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長寿と食を思う (高齢者施設の食事に関って)(2008年6月)

 

長寿と食を思う

(高齢者施設の食事に関って)

社団法人 茨城県栄養士会

宮田 恵美子

 日本人の平均寿命が80歳を超えて暫し、100歳以上の方も珍しくないという昨今ですが、だれしも健康で長生きしたいと思っておられるのではないでしょうか。

 

 
 私は特別養護老人ホームで働いていますが、毎日の3度の食事が楽しみになっているご利用者にとって、それは単に命を永らえるためだけのものではないと、その重さを感じさせられます。

 

 
 
 ご利用者の方と接する時、しばしば昔食べたものの話をお聞きすることがあります。
 先日、みんなで草もちを作りましょうということになり、利用者様と蓬を摘みに出かけました。施設の周りの草むらに程よく蓬が生えていて、たくさん摘むことができたのですが、そのときに「子供のころにお腹が空くと、道端に生えているすかんぽを食べたものだよ。」とすかんぽを手にとり、懐かしそうに噛んでいました。たらの芽の天ぷら、せりのお浸し、わらびやぜんまいも山に採りに行って煮て食べたこと。
豪華な食材では無いけれど、心が豊かになるような食べ物を若い者達がこのような思いで味わえるでしょうか。

 

 
 
 10数年前のまだ介護食が出回っていない頃のことですが、食欲も無く、飲み込みも悪くなっている80代の利用者様に、郷土料理をお聞きして勧めてみようと思い、ベットサイドに伺いました。
その方は仙台の近くで生まれ、水戸に嫁がれたとのことでした。お正月はどんなものを食べましたか、ずんだもちが有名ですよね、食べてみたいですかとお聞きしてみたら、コクリとうなずかれました。2~3日して、枝豆をすりつぶし、ずんだを作って、お持ちしました。普段の食事の時になかなか口を開けてくださらないこの方が、懐かしいものを持って来ましたよ、と言って唇にそっと着けてみたら、すこしだけ口を開けてくださいました。何口か召し上がっていただけた時には、介護スタッフに歓声があがりました。

食事は無理だから、経官栄養にしたほうが良いのではといわれた方が少しずつ食べられる ようになった、、、、、

 

 このような経験を通じて、高齢者の食事は単に生命維持のためだけでは無いこと。

食の一つひとつが心の潤い、楽しみ、QOLにつながることを肝に銘じて、これからも食事の提供をして行きたいと思います。

 

 

 

 

乗り物酔いを撃退して、 快適な行楽シーズンを(2008年5月)

 

     
 
5月のテーマ:
乗り物酔いを撃退して、

快適な行楽シーズンを

 不安定な気候が続きましたが、木々の芽もまぶしい新緑の季節になりました。大型連休・ゴールデンウィークには各地へお出かけの計画を立てている方も多いかと思います。せっかくの旅行の楽しみも、乗り物に酔ってしまうと半減してしまいます。今回は、乗り物酔いのメカニズムと予防策についてお話します。
 
     

 

乗り物に「酔う」原因とは
 
  揺れの激しい乗り物に乗っても平気な人もいれば、バスに乗っただけで気分の悪くなってしまう人もいるほど個人差の激しい乗り物酔い。その大きな原因は「身体のバランス」にあると言われています。身体のバランス、つまり平衡感覚を保つために重要なのが耳の奥(内耳)にある三半規管という器官で、ここから身体の位置の変化や運動による重力の変化が脳に送られます。この情報と目などから入った情報を統合して、脳は身体のバランスを保とうとしますが、乗り物の揺れや急発進などの動き・加速が加わると感覚に誤差が生じ、吐き気などを引き起こしてしまいます。
   
子供に多い乗り物酔い
   一般的に、成長期の子供(3歳~思春期)には乗り物酔いが発生しやすいと言われています。その原因ははっきりしていませんが、乗り物に慣れていないこと、大人より感覚が敏感で頭が不安定なこと、そして心理的な要因が大きいのではないかと言われています。心理的な要因とは、いわゆる「思い込み」や「苦手意識」などの自己暗示であることが多く、例えば一度バスに酔ってしまったせいで「自分は乗り物に酔いやすい」、あるいは周りが「この子は乗り物に弱い」と意識してしまい、その不安が悪影響になってしまうというものです。この場合は、酔い止めの薬を飲む、揺れの少ない中央部に座る、など「こうすれば大丈夫」という攻略法で(実際の効果に関らず)暗示をかけてみるのもひとつの手です。
   
乗り物酔いを防ぐには
   先にお話ししたように個人差の大きい乗り物酔いですが、同じ人・同じ環境でも、体調によってさらに差が出ます。そして、大人の場合も子供と同じく「心理的要因」が意外と大きく関係するものです。以下に挙げる対処法を参考に、自分なりの攻略法を見つけてください。

睡眠・朝食をしっかりとる
 

 旅行の前日やお出かけ前の朝は、準備などで何かと時間がなくなりがちですが、睡眠不足や空腹は体調不良のもと。体調管理が万全なら、乗り物酔いへの抵抗力も高まると意識しましょう。ちなみに、満腹状態もよくないので出発直前の食事は控えましょう。

車内の「匂い」に気をつける
 

 匂いは感覚を刺激し、酔いの原因のひとつとなります。自家用車で出かける場合は、香りのつよい芳香剤は避け、事前に掃除をしてタバコやカビの匂いを抑えておきましょう。ガソリンの匂いも刺激となるので、給油はあらかじめ済ませておくといいでしょう。

スムーズな運転で揺れを軽減させる
 

 こちらも自家用車で出かける場合、急発進や急ブレーキなど、急激な力の加わる運転に気をつけて。安全運転は心の余裕にもつながり、リラックスすることで酔いの発生も軽減します。また、可能であれば自分が運転すると動きが予測できるので酔いにくくなります。

こまめに休憩をとる
 

 長時間の乗車になる場合は、意識的に乗り物から降りる機会を増やすこと。外の空気を吸い、遠くの景色を眺めたりストレッチをしてリフレッシュしましょう。また、安全かつ安定した楽な姿勢がとれるのであれば、移動中は眠ってしまうのもアリです。

車内の環境を快適に
 

 蒸し暑い車内や空気のよどんだ空間は、誰でも気分が悪くなるもの。換気に気をつけ、爽やかな環境をつくりましょう。雑誌をみたり、ゲームをしたり、テレビやDVDを観賞するのも酔いの原因のひとつ。近くのものを凝視すると酔いやすく、カーブやブレーキなどの動きも予測できなくなります。目からの刺激は極力抑え、目を閉じたり色の濃いサングラスをかけるのも効果があると言われています。

酔い止めのツボを刺激する
 

 手のひらを上に向け、手首の中心から約3cmひじ側にある内関(ナイカン)というツボを刺激すると、自律神経の働きを整える効果があります。ここを指で押したり、カーショップなどで購入できる「酔い止めバンド」を利用する方法もあります。

窮屈な服装、体勢をしない
 

 なるべくゆったりとした服装で出かけ、車内では頭をヘッドレストにもたれさせた楽な姿勢を。ベルトや靴、帽子などはなるべく脱ぐかゆるめに着用しましょう。

   
 

これらの方法は、効果にも個人差があるので確実ではありませんが、少しでも快適に楽しむためには気をつけて欲しいポイントです。それでも酔ってしまった場合は、乗り物を降りて炭酸飲料などのさっぱりとした飲み物を飲んでリフレッシュ!ちなみに、人間だけでなくペットも乗り物酔いをします。一緒に連れて行く場合はペットにも気を配ってあげましょう。体調良好で、楽しいお出かけを楽しんでくださいね。

 

 

毎月19日は食育(しょくいく)の日《合い言葉は「お・い・し・い・な」》(2008年5月)

 

毎月19日は食育(しょくいく)の日《合い言葉は「お・い・し・い・な」》

 茨城県食育推進計画の中の食育スローガン「お・い・し・い・な」を実践することによって、あなたも今日から食育をはじめましょう。

 
 
 
 おはよう、ごはんを食べましょう。
 朝食を食べるには、早寝早起きが必要になるなど、生活習慣改善の大きなカギとなります。朝食を食べることや、1日3食規則正しく食べることで、生活リズムを整えましょう。
→朝食を欠食する県民の割合の減少

 

 
 
 いただきます、ごちそうさまをいいましょう。
 命をもらった動植物、食に関わる方々や料理をしてくれる方々の活動があって、私たちは食べ物をいただいています。食べ物を大事にする気持ちや、作ってくれてありがとうの気持ちを表しましょう。
→食事のあいさつをする子ども(指導している保護者)の割合の増加

 

 
 
 しっかり野菜を食べましょう。
 不足しがちな野菜をしっかり食べましょう。毎日の食事にあと一品野菜のおかずを加えると栄養バランスが整います。
→野菜の摂取量の増加

 

 
 
 いばらきの食べ物を味わいましょう。
 地域の日常生活や伝統行事等と結びついた食材や料理、食文化は私たちの誇りです。いばらきの豊かな食を味わう機会を大切にし、食に関する技術や文化を学びましょう。
→学校給食における地場産品を使用する割合の増加

 

 
 
 なかよくみんなで食事を楽しみましょう。
 家族や友人と一緒に食卓を囲み、コミュニケーションをとりながら食事を楽しみましょう。
→家族と共に夕食を食べる子どもの割合の増加

 

 

 

 

気分スッキリ、昼寝のススメ。(2008年4月)

 

     
 
4月のテーマ:
気分スッキリ、昼寝のススメ。
 桜の花が咲き始め、新しい年度がスタートしました。春眠暁を覚えず、とはよく言ったものですが、ぽかぽか暖かくなってくると、朝方だけでなく日中もついウトウトと睡魔におそわれることも多いものです。特に昼食後は、季節を問わず眠気を感じた経験が誰しもあるのではないでしょうか。そこで、今回は「大人の昼寝」についてお話しします。
 
     

 

昼食後に眠くなるのは何故?
   食事をとると、体内の血液が消化管に集まり、脳への血液が少なくなります。また、食事をすることによって脳の満腹中枢が刺激を受けて、睡眠物質が働くために眠気がさそわれます。さらに、体内時計のリズムも大きな要因のひとつ。ヒトの眠気には半日リズムで山が2回あり、午前2時~4時に大きな山が、午後1時~4時に小さな山を迎えます。この小さな山と昼食後の時間が重なり、昼食後には眠気が起こりやすくなるのです。
午後の仕事効率
   この昼食後の眠気は意外と侮れず、デスクワークなどで眠気を我慢しながらの仕事で効率があがらないばかりか、工場など現場作業でのミスが起こりやすくなったり、交通事故が多発する時間帯であるとのデータも出ています。地中海沿岸や中南米諸国の暑い地方では、正午から午後3時までの時間を「シエスタ」(スペイン語で「昼寝」の意)の時間として社会全体が昼寝を公認する習慣が根付いているのも、こんな背景があるのでしょう。日本ではあまり「昼寝」の習慣はありませんが、昼休みを上手に利用して、午後からもスッキリ過ごせるためのお昼寝タイムを実践してみてはいかがでしょうか。
   
大人のための昼寝のコツ
   もちろん無理に昼寝をする必要はありませんし、どうしても時間がとれないときもあります。どうしても眠いとき、ぼんやりしてしまうとき、そして時間や環境が許すとき。これらの条件が揃った場合は、次に挙げるポイントに気をつけて昼寝をしてみましょう。

長時間眠らない
 

 あくまで「仮眠」なので、長時間の居眠りは禁物です。睡眠には脳が休息するためのノンレム睡眠と、身体の休息のためのレム睡眠があり、20分以上の睡眠は深いノンレム睡眠に入ってしまう恐れがあります。そのため、昼寝をするなら10分~20分程度の時間が理想的。身体を休息させようと脳の活動レベルが下がる前に目覚めることで、覚醒への移行に無理がなく、スッキリ目覚めることができる範囲内での昼寝をおすすめします。

横にならない
 

 これも「昼寝=仮眠」という位置づけから、必要以上に深い眠りに入ってしまうことを防ぐためのものです。背もたれに深めに腰掛けたり、机に伏せる、肘をつくなどの姿勢で昼寝をすること。ちなみに、昼寝とまではいかなくても、椅子に座ったまま数分間まどろむだけでも頭脳の疲れの回復には大きな効果があるとも言われています。

   
昼寝の効用
 
 このように、昼寝には短い眠りでも脳の活動レベルを下げる休息効果があり、疲労回復にも役立ちます。また、脈拍が減り、血圧も下がるなど、心身ともにリラックス効果が期待できます。ヒトの頭脳は絶えず活性化された状態にあるわけではなく、適度な気分転換や休息が必要という考えからも、昼寝の重要性は大きなものです。つい寝過ごしてしまったという失敗のないように、携帯のアラームなどで目覚ましをセットして20分を超えないようにすれば、適度にリフレッシュして午後からの時間をより快適に過ごせるでしょう。

労働省産業医学総合研究所の調査によれば、20、30歳代の男女30人を昼食後15分と45分の仮眠、睡眠なしの3グループの中で、刺激に脳が一番速く反応し、また一定時間に英文を書き写すテストでミスが少ないのはいずれも15分の仮眠をとったグループという結果が報告されています。上手に昼寝をとって、心身ともにスッキリした状態で午後からの仕事にむかいましょう。

   

 

 

ゆっくり離乳をすすめましょう(2008年4月)

 

ゆっくり離乳をすすめましょう

 
 
 
○赤ちゃんは一人一人個性を持っています。
  その子にあった離乳食のすすめかたをしましょう。
○成長曲線のグラフに体重・身長を記入して
  その子のカーブに沿っているかをみます
○嫌がる時は、無理強いせずに、ようすをみましょう
○調理に手間をかけられない時や外出時など
  ベビーフードも上手に利用しましょう
○うすあじが基本です
○少しずつ慣らしていきます
○楽しい食事を!
 
     
 
離乳食を始める目安
  ○首のすわりがしっかりしている
  ○支えてあげると座れる
  ○食べ物に興味を示す
  ○スプーンを口に入れても押し出すことが少なくなる
   
  離乳の準備?
    うすめた果汁や野菜スープは必要ないと考えられます

果汁の摂取によって、乳汁の摂取量が減少する可能性があります

(タンパク質、脂質、ビタミン類、鉄分、カルシウム、亜鉛などの摂取量が低下)

乳児期以降における果汁の過剰摂取傾向や低栄養の危惧があります

   
  ◇「スプーンに慣れさせる」観点から
    舌でおしだす反射があるうちはむずかしいので、離乳食が始まってからでもスプーンになれることはできます
   
  ◇「ビタミンC補給」観点から
    育児用ミルクには、ビタミンCが強化されています。また、母乳の場合は母親がきちんと果物や野菜をとることでビタミンCが不足することはありません
   
  ◇「乳汁以外の味になれさせる」観点から
    離乳食は基本的に食品の種類は1種類ずつ増やしていくので味の体験を積み重ねていくことができます
   
  ★果汁については、便秘がひどい時などは有効でしょう
 
便秘の乳児には、希釈した果汁を排便の状態を見ながら与えることがあります
便秘の程度によっては、希釈しないであたえることもあります
みかんなどの柑橘系は便を軟らかくし、りんごは便の固さを程よくする効果があります
100%果汁の浸透圧は母乳より2~3倍高いので浸透圧性の下痢を起こす可能性があります。2~3カ月のころは2~3倍にうすめてあたえましょう
   
●離乳食の目安(個人差があります)
     
  ◇生後5,6カ月頃
    子どもの様子を見ながら、1さじずつ始める

母乳やミルクは飲みたいだけ

なめらかにすりつぶした状態

     
  ◇7,8カ月頃
    1日2回食で、食事のリズムをつけていく

いろいろな味や舌触りを楽しめるように、食品の種類もふやしていく

舌でつぶせる固さ

     
  ◇9~11カ月頃
    食事のリズムを大切に、1日3回食

家族一緒に楽しい食卓体験

歯ぐきでつぶせる固さ

鉄分不足に注意し、赤身魚や肉、レバーなど使って工夫

     
  ◇12~18カ月頃
    1日3回の食事リズム、生活リズムを整える

自分で食べる楽しみを、手づかみ食べから始める

歯ぐきでかめる固さ

     
 
授乳期・離乳期は「食べることの基礎」を育てる大切な時期です。

小さな時の食体験は 豊かな心を育てる力も持っているともいえるでしょう。

この時期は家族の食事を見直す好機かもしれません。

 
     

 

 

イライラする、落ち着かない。 これって更年期?(2008年3月)

 

     
 
3月のテーマ:
イライラする、落ち着かない。

これって更年期?

 三寒四温を繰り返し、季節は春へ。当センターのある水戸市の名所・偕楽園でも梅の花が咲き始め、季節の移り変わりを感じることができます。年度末でもある3月は、季節の変わり目であるとともに入学や就職、転勤など生活環境の変化を間近に控える方も多い月。忙しいせいかなんとなくイライラする、気分が滅入るという方、「更年期のせいかしら?」と疑う前に、まずは更年期について正しく理解してみましょう。
 
     

 

更年期障害とは?
   更年期とは女性ホルモンを分泌する卵巣の働きが衰えて停止し、女性ホルモンが欠乏した状態で体が安定するまでの時期を指し、具体的には閉経をはさんでその前後10年ぐらいの期間を指しています。ホルモンのバランスが崩れることで自律神経の働きや情動に影響があり、それによって引き起こされる様々な症状を総称して「更年期障害」と呼ばれます。
   
 
更年期障害には個人差がある
 

 現在、日本人女性の平均的な閉経年齢は52歳前半と言われます。そのため、概ね40代半ばから50代半ばの期間が更年期にあたりますが、更年期障害の症状が30代後半から現れるケースも増えています。閉経だけでなく卵巣の機能が衰え始める時期に個人差があるのはもちろんのこと、若い頃に無理なダイエットを繰り返したり、不規則な生活や食事を続けてきたため、体力の落ち始める30代後半にホルモンのバランスが乱れ始めることが大きな原因になっているようです。また、更年期を迎えても症状がほとんど出ない人から体調を崩して寝込んでしまう人まで、症状の度合いや現れ方も様々です。

更年期障害の症状
 

 このように個人差も大きく症状も様々な更年期障害ですが、その主な症状を以下に挙げていきます。

  <精神神経系>
 

頭痛・めまい・耳鳴り・物忘れ・憂うつ感・判断力、集中力低下・不眠・不安感・倦怠感など

  <知覚系>
 

しびれ・蟻走感(皮膚に虫がはうような感じ)・かゆみ・知覚過敏・知覚鈍麻

  <運動器官系>
 

肩こり・腰痛・関節痛・背筋痛・筋肉痛

  <自律神経系>
 

のぼせ・ほてり・冷え・動悸・息切れ・手足の冷え

  <皮膚・分泌系>
 

皮膚や粘膜の乾燥

湿疹・発汗・ドライマウス・唾液分泌の異常・ドライアイ

  <消化器系>
 

食欲不振・吐き気・便秘・下痢・腹部膨満感・のどのつかえ

  <泌尿器・生殖器系>
 

月経異常・頻尿・残尿感・性器下垂感・性交障害・外陰掻痒症

 
更年期障害に負けないからだと心づくり
 

 先に挙げたように、更年期障害には実に多くの不快な症状が挙げられますが、注意して欲しいのは、これらの症状は主に生理的なからだの変化に伴うものだということを理解する点。イライラしたり気分が落ち込んだり、精神的な症状も起こりやすいだけに悩んでしまう人も多いようですが、「こんなものだ」と割り切って気持ちを変えるだけで随分と楽に乗り切ることもできるのです。

 
生活習慣を整えよう
 

 更年期障害は女性ホルモンのバランスの乱れが原因なので、それを整えることが大切。更年期障害に効果的といわれるエストロゲンを多く含む(※植物性エストロゲン:イソフラボン)大豆製品、体内の免疫力や抗体力を高める抗酸化ビタミン(緑黄色野菜など)、そして骨粗鬆症を予防するためにカルシウムを積極的に採り入れた食事を心がけてください。また、趣味やスポーツを楽しんでストレス解消をするなど心のケアも忘れずに!

   
 

 人間は誰しも年齢を重ねるとともに体の機能も衰えていくものです。そして更年期は男性にも訪れ、その症状は女性と同じく様々で前立腺肥大症や泌尿器のトラブル、肩こりやめまい、そして倦怠感や疲労感など。いわゆる成人病の起こりやすい時期でもあり、「調子が悪いな」と感じたら早めの受診は大原則ですが、普段の生活改善も大切。オシャレをして出かける、趣味を見つける、運動を始める、、、若々しい気持ちで過ごすことで「更年期」を意識しすぎないのがポイントです。

   

 

 

あなたの骨は健康ですか? 《骨粗鬆症を予防しましょう》(2008年3月)

 

あなたの骨は健康ですか?

《骨粗鬆症を予防しましょう》

 
 
 

骨粗鬆症とは骨の量が減り、スカスカにもろくなった状態です。骨粗鬆症になると、転倒など些細なことが原因で骨折してしまいます。

 
     
 
1 カルシウムとは?  
 

  カルシウムは骨や歯などをつくっている栄養素です。体重の1~2%の重さで体内に存在しています。

 
     

2 カルシウムの働きは?

 
 

  体内のカルシウムの99%は骨と歯に、残りの1%は血液や細胞などに存在し、体の機能を正常に保つために重要な働きをしています。

 
     

3 カルシウムが不足すると?

 
 

  食事からのカルシウムの摂取が不十分で、血液中のカルシウムが不足すると、骨に蓄えられたカルシウムから補給されます。このような状態が続くと、骨の形成がスムーズに行かず、骨がもろくなってしまします。骨は、体の他の部分と同じように、少しずつ形成と破壊を繰り返し、絶えずつくり替えらています。食べたカルシウムは、小腸から吸収されて血中に入り、すぐに使う分だけ残して残りは骨に蓄えられます(骨の形成)。一方、血中には常に同じだけのカルシウムが必要なので、血中のカルシウムが不足するとき、骨は自らを壊して補います(骨の破壊)。骨は不足に備えて銀行のようにカルシウムを貯金しています。

 
     

4 なぜ骨量は低下するのか?

 

 
体内の成長が終わる20歳頃まで増加し続け、40歳を過ぎると低下していきます。若いうちから骨量を保つ生活習慣を身につけておくことが大切です。

   

5 多く含まれている食品は?

 

 ・ 乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルトなど)

・ 大豆製品(豆腐、納豆など)

・ 魚介類(桜エビ、ししゃも、わかさぎなど)

・ 野菜類(小松菜、水菜、モロヘイヤなど)

・ 海草類(昆布、ひじきなど)

・ 種実類(ごまなど)

   

以下のようなことに心がけましょう。

   
1 食事を減らすダイエットは避ける
 

 
骨粗鬆症予防で最も大事なことは、成長期に出来るだけ骨量を増やして、最大骨量を上げておくことです。最大骨量が高ければ高いほど、加齢ととも骨量の減少が続いても、骨粗鬆症へ至る危険は少なくなります。特に若い時期から栄養バランスの良い食事と適度な運動を身につけておきましょう。

   
2 カルシウムをしっかり摂る
 

 
カルシウムが含まれる食品の中でも、牛乳は比較的吸収率が高く、たんぱく質やビタミンA、B2といった、カルシウムの効果を高める栄養素と同時にとることが出来ます。また、小魚や海草、緑の野菜や大豆製品にも多く含まれていますので、色々な食品からとるようにしましょう。

   
3 適度な運動を毎日続ける
 

 体を動かして、骨に圧力をかけることでカルシウムは骨に沈着します。高齢者でも、運動習慣のある人は、ない人に比べて骨量が多いことがわかっています。また、運動で筋力やバランス感覚を養うことは、骨折の原因となる転倒を防ぐことにもつながります。年齢に応じた、適度な運動を毎日続けようにしましょう。

   
4 たばこはやめる!アルコールは控えめに!
 

 ニコチンや過度のアルコールは、カルシウムの吸収に悪影響を与えます。

   
規則正しい生活習慣と食習慣でカルシウムをコツコツ貯めて、健康な骨を保ちましょう!!  
 
 
 
 
 
 
 

 

 

感染症にかかったときの食事(2008年2月)

 

感染症にかかったときの食事

 
 
 

 毎年12月から3月頃の冬に多く発生する病気と言えば、インフルエンザウィルスやノロウィルスによる「感染症」。 特に、ノロウィルスなどによる「感染性胃腸炎」は嘔吐や下痢のために、体内の水分や塩分が大量に失われると脱水状態になり体力の弱い乳幼児、高齢者の方は症状が重症化しやすいので注意が必要です。

感染症にかからないためには、うがいや手洗いなどの感染予防を行うと供に、毎日の食事で十分な栄養を摂り、ウィルスに負けない丈夫な身体作りを心がけることが大切です。

しかしながら、もし感染症にかかってしまったら、次のことに気をつけて食事をとるようにすると良いでしょう。

 
     
 
○食欲がある時  
 

普通に食事をとって構いませんが、もしお腹の調子が悪い時は…

・消化が良い食べ物(食物繊維や高脂肪食品など消化・吸収されにくい食物や刺激物は避ける)や調理方法(軟らかく茹でる、蒸すなど)を選ぶようにしましょう                  

・1回の食事量を減らし、食事回数を増やすとお腹に負担をかけません

・ゆっくりとよく噛んで食べましょう

 
     

○下痢をしている時

 
 

便の状態を見て、便の状態と同じような形状のものをとるようにしましょう

「軟便」:うどんや茶碗蒸し野菜の煮物などの軟らかい食べ物

「ドロドロ便」:裏ごしなどのドロドロの食べ物

「水のような水様便」:スープや果汁、イオン飲料などの水分

 
     

○吐き気・嘔吐がひどく食事が摂れない時

 
 

下痢・嘔吐などにより身体から大量に損失した水分や塩分を補うことが大切ですが、水など浸透圧の低い水分ばかり摂取しているとかえって体調が悪くなることがあります。そのような時は塩分・糖分が適切な割合で配合された吸収の良い経口補水液(Oral Rehydration Solution)を少量ずつ回数多く摂取して脱水を予防すると良いでしょう。

 
   ★家庭で作る経口補水液★

湯冷まし1リットルに砂糖40gと食塩3gを加えてよく溶かします。

レモンやグレープフルーツ果汁を少量加えると飲みやすくなります。

(夏期の熱中症にも軽度であれば効果があります)

 
     
○回復したら、なるべく早く普段の食事に戻しましょう!  
 

 

 

健康な1年の始まりは、 毎日の食事をよく「噛む」ことから(2008年1月)

 

     
 
1月のテーマ:
健康な1年の始まりは、

毎日の食事をよく「噛む」ことから

 新年明けましておめでとうございます。毎年のことではありますが、新しい1年の始まりという大きな節目を迎え、みなさん気持ちを新たにしていることと思います。今回は健康にこの1年を過ごすために、食事の大切さ、「噛む」ことの大切さについてお話しします。
 
     

 

 
咀嚼(そしゃく)のはたらき
 
  咀嚼とは、食べ物をよく噛みくだき、味わうことです。食べ物を口の中で何度も噛んで細かくすることで栄養として消化吸収されやすくなるため、咀嚼はからだにとって大切な役割をもっています。また、咀嚼回数が多くなると唾液がたくさん出ますが、この唾液にも消化吸収や殺菌力を高める作用があります。他にも、咀嚼の刺激が脳を経て胃に伝わることで、咀嚼運動に見合った胃液が分泌されて効率的に消化が行われるなど、栄養を摂取するための「食事」という行為において咀嚼は大変重要です。

しかし、現代人は昔に比べて食べ物を噛む回数が減っていると言われています。その要因の第一には、軟らかい食べ物が多くなったことが挙げられます。一説によると、日本人の咀嚼回数は弥生時代の1/6、昭和10年代と比べてもなんと約半分の回数に減っているとも。子供の頃からよく噛む習慣がないために顎の成長が遅れ、歯並びが悪くなったり、噛む筋肉自体が弱くなっている現代人が増えているのです。

 
咀嚼はなぜ大切か
 

 食べ物の変化に加え、忙しい現代社会ではゆっくり食事をする時間がないという問題もあるようです。しかし、先にお話しした通り「よく噛んで食べる」ことは健康づくりの第一歩。咀嚼の役割を知ることで、その大切さを見直してみましょう。

   
 
食べ物の消化を助ける
 

よく噛むことで食べ物が細かくなり、唾液と混ざって適度に水分が増すため飲み込みやすくなります。また、唾液にはアミラーゼという消化酵素も含まれているため、消化吸収をよくしてくれます。

虫歯や歯周病を予防する
 

咀嚼することで分泌される唾液には、消化酵素の他にも口内の浄化作用があります。さらに口内環境を中性に保とうとする作用があり、虫歯や歯周病の原因となる酸を薄めてくれます。また、唾液に含まれるパロチンというホルモンが、カルシウムと結合して強い歯を作ってくれます。

歯並びを整える
 

よく噛むことで顎の骨や顔の筋肉が発達し、顎が強くなります。顎の発達が遅れていると、歯の大きさとの本来のバランスがくずれてしまい、正しい位置に歯が生えずに歯並びが悪くなってしまいます。

食べすぎ・肥満を防止する
 

よく噛んで食べると、唾液が多量に分泌されるために血糖値が上がり、脳の満腹中枢に働いて満腹感を与えてくれます。よく噛むことで自然と食事のペースもゆっくりになり、食べすぎを予防します。

脳に刺激を与える
 

咀嚼運動が脳に連続的な刺激を与えることで、脳が活発に機能します。眠気を覚ますのにガムを噛むのもその一例で、噛むという行為によって記憶力や集中力が高まります。また、こどもの脳の発育を促したり、老人の痴呆予防にも役立つと言われています。

新陳代謝を高める
 

咀嚼によって、EGF(表皮成長因子)と呼ばれるホルモンも分泌されます。これは細胞分裂を促進するホルモンで、新陳代謝が活発になり若々しい身体を保ってくれます。

   
 

 生きていくためには「食べる」という行為は必要不可欠なものですが、食事とは味覚だけでなく、視覚や嗅覚、触覚など五感で味わうものです。よく噛むことでゆっくりと食事を楽しむことができれば、それは心の余裕や充足感にもつながります。身体のためにも、豊かな生活のためにも、

よく噛んで食べるということはとても大切なのです。普段よく噛まずに飲み込んでしまうという人は、まずは「噛む」ことを意識して、ゆっくりおいしく食事をするよう心がけましょう。

   

 

 

冬場の手荒れ、ひび割れ、なんとかしたい!(2008年1月)

 

     
 
2月のテーマ:
冬場の手荒れ、ひび割れ、なんとかしたい!
 年間で最も寒い2月。空気が乾燥し、ハンドクリームやリップクリームが欠かせない季節です。特に、お料理や食器洗いなど毎日水仕事をする主婦にとって、冬場は手荒れが気になるもの。ひび割れて痛い思いをしたり、かゆくて辛い思いをしたり…。今回はそんな冬場の指先のケアについてお話しします。
 
     

 

手荒れの原因は?
   手荒れ・肌荒れは、肌の表面にある角質をとりまく皮脂が減少することで起こります。皮脂は肌をしっとりなめらかに保つだけなく、皮脂は外部からの刺激物やばい菌などを防ぐ役目も持っています。そのため、皮脂が減ると肌が荒れ、外部からの刺激にも敏感になってかゆみを感じるようになります。
   
 
なぜ冬場は手が荒れやすいのか
 

冬場は気温と湿度が低下するため乾燥によって肌の水分が奪われる上、冷たい空気などの刺激によって角質が破壊されたり、新しい細胞が生まれるターンオーバーのサイクルが乱れやすくなっています。また、水仕事の際にお湯を使いがちなのも手荒れの一因になります。

お湯を使うと手が荒れる理由
 

手荒れの原因は皮膚の表面をカバーしている皮脂が減るためとお話ししましたが、熱いお湯は皮脂も一緒に洗い流してしまうので、手が荒れやすくなるのです。また、台所洗剤は油汚れを落とす性質を持つため、手の皮脂や、肌の持つ天然保湿因子までも取り除いてしまいます。つまり、お湯と洗剤両方を使っての食器洗いは、手荒れの一番の原因と言っても過言ではないのです。

 
手荒れを防ぐためには
 

 手荒れを防ぐには、なんと言っても保湿が一番。水を使った後には必ずクリームやローションなどを塗って保湿に気をつけましょう。また、一度にたくさん塗るよりも、回数をこまめに、よくすり込むようしっかり塗るようにしましょう。

※ひび割れて血が出ていたり、状態がひどいときはハンドクリームが症状を悪化させる場合もあるので専門医に相談してください。

   
お湯を使うと手が荒れる理由
 
 
手を保護する
 

ゴム手袋をして水や洗剤に直接触れないのが一番です。それが無理な場合はあらかじめ保護クリームを塗りましょう。水に強いタイプのクリームでも結構ですが、保湿用のハンドクリームとは違い肌の表面に膜を張って保護する機能を持つものなども市販されています。

お湯と洗剤は控えめに
 

熱いお湯は避け、ぬるま湯か水で洗うようにしましょう。また、洗剤の量も控えめに。あらかじめキッチンペーパーで汚れをふきとるなどして、洗剤と水に触れる時間を少しでも減らすように工夫してください。

最後に必ず保湿を
 

洗い物が終わったらすぐに手を拭き、クリームやローションを塗りましょう。手を濡れたままにしておくと、手についた水滴が蒸発する際に角質層の水分も奪うので更に乾燥してしまいます。

   
 

 乾燥によって手が荒れると、ガサガサするだけでなく赤く炎症を起こしたり、湿疹やかゆみが生じる原因にもなります。ひどいときには皮膚が割れ、強い痛みを伴うことも。そんなことになる前に、指先のこまめな保湿を心がけましょう。ちなみに、水仕事だけでなく、パソコンのキーボードや書類、お札などの紙も、意外と指先の皮脂を奪うもの。日常生活を送る中でも、手を使う作業の前後にはクリームの使用を習慣づけましょう。