだ毛」です。特に女性にとっては気になるものですが、最近では男性でも「オシャレ」や「身だしなみ」のひとつとして、体毛の濃さを気にする人も増えているようです。剃る、抜くなど様々な処理方法がありますが、場合によっては深刻な肌トラブルを引き起こすことも…。今回は、安全で正しい処理方法とむだ毛のメカニズムについてお話しします。
 
     

 

むだ毛は本当に「無駄」な毛?
 
  まずは「むだ毛」の役割について。辞書で「むだ毛」をひくと、

むだげ 【無駄毛/徒毛】 美容や化粧のじゃまになる、顔・えり足・足などの毛。/「大辞林 第二版」より

と書いてあります。人間の体毛は全身で150万本前後も生えていると言われますが、その全てに役割があり、本来「無駄」な毛はありません。それぞれ肌や身体を保護する大切な役割を持ち、例えばワキげは摩擦で皮膚がこすれるのを防いでいますし、顔や腕、脚を覆う産毛や体毛は紫外線を吸収したり皮脂を分泌したりして、私たちの肌を守ってくれているのです。

とは言え、むだ毛はやはりオシャレの大敵。自己処理を行う場合は、衛生面やその方法に注意して、安全な処理を行いましょう。

   
むだ毛が生えるメカニズム
   毛には生えてから抜け落ちるまでの毛周期(ヘアサイクル)があり、成長期・退行期・休止期のサイクルを一定の期間で繰り返しています。

成長初期
 

毛乳頭で細胞分裂が行われ、活発に毛が伸びます。成長期の期間は体の部位によって違い、毛が伸びる長さにも差があります。

退行期
 

毛乳頭の細胞分裂が止まり、毛の成長も止まります。この期間になると毛が毛乳頭から離れて自然に抜け落ち、毛が抜けた後の毛穴も収縮します。

休止期
 

毛乳頭が活動を休止している期間です。この期間は毛が生まれたり成長したりすることはありません。

ヘアサイクルには個人差がありますが、大体1ヶ月半から2ヶ月のサイクルになります。また、ヘアサイクルは身体の部位によっても違い、同じ部位の毛でも成長期にある毛や休止期にある毛が混在しています。皮膚の表面に出ている毛は全体の1/3~1/4で、残りは休止期の毛か、これから成長期に入る毛として皮膚の中に眠っています。現在生えている毛を処理しても、皮膚の中には次の毛が待機しているため、処理してもすぐに生えてくるように感じるのです。ちなみに、このサイクルを考えると、約150万本も生えている体毛のうち100本近くの毛が毎日抜け落ちていることになります。

   
毛の量や濃さには個人差がある?
   体毛の濃さには男性ホルモンの分泌量が影響すると言われています。一般的に男性の体毛の方が濃く太いことが多いのはそのためで、ホルモンの分泌量には個人差があるため、体毛の量や濃さにも個人差が出てきます。ホルモンの分泌量が多いと、刺激を受けた毛穴が成長して、毛も濃く太くなります。逆に、男性ホルモンが少ないと毛穴が退化し、毛も薄く細くなっていきます。ホルモンの分泌量は遺伝によるものも大きく、その他ストレスや生活習慣によっても変化します。ちなみに、生まれたときは男性も女性も毛穴の数は同じで、14歳くらいになるまでの間に毛の量や濃さがだいたい決まると言われています。
   
 
自己処理の方法と注意点
 むだ毛の処理には様々な方法がありますが、代表的なものを以下に挙げます。どの方法も、どうしてもお肌にダメージを与えてしまうため、肌の弱い人は特に注意が必要です。
カミソリで剃る(剃毛)  
 

カミソリなどで肌から伸びている毛を断ち切る方法で、どの部位にも適します。ただし、表面に出ている毛を切るだけなのですぐに伸び、伸びてきた毛の断面が目立つのでこまめな処理が必要になります。また、剃る際に皮膚の一部を切り取ることにもなるので、肌を痛めてカミソリ負けを起こしてしまう可能性があります。

※石鹸やシェービングジェルを塗って肌を保護しながら剃り、処理後はしっかりと石鹸やジェルを洗い流し、保湿ケアをしましょう。また、カミソリなどの器具は必ず清潔なものを使いましょう。

除毛クリームなどで毛を溶かす(除毛)
 

化学作用によって表面の毛を溶かす方法で、痛みをともなわない手軽な脱毛方法として知られています。一般的な除毛剤は、「チオグリコール酸カルシウム」という成分の働きで、むだ毛を構成するたんぱく質を分解し根こそぎ除毛します。毛穴の中に隠れているむだ毛も一部溶かすのでカミソリで剃るより少しだけ長持ちしますが、皮膚に対しても刺激が強く、使用方法に書いている時間以上放置したり、使用後の洗い残しがあると肌荒れをおこす可能性があります。

※薬剤を使用するため、体質や体調によってはかぶれたり炎症を起こすこともあります。使用前に少量を指定時間塗ってパッチテストを行い、かぶれや赤みが発生した場合は使用しないこと!また、目元や口元への使用は危険なのでやめましょう。

毛抜きやテープで毛を抜く(脱毛)
 

毛根を含めて毛を引き抜くので、うまく抜くことができれば再生までに3~4週間は次の毛が生えず、処理後の肌も比較的きれいに仕上がります。毛抜きの場合は1本ずつ抜くので根気がいる作業になり、部位によっては痛みを伴ないます。また、途中で切れた毛は皮膚内に残って黒ずみになり、カミソリよりも毛穴の化膿を引き起こす原因にもなります。

※皮膚と器具を清潔にし、脱毛する部位を蒸しタオルで温めて柔らかくし、毛穴を広げておきましょう。処理後に赤みのある場合は、冷たいタオルなどで冷やします。

毛を脱色し、目立たなくする(脱色)
 

表面に出ているむだ毛を、薬品で色を抜いて目立たなくする方法です。毛がなくなるわけではありませんが、痛みもなく、腕や脚、背中など広範囲のむだ毛を目立たなくするには適しています。

※除毛と同じく、薬品を使うので肌への刺激は強くなります。使用方法を守り、顔や目・口の周りには使用しないこと。パッチテストを行い、傷がある場合なども使用は避けましょう。

   
 

いずれの場合も、肌や皮膚を清潔に保って処理することが大切です。また、処理後は皮膚が弱っているので刺激を与えないよう注意も必要です。海水や強い日差しなどは刺激が強いため、水着を着るためにむだ毛を処理するなら数日前に済ませておくことが大切です。日焼け止めなども、処理直後には使用しないこと! 正しく安全なお手入れでむだ毛と上手に付き合い、夏のオシャレを楽しみましょう。

 

 

<1歳~2歳児の食事>(2008年7月)

 

<1歳~2歳児の食事>

 
 
 
 
 1歳半で与えてはいけない食品はほとんどありません。栄養素のバランスを考えて食べさせるためには、量をふやすより、品数をふやすことがコツです。

小さい頃から、多くの食品の味を覚えさせておくと、食事への興味が深まり、偏食の少ない食習慣がつくと考えられています。

 
     
 
1回の食事量の目安
 
   
  ◇ごはん
    子ども茶わん1杯前後、パンなら8枚切り食パン1枚。
   
  ◇肉・魚・卵
    これらのどれかを中心にしたおかずを毎回一皿。
   
  ◇野菜
    色の濃い野菜(ほうれん草や人参など)と色の薄い野菜(きゅうりやキャベツなど)を合わせて一皿。
   
  ◇果物
    1日1個。朝・昼・夕飯またはおやつのどこかで食べます。
   
  ◇油脂類
    バター・マーガリン・サラダ油・マヨネーズのどれかを1日のうちどこかで食べます。
   
  ◇おやつ
    牛乳やヨーグルト・イモ類など。
   
   
●料理のポイント
   
   子どもは色や型、舌ざわり、におい、味などの変化にとても興味をもちます。

同じ食品でも、目先を変えた料理にすると喜びますし印象にも残ります。

また、1歳半くらいでもおいしいものはよくわかります。まず、お料理づくりを楽しむことからスタートしましょう。そして、次のポイントをとり入れてみてください。

   
  ◇しゅんの材料を使う
    その季節の出盛りのものは、おいしく、安く、栄養価も高い。
     
  ◇糖分・塩分は控えめに
    小さいうちから生活習慣病予防。薄味でもおいしく食べます。
     
  ◇にがてな食品の工夫
    好きな料理と一緒に添え、少量でもよいから食べさせます。
     
  ◇好きな料理ばかり続けない
    栄養素の配分が偏る心配もあるし、飽きもきます。
     
  ◇まぜご飯も好評ですよ!
    肉・魚・野菜など同時に食べられ、嫌いなものも気がつきません。
     
  ◇カルシウム料理も忘れずに
    牛乳や小魚を使った料理は、子どもも大人も欠かせません。
     
  ◇舌ざわりのよい料理を
    シチュー・グラタン・ロールキャベツ・あんかけ料理は食べやすいです。
     
  ◇切り方やまとめ方は大人の半分くらいに
    子どもは口も胃も小さいのです!
     
  ◇肉は食べやすく調理
    ひと口大に切ったり、ひき肉料理にして大人もつきあいましょう。同じおかずで子どもも満足。
     
  ◇1杯の分量は少なめに
    おかわりをさせるつもりで少なく盛り付け。この方が食欲も増します。
     
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
<3歳~4歳児の食事>

 
 
 
 
 からだは小さくても、栄養素のバランスのとれたものを、たっぷりとらなければならない3歳児。といっても、胃の大きさには限界があります。子どもがほうっておいても食べそうな菓子類の取りすぎに気をつけ、魚・肉・牛乳・卵・大豆製品などは、心がけて食べさせるようにします
   
 
1回の食事量の目安
 
   
  ◇ごはん
    子ども茶わん1杯。パンなら8枚切り食パン1枚。
   
  ◇肉・魚・卵
    朝・昼・夕食でこれらの食品を中心とした料理を一皿ずつ。
   
  ◇野菜
    色の濃い野菜は煮炊きして、色の薄い野菜は炒めたりサラダで、どちらか一皿。
   
  ◇果物
    りんごやみかんなどを1日1個。
   
  ◇油脂類
    1日1回どこかで食べる。
   
  ◇豆類
    みそ汁なら1杯、煮豆なら大さじ1杯、豆腐なら1/5丁。
   
  ◇おやつ
    牛乳やヨーグルト・イモ類など。
   
   
●料理のポイント
   
   3歳になると、自我が目覚め、食べ物の好き嫌いがはっきりしてきます。

少し歯ごたえのわるいもの、匂いのつよいもの、食べるのが面倒なものを嫌がります。子どもの好きなものばかり与えていると、嫌いなものはますます食べなくなります。苦手なものも調理を工夫して乗り越えさせたいもの。また、味は薄味を守りましょう。

   
  ◇肉・魚・卵料理を交互に出しましょう。
     
  ◇野菜はまぜご飯やピラフ、みそ汁に入れるとよく食べます。
     
  ◇卵料理や焼き魚などは塩なしでOK。みそ汁は、大人がうすいと感じる位に。
     
  ◇魚は、バター焼きにしたり、あんでからめると、くさみが気になりません。
     
  ◇めん類は、肉・野菜を必ずつけあわせに。
     
  ◇ハム・ソーセージ・かまぼこ・ラーメンなど塩分の多い加工食品は控えめに。
     
  ◇牛乳・チーズ・ヨーグルトなどカルシウム分を料理でもとりましょう。
     
  ◇肉はひと口大に切ったり、よくたたいてやわらかく。
     
  ◇納豆・豆腐・油揚げなど大豆製品は、1日1回食卓へ。
     
  ◇わかめ・のりなど海藻類もみそ汁やあたたかいご飯と一緒に心がけて食べさせましょう。
   
 
茨城県栄養士会 栄養士 染谷悦子
   

 

 

ジメジメ季節は裸足で過ごそう!(2008年6月)

 

     
 
6月のテーマ:
ジメジメ季節は裸足で過ごそう!
 天気がすっきりせず、湿気の多い梅雨の時期。外出するのも億劫になってしまい、運動不足になりがちな季節です。こんなときこそ「裸足」で過ごしてはいかがでしょうか?足が蒸れないのはもちろん、健康効果も期待できる「裸足生活」。今回は、その効用やアドバイスについてお話します。
 
     

 

足裏は「第2の心臓」
 
  青竹踏みや健康サンダル、足裏マッサージなど、足裏を刺激すると身体の諸器官を活性化させる効果があるのはご存知のとおり。しかし、生活環境の変化とともに足裏への刺激は意識的に行わなくては与えられなくなっています。原因は裸足で過ごす時間が減ったことで、現代と昭和初期の日本人の足裏を比較すると、筋肉の発達にずいぶんと差が出ているそうです。脳をはじめ、身体中の器官に刺激を与えるツボが集まっている「足裏」。裸足で生活することで、常に足裏を刺激して各器官を活性化させ続けることができるのです。
   
裸足生活のススメ
   裸足で生活することは、足裏へ適度な刺激を与え続ける以外にも利点があります。履物による圧迫から開放されることで心が元気になり、皮膚呼吸も活発になって足の発達、ひいては怪我や疲れに強い身体づくりへとつながっていきます。また、普段陽を浴びない足裏の日光浴をすると血液の流れがよくなり、疲れやだるさがとれるという体験談も多く聞きます。子供たちに裸足で過ごすことを奨励している小学校や保育園などが増えているのも、これらの健康と心理効果を期待してのことでしょう。もちろん、ガラスの破片や小石など怪我をする恐れのある場所では注意が必要ですし、熱いアスファルトやコンクリの上、寒い冬場に無理をして裸足で過ごすことはありません。普段の生活の中で、裸足で過ごす機会を増やすのが「裸足生活」の第一歩。公園などに出かけた際には、履物を脱いで裸足で歩くのも気持ちがいいですよ。
   
土踏まずをチェックしてみよう
   ここで、みなさんやお子様の足の裏をちょっと見てみてください。内側の中央部、いわゆる「土踏まず」はしっかり形成されていますか?2足歩行をするヒトは、4本の足で歩く動物に比べて上半身(特に頭)が重く、非常にアンバランスです。そのバランスをとるのに重要な役割を果たしているのがこの土踏まずなのです。立って歩く前の赤ちゃんの足がぺたんとしたいわゆる扁平足なのは、足裏が未発達なしるし。立って歩くようになるにつれ、徐々に骨がアーチ型になって土踏まずが形成されていくのです。

しかし、最近では大きくなっても扁平足のままの子供が増えています。土踏まずが未発達なためにバランスがとりづらく、転んで怪我をしたり足の骨を折る子供も以前より増加しています。高校生の多くが腰痛をかかえているのも、足裏の発達に関係があると見られています。土踏まずはバランスをとるだけでなく、足の裏への刺激をうまく吸収して疲れにくい歩き方ができたり、高い場所から飛び降りたときなどの衝撃を和らげる役目も果たしているのです。土踏まずをしっかり形成するためにも、裸足で過ごして足裏を鍛えることが大切です。

   
裸足で行うエクササイズ
   心臓から一番遠い場所にある足は、全身の血液循環をよくするポンプの役目も果たしています。足裏への刺激が少ないと下半身の血行が悪くなって老廃物がたまり、むくみや冷え、腰痛や生理痛、便秘などの原因となることも。意識的に足裏を刺激し、足と全身に「刺激」を与えましょう。

まずは1日数時間、裸足で過ごす習慣を
 

 室内はもちろん、土の上や芝生の上などを裸足で歩いてみましょう。また、砂利道やでこぼこの多い道を歩くのもお勧めです。

足指じゃんけん
 

 お子様や家族と一緒に、足の指を使ってじゃんけんをしてみましょう。普段あまり使わない足指のエクササイズになります。

タオルで綱引き
 

 足の指でタオルをつかみ、綱引きのようにひっぱりっこをします。じゃんけんと同じく、足指のエクササイズになります。

足指で物をつかむ・拾う
 

 足の指で物を拾い上げるのもちょうど良い運動になります。ちょっとお行儀は悪いですが、消しゴムやリモコンなど、つかみやすい形と重さのもので試してみましょう。読書やテレビを観ながらできるのでお勧めです。

   
 

蒸し暑くなるこれからの季節、裸足で過ごすのは気持ちがいいものです。また、外出時はソールのやわらかい靴やサンダルを選んで、裸足に近い環境で歩くだけでも効果が望めます。ウォーキングシューズには、裸足に近い感触で歩けるものも販売されているので、こちらも活用を。裸足生活を、代謝のいい身体作りに役立ててくださいね。

 

 

長寿と食を思う (高齢者施設の食事に関って)(2008年6月)

 

長寿と食を思う

(高齢者施設の食事に関って)

社団法人 茨城県栄養士会

宮田 恵美子

 日本人の平均寿命が80歳を超えて暫し、100歳以上の方も珍しくないという昨今ですが、だれしも健康で長生きしたいと思っておられるのではないでしょうか。

 

 
 私は特別養護老人ホームで働いていますが、毎日の3度の食事が楽しみになっているご利用者にとって、それは単に命を永らえるためだけのものではないと、その重さを感じさせられます。

 

 
 
 ご利用者の方と接する時、しばしば昔食べたものの話をお聞きすることがあります。
 先日、みんなで草もちを作りましょうということになり、利用者様と蓬を摘みに出かけました。施設の周りの草むらに程よく蓬が生えていて、たくさん摘むことができたのですが、そのときに「子供のころにお腹が空くと、道端に生えているすかんぽを食べたものだよ。」とすかんぽを手にとり、懐かしそうに噛んでいました。たらの芽の天ぷら、せりのお浸し、わらびやぜんまいも山に採りに行って煮て食べたこと。
豪華な食材では無いけれど、心が豊かになるような食べ物を若い者達がこのような思いで味わえるでしょうか。

 

 
 
 10数年前のまだ介護食が出回っていない頃のことですが、食欲も無く、飲み込みも悪くなっている80代の利用者様に、郷土料理をお聞きして勧めてみようと思い、ベットサイドに伺いました。
その方は仙台の近くで生まれ、水戸に嫁がれたとのことでした。お正月はどんなものを食べましたか、ずんだもちが有名ですよね、食べてみたいですかとお聞きしてみたら、コクリとうなずかれました。2~3日して、枝豆をすりつぶし、ずんだを作って、お持ちしました。普段の食事の時になかなか口を開けてくださらないこの方が、懐かしいものを持って来ましたよ、と言って唇にそっと着けてみたら、すこしだけ口を開けてくださいました。何口か召し上がっていただけた時には、介護スタッフに歓声があがりました。

食事は無理だから、経官栄養にしたほうが良いのではといわれた方が少しずつ食べられる ようになった、、、、、

 

 このような経験を通じて、高齢者の食事は単に生命維持のためだけでは無いこと。

食の一つひとつが心の潤い、楽しみ、QOLにつながることを肝に銘じて、これからも食事の提供をして行きたいと思います。

 

 

 

 

乗り物酔いを撃退して、 快適な行楽シーズンを(2008年5月)

 

     
 
5月のテーマ:
乗り物酔いを撃退して、

快適な行楽シーズンを

 不安定な気候が続きましたが、木々の芽もまぶしい新緑の季節になりました。大型連休・ゴールデンウィークには各地へお出かけの計画を立てている方も多いかと思います。せっかくの旅行の楽しみも、乗り物に酔ってしまうと半減してしまいます。今回は、乗り物酔いのメカニズムと予防策についてお話します。
 
     

 

乗り物に「酔う」原因とは
 
  揺れの激しい乗り物に乗っても平気な人もいれば、バスに乗っただけで気分の悪くなってしまう人もいるほど個人差の激しい乗り物酔い。その大きな原因は「身体のバランス」にあると言われています。身体のバランス、つまり平衡感覚を保つために重要なのが耳の奥(内耳)にある三半規管という器官で、ここから身体の位置の変化や運動による重力の変化が脳に送られます。この情報と目などから入った情報を統合して、脳は身体のバランスを保とうとしますが、乗り物の揺れや急発進などの動き・加速が加わると感覚に誤差が生じ、吐き気などを引き起こしてしまいます。
   
子供に多い乗り物酔い
   一般的に、成長期の子供(3歳~思春期)には乗り物酔いが発生しやすいと言われています。その原因ははっきりしていませんが、乗り物に慣れていないこと、大人より感覚が敏感で頭が不安定なこと、そして心理的な要因が大きいのではないかと言われています。心理的な要因とは、いわゆる「思い込み」や「苦手意識」などの自己暗示であることが多く、例えば一度バスに酔ってしまったせいで「自分は乗り物に酔いやすい」、あるいは周りが「この子は乗り物に弱い」と意識してしまい、その不安が悪影響になってしまうというものです。この場合は、酔い止めの薬を飲む、揺れの少ない中央部に座る、など「こうすれば大丈夫」という攻略法で(実際の効果に関らず)暗示をかけてみるのもひとつの手です。
   
乗り物酔いを防ぐには
   先にお話ししたように個人差の大きい乗り物酔いですが、同じ人・同じ環境でも、体調によってさらに差が出ます。そして、大人の場合も子供と同じく「心理的要因」が意外と大きく関係するものです。以下に挙げる対処法を参考に、自分なりの攻略法を見つけてください。

睡眠・朝食をしっかりとる
 

 旅行の前日やお出かけ前の朝は、準備などで何かと時間がなくなりがちですが、睡眠不足や空腹は体調不良のもと。体調管理が万全なら、乗り物酔いへの抵抗力も高まると意識しましょう。ちなみに、満腹状態もよくないので出発直前の食事は控えましょう。

車内の「匂い」に気をつける
 

 匂いは感覚を刺激し、酔いの原因のひとつとなります。自家用車で出かける場合は、香りのつよい芳香剤は避け、事前に掃除をしてタバコやカビの匂いを抑えておきましょう。ガソリンの匂いも刺激となるので、給油はあらかじめ済ませておくといいでしょう。

スムーズな運転で揺れを軽減させる
 

 こちらも自家用車で出かける場合、急発進や急ブレーキなど、急激な力の加わる運転に気をつけて。安全運転は心の余裕にもつながり、リラックスすることで酔いの発生も軽減します。また、可能であれば自分が運転すると動きが予測できるので酔いにくくなります。

こまめに休憩をとる
 

 長時間の乗車になる場合は、意識的に乗り物から降りる機会を増やすこと。外の空気を吸い、遠くの景色を眺めたりストレッチをしてリフレッシュしましょう。また、安全かつ安定した楽な姿勢がとれるのであれば、移動中は眠ってしまうのもアリです。

車内の環境を快適に
 

 蒸し暑い車内や空気のよどんだ空間は、誰でも気分が悪くなるもの。換気に気をつけ、爽やかな環境をつくりましょう。雑誌をみたり、ゲームをしたり、テレビやDVDを観賞するのも酔いの原因のひとつ。近くのものを凝視すると酔いやすく、カーブやブレーキなどの動きも予測できなくなります。目からの刺激は極力抑え、目を閉じたり色の濃いサングラスをかけるのも効果があると言われています。

酔い止めのツボを刺激する
 

 手のひらを上に向け、手首の中心から約3cmひじ側にある内関(ナイカン)というツボを刺激すると、自律神経の働きを整える効果があります。ここを指で押したり、カーショップなどで購入できる「酔い止めバンド」を利用する方法もあります。

窮屈な服装、体勢をしない
 

 なるべくゆったりとした服装で出かけ、車内では頭をヘッドレストにもたれさせた楽な姿勢を。ベルトや靴、帽子などはなるべく脱ぐかゆるめに着用しましょう。

   
 

これらの方法は、効果にも個人差があるので確実ではありませんが、少しでも快適に楽しむためには気をつけて欲しいポイントです。それでも酔ってしまった場合は、乗り物を降りて炭酸飲料などのさっぱりとした飲み物を飲んでリフレッシュ!ちなみに、人間だけでなくペットも乗り物酔いをします。一緒に連れて行く場合はペットにも気を配ってあげましょう。体調良好で、楽しいお出かけを楽しんでくださいね。