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一年の汚れをスッキリと、 耳の中まで大掃除?(2007年12月)

 

     
 
12月のテーマ:
一年の汚れをスッキリと、

耳の中まで大掃除?

 色々あった2007年もいよいよ師走、最後の月を迎えました。今年一年の家族の健康についても整理して、新しい年も元気に過ごすための準備を整えておきましょう。さて、一年の締めくくりに家中の大掃除をするご家庭も多いと思いますが、この機会に体のお掃除・耳掃除についてお話しします。
 
     

 

 
耳垢はなぜたまる?
 
  耳垢は外耳道、つまり耳の穴に溜まる垢(あか)のことです。外耳道皮膚の皮脂腺(耳垢腺と呼ばれる汗腺の一種)からの分泌物に、外耳道表皮の角化脱落細胞(古くなってはがれ落ちた皮膚)や空気中の埃がくっついて塊のようになったものを耳垢と言います。鼓膜の外層で生まれた鼓膜上皮には、鼓膜側から出口に向かってゆっくりと移動する「移送能」という機能があり、この上皮が出口近くまで来ると自然にはがれて耳垢の原因となります。このような皮膚上皮の移動性は鼓膜・外耳道の特徴で、耳垢が発生するのは生理現象として正常なことなのです。
 
湿った耳垢はトラブルの印?
 

 耳垢の量や状態には個人差があり、環境や体調などによっても変化します。お風呂やプールに入った後などに湿り気があるのは当然として、普段から耳垢がベトベトしたり粘り気のあることを気にする方も多いようですが、これは耳垢腺からの分泌物の多寡によって変化するもので、体質的に個人差があって当然のものです。一般的に東洋人には乾性耳垢(こな耳)が多く、西洋人には湿性耳垢(あめ耳)の体質が多いと言われますが、もちろん「日本人なのに湿性だ」と心配する必要はありません。中には少しにおいがあることもありますが、基本的にははがれ落ちた皮膚や埃なので心配はないでしょう。

 
耳垢を放っておくと病気になる?
 

 先にお話しした通り、外耳道の皮膚や毛は外側に移動する性質があることから、耳垢は自然と外に押し出されてくるものです。また、外耳道と中耳とは鼓膜で隔てられているため、耳垢がたまったために中耳炎になることはありません。

ただし、綿棒などで耳垢を押し込んでしまったり、耳かきで外耳道の皮膚を傷つけて炎症を起こしてしまったりと「耳掃除」が原因でトラブルを引き起こすこともあります。

   
 
耳垢栓塞
 

文字通り耳垢が栓のように詰まってしまった状態で、聞こえも少し悪くなることがあります。多くの場合は綿棒などで耳掃除をしているつもりが、逆に奥に押し固めてしまうことで起こります。カチカチに固まってしまっているケースもあり、その場合は専門医でも除去しきるのに数回かかることもあります。無理にとろうとすると、耳の中を傷つけたり、さらに奥へとやってしまうこともあるので注意しましょう。

外耳道湿疹・外耳道炎
 

外耳道の皮膚はとても薄く傷つきやすいため、耳かきなどでこすると傷がつき、痒みを起こすことがあります。外耳道湿疹・外耳道炎の原因の多くは「耳の掻きすぎ・いじりすぎ」で、耳掃除によって起こった痒みを抑えるためにさらに耳を掻きすぎて炎症を起こしてしまうケースです。耳かきは一般的に気持ちのいいものなので、つい掻きすぎてしまうという人にも注意が必要です。

   
子供の耳掃除をするには
 

 小さなお子さん、特に乳幼児の場合、親御さんが耳掃除をしてあげることも多いでしょう。しかし、通常市販されている綿棒は子供の耳には太すぎること、子供の外耳道は大人よりも短いことなどから、耳垢を奥に押し込んでしまう危険性が大人の耳掃除以上に高いものです。また、目で耳の中が見える分、必要以上にこすってしまったり、奥まで掃除しようと突っ込んでしまって痛い思いをさせてしまうケースもあります。乳幼児は特に分泌量が多いこともあり、耳垢が気になることも多いと思いますが、出口付近のものだけを、皮膚をこすらないように優しくとってあげるようにしましょう。

同じ掃除でも、しずぎると却って良くないということもあります。耳掃除の場合は、身だしなみ程度に、外から見えるものだけを優しく取り除くのが基本です。耳垢を放っておいたことが原因で病気になることはまずありませんが、耳垢が極端に多かったり、においが気になる場合は、耳垢ではなく膿などが混じった「みみだれ」の可能性もあります。その場合「慢性中耳炎」などの耳の病気のサインとも考えられるので、速やかに診察を受けることをおすすめします。

   

 

 

免疫力の高まる食生活(2007年12月)

 

免疫力の高まる食生活

 
 
 
 
 人の体を病気から守るしくみ,それが免疫です。免疫は体内に侵入したウイルスや病原菌を攻撃するだけでなく,監視したり,防御したり,共存したりと,さまざまな役割をもっています。免疫力には個人差があり,風邪をひいても鼻水が出る程度で治ってしまう人,高熱をだして寝込んでしまう人と、その時の免疫のパワーで大きな違いが生じます。免疫力は,ストレスや老化(酸化)によって低下しやすく,笑うことで増強に役立つことが証明されています。内なる治癒力,免疫力を高め,健康を維持していくためには「栄養,運動,睡眠」に気を配った生活が大切です。そしてもっと注目されているのが食生活のあり方,食事法です。
 
<<免疫力を高める食事法>>
1. 良質のたんぱく質源となる食品を!!
  肉 魚 卵 貝類 大豆 豆製品 牛乳 乳製品

これらの食品は血液や筋肉となり健康な体づくりの基礎,免疫に関係する細胞をつくる材料です。また鉄,銅,亜鉛,カルシウム等ミネラルが豊富で不足するとリンパ組織が萎縮するなど免疫システムそのものの働きが悪くなります。

2. 緑黄色野菜や果物をたっぷり!!
 
食事で摂取した栄養素の吸収を促したり,免疫力をサポートするビタミンが大いに活躍します。たくさんの種類の野菜,果物を食べることが大切です。
3. 海そう,きのこ,発酵食品を積極的に!!
 
 
腸は,免疫力を左右する大事な臓器です。海そう,きのこに多い食物繊維は腸内細菌のエサになったり,排便を促したりして腸の調子を整え大活躍するほか,含有成分が免疫システムを活発にします。ヨーグルト,納豆など発酵食品は,腸内細菌である善玉菌の仲間であり,腸内に善玉菌が多く,腸内細菌のバランスがよい程,風邪や食中毒から身を守る効果を高めます。
4. 脂肪は少なめに!!
 
脂肪は体の酸化を促すうえ摂りすぎは肥満も招いて免疫力を低下させます。ある程度は体に必要成分ですが控えめに摂ることです。

 

<<免疫力を支えるのは「食」です>>
旬の食材によるバランスのよい食事を,楽しく,おいしく食べて,病気から「体」を守る免疫力を高めることが大切です。
 

 

 

四十肩・五十肩。肩の痛みに 「冷え」は大敵!(2007年11月)

 

     
 
11月のテーマ:
四十肩・五十肩。肩の痛みに

「冷え」は大敵!

 秋から冬へ移り行き、特に朝晩には強い冷え込みを感じる季節になりました。風邪に気をつけるのはもちろんですが、「冷え」によって引き起こされる関節の痛みにも注意したい季節です。肩や膝など、関節の痛みには、日頃のストレッチ運動と患部の温めが効果的です。今回は肩の痛み、四十肩・五十肩についてお話しします。
 
     

 

 
四十肩・五十肩とは
 
  五十肩・四十肩というのは俗称で、正しくは肩関節周囲炎といいます。中高年に多い肩のトラブルということでこの名で呼ばれています。老化によって硬くなった肩関節の腱(肩の骨を引き上げる筋肉が骨とつながる部分)や関節包(関節をスムーズに動かすためのクッションの働きをする箇所)の炎症が原因となって痛みが起こり、これが悪化して肩が上がらなくなる状態を「五十肩・四十肩」といいます。重症の場合は肩腱板(けんけんばん)損傷といって腱が完全に切れてしまうこともあり、その場合は手術が必要になります。そのため、痛みが強い場合は早めに医師の診断を受けましょう。
 
肩こりと五十肩・四十肩の違いは
 

 普通の肩こりは、猫背など姿勢の悪さや緊張などによって肩や首の筋肉が疲労し、血液の循環が悪くなって肩に張りや痛みが起こる「筋肉疲労」の症状です。一方、五十肩・四十肩は「関節の炎症」が原因で、肩の腱の炎症、腱板の損傷や断裂によるものなどがあります。五十肩・四十肩になると腕をねじったり上げ下げすると肩に痛みが起こり、思うように動かせなくなります。そして、痛いからと動かさないでいると、肩関節が固まったようにほとんど動かなくなってしまうこともあるので、そうなる前に少しずつ関節を動かして柔らかくしていきましょう。

 
こんな人は要注意
 

 関節は老化につれ硬くなっていくもので、特に運動不足の人は注意が必要です。40代以下の方も、以下の項目に当てはまる場合は日頃から肩関節のストレッチを心がけましょう。

   
 
最近運動不足である
腕を真横に上げると肩が痛む
背中に手が届きにくい
親戚に五十肩・四十肩の人が多い
   
 

 肩関節は、動かす機会が少ないと固まって炎症を起こしやすくなります。肩を回すなどの簡単な動きでも、意識的に肩関節の運動をしていきましょう。

   
五十肩・四十肩の予防
 

 肩の関節は、動かす機会が少ないと硬くなって炎症を起こしやすくなります。予防のためには日頃のストレッチが大切です。下記に紹介するような簡単な体操を、痛くない範囲で無理せず行ってみましょう。一度にたくさん動かすよりも、1日に数回少しずつ、毎日繰り返すほうが効果的です。

   
 
アイロン体操
 

アイロンなど、持ちやすく程よい重さの物を痛む側の手に持ち、肩の力を抜いて楽に下げ、ゆっくりと左右前後に振ります。

壁押し体操
 

壁に向って両手をつき、両肩に均等に体重をゆっくりとかけていき、肩の関節を意識しながら動かします。

タオル体操
 

タオルや棒などの両端を1mくらいの間隔で背中側に持ち、痛みのないほうの手を上に持ち上げ、痛むほうの肩を腕ごと上部に誘導するようにゆっくり引き上げます。次に痛みのないほうの手を下方に引くようにして、痛みのある肩の関節を動かします。

   
痛みは冷やさず温めて
 

 肩の痛みを感じたときは、無理にストレッチなどの運動をせず、安静にすること。関節の痛みに冷えは大敵なので、冷却スプレーなどで冷やすのは逆効果です。熱いお湯に浸したタオルを絞ったものを患部に当てて温めたり、ぬるめのお風呂にゆっくりつかるなどして肩関節を温めましょう。

   
 

 冬場は特に、冷えによる関節のこわばりが気になる季節です。そして、肩の痛みには寝ている間の冷えも大敵。タオルなどを首に巻いて寝たり、市販の保温器具などを利用して寝ている間も肩の保温を心がけましょう。また、日中も、肩を冷やしやすい襟ぐりの開いた服などは避け、マフラーなどで肩と首周りを温かく保ちましょう。

 

 

 

スポーツと食事(2007年11月)

 

スポーツと食事

 
 
 
 
スポーツの秋!食欲の秋!読書の秋!・・・・・人によって秋の楽しみ方は様々かと思いますが,スポーツをするには絶好の季節です。心身の健康のためにも進んで体を動かしましょう。
 
スポーツをする人は食事の気配りが大切!
部活動や地域のクラブでスポーツをする人の食事について考えてみましょう。成長が著しく体格などの個人差も大きい時期ですが,スポーツをするからといって特別な食事があるわけではありません。ごく普通の食品をじょうずに組み合わせた食事を毎日とればよいのです。もちろん,1日3回規則正しく食事をする習慣を身につけることが大切です。正しい食事の積み重ねは,スポーツをする人にとってなくてはならないものなのです。

基本は
食事で主食・主菜・副菜(汁物も含む)・牛乳,乳製品・果物をとるように

心がけましょう。

主食 ご飯,パン,麺類など
主菜 肉,魚,卵,豆料理など
副菜 野菜,芋,きのこ類,海藻料理など
牛乳

乳製品

牛乳やヨーグルト,チーズなど
果物 果物
食事のこんなところに気を配りましょう
炭水化物をしっかりとりましょう
  エネルギーのもととなるご飯やパン,めん類などをとりましょう。
たんぱく質,カルシウムをとりましょう
 
成長が著しいこの時期、睡眠中の成長ホルモンの働きにあわせて、夕食はたんぱく質、カルシウムに富んだ食事となるように心がけることが大切です。もちろん栄養的にかたよらないようビタミン、無機質の多い野菜類もたっぷりとりましょう。
水分を補給しましょう
 
活動が激しければ激しいほどのどが渇きます。運動中の水分補給はとても大切です。水分が不足すると熱中症や脱水症などになりやすくなります。じょうずに水分を補給しましょう。

・炭酸飲料や糖分が多く口あたりがよいものを選びがちなので注意しましょう。

・市販されているスポーツドリンクにも糖分がふくまれていすので、飲みすぎに注意しましょう。

鉄分を忘れずにとりましょう
 
鉄分の不足は、スポーツをする人にとって命とりともいえる
スタミナ不足になります。それは気力をなくすことにもつなが
ります。鉄分が不足したままスポーツを続ければ、めまい、立ちくらみなど貧血になります。
夕食をしっかりとりましょう
  放課後のトレーニングが、暗くなるまであったり、さらに習いごとに行ったりすると、夕食を一人で食べる場合も出てきます。そんなときは好きなものを自由に食べてしまいがちですので注意しましょう。
運動後の筋肉疲労には,たんぱく質やビタミンなどをとりましょう
  激しい運動の後、筋肉に疲労が残るときがあります。そんなときは整理体操をしっかりやることはもちろんのこと、たんぱく質やビタミンに富んだ食事をとることや睡眠をたっぷりとることがなによりの解決策です。胃腸などの消化吸収力も低下していますから、汁気の多いものや、消化のよいものにしましょう。

 

アドバイス
 疲れ知らずの筋肉を作ろう!
運動を長く続けると,足が動かなくなったり,腕が上がらなくなったりします。

なぜ筋肉は疲れるのでしょうか?

筋肉が疲れるのは,筋肉のなかにあるエネルギーのもと(筋グリコーゲン)を使い果たしたり,エネルギーを作り出すときにできた乳酸が筋肉中にたまってしまうことが原因です。

さて,疲れ知らずの筋肉を作るには,よく練習をすることはもちろん,日ごろの食事でたんぱく質やビタミンなどいろいろな栄養素をとることが大切です。また,筋肉にエネルギーのもとであるグリコーゲンを蓄えるためには,炭水化物をしっかりとることが大切です。

さらに,グリコーゲンを早く回復させるためには,練習が終わったら,なるべく早く食事をするとよいです。

 

 

 

備えあれば憂い無し、 過呼吸症候群の対策を知ろう。(2007年10月)

 

     
 
10月のテーマ:
備えあれば憂い無し、

過呼吸症候群の対策を知ろう。

 スポーツの秋。学校や職場、地域などで開催される運動会や各種スポーツ大会などに参加する機会も多い季節です。運動の後に呼吸が乱れるのは当たり前のことですが、特にマラソンや長距離走のあとには過呼吸症候群になってしまうこともあります。また、運動に関わらず、日常生活をしている上で突然発作的に起こることもある病気。いざというとき迅速に対応できるよう、過呼吸の仕組みと対応策について知っておきましょう。
 
     

 

 
過呼吸症候群とは
 
  過呼吸症候群は、突然息苦しさを感じ、動悸や頻脈、両手の指先や口の周りのしびれなどの発作が起こるものです。若い女性に多い病気ですが、子供や男性、高齢者にも起こることがあります。夜間に救急車で搬送される人の約30%が、この発作によるものだと言われていることからも、ある意味身近な病気のひとつと言えるでしょう。
過呼吸の起こる原因
 

過呼吸を引き起こす誘引は、主にストレスや不安と言われ、元々何事に対しても不安を感じやすい性格の人に生じやすいようです。しかし性格や心理状況などに関係なく、運動などで過剰換気(息があらくなる)の状態になったことが誘因となる場合もあります。いずれの場合も、この過剰換気の状態のために血中の二酸化炭素が減り(排出され)すぎてしまうことが原因です。過呼吸状態になると、実際には血中酸素濃度は普段以上に高くなりますが、本人は息をしても空気が吸えないような感覚に陥ってしまい、さらに不安がつのって息が乱れ、息苦しさやしびれなどの症状が現れます。

過呼吸の症状
 

何らかのきっかけで突然息苦しさを感じ、動悸、頻脈、しびれ、胸や頭の痛み、めまいなどの発作を引き起こします。ひどいときには意識が朦朧としたり、全身が痙攣して意識を失うこともありますが、過呼吸が原因で死亡したり、後遺症を残した例はありません。過呼吸の状態で放置すると発作は数10分続きますが、通常は30分ほどで自然に軽快していきます。

過呼吸症候群の診断
 

先に述べたように、発作は30分ほどで自然に軽快するケースが多いので、病院に着く頃には発作が治まっていることも多くあります。過呼吸症候群かどうかの診断は、上記のような特徴的な症状の現れに加え、発作時の動脈血の酸素濃度と二酸化炭素濃度を検査することで容易につきます。少量の採血ですぐに診断でき、血液のPH値がアルカリ側に偏移している呼吸性アルカローシスであるかどうかを診断します。また、通常時でも意図的に速い呼吸を3分間続けさせて症状を誘発させる「過呼吸誘発テスト」を行う補助的な診断方法もあります。

 

 
過呼吸症候群になったときは
   
 
一般的な治療法
 

過呼吸の起こる原因は過剰な二酸化炭素の排出なので、紙袋などを口に当て、吐いた呼気を再度吸い込む「ペーパーバック法」と呼ばれる治療法が一般的です。この場合、袋を口にぴったり当てすぎると酸素不足になるため、口の部分に少し隙間を作っておくようにしましょう。

ペーパーバック法だけで治まらない場合
 

過呼吸のためパニック状態に陥ったり、不安が強いとペーパーバック法だけでは治まらない場合もあります。その場合は、医師の診断により抗不安薬など精神安定剤の処方を受けると効果的です。精神の安定が大切なので、周囲が過剰に心配して本人が余計に心を乱すことのないよう、冷静な対処を心がけましょう。

   
日常生活での注意点
 

過呼吸の発作は持続的な不安や不満、強い怒り、心理的緊張など気持ちが高揚した場合に生じやすく、寝不足や発熱などで症状が助長されることもあります。パニック障害の一症状としてみられる場合もあり、簡単に原因を特定できない場合も多いのですが、頻発するような場合は腹式呼吸や自律訓練法などのリラックス法を習得したり、発作の原因と考えられるストレスや不安を解決するための心理療法を行います。いずれの場合も、医師から詳しい説明を受け、病気に対する正しい知識を身につけることで不安は軽減され、発作も軽いものへと変化していくでしょう。

頭では理解していても、突然息苦しくなり呼吸が自由にできなくなると、特に初めての場合はやはりパニックを起こしてしまいがちです。そんな時は周囲の人の冷静な対処が一番なので、焦らず騒がず、本人の気持ちを落ち着かせるよう努めましょう。呼吸ができず窒息するわけではないということを理解しておくことで、落ち着いた対処ができるはずです。

 

 

 

“減塩” 心がけていますか(2007年10月)

 

“減塩” 心がけていますか

 
 
 
 
・食塩の摂りすぎは血管がダメージを受け、高血圧の原因、さらに命にかかわる病気《動脈硬化・脳卒中・腎不全》に繋がります。
 
◇ うす味でおいしく食べるには
新鮮な食材、旬の食材を使う
  素材の味を楽しみましょう
香辛料を上手に使う
  胡椒、辛子、カレー粉、ハーブ類
  しそ、生姜、山椒、柚子
酸味やだしの利用
  ポン酢醤油、だし割醤油
調理法
  焼き目をつける、香ばしさや風味を生かす
  炒める、揚げる  
 
◎こうしてみましょう―(1)
みそ汁・・・・・2杯分を、みそ大さじ1杯(15cc)で作ります(これで1杯分の塩分は1gです)
!プラス!
1、 具だくさんにする(具に含まれるミネラルで減塩効果抜群!!)
2、 天然だしを使う(削り節、だし昆布、煮干、干し椎茸など)
  *だしの素には塩分が含まれています。
  *化学調味料は食塩と同じ働きをしてしまいます。

◎こうしてみましょう―(2)
みそづけ焼き・・・塩味のついていない生の魚の切身

(これから生鮭はおすすめ!!お肉でもOK!)

“4切分”
味噌 大さじ1杯
醤油 小さじ1杯
みりん 大さじ1杯
あれば柚子の皮を刻んで
*よく混ぜ合わせて、1切につき大さじ1/2杯を、焼く直前に上面に塗って焼きます*
(これで1切の塩分は0.7gです)
 
!少しずつでもうす味に慣れ、食塩摂取量を減らしていきたいですね!
 

 

 

健康は足元から。 外反母趾に気をつけよう!(2007年9月)

 

     
 
9月のテーマ:
健康は足元から。

外反母趾に気をつけよう!

 暑さも和らぎ、過ごしやすい季節になりました。運動の秋と言われるように、運動会やウォークラリーなど、秋は身体を動かす行事の多い季節でもあります。日頃の運動不足を解消しようと、これらの催しに張り切って参加する方も多いのではないでしょうか。この時、履きなれたスニーカーを履くのはもちろんですが、普段あまり気にしない「足の形」についても注意して見てみましょう。
 
     

 

外反母趾は現代病?
 
  外反母趾とは、平たく言うと足の親指の付け根の間接が外側を向いている状態のことで、通常痛みを伴う疾患です。一般的に、ハイヒールなどの靴が原因で起こると考えられていますが、実際にはハイヒールを履かない男性や、子供にも見られます。もちろんハイヒールに限らず、現代人は長時間靴を履いて過ごすことが増え、足が圧迫され続けていることもその要因のひとつではあります。しかし、それだけでなく道路面や床面が昔より硬くなったという環境の変化、そして何より足指の機能が低下して弱ってきたことがそもそもの原因だと言われています。
 
外反母趾の種類
    一口に外反母趾と言っても、その症状や程度には個人差があり、治療法もそれぞれです。「外反母趾かな」と心当たりのある方は、まずは以下に挙げた5つのタイプに当てはまるかどうか照らし合わせてみてください。

靭帯性外反母趾
 

足先の横幅(横のアーチ)を支えている横中足靭帯(中足関節)が伸びたり緩んだことで、親指が小指側に曲がってしまった状態。

仮骨性外反母趾
 

親指の付け根の骨だけが異常に出っ張り、付け根の部分が曲がったように見える状態。

混合性外反母趾
 

靭帯性外反母趾と仮骨性外反母趾が合併したもので、付け根の骨が出っ張ったうえに親指が内側に曲がっている状態。

ハンマートゥ性外反母趾
 

指がハンマーのように縮こまっていたり、上を向きすぎていて、指が地面に接地しない状態。先天的にこの状態の人に起こりやすいもの。

病変性外反母趾
 

リウマチやへバーデン結節などの病的要素や、事故、ケガが加わり著しい変形や脱臼を伴っている状態。

 

 
放っておくと怖い外反母趾
    発症の初期には窮屈な履物を履いて動いた時しか痛まないこともあり、「ただ親指が曲がっているだけ」と軽く捉えてしまう人も多いものですが、症状(変形)が進むと親指が人差し指の下に入り込んで底側に痛みを伴うタコを形成したりと、裸足でも痛みを感じるようになります。
 
外反母趾が引き起こす二次的障害
 

外反母趾になると、足の一部分に体重がかかったり、無理なねじれが生じて身体のバランスが崩れます。そして地面を踏みしめるべき足指に力が入らなくなり、不安定な歩き方になっていきます。この状態が続くと、身体のどこかに過剰な負担がかかることになり、膝や腰の痛み、肩こりや頭痛などの二次的な障害を引き起こす原因となります。

   
外反母趾を治療・予防するには
    外反母趾の治療には外科手術の方法もありますが、歩けないほどの痛みがない限りはその必要はないでしょう。治療・予防ともに、まずは身近なところから、履物への注意や足指の強化を心がけましょう。また、足にかかる負担を減らすため、体重を増やさないことや長時間の立位を避けることも大切です。
 
正しい姿勢で歩く
 

足の一部だけに負担をかけないよう、バランスの良い歩き方をしましょう。踵→足の裏全体の順に足底を地面につけ、足の指を使って地面を蹴るようにして前に進みます。大股気味に歩くのが理想的です。

履物選びの注意
 

日常生活で窮屈な靴を履かないこと。先端が広くて足のアーチ構造が無理なく保持できる履物を選びましょう。負担を減らすには、免震効果のある中敷などを利用するのも良いでしょう。

足指の運動をする
 

普段から足の親指を内側・外側に曲げたり、回したりする運動をしたり、足自体の筋肉を強化するよう心がけましょう。同時に、足裏のマッサージや足指のグーパー運動も習慣づけます。

  身体に原因不明の痛みがあるときは外反母趾を疑ってみろ」との意見もあるほど、足指の異常は身体全体に影響を及ぼすものです。靴だけが原因ではないと言っても、やはり窮屈な靴は立ち方・歩き方を不自然にし、足に無理な力を加えてしまいます。足の形に合った靴を選び、身体のバランスを足元から整えましょう。
 

 

 

食物繊維とは?(2007年9月)

 

食物繊維とは?

社団法人 茨城県栄養士会

山口 雅子

 
 
 
食物繊維(ダイエタリー・ファイバー)とは、食品中の成分のうち、人の消化酵素で消化されにくい成分のことをいい、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維とに分けられます。
□水溶性食物繊維
不純物の吸収を妨げ、排泄させる
・糖分の吸収速度を緩やかにし、血糖値の急上昇を防ぐ(糖尿病予防)
・血液中のコレステロール値を下げる(動脈硬化予防)
・血圧の上昇を防ぐ (高血圧予防)

□不溶性食物繊維

食品の水分を吸収して膨らみ、腸の働きを活発化
・便のかさを増やして排便を促す(便秘予防、改善)
・発ガン性物質などの腸内の有害物質を体外へと排出させる(がん予防)
・かさが増えることで満腹感が得られる(肥満予防、ダイエット)
・よく噛むことで歯茎やあごが鍛えられる(虫歯予防)
 
■第六の栄養素【食物繊維】
 
役に立たないと考えられていた食物繊維ですが現在では5大栄養素(たんぱく質、脂質、糖質、ビタミン、ミネラル)に続く、「第6の栄養素」として重要視されています。
 
 
■現代の食生活では不足気味
 
未精製の穀類に根菜、豆類の煮物といった、昔ながらの和食の献立とは違い、高タンパク・高脂肪になりがちな現在の食生活において、食物繊維は不足傾向にあるといわれています。

食物繊維が不足すると、便秘はもちろん、肥満や糖尿病といった生活習慣病の原因にもなりかねません。しかし過剰に摂取すると、下痢の症状を引き起こして体に必要なミネラル分まで排出してしまったり、かえって便秘がひどくなることもあります。

特にサプリメントなどで食物繊維を補う際には、摂取量に注意が必要です。

 
 
■食物繊維(g)成人1日あたりの目標量
 
  男性:20g

女性:17g
*目標量…生活習慣病一次予防のために

現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量

食事バランスガイド

 ■食物繊維を多く含む食品 

□水溶性食物繊維
こんにゃく/海藻類(寒天、こんぶ、ひじき、わかめ、もずく、など)/果実類

□不溶性食物繊維

穀類(そば、ライ麦、など)/豆類(大豆、あずき、えんどうまめ、など)/野菜類(ごぼう、切り干し大根、ブロッコリー、たけのこ、とうもろ こし、など)/イモ類(さつま芋、里芋、山芋、など)/キノコ類(えのきだけ、きくらげ、しいたけ、など)
 

   

 

 

夏バテを助長する現代生活。 冷やしすぎにご用心!(2007年8月)

 

     
 
8月のテーマ:
夏バテを助長する現代生活。

冷やしすぎにご用心!

 各地で真夏日が続き、今年の夏は例年にないほどの猛暑となりました。山場は過ぎた感がありますが、まだまだ暑さの続きそうな予感です。この暑さのせいで、熱中症も随分と話題になりましたが、こまめな水分補給だけでは防げないのが夏バテです。暑さからくる食欲不振や睡眠不足などその原因は様々ですが、体調管理に気をつけて夏場を元気に乗り切りましょう。
 
     

 

夏バテの原因はクーラー?
 
 夏バテを引き起こす一番の原因はもちろん暑さですが、そもそも恒温動物である人間は、ある程度の体温調節を行う機能が備わっているものです。しかし冷房のある現代の生活に慣れ、汗をかいて体温を調節する身体の働き自体が低下してしまっているそうです。これは「冷房病」と呼ばれる現代病のひとつで、冷房の利いた涼しい部屋と蒸し暑い屋外の温度差に身体がついていけず、自律神経の働きが損なわれてしまうというものです。
冷房病の症状
 

頭痛、肩こり、腹痛、神経痛、免疫力の低下、慢性的な疲労感やストレス感など

冷房病の予防
 

エアコンの設定温度だけでなく、外気との温度差に注意すること。5度以内が理想的と言われています。また、冷風を直接身体に当てないこと、足元を冷やしすぎないことも大切です。

能動汗腺衰退症とその予防
 

小さな頃から冷房の利いた部屋で生活してきたため、汗をかく汗腺の数自体が減少してしまうこと。発汗する習慣をつけるためにも、シャワーで済ませず半身浴で汗をかき、血行を良くしましょう。

 
夏を元気に過ごすコツ
 
生活リズムを安定させる
 

規則正しい生活は健康な身体づくりの第一歩。起床と就寝の時間、食事の時間をなるべく一定に保ちましょう。

冷房を上手に利用する
 

外気温との差は5度を目安に、室内を冷やしすぎないように。ドライ(除湿)運転を活用すると体感温度を下げられます。

寝つきをよくする工夫を
 

暑くて寝苦しいからといって、冷房をつけっぱなしにすると夏風邪や下痢の原因になります。タイマー運転を上手に利用し、就寝前の入浴やストレッチなどで安眠を誘う工夫を。

適度な運動をする
 

陽射しの強い日中は外出するのも億劫になりますが、朝夕の比較的涼しい時間帯にウォーキングする習慣をつけると食欲増進や寝つきを良くする効果も得られます。もちろん、運動中や運動後の水分補給は忘れずに。

 

 
夏バテ予防に効果的な食事
   どうしても食欲が落ちてしまう夏場。そうめんなどの口当たりのよいものばかり食べてしまいがちですが、バランスのとれた食事は暑さに負けない身体づくりの基本。卵、肉、魚など血や肉をつくる良質なタンパク質、消化のよい大豆食品や牛乳などの食品も忘れずに摂りましょう。
 
疲労回復を助ける有機酸
 

酢酸、クエン酸、リンゴ酸などの有機物質には、乳酸などの疲労物質を分解する作用があります。代表的な食材は梅干、レモン、醸造酢など。最近では水や炭酸で割って手軽に飲めるタイプの商品も出回っているので、水分補給とあわせて毎日意識的に採り入れてみてはいかがでしょうか。

エネルギーの代謝をよくするビタミンB群
 

糖質を代謝してエネルギーに変える「ビタミンB1」や、消化を助けて糖質を燃焼させる「ビタミンB2」、神経の働きや脳の機能を正常に保つ「ビタミンB12」など、ビタミンB群は栄養バランスを整える強力な助っ人。以下に挙げた代表的な食材を積極的に摂りましょう。
<ビタミンB1>

豚肉、ニラ、枝豆、うなぎ、ゴマ、玄米など
<ビタミンB2>

うなぎ、レバー、魚、ブロッコリー、パセリなど
<ビタミンB6>

レバー、魚(赤身)、玄米など
<ビタミンB12>

レバー、貝類(アサリ、牡蠣、シジミなど)、魚など

利尿効果のある野菜
 

キュウリなどの夏野菜に含まれるイスクエルシトリは体内の余分な水分を排出し、熱を下げてくれる働きがあります。キュウリのほか、スイカ、トマト、苦瓜(ゴーヤ)など。

食欲を増進させる香辛料
 

香りと刺激で食欲を増進してくれるスパイスや香味野菜。夏の人気メニュー・カレーに代表されるように、香辛料の利いた食事は食欲増進にぴったりです。また、ニンニク、青じそ、みょうが、ショウガ、ワサビ、ネギなどの香味野菜も食欲を刺激してくれます。

   
 夏場の体調管理に水分補給が大切とはいっても、冷たいものや甘いジュースの摂り過ぎは胃腸の働きを妨げたり、血糖値を上げて空腹感をなくし、食欲不振を引き起こすこともあります。また、ビールなどのアルコールは水分を排出する利尿作用があるため、かえって水分不足になることも。水分補給にはミネラルウォーターやスポーツドリンクを、そして栄養と睡眠をじ充分にとって、夏バテしらずの身体を作りましょう!
 

 

 

「家庭でできる食中毒予防」(2007年8月)

 

「家庭でできる食中毒予防」

 
 
 
 いよいよ暑い夏がやってきました。特に今年の夏は過去最高の暑さと言われています。

夏は気温や湿度が高くなるため食中毒が多発します。食中毒というと、レストランや旅館などの飲食店での食事が原因と思われがちですが、家庭の食事でも発生しており、昨年、全国で発生した食中毒の14%は家庭の食事が原因と言われています。

 食中毒には、O157やサルモネラなどの細菌による食中毒や、食品に洗剤などの物質が混入したりして発生する化学性食中毒、毒きのこなどを食べたときに発生する自然毒中毒などさまざまな種類のものがありますが、その大半をO157に代表される細菌性の食中毒が占めています。細菌がもしまな板についたとしても、肉眼では見えません。しかし、目に見えなくとも簡単な方法をきちんと行えば細菌による食中毒を予防することができるのです。
 

食中毒予防の三原則

「食中毒菌をつけない」

細菌は魚、肉、野菜などの食材にすでに付着していることがあります。また調理器具や手指を介して他の食品を汚染してしまうことがあります。菌をつけないために、台所や食器類は常に清潔に保ち、作業中は調理器具や手指をこまめに洗うことが大切です。

「食中毒菌を増やさない」

細菌は栄養、水分、温度の条件がそろった時、爆発的に増えます。室温で放っておくと、10~20分で2倍に増える菌もありますので冷蔵庫等で保存をしてください。0℃以下でも死なない菌もありますので、冷蔵庫を過信せず早めに使い切ることが大切です。

「食中毒菌をやっつける」

ほとんどの食中毒菌は熱に弱いのですが、きちんと火が通っていないと生き残ります。加熱が必要な食品は中心部の温度が75℃以上になって1分間は加熱しましょう。

あなたも今すぐこの食中毒予防の三原則から成り立っている 次の「わが家の食中毒予防6つのポイント」をきちんと行い、家庭から食中毒をなくしましょう!

わが家の食中毒予防6つのポイント

ポイント1 食品の購入

購入した食品は、肉汁や魚などの水分がもれないようビニール袋などに分け持ち帰りましょう。
生鮮食品などのように冷蔵や冷凍などの温度管理の必要な食品の購入は、買い物の最後にし、購入したら寄り道せず、まっすぐに持ち帰りましょう。

ポイント2 家庭での保存

冷蔵や冷凍の必要な食品は、持ち帰ったら、すぐに冷蔵庫や冷凍庫に入れましょう。
冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は、-15℃以下に維持することがめやすです。

ポイント3 下準備

手を洗うことは食中毒予防の基本です。調理を始める前や食品を取り扱う前後、こまめに手を洗いましょう。
生の肉や魚を切った後、洗わずにその包丁やまな板で、果物や野菜など生で食べる食品や調理の終わった食品を切ることはやめましょう。洗ってから熱湯をかけたのち使うことが大切です。

ポイント4 調理

加熱して調理する食品は中心部まで十分に加熱しましょう。
生の肉や魚を切った後、洗わずにその包丁やまな板で、果物や野菜など生で食べる食品や調理の終わった食品を切ることはやめましょう。洗ってから熱湯をかけたのち使うことが大切です。

ポイント5 食事

食卓に付く前に手を洗いましょう。
調理前の食品や調理後の食品は、室温に長く放置してはいけません。

ポイント6 残った食品

残った食品は早く冷えるように浅い容器に小分けして保存しましょう。
残った食品を温め直す時も十分に加熱しましょう。

茨城県では、7月1日(日曜日)~8月31日(金曜日)を「食中毒予防月間」と定めて食中毒予防啓発活動を実施しています。