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健康まめ知識

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感染症にかかったときの食事(2008年2月)

 

感染症にかかったときの食事

 
 
 

 毎年12月から3月頃の冬に多く発生する病気と言えば、インフルエンザウィルスやノロウィルスによる「感染症」。 特に、ノロウィルスなどによる「感染性胃腸炎」は嘔吐や下痢のために、体内の水分や塩分が大量に失われると脱水状態になり体力の弱い乳幼児、高齢者の方は症状が重症化しやすいので注意が必要です。

感染症にかからないためには、うがいや手洗いなどの感染予防を行うと供に、毎日の食事で十分な栄養を摂り、ウィルスに負けない丈夫な身体作りを心がけることが大切です。

しかしながら、もし感染症にかかってしまったら、次のことに気をつけて食事をとるようにすると良いでしょう。

 
     
 
○食欲がある時  
 

普通に食事をとって構いませんが、もしお腹の調子が悪い時は…

・消化が良い食べ物(食物繊維や高脂肪食品など消化・吸収されにくい食物や刺激物は避ける)や調理方法(軟らかく茹でる、蒸すなど)を選ぶようにしましょう                  

・1回の食事量を減らし、食事回数を増やすとお腹に負担をかけません

・ゆっくりとよく噛んで食べましょう

 
     

○下痢をしている時

 
 

便の状態を見て、便の状態と同じような形状のものをとるようにしましょう

「軟便」:うどんや茶碗蒸し野菜の煮物などの軟らかい食べ物

「ドロドロ便」:裏ごしなどのドロドロの食べ物

「水のような水様便」:スープや果汁、イオン飲料などの水分

 
     

○吐き気・嘔吐がひどく食事が摂れない時

 
 

下痢・嘔吐などにより身体から大量に損失した水分や塩分を補うことが大切ですが、水など浸透圧の低い水分ばかり摂取しているとかえって体調が悪くなることがあります。そのような時は塩分・糖分が適切な割合で配合された吸収の良い経口補水液(Oral Rehydration Solution)を少量ずつ回数多く摂取して脱水を予防すると良いでしょう。

 
   ★家庭で作る経口補水液★

湯冷まし1リットルに砂糖40gと食塩3gを加えてよく溶かします。

レモンやグレープフルーツ果汁を少量加えると飲みやすくなります。

(夏期の熱中症にも軽度であれば効果があります)

 
     
○回復したら、なるべく早く普段の食事に戻しましょう!  
 

 

 

健康な1年の始まりは、 毎日の食事をよく「噛む」ことから(2008年1月)

 

     
 
1月のテーマ:
健康な1年の始まりは、

毎日の食事をよく「噛む」ことから

 新年明けましておめでとうございます。毎年のことではありますが、新しい1年の始まりという大きな節目を迎え、みなさん気持ちを新たにしていることと思います。今回は健康にこの1年を過ごすために、食事の大切さ、「噛む」ことの大切さについてお話しします。
 
     

 

 
咀嚼(そしゃく)のはたらき
 
  咀嚼とは、食べ物をよく噛みくだき、味わうことです。食べ物を口の中で何度も噛んで細かくすることで栄養として消化吸収されやすくなるため、咀嚼はからだにとって大切な役割をもっています。また、咀嚼回数が多くなると唾液がたくさん出ますが、この唾液にも消化吸収や殺菌力を高める作用があります。他にも、咀嚼の刺激が脳を経て胃に伝わることで、咀嚼運動に見合った胃液が分泌されて効率的に消化が行われるなど、栄養を摂取するための「食事」という行為において咀嚼は大変重要です。

しかし、現代人は昔に比べて食べ物を噛む回数が減っていると言われています。その要因の第一には、軟らかい食べ物が多くなったことが挙げられます。一説によると、日本人の咀嚼回数は弥生時代の1/6、昭和10年代と比べてもなんと約半分の回数に減っているとも。子供の頃からよく噛む習慣がないために顎の成長が遅れ、歯並びが悪くなったり、噛む筋肉自体が弱くなっている現代人が増えているのです。

 
咀嚼はなぜ大切か
 

 食べ物の変化に加え、忙しい現代社会ではゆっくり食事をする時間がないという問題もあるようです。しかし、先にお話しした通り「よく噛んで食べる」ことは健康づくりの第一歩。咀嚼の役割を知ることで、その大切さを見直してみましょう。

   
 
食べ物の消化を助ける
 

よく噛むことで食べ物が細かくなり、唾液と混ざって適度に水分が増すため飲み込みやすくなります。また、唾液にはアミラーゼという消化酵素も含まれているため、消化吸収をよくしてくれます。

虫歯や歯周病を予防する
 

咀嚼することで分泌される唾液には、消化酵素の他にも口内の浄化作用があります。さらに口内環境を中性に保とうとする作用があり、虫歯や歯周病の原因となる酸を薄めてくれます。また、唾液に含まれるパロチンというホルモンが、カルシウムと結合して強い歯を作ってくれます。

歯並びを整える
 

よく噛むことで顎の骨や顔の筋肉が発達し、顎が強くなります。顎の発達が遅れていると、歯の大きさとの本来のバランスがくずれてしまい、正しい位置に歯が生えずに歯並びが悪くなってしまいます。

食べすぎ・肥満を防止する
 

よく噛んで食べると、唾液が多量に分泌されるために血糖値が上がり、脳の満腹中枢に働いて満腹感を与えてくれます。よく噛むことで自然と食事のペースもゆっくりになり、食べすぎを予防します。

脳に刺激を与える
 

咀嚼運動が脳に連続的な刺激を与えることで、脳が活発に機能します。眠気を覚ますのにガムを噛むのもその一例で、噛むという行為によって記憶力や集中力が高まります。また、こどもの脳の発育を促したり、老人の痴呆予防にも役立つと言われています。

新陳代謝を高める
 

咀嚼によって、EGF(表皮成長因子)と呼ばれるホルモンも分泌されます。これは細胞分裂を促進するホルモンで、新陳代謝が活発になり若々しい身体を保ってくれます。

   
 

 生きていくためには「食べる」という行為は必要不可欠なものですが、食事とは味覚だけでなく、視覚や嗅覚、触覚など五感で味わうものです。よく噛むことでゆっくりと食事を楽しむことができれば、それは心の余裕や充足感にもつながります。身体のためにも、豊かな生活のためにも、

よく噛んで食べるということはとても大切なのです。普段よく噛まずに飲み込んでしまうという人は、まずは「噛む」ことを意識して、ゆっくりおいしく食事をするよう心がけましょう。

   

 

 

冬場の手荒れ、ひび割れ、なんとかしたい!(2008年1月)

 

     
 
2月のテーマ:
冬場の手荒れ、ひび割れ、なんとかしたい!
 年間で最も寒い2月。空気が乾燥し、ハンドクリームやリップクリームが欠かせない季節です。特に、お料理や食器洗いなど毎日水仕事をする主婦にとって、冬場は手荒れが気になるもの。ひび割れて痛い思いをしたり、かゆくて辛い思いをしたり…。今回はそんな冬場の指先のケアについてお話しします。
 
     

 

手荒れの原因は?
   手荒れ・肌荒れは、肌の表面にある角質をとりまく皮脂が減少することで起こります。皮脂は肌をしっとりなめらかに保つだけなく、皮脂は外部からの刺激物やばい菌などを防ぐ役目も持っています。そのため、皮脂が減ると肌が荒れ、外部からの刺激にも敏感になってかゆみを感じるようになります。
   
 
なぜ冬場は手が荒れやすいのか
 

冬場は気温と湿度が低下するため乾燥によって肌の水分が奪われる上、冷たい空気などの刺激によって角質が破壊されたり、新しい細胞が生まれるターンオーバーのサイクルが乱れやすくなっています。また、水仕事の際にお湯を使いがちなのも手荒れの一因になります。

お湯を使うと手が荒れる理由
 

手荒れの原因は皮膚の表面をカバーしている皮脂が減るためとお話ししましたが、熱いお湯は皮脂も一緒に洗い流してしまうので、手が荒れやすくなるのです。また、台所洗剤は油汚れを落とす性質を持つため、手の皮脂や、肌の持つ天然保湿因子までも取り除いてしまいます。つまり、お湯と洗剤両方を使っての食器洗いは、手荒れの一番の原因と言っても過言ではないのです。

 
手荒れを防ぐためには
 

 手荒れを防ぐには、なんと言っても保湿が一番。水を使った後には必ずクリームやローションなどを塗って保湿に気をつけましょう。また、一度にたくさん塗るよりも、回数をこまめに、よくすり込むようしっかり塗るようにしましょう。

※ひび割れて血が出ていたり、状態がひどいときはハンドクリームが症状を悪化させる場合もあるので専門医に相談してください。

   
お湯を使うと手が荒れる理由
 
 
手を保護する
 

ゴム手袋をして水や洗剤に直接触れないのが一番です。それが無理な場合はあらかじめ保護クリームを塗りましょう。水に強いタイプのクリームでも結構ですが、保湿用のハンドクリームとは違い肌の表面に膜を張って保護する機能を持つものなども市販されています。

お湯と洗剤は控えめに
 

熱いお湯は避け、ぬるま湯か水で洗うようにしましょう。また、洗剤の量も控えめに。あらかじめキッチンペーパーで汚れをふきとるなどして、洗剤と水に触れる時間を少しでも減らすように工夫してください。

最後に必ず保湿を
 

洗い物が終わったらすぐに手を拭き、クリームやローションを塗りましょう。手を濡れたままにしておくと、手についた水滴が蒸発する際に角質層の水分も奪うので更に乾燥してしまいます。

   
 

 乾燥によって手が荒れると、ガサガサするだけでなく赤く炎症を起こしたり、湿疹やかゆみが生じる原因にもなります。ひどいときには皮膚が割れ、強い痛みを伴うことも。そんなことになる前に、指先のこまめな保湿を心がけましょう。ちなみに、水仕事だけでなく、パソコンのキーボードや書類、お札などの紙も、意外と指先の皮脂を奪うもの。日常生活を送る中でも、手を使う作業の前後にはクリームの使用を習慣づけましょう。

   

 

 

食料自給率とフード・マイレージ(2008年1月)

 

食料自給率とフード・マイレージ
茨城県栄養士会
管理栄養士  大津 美紀
 
 
  みなさん、「食料自給率」ってご存知ですか?

食料自給率とは、国民一人一人が食べている食料を国内産でどれくらい賄っているかを示す割合のことです。ニュースや新聞などで使用されている食料自給率は、一般的に、カロリー(熱量)で計算した数字です。

食料自給率は下記のように算出することができます。

2007(H19)年8月10日、農林水産省によると、2006年度の日本の食料自給率は39%に下がったと発表されました。これは、1993(H5)年に冷夏でお米が不作であった年以来の低い水準になってしまいました。では、以前のわが国の食料自給率はいったいどのくらいだったのでしょうか。図に2005(H17)年までの食料自給率の推移を示しました。どうしてこのように低い水準になってしまったのでしょうか。実は、私たちの食生活の変化と関わりがあるのです。

 
 
  図のように、私たちの食生活は主食のお米と野菜などの多様な副食から成り立った食生活というものから、お米などの主食が減り、主菜と脂質が増加するということが起こり、栄養の偏りが生じてしまったのです。またライフスタイルの変化、食品に関する技術の進歩やグルメ化なども影響を与えたものの1つです。これらの栄養の偏りなどの変化は、昨今言われている、メタボリックシンドロームなどの病気の発症だけでなく、食料自給率とも関連があるのです。
 
 
  次に、日本以外の国の自給率はどうなっているでしょうか?

日本は先進国の中で低い水準になっています(図を参照)。他国に比べて低い水準になっているのは、先ほどあげた食生活の変化や農業従業者の減少の影響だけでなく、国土面積や農地面積、人口などが関連しています。 国連の推計によると、今後、途上国の人口が大幅に増加することにより2050年には世界人口が92億人に達すると見込まれております。また、途上国の経済成長による食料消費の拡大が予想されます。さらに、地球温暖化防止対策の1つとして、穀物から燃料用のエタノールを作る取り組みが行われております。そのことにより、私たちの食料や家畜などの飼料になるとうもろこしが減ってしまうのです。

 
 
 現在の状況で、今後、世界の食料は足りるのでしょうか。

わが国は食料自給率が低いことからもわかるように、輸入に依存している現状です。2006(H18)年度の内閣府が行った「食料の供給に関する特別世論調査」でもわが国の将来の食料供給に「不安がある」とする回答が約8割あり、その理由として「国際情勢の変化による輸入の減少」という回答が約6割でした。また、私たちの食料はどのように海外から運ばれているのでしょうか。飛行機や船で食料を運んできます。つまり、食料を運ぶためのエネルギーが必要とされていることがわかります。

このことから、「フード・マイレージ」という考え方があります。これは「相手国別の食料輸入量」に「輸送距離」をかけたもののことです。

 
 
 できるだけ、食料の運搬にかかるエネルギーを抑えることは、環境への影響を軽減することにもつながるのです。

一方、政府は、食料自給率を2015(H27)年度までに45%に引き上げることを目標にしております。目標を達するべくさまざま取り組みを行っております。2005(H17)年に制定された食育基本法の背景にも自給率の低下があり、食育の推進とともに食料自給率をあげる取り組みがされております。地産池消、地域で生産されたものを地域で消費しようとする取り組みもその1つです。また、先ほどあげたフード・マイレージによる環境への影響などを考える時、地産池消を取り組む1つの理由となるのです。

私たちにもすぐにできそうなものとは思いませんか?他に、重要なものとして、日々の「食生活の見直し」ができないでしょうか。食生活の見直しは、みなさんの一人一人の健康や病気の予防だけでなく、食料、さらには、環境にもつながっていくのです。健康的な生活を営むために、望ましい食生活を送り、また、地域でとれた食材を取り入れてみましょう。

食卓の上に並ぶ食材がどこのものか?どこからやってきたのか?考えてみてはいかがでしょうか。

 
参考文献

農林水産省  「我が国の食料自給率 平成17年度食料自給率レポート」

農林水産省HP  http://www.maff.go.jp

図については農林水産省HPより抜粋

内閣府  「食料の供給に関する特別世論調査」

 

 

 

一年の汚れをスッキリと、 耳の中まで大掃除?(2007年12月)

 

     
 
12月のテーマ:
一年の汚れをスッキリと、

耳の中まで大掃除?

 色々あった2007年もいよいよ師走、最後の月を迎えました。今年一年の家族の健康についても整理して、新しい年も元気に過ごすための準備を整えておきましょう。さて、一年の締めくくりに家中の大掃除をするご家庭も多いと思いますが、この機会に体のお掃除・耳掃除についてお話しします。
 
     

 

 
耳垢はなぜたまる?
 
  耳垢は外耳道、つまり耳の穴に溜まる垢(あか)のことです。外耳道皮膚の皮脂腺(耳垢腺と呼ばれる汗腺の一種)からの分泌物に、外耳道表皮の角化脱落細胞(古くなってはがれ落ちた皮膚)や空気中の埃がくっついて塊のようになったものを耳垢と言います。鼓膜の外層で生まれた鼓膜上皮には、鼓膜側から出口に向かってゆっくりと移動する「移送能」という機能があり、この上皮が出口近くまで来ると自然にはがれて耳垢の原因となります。このような皮膚上皮の移動性は鼓膜・外耳道の特徴で、耳垢が発生するのは生理現象として正常なことなのです。
 
湿った耳垢はトラブルの印?
 

 耳垢の量や状態には個人差があり、環境や体調などによっても変化します。お風呂やプールに入った後などに湿り気があるのは当然として、普段から耳垢がベトベトしたり粘り気のあることを気にする方も多いようですが、これは耳垢腺からの分泌物の多寡によって変化するもので、体質的に個人差があって当然のものです。一般的に東洋人には乾性耳垢(こな耳)が多く、西洋人には湿性耳垢(あめ耳)の体質が多いと言われますが、もちろん「日本人なのに湿性だ」と心配する必要はありません。中には少しにおいがあることもありますが、基本的にははがれ落ちた皮膚や埃なので心配はないでしょう。

 
耳垢を放っておくと病気になる?
 

 先にお話しした通り、外耳道の皮膚や毛は外側に移動する性質があることから、耳垢は自然と外に押し出されてくるものです。また、外耳道と中耳とは鼓膜で隔てられているため、耳垢がたまったために中耳炎になることはありません。

ただし、綿棒などで耳垢を押し込んでしまったり、耳かきで外耳道の皮膚を傷つけて炎症を起こしてしまったりと「耳掃除」が原因でトラブルを引き起こすこともあります。

   
 
耳垢栓塞
 

文字通り耳垢が栓のように詰まってしまった状態で、聞こえも少し悪くなることがあります。多くの場合は綿棒などで耳掃除をしているつもりが、逆に奥に押し固めてしまうことで起こります。カチカチに固まってしまっているケースもあり、その場合は専門医でも除去しきるのに数回かかることもあります。無理にとろうとすると、耳の中を傷つけたり、さらに奥へとやってしまうこともあるので注意しましょう。

外耳道湿疹・外耳道炎
 

外耳道の皮膚はとても薄く傷つきやすいため、耳かきなどでこすると傷がつき、痒みを起こすことがあります。外耳道湿疹・外耳道炎の原因の多くは「耳の掻きすぎ・いじりすぎ」で、耳掃除によって起こった痒みを抑えるためにさらに耳を掻きすぎて炎症を起こしてしまうケースです。耳かきは一般的に気持ちのいいものなので、つい掻きすぎてしまうという人にも注意が必要です。

   
子供の耳掃除をするには
 

 小さなお子さん、特に乳幼児の場合、親御さんが耳掃除をしてあげることも多いでしょう。しかし、通常市販されている綿棒は子供の耳には太すぎること、子供の外耳道は大人よりも短いことなどから、耳垢を奥に押し込んでしまう危険性が大人の耳掃除以上に高いものです。また、目で耳の中が見える分、必要以上にこすってしまったり、奥まで掃除しようと突っ込んでしまって痛い思いをさせてしまうケースもあります。乳幼児は特に分泌量が多いこともあり、耳垢が気になることも多いと思いますが、出口付近のものだけを、皮膚をこすらないように優しくとってあげるようにしましょう。

同じ掃除でも、しずぎると却って良くないということもあります。耳掃除の場合は、身だしなみ程度に、外から見えるものだけを優しく取り除くのが基本です。耳垢を放っておいたことが原因で病気になることはまずありませんが、耳垢が極端に多かったり、においが気になる場合は、耳垢ではなく膿などが混じった「みみだれ」の可能性もあります。その場合「慢性中耳炎」などの耳の病気のサインとも考えられるので、速やかに診察を受けることをおすすめします。

   

 

 

免疫力の高まる食生活(2007年12月)

 

免疫力の高まる食生活

 
 
 
 
 人の体を病気から守るしくみ,それが免疫です。免疫は体内に侵入したウイルスや病原菌を攻撃するだけでなく,監視したり,防御したり,共存したりと,さまざまな役割をもっています。免疫力には個人差があり,風邪をひいても鼻水が出る程度で治ってしまう人,高熱をだして寝込んでしまう人と、その時の免疫のパワーで大きな違いが生じます。免疫力は,ストレスや老化(酸化)によって低下しやすく,笑うことで増強に役立つことが証明されています。内なる治癒力,免疫力を高め,健康を維持していくためには「栄養,運動,睡眠」に気を配った生活が大切です。そしてもっと注目されているのが食生活のあり方,食事法です。
 
<<免疫力を高める食事法>>
1. 良質のたんぱく質源となる食品を!!
  肉 魚 卵 貝類 大豆 豆製品 牛乳 乳製品

これらの食品は血液や筋肉となり健康な体づくりの基礎,免疫に関係する細胞をつくる材料です。また鉄,銅,亜鉛,カルシウム等ミネラルが豊富で不足するとリンパ組織が萎縮するなど免疫システムそのものの働きが悪くなります。

2. 緑黄色野菜や果物をたっぷり!!
 
食事で摂取した栄養素の吸収を促したり,免疫力をサポートするビタミンが大いに活躍します。たくさんの種類の野菜,果物を食べることが大切です。
3. 海そう,きのこ,発酵食品を積極的に!!
 
 
腸は,免疫力を左右する大事な臓器です。海そう,きのこに多い食物繊維は腸内細菌のエサになったり,排便を促したりして腸の調子を整え大活躍するほか,含有成分が免疫システムを活発にします。ヨーグルト,納豆など発酵食品は,腸内細菌である善玉菌の仲間であり,腸内に善玉菌が多く,腸内細菌のバランスがよい程,風邪や食中毒から身を守る効果を高めます。
4. 脂肪は少なめに!!
 
脂肪は体の酸化を促すうえ摂りすぎは肥満も招いて免疫力を低下させます。ある程度は体に必要成分ですが控えめに摂ることです。

 

<<免疫力を支えるのは「食」です>>
旬の食材によるバランスのよい食事を,楽しく,おいしく食べて,病気から「体」を守る免疫力を高めることが大切です。
 

 

 

四十肩・五十肩。肩の痛みに 「冷え」は大敵!(2007年11月)

 

     
 
11月のテーマ:
四十肩・五十肩。肩の痛みに

「冷え」は大敵!

 秋から冬へ移り行き、特に朝晩には強い冷え込みを感じる季節になりました。風邪に気をつけるのはもちろんですが、「冷え」によって引き起こされる関節の痛みにも注意したい季節です。肩や膝など、関節の痛みには、日頃のストレッチ運動と患部の温めが効果的です。今回は肩の痛み、四十肩・五十肩についてお話しします。
 
     

 

 
四十肩・五十肩とは
 
  五十肩・四十肩というのは俗称で、正しくは肩関節周囲炎といいます。中高年に多い肩のトラブルということでこの名で呼ばれています。老化によって硬くなった肩関節の腱(肩の骨を引き上げる筋肉が骨とつながる部分)や関節包(関節をスムーズに動かすためのクッションの働きをする箇所)の炎症が原因となって痛みが起こり、これが悪化して肩が上がらなくなる状態を「五十肩・四十肩」といいます。重症の場合は肩腱板(けんけんばん)損傷といって腱が完全に切れてしまうこともあり、その場合は手術が必要になります。そのため、痛みが強い場合は早めに医師の診断を受けましょう。
 
肩こりと五十肩・四十肩の違いは
 

 普通の肩こりは、猫背など姿勢の悪さや緊張などによって肩や首の筋肉が疲労し、血液の循環が悪くなって肩に張りや痛みが起こる「筋肉疲労」の症状です。一方、五十肩・四十肩は「関節の炎症」が原因で、肩の腱の炎症、腱板の損傷や断裂によるものなどがあります。五十肩・四十肩になると腕をねじったり上げ下げすると肩に痛みが起こり、思うように動かせなくなります。そして、痛いからと動かさないでいると、肩関節が固まったようにほとんど動かなくなってしまうこともあるので、そうなる前に少しずつ関節を動かして柔らかくしていきましょう。

 
こんな人は要注意
 

 関節は老化につれ硬くなっていくもので、特に運動不足の人は注意が必要です。40代以下の方も、以下の項目に当てはまる場合は日頃から肩関節のストレッチを心がけましょう。

   
 
最近運動不足である
腕を真横に上げると肩が痛む
背中に手が届きにくい
親戚に五十肩・四十肩の人が多い
   
 

 肩関節は、動かす機会が少ないと固まって炎症を起こしやすくなります。肩を回すなどの簡単な動きでも、意識的に肩関節の運動をしていきましょう。

   
五十肩・四十肩の予防
 

 肩の関節は、動かす機会が少ないと硬くなって炎症を起こしやすくなります。予防のためには日頃のストレッチが大切です。下記に紹介するような簡単な体操を、痛くない範囲で無理せず行ってみましょう。一度にたくさん動かすよりも、1日に数回少しずつ、毎日繰り返すほうが効果的です。

   
 
アイロン体操
 

アイロンなど、持ちやすく程よい重さの物を痛む側の手に持ち、肩の力を抜いて楽に下げ、ゆっくりと左右前後に振ります。

壁押し体操
 

壁に向って両手をつき、両肩に均等に体重をゆっくりとかけていき、肩の関節を意識しながら動かします。

タオル体操
 

タオルや棒などの両端を1mくらいの間隔で背中側に持ち、痛みのないほうの手を上に持ち上げ、痛むほうの肩を腕ごと上部に誘導するようにゆっくり引き上げます。次に痛みのないほうの手を下方に引くようにして、痛みのある肩の関節を動かします。

   
痛みは冷やさず温めて
 

 肩の痛みを感じたときは、無理にストレッチなどの運動をせず、安静にすること。関節の痛みに冷えは大敵なので、冷却スプレーなどで冷やすのは逆効果です。熱いお湯に浸したタオルを絞ったものを患部に当てて温めたり、ぬるめのお風呂にゆっくりつかるなどして肩関節を温めましょう。

   
 

 冬場は特に、冷えによる関節のこわばりが気になる季節です。そして、肩の痛みには寝ている間の冷えも大敵。タオルなどを首に巻いて寝たり、市販の保温器具などを利用して寝ている間も肩の保温を心がけましょう。また、日中も、肩を冷やしやすい襟ぐりの開いた服などは避け、マフラーなどで肩と首周りを温かく保ちましょう。

 

 

 

スポーツと食事(2007年11月)

 

スポーツと食事

 
 
 
 
スポーツの秋!食欲の秋!読書の秋!・・・・・人によって秋の楽しみ方は様々かと思いますが,スポーツをするには絶好の季節です。心身の健康のためにも進んで体を動かしましょう。
 
スポーツをする人は食事の気配りが大切!
部活動や地域のクラブでスポーツをする人の食事について考えてみましょう。成長が著しく体格などの個人差も大きい時期ですが,スポーツをするからといって特別な食事があるわけではありません。ごく普通の食品をじょうずに組み合わせた食事を毎日とればよいのです。もちろん,1日3回規則正しく食事をする習慣を身につけることが大切です。正しい食事の積み重ねは,スポーツをする人にとってなくてはならないものなのです。

基本は
食事で主食・主菜・副菜(汁物も含む)・牛乳,乳製品・果物をとるように

心がけましょう。

主食 ご飯,パン,麺類など
主菜 肉,魚,卵,豆料理など
副菜 野菜,芋,きのこ類,海藻料理など
牛乳

乳製品

牛乳やヨーグルト,チーズなど
果物 果物
食事のこんなところに気を配りましょう
炭水化物をしっかりとりましょう
  エネルギーのもととなるご飯やパン,めん類などをとりましょう。
たんぱく質,カルシウムをとりましょう
 
成長が著しいこの時期、睡眠中の成長ホルモンの働きにあわせて、夕食はたんぱく質、カルシウムに富んだ食事となるように心がけることが大切です。もちろん栄養的にかたよらないようビタミン、無機質の多い野菜類もたっぷりとりましょう。
水分を補給しましょう
 
活動が激しければ激しいほどのどが渇きます。運動中の水分補給はとても大切です。水分が不足すると熱中症や脱水症などになりやすくなります。じょうずに水分を補給しましょう。

・炭酸飲料や糖分が多く口あたりがよいものを選びがちなので注意しましょう。

・市販されているスポーツドリンクにも糖分がふくまれていすので、飲みすぎに注意しましょう。

鉄分を忘れずにとりましょう
 
鉄分の不足は、スポーツをする人にとって命とりともいえる
スタミナ不足になります。それは気力をなくすことにもつなが
ります。鉄分が不足したままスポーツを続ければ、めまい、立ちくらみなど貧血になります。
夕食をしっかりとりましょう
  放課後のトレーニングが、暗くなるまであったり、さらに習いごとに行ったりすると、夕食を一人で食べる場合も出てきます。そんなときは好きなものを自由に食べてしまいがちですので注意しましょう。
運動後の筋肉疲労には,たんぱく質やビタミンなどをとりましょう
  激しい運動の後、筋肉に疲労が残るときがあります。そんなときは整理体操をしっかりやることはもちろんのこと、たんぱく質やビタミンに富んだ食事をとることや睡眠をたっぷりとることがなによりの解決策です。胃腸などの消化吸収力も低下していますから、汁気の多いものや、消化のよいものにしましょう。

 

アドバイス
 疲れ知らずの筋肉を作ろう!
運動を長く続けると,足が動かなくなったり,腕が上がらなくなったりします。

なぜ筋肉は疲れるのでしょうか?

筋肉が疲れるのは,筋肉のなかにあるエネルギーのもと(筋グリコーゲン)を使い果たしたり,エネルギーを作り出すときにできた乳酸が筋肉中にたまってしまうことが原因です。

さて,疲れ知らずの筋肉を作るには,よく練習をすることはもちろん,日ごろの食事でたんぱく質やビタミンなどいろいろな栄養素をとることが大切です。また,筋肉にエネルギーのもとであるグリコーゲンを蓄えるためには,炭水化物をしっかりとることが大切です。

さらに,グリコーゲンを早く回復させるためには,練習が終わったら,なるべく早く食事をするとよいです。

 

 

 

備えあれば憂い無し、 過呼吸症候群の対策を知ろう。(2007年10月)

 

     
 
10月のテーマ:
備えあれば憂い無し、

過呼吸症候群の対策を知ろう。

 スポーツの秋。学校や職場、地域などで開催される運動会や各種スポーツ大会などに参加する機会も多い季節です。運動の後に呼吸が乱れるのは当たり前のことですが、特にマラソンや長距離走のあとには過呼吸症候群になってしまうこともあります。また、運動に関わらず、日常生活をしている上で突然発作的に起こることもある病気。いざというとき迅速に対応できるよう、過呼吸の仕組みと対応策について知っておきましょう。
 
     

 

 
過呼吸症候群とは
 
  過呼吸症候群は、突然息苦しさを感じ、動悸や頻脈、両手の指先や口の周りのしびれなどの発作が起こるものです。若い女性に多い病気ですが、子供や男性、高齢者にも起こることがあります。夜間に救急車で搬送される人の約30%が、この発作によるものだと言われていることからも、ある意味身近な病気のひとつと言えるでしょう。
過呼吸の起こる原因
 

過呼吸を引き起こす誘引は、主にストレスや不安と言われ、元々何事に対しても不安を感じやすい性格の人に生じやすいようです。しかし性格や心理状況などに関係なく、運動などで過剰換気(息があらくなる)の状態になったことが誘因となる場合もあります。いずれの場合も、この過剰換気の状態のために血中の二酸化炭素が減り(排出され)すぎてしまうことが原因です。過呼吸状態になると、実際には血中酸素濃度は普段以上に高くなりますが、本人は息をしても空気が吸えないような感覚に陥ってしまい、さらに不安がつのって息が乱れ、息苦しさやしびれなどの症状が現れます。

過呼吸の症状
 

何らかのきっかけで突然息苦しさを感じ、動悸、頻脈、しびれ、胸や頭の痛み、めまいなどの発作を引き起こします。ひどいときには意識が朦朧としたり、全身が痙攣して意識を失うこともありますが、過呼吸が原因で死亡したり、後遺症を残した例はありません。過呼吸の状態で放置すると発作は数10分続きますが、通常は30分ほどで自然に軽快していきます。

過呼吸症候群の診断
 

先に述べたように、発作は30分ほどで自然に軽快するケースが多いので、病院に着く頃には発作が治まっていることも多くあります。過呼吸症候群かどうかの診断は、上記のような特徴的な症状の現れに加え、発作時の動脈血の酸素濃度と二酸化炭素濃度を検査することで容易につきます。少量の採血ですぐに診断でき、血液のPH値がアルカリ側に偏移している呼吸性アルカローシスであるかどうかを診断します。また、通常時でも意図的に速い呼吸を3分間続けさせて症状を誘発させる「過呼吸誘発テスト」を行う補助的な診断方法もあります。

 

 
過呼吸症候群になったときは
   
 
一般的な治療法
 

過呼吸の起こる原因は過剰な二酸化炭素の排出なので、紙袋などを口に当て、吐いた呼気を再度吸い込む「ペーパーバック法」と呼ばれる治療法が一般的です。この場合、袋を口にぴったり当てすぎると酸素不足になるため、口の部分に少し隙間を作っておくようにしましょう。

ペーパーバック法だけで治まらない場合
 

過呼吸のためパニック状態に陥ったり、不安が強いとペーパーバック法だけでは治まらない場合もあります。その場合は、医師の診断により抗不安薬など精神安定剤の処方を受けると効果的です。精神の安定が大切なので、周囲が過剰に心配して本人が余計に心を乱すことのないよう、冷静な対処を心がけましょう。

   
日常生活での注意点
 

過呼吸の発作は持続的な不安や不満、強い怒り、心理的緊張など気持ちが高揚した場合に生じやすく、寝不足や発熱などで症状が助長されることもあります。パニック障害の一症状としてみられる場合もあり、簡単に原因を特定できない場合も多いのですが、頻発するような場合は腹式呼吸や自律訓練法などのリラックス法を習得したり、発作の原因と考えられるストレスや不安を解決するための心理療法を行います。いずれの場合も、医師から詳しい説明を受け、病気に対する正しい知識を身につけることで不安は軽減され、発作も軽いものへと変化していくでしょう。

頭では理解していても、突然息苦しくなり呼吸が自由にできなくなると、特に初めての場合はやはりパニックを起こしてしまいがちです。そんな時は周囲の人の冷静な対処が一番なので、焦らず騒がず、本人の気持ちを落ち着かせるよう努めましょう。呼吸ができず窒息するわけではないということを理解しておくことで、落ち着いた対処ができるはずです。

 

 

 

“減塩” 心がけていますか(2007年10月)

 

“減塩” 心がけていますか

 
 
 
 
・食塩の摂りすぎは血管がダメージを受け、高血圧の原因、さらに命にかかわる病気《動脈硬化・脳卒中・腎不全》に繋がります。
 
◇ うす味でおいしく食べるには
新鮮な食材、旬の食材を使う
  素材の味を楽しみましょう
香辛料を上手に使う
  胡椒、辛子、カレー粉、ハーブ類
  しそ、生姜、山椒、柚子
酸味やだしの利用
  ポン酢醤油、だし割醤油
調理法
  焼き目をつける、香ばしさや風味を生かす
  炒める、揚げる  
 
◎こうしてみましょう―(1)
みそ汁・・・・・2杯分を、みそ大さじ1杯(15cc)で作ります(これで1杯分の塩分は1gです)
!プラス!
1、 具だくさんにする(具に含まれるミネラルで減塩効果抜群!!)
2、 天然だしを使う(削り節、だし昆布、煮干、干し椎茸など)
  *だしの素には塩分が含まれています。
  *化学調味料は食塩と同じ働きをしてしまいます。

◎こうしてみましょう―(2)
みそづけ焼き・・・塩味のついていない生の魚の切身

(これから生鮭はおすすめ!!お肉でもOK!)

“4切分”
味噌 大さじ1杯
醤油 小さじ1杯
みりん 大さじ1杯
あれば柚子の皮を刻んで
*よく混ぜ合わせて、1切につき大さじ1/2杯を、焼く直前に上面に塗って焼きます*
(これで1切の塩分は0.7gです)
 
!少しずつでもうす味に慣れ、食塩摂取量を減らしていきたいですね!