画像

健康まめ知識

アーカイブ: 健康まめ知識

最後の寒気、 冬場は脳卒中の危険度大!(2006年2月)

 

     
 
2月のテーマ:
最後の寒気、

冬場は脳卒中の危険度大!

 暦の上では春、徐々に暖かい日も増えてきました。しかし年間で一番気温が低いとも言われる季節です。晴れた日中などは春の陽気ですが、それでも夜間は冷え込むことも多いのがこの時期。そこで注意したいのが、暖かい室内から急に寒い室外へ出たときや、お風呂場・お手洗いなど暖房のきいてない場所へ移動したときなどに起こりやすい脳卒中。寒い時期の脳卒中発症率は、暖かい時期の1.5倍になると言われています。今回は、その脳卒中についてご紹介します。日常生活から気を配り、危険を減らしましょう。
 
     

 

脳卒中ってどんな病気?
 
 

脳卒中とは、脳の血管がつまったり破れるなどしたために、その先に酸素が届かなくなり脳細胞が死んでしまう病気のこと。脳が急に(卒然と)悪い風に当たる(中る)ために起こる病気と解釈され、このような名前がつけられたと言われています。

大きな発作が起こると、半身麻痺になったり急に倒れて意識がなくなったりします。一方、脳の血管が一時的につまるために起こる「前触れ」の発作が出ていることもあります。この前触れには、一時的に半身が麻痺したり言葉が出てこなくなったりするほか、手足のしびれ、物が二重に見えるなどの現象があり、前触れに気づいて早めに治療をすることが大切です。脳はきわめてデリケートな器官のため、血管の病変によってうけた障害は、迅速に処置しないと大きなダメージが残ってしまうので、脳卒中の治療は時間との戦いと言われています。

 
脳卒中の種類
 
脳梗塞
 

脳を養う血管がつまるタイプで、次の3種類に分けられる。脳卒中死亡の60%以上を占めています。

「アテローム血栓性梗塞」

脳の太い血管の内側に、ドロドロしたコレステロールのかたまりができ、そこに血小板が集まって動脈をふさいでしまう。

「ラクナ梗塞」

脳の細い血管に動脈硬化が起こり、血管がつまってしまう。

「心原性脳塞栓症」

心臓にできた血栓が流れてきて、血管をふさいでしまう。

脳出血
 

脳の中の細い血管が破れて出血し、神経細胞が死んでしまうタイプ。高血圧や、加齢によって脳血管が弱くなることで、血管が破れてしまうことが主な原因となる。日中活動しているときに頭痛やめまい、半身の麻痺、意識障害などが起こる症状で、脳卒中死亡の約25%を占めます。

くも膜下出血
 

脳を覆っている軟膜、くも膜、硬膜という3つの層の膜のうち、くも膜と軟膜の間にある動脈瘤が破れて、あふれた血液が脳全体を圧迫することで起こる。動静脈奇形が出血の原因となる場合もあり、突然激しい頭痛が起きたり、嘔吐、ケイレンなどが起こる。意識不明になり急死することもある。脳卒中死亡の10%強を占める。

常生活の注意点
 
 脳卒中を防ぐには、高血圧予防が第一。そのため、高血圧の原因となる生活習慣を見直し、改めることが大切です。
日頃から自分の血圧を把握し、基礎疾患の管理をしておく
 

健康診断や測定器具などを利用して、自分の血圧がどのくらいなのか把握しておきましょう。血圧が高めな人は、食事のバランスなどにも気をつけて。特に塩分のとり過ぎは血圧を上げる原因になるので、血圧の高い人は一日7gを目安に。

急激な温度変化を避ける
 

暖かい場所から、急に寒い場所へ移動すると血圧が急激に上がるため危険です。特に冬場のお風呂や夜間のお手洗いなどは要注意。お風呂は熱いシャワーを出しておくなどして浴室内を温めておくとよいでしょう。

過労・睡眠不足に注意する
 

過労や睡眠不足は血圧を高めます。夜更かししないよう、気をつけて生活リズムを整えましょう。また、ストレスも身体の大敵。睡眠と併せてリラックス法などを見つけ、上手にストレスを解消しましょう。

喫煙・飲酒はほどほどに
 

毎日お酒を飲む人(日本酒なら1合以上の量)は、脳卒中で死亡する人が多くなるという統計が出ています。また、1日平均40本以上のたばこを吸う人は、吸わない人に比べて死亡率が約4倍にもなります。

肥満に注意する
 

肥満は脳卒中の危険因子である高血圧や糖尿病の原因になるため、間接的に脳卒中の危険因子となります。肥満を防ぐためにも、日ごろから運動する習慣を。また、運動不足は肥満につながるだけでなく糖尿病や高脂血症、高血圧も引き起こすので要注意!

便秘にも注意する
 

あまり意識しないことですが、排便時にりきむと、血圧が上昇します。なんとクモ膜下出血の20%は用便中に起きているという報告もあるのです。便秘がちな人は特に、便通にいいとされる食物繊維を多く含む食品や水分を多く摂るなど、食生活にも気をつけましょう。

 

 脳卒中は、発症してからの迅速な対応が大切ですが、それよりもまずは脳卒中にかかる危険を減らす身体と生活習慣づくりが最優先の課題。血圧管理をはじめ、食事に気をつけて塩分やコレステロールの摂取を減らすよう気をつけて生活しましょう。

 

 

「一年の計は元旦にあり」(2006年2月)

 

一年の計は元旦にあり」

茨城県栄養士会

大津 音江

 
 
 
 「一年の計は元旦にあり」といいますが、皆さんの年明けはいかがだったでしょうか?

健康も、実は年初めの食生活が大きく影響するのです。

寒さと日照時間の短さによる運動不足、忘年会やクリスマスなどでの年末に酷使した胃袋にさらに拍車をかけるようなおせち料理や新年会などの宴会料理が続きます。必要以上に蓄積された体脂肪、そのまま引きずってはいませんか?1kg増えた体重を元に戻すには7000Kcalの消費が必要ですが、1日30分【分速60m】歩行しても消費カロリーは100 Kcal程度、2ヶ月以上もかかります。その上2月はますます寒さが厳しい季節、外に出るのも億劫になる時期です。気づいた頃には体調不良で病院通い、生活習慣病の発症なんてことにもなりかねません。生活習慣病は、過食・偏食、運動不足、喫煙、多飲、ストレス、肥満などが起因する慢性疾患ですが、自覚症状のないうちに予防するのが一番です。さあ今日からでも遅くはありません。今年1年無病息災(一次予防、二次予防、三次予防)健康成就を願って食生活(日常生活)を見直してみましょう!!

 
自覚症状で健康チェック

(A)
1
のどが渇く【口渇】□
2
ジュースや水がやたらにほしくなる【多飲】□
3
夜間おしっこに何回も起きる【多尿】□
4
ジュースやコーラは水代わりに飲む、

1日ペットボトル1リットル~2リットルは飲んでしまう□

5
果物やまんじゅうがすき、毎日2~3個は食べる□
(B)
6
漬物や梅干、味の濃いお惣菜が好きで毎食のように食べている□
7
刺身にはたっぷりの醤油をかけて食べる、

塩焼魚にも醤油をかけて食べるのがすき□

8
ラーメンやうどんなど麺類が好き、つゆも残さず飲みきるほうだ□ 
(C)
9
てんぷらやフライなど揚げ物はよく食べる、

トンカツの脂身のところが特にすき□

10
ケーキやシュークリームなど洋菓子が大好き、

ソフトクリームもよく食べる□

11
あん肝や霜降り肉がすき、鍋物は水炊きよりすき焼きが好き□
12
和食より洋食、中華料理が好き、お浸しや酢の物は嫌い□
13
お酒はよく飲む、ほとんど毎日飲まないと寝付けない□
14
最近 体重が増えてきた、運動不足を自覚している□
15
お腹のまわりが眼に見えて太ってきたのがわかる□
(D)
16
スポーツの後に飲むビールと、焼肉は最高!毎日でもいける□
17
最近 胃の調子が悪い、食欲がない、背が張る、肩が凝る□
18
最近 寝起きの顔がむくんでいるような気がする、頭がすっきりしない□
19
野菜やきのこ類は苦手だ、ほとんど口にしない□
20
朝食抜き、昼は麺類か菓子パン、

夜はカップラーメンか外で飲むことが多い□

 
1~20の項目であなたはいくつ該当しますか?
(A)
2型糖尿病によくみられる症状です
(B)

高血圧のリスクファクター【要因】

(C)
高脂血症、脂肪肝(内臓肥満)、アルコール性肝炎などが疑われます
(D)
痛風や腎機能の低下、胆のう炎(胆石)、胃腸はだいじょうぶ?
 

※生活習慣病は、日常生活の多様な悪循環が複合して起きる病気です

該当する項目がある方は、早めに病院で検査してみましょう

病気は早期発見・早期治療で、あなたの健康寿命を延ばします 

食事も良質のたんぱく質や食物繊維の豊富な野菜をたっぷりとりましょう

 

《お知らせ》

 

◎栄養診断は、茨城県栄養士会で行っています

◎食事摂取基準や治療食について詳しくお知りになりたい方は、

専門の管理栄養士がお答えします

   
   

 

 
 

 

 

ウォームビズで 低温やけどを予防しよう!(2006年1月)

 

     
 
1月のテーマ:
ウォームビズで

低温やけどを予防しよう!

 新年明けましておめでとうございます。今年も一年、家族揃って健康で元気な生活を送れるよう、日ごろから体に気をつけていきましょう。さて、今回は寒い季節に大活躍のカイロやコタツについてのお話を。この時期手放せないあったかアイテムも、使い方を誤ると重症な低温やけどの原因となることもあるのでご注意を!
 
     

 

低温やけどとは?
 
 

人間が快適で暖かいと感じる温度を放出する熱源でも、それが同じ部位に長時間接触することによっておこるやけどのこと。 60 ℃前後で約 1 分、 50 ℃前後で約 3 分、 45 ℃前後でも約 6 時間同じ部位に接触していると起きるといわれています。熱湯などによる高温やけどの場合は、「熱い」と感じてすぐに熱源から離れることができ、対処もできますが、低温やけどの場合は低い温度でゆっくりとやけどが進行するため、自覚することが遅れ、症状も重くなってしまいます。熱源に長時間触れていなければ何の問題もありませんが、「熱い」と感じる温度ではないため、普段何気なく使っている温熱器具が低温やけどの原因となることも。温熱器具を日常的に使用する冬場こそ、日ごろの注意が必要なのです。

 
低温やけどの原因と症状
 
■ 低温やけどの原因となる温熱器具のベスト 5

1.使い捨てカイロ

2.湯たんぽ

3.あんか

4.電気コタツ

5.ホットカーペット

使い捨てカイロやホットカーペット、湯たんぽなど直接体に触れる物の他、あんかや電気コタツなど体に直接触れない器具でも低温やけどの原因になるのです。

また、低温やけどは、表面上それほどひどくないように見えても症状が重いケースが多い、恐いやけどです。通常やけどの程度は症状によって3段階に分けられ、表皮のみのごく軽いやけどを指す「1度熱傷」、表皮の下にある真皮まで達してしまい水疱ができてかなりの痛みを伴う「2度熱傷」、そして。真皮の下の皮下脂肪までに及ぶ相当重い「3度熱傷」となります。

なんと、低温やけどは内部では2度熱傷や3度熱傷にまで達してしまう場合が非常に多いのです。ちなみに3度熱傷まで達すると再生可能な細胞組織がすべて壊死してしまい、痛みは感じず皮膚も再生してきません。そのため、やけどの面積が広いと皮膚移植が必要になります。また、皮膚組織が壊死してしまった場合、感染症にかかりやすくなるので注意が必要なのです。

低温やけどの治療と予防
 
 温熱器具を使っているときに、皮膚が赤くなっていたら低温やけどを起こしている可能性があります。低温やけどになってしまった場合は、水で冷やしても効果はありません。そのため、たとえ患部が狭くても速やかに病院へ行き診察を受けましょう。先に書いたとおり、感染症の予防のためにも必ず医師の処置が必要なのです。また、低温やけどが広い範囲に及ぶようなら、皮膚移植が必要になってしまうこともあるので、自分で判断せず、必ず病院へ行くこと!
低温やけどを防ぐには
 

・使い捨てカイロは肌に直接貼らない。

・湯たんぽはタオルなど布にきちんとくるんで使う。

・暖房器具の温度は低めに設定する。

・コタツや、ホットカーペットの上で眠らない。起きているときもクッション等を使って、熱源が肌に直接触れないように気をつける。

   
 

以上、日ごろから注意できることばかりです。疲れているときやお酒を飲んだ後などは、熱さに気付かない場合が多いので特に注意しましょう。また、乳幼児やお年寄り、思うように動けない病人へは周りの家族が注意して配慮してあげる必要があります。

ちなみに、かかとやくるぶし、すねなどは皮膚のすぐ下に骨があるため、毛細血管が圧迫され、やけどをしやすい部位といわれています。

 

 最近では、ノートパソコンで低温やけどをしたという事例も出ています。熱を持ちやすいノートパソコンは、キーボードの上も熱くなりやすく、長時間手を置いて作業していたために手のひらが低温やけどになってしまったそうです。また、靴(靴下)用カイロの使用にも注意が必要。これは酸素の少ない靴の中での使用を目的として製造されているので、腰やお腹などに使用した場合酸化反応が過剰に起こり、高温になることがあります。これは靴を脱いだあとに貼り続けていても同じ状態になります。これらの事例も踏まえ、使用法にはくれぐれも注意しましょう。

近頃叫ばれている「ウォームビズ」。低温やけど防止のためにも、温熱器具の使用を控え、重ね着やブランケットなどを活用して体に優しい温かさを得る工夫をしましょう。

 

 

「食品の安全性」を守る(2006年1月)

 

「食品の安全性」を守る

社団法人茨城県栄養士会

管理栄養士 荒田玲子

 
 
 
 ちょうど 20 世紀から 21 世紀に変わる頃、大手乳業メーカーの食中毒事件、香料メーカーの違法行為や輸入牛肉など食品の偽装事件、鯉ヘルペスや鳥インフルエンザの問題等が起こり、食への不安が高まりました。食品の安全性と安心は、どのようにして守っていけばよいのでしょうか?情報が大量に入ってくる一方、知りたい情報を得ることができず、不安だけがつのる今日この頃です。 2003 年 12 月より輸入禁止となっていた米国産牛肉が、 2005 年 12 月より輸入再開されました。賛否両論の中、米国の圧力が見え隠れする中での輸入再開でしたが、皆さんはどのように考えますか?
Q.
 安全が確保されたとして、輸入が再開された米国産の牛肉は安全なのでしょうか?
 
A.

 内閣府食品安全委員会によりますと、 (1)生後 20 ヶ月以下の牛 (2)特定危険部位の除去この 2 つを厳格に守る事ができれば、国産牛と同じレベルの安全性が確保できるという見解が出されています。問題点としては、米国の「月齢の判定」と「特定危険部位除去」の 2 点が正しく行われるかにかかっているようです。また、 30 ヶ月以下へ漸次引き上げようという動きもあるようですから、今後も注意深く監視する必要があります。

  

Q.
BSEは、なぜ発生したの?

  

A.

  スクレイピー(BSEと同じ症状を起こす羊の病気)で大量死した羊の屍骸を肉骨粉として牛の安い飼料としたことが、
羊  ( スクレイピー )  → 牛(BSE) → 人  ( 変異型クロイツフェルト・ヤコブ病 )

の連鎖に繋がったといわれています。

また、 1973 年の第一次オイルショックの石油高騰により、レンダリング ( 肉骨粉製造時の煮沸処理 ) の温度を 100 ℃以上から 80 ℃に下げたことも、発生を拡大した一因ではないかといわれています。

1984 年イギリスのミッドファーストという小さな村で、初めて確認された牛のBSE。イギリス政府がきちんとした対策を講じなかったがために、 2001 年時点で 106 名の変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の発症をみる結果となってしまいました。コスト削減と効率性ばかりを追及した結果、BSEが発生してしまったと言えるでしょう。

  

Q.
米国牛輸入禁止後も輸入販売されているオーストラリア産牛は安全なの?

 

 

A.

オーストラリア産牛肉の安全性は非常に高いといわれています。以下の予防を早手回しにやっている事からです。

(1)1952 年から生きた羊とやぎの輸入を禁止

(2)1966 年から肉骨粉の輸入を禁止

(3)1999 年から国内の肉骨粉使用も禁止

 

<  参考  >

日本の肉骨粉の使用禁止は、 2001 年 10 月(国内1頭目BSE感染牛発生直後)からです。

また、米国では現在も鶏や豚に安価で効率よい飼料として牛の肉骨粉が使用されており、食品安全委員会も肉骨粉の全面使用禁止を米国に求めています。

 

食品の安全性を守るには、「消費者の高い見識」が不可欠です。

   
 

  食品の安全性を守るには、安全な食品を作る生産者を守り育てる気持ちが不可欠です。スローフード運動や、地産地消運動の思想とも符合します。

安くて良いものも確かにあります。しかし一方、安価ではあるが、安全性に欠ける食品もたくさんあります。安さばかりを求める消費者が多ければ、安全性を第一に考える生産者は育ちません。

無農薬・減農薬野菜、無添加食品は、コストがかかるものが多いのです。安全性を高めるには、長期間にわたる、消費者の投資が必要です。

食品の履歴を確認できるトレイサビリティーの仕組みも日本で導入され始めています。知りたい情報が少しずつ入手可能になってきています。(仕組みの運営にかなりのコストがかかります。国や生産者、消費者もその費用を分担することになりそうですが、安全、安心のために必要な投資ですね。)

今回の牛肉問題も、長い目で安全を監視し、問題意識を持ち続けたいものです。
食品安全委員会 は、食の安全の問題を精力的に審議しています。月 4 回程度行なわれる委員会は公開で行なわれ、誰でも傍聴できます。委員会の活動や、食の最新情報、安全情報、委員会の開催日や議題は以下のホームページから見ることができます。正しい情報を得、「本物の食」を選び取るため、「食に関する高い見識」を持ちましょう。

食の安全確保は、未来の子どもたちへの贈り物です。目先の利益に惑わされず、守っていきたいものです。

   
 

食品安全委員会ホームページ

  

 

 

身近なアレルゲン 「ハウスダスト」を大掃除!(2005年12月)

 

     
 
12月のテーマ:
身近なアレルゲン

「ハウスダスト」を大掃除!

 いよいよ師走。一年の締めくくりとして、そして新年を迎える準備として、大掃除の季節になりました。普段なかなか掃除をしない場所まで徹底的にキレイにするそのついでに、今年は「ハウスダスト」もお掃除しましょう。ということで、今回は近年騒がれているハウスダストの正体と対策についてご紹介します。
 
     

 

ハウスダストとは?
 
 ハウスダストとは、ご存知の方も多いと思いますが、空気中の目には見えないほど小さなホコリのことです。その正体は、チリやホコリの他、ダニの死骸やフン、花粉や胞子、タバコの煙粒子など様々。これら空気中に浮遊する微粒子を総じてハウスダストと呼びます。
このハウスダストが鼻炎や皮膚炎などのアレルギー症状や、花粉症、ぜんそくなどの症状を引き起こす原因になるとも言われ、専用の対策製品も多く目にします。また、最近では高気密の構造で建てられた住宅が増え、その気密性が却ってハウスダストの問題を深刻なものにしているとも言われます。
 
ハウスダストを防ぐには?
 
 基本はやはりこまめなお掃除。床にはあまり物を置かないように、整理整頓して普段から掃除のしやすい部屋にしましょう。細かいホコリはダニのエサになるため、普段のお掃除がダニの発生防止にもつながります。一番のポイントは、家具や床などにホコリが溜まらないように注意すること。これは毎日のお掃除が大切ですが、掃除の際もホコリをたてないように、掃除機で吸い取るか雑巾でふき取るようにしましょう。ただし、掃除機もハウスダスト対策のしてあるものを。吸い込んだホコリが排気と一緒に出てしまうタイプのものでは、ホコリをまた撒き散らしてしまうことになるので、一度ご家庭の掃除機をチェックしてみましょう。

また、お部屋の換気も重要なポイント。カビの発生を防ぐことにもなるので、換気はこまめに行いましょう。その際、空気のこもりがちな押入れやタンスも開け放しておきます。さらに扇風機などで強制的に空気を循環させると効果的。空気清浄機を利用するのもおススメです。

普段からできる対策
 
 それでは、家庭で行える乾燥肌対策をご紹介します。乾燥を防ぐ=保湿。今日から実践して、潤いのあるお肌を手に入れましょう。
ファブリックの場合
  ・ホコリの溜まりやすいじゅうたんや、毛足の長いカーペットなどはなるべく避けること。使う場合は、ホコリが気にならなくてもこまめに掃除機で吸い取る習慣をつけましょう。ぬいぐるみなどもダニがつきやすいので、同様に。

・肌に直接触れる寝具も、干しただけでは取れないホコリやダニの巣。カバーをこまめに洗濯するのはもちろん、布団なども掃除機で吸い取るようにします。そして布団を干すときは、よく晴れた日の10時~午後2時の間に干すのがベスト。干している時に叩くのではなく、取り込んだときに掃除機をかけるほうが効果的です。

・意外と忘れがちなカーテンもお掃除を。叩いてホコリを落とすのではなく掃除機で表面のホコリを吸い取り、定期的に洗濯するかクリーニングに出しましょう。

   
キッチンや浴室の場合
  ・ダニやカビは湿度を好むため、流しを使った後や入浴後は水滴をふき取り、換気扇を回しましょう。加えて、家や部屋が換気の悪い造りの場合、換気扇はなるべく回しっぱなしにしておきます。
大掃除の時のポイント
  ・マスクを着ける

ホコリを吸い込まないよう、マスクなどを着けて掃除にとりかかりましょう。
・エアコンのフィルターを掃除する

やらなくては、と思いつつなかなか手が出ないエアコンの掃除。フィルターにたまったホコリをとり、キレイに掃除しましょう。ハウスダストの軽減だけでなく、電気代の節約にもなるので、月に一度は掃除するよう心がけましょう。
・押入れを掃除する

目だったカビなどがなくても、押入れの中のものを出してふき掃除と換気を。掃除する間、しまってあった本などは日干しをしておくとカビ防止になります。また、サイズも豊富で手軽なダンボール製の収納を活用している家庭も多いと思いますが、紙の素材は吸湿性が高いのでカビの発生を助長する可能性が。他の素材に変えるか、収納箱自体もときどき日干しするなどの工夫をしましょう。

   
   たかがホコリ、されどホコリ。なんとなくホコリっぽいなと感じると、キレイな空気が吸いたくなるのは当然の身体の反応です。放っておくと咳がでたり、鼻がぐずついたり、様々なアレルギー反応を引き起こす原因ともなりかねません。普段からのお掃除、換気などに加え普段手の届かない場所も掃除して、家中のホコリと汚れた空気を徹底除去!すがすがしい空気の中で新年を迎えましょう。

 

 

「高齢者の栄養と低栄養予防について」(2005年12月)

 

「高齢者の栄養と低栄養予防について」
社団法人 茨城県栄養士会

矢代あや子

 
 
 
 幼児から高齢者まで、「食べる」ことは大きな楽しみの一つです。

1日中テレビの前でお菓子をつまんだり、お茶を飲んだりしていると三度の食事がきちんと食べられなくなってきます。

食欲の低下により食事摂取量が減り栄養が不足しやすくなります。体重が徐々に減ってきたら要注意!低栄養状態(主にエネルギーやたんぱく質が不足した状態)になると、病気が治りにくい、認知症が進行する等の症状がでてきます。

予防のためにはまず、主食(ご飯やパン、麺類)や主菜(肉・魚・卵・大豆製品)をしっかりと食べるようにしましょう。
高齢者の体の特徴を考慮した、食べやすく飲み込みやすい食事の工夫をし、充分な栄養が補給できるように努めてまいりましょう。

1.
のどの通りを滑らかにする、のどごしの良い形にしましょう。
 
 唾液の分泌量が減り、嚥下(飲み込む力)が弱まります。食べ物がのどに詰まったり、気管に入ってしまわないように、汁気を多めに作ります。食材によってはつぶしたり、すり下ろす、裏ごしする、刻んで煮込んでからとろみをつけると食べやすくなります。
 
2.
入れ歯でも噛みやすい形にしましょう。
 
 あごの力が弱くなったり、入れ歯だったりして、噛む力がなくなってきます。噛みにくい肉や、繊維の多い野菜は小さく切りましょう。一口大の食べやすい大きさに切ったり、隠し包丁を入れ柔らかく調理すると噛まなくても歯ぐきや舌しつぶせるようになります。
 
3.
消化しやすい柔らかい形にしましょう。
 
 噛む力とともに、消化力も落ちてまいります。野菜や肉は柔らかく火をとおしましょう。圧力鍋を使用すると、短時間で肉や野菜が柔らかくなります。食材に応じて加熱時間や加圧時間を調整して調理しましょう。
 
4.
箸やスプーンでもつかみやすい形にしましょう。
 
 細かく刻んだ野菜や肉、表面がつるつるしている里芋などは箸ではつかみにくいものです。

あんをかけたり、スプーンの裏で押しつぶしたりするだけでも食べやすくなります。めん類等はスプーンにのる長さに切ってから調理すると食べやすくなります。

 

 

 

空気の乾燥する季節。 乾燥肌対策を万全に!(2005年11月)

 

     
 
11月のテーマ:
空気の乾燥する季節。

乾燥肌対策を万全に!

 今年も残すところあと2ヶ月、そろそろ冬めいて空気が冷たくなるとともに乾燥してまいります。寒い季節になると、腕や足、背中がカサカサ乾燥してかゆくなってしまう人も多いのではないでしょうか?そこで、今回は乾燥肌を防ぐ対策法をご紹介します。乾燥は美容の大敵でもあるので、女性のみなさんもしっかり乾燥対策&保湿をして潤いのあるお肌を手に入れてください。
 
     

 

乾燥肌とかゆみのメカニズム
 
 乾燥肌には生まれつきの肌質も関係していますが、日ごろの生活や肌のお手入れによって乾燥しやすくなってしまうケースも多く見られます。人間の肌は何層にも分かれていて、一番上の層、外気と接する層が「角質層」です。角質層には外界の刺激物質や細菌から皮膚を守る役目と、肌の潤いを保つという役目がありますが、その厚さはわずか2,000分の1mmしかありません。その薄さの中に、15~40%の水分を含んでいます。角質層の水分が少ない状態が乾燥肌ということになります。

かゆみを感じる神経線維は、肌の奥にある真皮から表皮に向かって伸びています。皮膚が乾燥してくると、皮膚の基底層の細胞から神経を伸ばす作用のある神経成長因子(NGF)という物質が放出され、角質層のすぐ真下までかゆみ線維を成長させてしまいます。つまり、皮膚の一番表面に近いところまでかゆみを感じる神経線維が伸びてくるため敏感に反応しやすくなってしまうのです。また、身体を洗うときにナイロンタオルでこすったり、かみそりでむだ毛を処理したりすることで角質層が必要以上にはがれてしまうと、角質層を保護するセラミド(角質細胞間脂質)や天然保湿因子(NMF)が失われ、敏感肌の原因にもなります。さらに冬は皮脂の分泌量が減るため、皮膚を保護する油分が不足してますます乾燥しやすくなってしまいます

乾燥肌対策いろいろ
 
 それでは、家庭で行える乾燥肌対策をご紹介します。乾燥を防ぐ=保湿。今日から実践して、潤いのあるお肌を手に入れましょう。
お風呂編
 

・摩擦の多いナイロンタオルは使わない。

身体を洗うときは石鹸をよく泡立て、手で洗うようにしてみましょう。もしくは、敏感肌用のボディタオルなどを利用し、石鹸など洗浄料をつけないで軽くこすり洗いするのもおススメです。お湯につかって体温が上がると毛穴が開き、皮脂や汗と一緒に老廃物などが浮き上がってくるため、洗浄料なしでも汚れは落ちます。

・入浴剤を利用する。

市販されている入浴剤のほとんどは乾燥肌に効果がありますが、保湿効果と水分揮発防止効果(素肌に膜をはり、集めた水分を逃さない作用)の2つの効果を併せ持った入浴剤がベストです。

・湯船の湯気を有効活用する。

まず、熱すぎない湯船に浅めにつかり、頭からタオルをかぶります。次に顔をお湯に近づけて1分間くらい湯気を顔にあてます。身体を起こして少し休憩し、再びタオルをかぶってまた1分。これを5回ほど繰り返すと、スチーム効果でお肌がしっとりすべすべになります。

・かみそりでのむだ毛処理は、入浴中にしない。

入浴中にかみそりを使うと、角質層が必要以上にはがれてしまいます。むだ毛をかみそりで処理する場合は、お風呂上りの清潔な状態で、かみそりとの摩擦を防ぐために保湿剤を塗った状態で行うようにしましょう。

・熱いシャワーは避ける。

必要以上に熱いシャワーは、直接肌を傷める原因となり、乾燥を悪化させます。冬場は冷えますが、ぬるめのお湯にゆっくりつかる入浴が一番。洗顔のときも、シャワーを直接顔にかけるのは刺激が強すぎるのでやめましょう。

・お風呂あがりにはたっぷり保湿する。

お風呂上りの身体は、内側からも乾いています。たっぷり水分をとり、体内から真皮へ、そして表皮へと潤いをあたえましょう。また、入浴で失われたお肌の水分や皮脂分は、乳液やクリーム、ボディローションでしっかり補うこと。ひじやかかとなどがガサガサしている場合は、ホホバオイルなどを塗るといいでしょう。

生活編
 

・部屋の湿度に気を配る

エアコンの使用は、部屋の湿度を低下させて肌の乾燥を招きます。エアコンの使用は最低限にし、加湿器を使用するなどして部屋の湿度を保ちましょう。加湿器がない場合は、濡れたタオルを室内にかけておくだけでも加湿効果が得られます。

・身体を動かして、血行をよくする

肌をつくる栄養素を運んでいるのは、身体中を巡る血液です。血行が悪くなると栄養が行き届かなくなるため、皮膚の生まれ変わり(ターンオーバー)が遅れ、肌の乾燥につながります。肌へとつながる血管の末端部分には、心臓のポンプの圧力が届かないため、身体の筋肉を動かすことでしか血液を行き届かせることができないのです。毎日少しでも身体を動かし、血行をよくすることを心がけましょう。

・規則正しい生活と食事を心がける

健康な肌を作るには、規則正しい生活と十分な睡眠時間が欠かせません。また、肌を作る栄養素は、食べ物から摂取するので、バランスよい食事をとることも忘れずに。規則正しい生活と食事が、肌の細胞分裂を活発にし、健康で瑞々しい肌を保ってくれます。

 

・化粧品にも気を配る

毎日のお化粧も、肌の乾燥を招きます。特にパウダリーファンデーションや粉おしろいは肌の潤いを取ってしまうので注意が必要。お化粧前には「つけすぎかな」と思うくらいたっぷりの美容液(セラミドなどの保湿成分を含んだものがベター)や乳液をつけ、少し時間をおいてからメイクします。保湿効果のある化粧下地を使うのもよいでしょう。

・日焼け止めの使用にも注意する

日焼け止め用の化粧品などに含まれている紫外線散乱剤は、紫外線対策には欠かせない成分ですが、同時に肌の乾燥を招いてしまいます。冬場はあまり使用する機会はないかもしれませんが、使うときは量や時間に気をつけ、乾燥しやすい目元・口元への使用は最低限にしましょう。

   私たちの肌に含まれる水分量は、赤ちゃんのときがピークで、20歳を過ぎた頃から急激に減少します。さらに40代にさしかかる頃には、肌表面の油分も失われてくるため肌の乾燥はより加速してしまします。化粧品のCMなどで、よく「アンチエイジング」という言葉を耳にします。しかしどんなに気をつけても肌の老化は進み、乾燥しやすくなっていきます。ハンドクリームやボディクリーム、そして保湿化粧品などを積極的に使うとともに、普段の生活でも乾燥対策を万全にして乾燥する季節をのり越えましょう。

 

 

「健康の食事」(2005年11月)

 

「健康の食事」
社団法人 茨城県栄養士会

小林 智子

 
 
 
 大方の人は1日3食の食事をほぼ規則正しく摂り、日々繰り返される食事が健康とかかわりを持っていることを、おぼろげながら理解しつつ生活を続けていると思います。健康を損なってはじめて毎日の食事がいかに大切なものかを知るという方もいるはずです。

「食べること」は、人間にとって欲求のひとつです。その欲求を制限されることは、とてもつらいことです。ある期間、あるいは場所によっては生涯になるかもしれない自制の食生活。しかも、今日食べたから、あるいは食べなかったからといって、すぐに結果のでないのが食事です。ある一定期間の経過がなければ、それなりの結果が望めません。健康と食事の深いかかわりや社会環境・文化と密接につながる食生活を理解し、より健康な生涯を送るために私たちの道しるべとなるものが「食生活指針」です。

私たち一人ひとりの健康増進、生活の質の向上、食料の安定供給の確保などを図ることを目的にした「食生活指針」は文部省(現 文部科学省)、厚生省(現 厚生労働省)、農林水産省によって共同で平成12年3月に策定されたものです。10項目からなる「食生活指針」は食料の生産流通から食卓、健康へと幅広く食生活全体を見渡した内容です。実践のための具体的な方策も示されています。

食生活のあり方は、ライフスタイルや家族形態等と深くかかわっています。「食生活指針」は食生活に関する問題の解決の糸口を示すものです。家族や仲間と豊かで健康な暮らしを実現させるために「食生活指針」の活用をお勧めいたします。

<食生活指針の内容>
食事を楽しみましょう。
 
  • 心とからだにおいしい食事を、味わって食べましょう。
  • 毎日の食事で、健康寿命をのばしましょう。
  • 家族の団らんや人との交流を大切に、また、食事づくりに参加しましょう。
1日の食事のリズムから、健やかな生活リズムを。
 
  • 朝食で、いきいきした1日を始めましょう。
  • 夜食や間食はとりすぎないようにしましょう。
  • 飲酒はほどほどにしましょう。
ごはんなどの穀類をしっかりと。
 
  • 穀類を毎食とって、糖質からのエネルギー摂取を適正に保ちましょう。
  • 日本の気候・風土に適している米などの穀類を利用しましょう。
野菜・果物、牛乳・乳製品、豆類、魚なども組み合わせて。
 
  • たっぷり野菜と毎日の果物で、ビタミン、ミネラル、食物繊維をとりましょう。
  • 牛乳・乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などで、カルシウムを十分にとりましょう。
食塩や脂肪は控えめに。
 
  • 塩辛い食品を控えめに、食塩は1日10g未満にしましょう。
  • 脂肪のとりすぎをやめ、動物、植物、魚由来の脂肪をバランスよくとりましょう。
  • 栄養成分表示を見て、食品や外食を選ぶ習慣を身につけましょう。
適正体重を知り、日々の活動に見合った食事量を。
 
  • 太ってきたかなと感じたら、体重を量りましょう。
  • 普段から意識して身体を動かすようにしましょう。
  • 美しさは健康から。無理な減量はやめましょう。
  • しっかりかんで、ゆっくり食べましょう。
食文化や地域の産物を活かし、ときには新しい料理も。
 
  • 地域の産物や旬の素材を使うとともに、行事食を取り入れながら、自然の恵みや四季の変化を楽しみましょう。
  • 食文化を大切にして、日々の食生活に活かしましょう。
  • 食材に関する知識や料理技術を身につけましょう。
  • ときには新しい料理を作ってみましょう。
調理や保存を上手にして無駄や廃棄を少なく。
 
  • 買いすぎ、作りすぎに注意して、食べ残しのない適量を心がけましょう。
  • 賞味期限や消費期限を考えて利用しましょう。
  • 定期的に冷蔵庫の中身や家庭内の食材を点検し、献立を工夫して食べましょう。
自分の食生活を見直してみましょう。
 
  • 自分の健康目標をつくり、食生活を点検する習慣を持ちましょう。
  • 家族や仲間と、食生活を考えたり、話し合ったりしてみましょう。
  • 学校や家庭で食生活の正しい理解や望ましい習慣を身につけましょう。
  • 子どものころから、食生活を大切にしましょう。
 

 

 

食欲の秋。 正しい知識で健康的にダイエット!(2005年10月)

 

     
 
10月のテーマ:
食欲の秋。

正しい知識で健康的にダイエット!

 徐々に肌寒くなり、道行く人々の服装にも重ね着が目立ってきました。真夏のように露出度の高い格好をすることは減りましたが、食欲の秋と考えるとやはり気になるのが「太る」という言葉。特に世の多くの女性や、中年太りの気になるお父さん達にとって「ダイエット」は常に気になる話題ではないでしょうか。今回は肥満とダイエットについて取り上げ、ただ痩せるのではなく健康的に、効果的に、身体を「引き締める」方法についてご紹介します。
 
     

 

「肥満」のメカニズム
 
肥満とは、その人の標準体重より重いということではなく、体脂肪が過剰に蓄積した状態のことをいいます。下に肥満のタイプをいくつかの分類に分けて挙げますので、自分のタイプと問題点、適したダイエット法をチェックしてみましょう。
体型による分類
 

見た目で判断する、一番分かりやすい分類。脂肪の多くついている部分で判断します。
1.内臓脂肪型(リンゴ型)

多くが「上半身肥満」で、腹部の内臓に脂肪がたまり、弾力のあるタイプ。「ビール腹」ともいわれるいわゆる中年太りの体型で、男性に多く見られるタイプです。肥満による合併症を起こしやすいタイプでもあり、運動による減量が効果的です。

内臓脂肪型は生活習慣病と関わりが深く、高血圧、脳卒中、糖尿病、虚血性心疾患などのリスクファクターとなりますが、運動による減量で効果が出やすいので、日ごろから積極的に身体を動かすように心がけると良いでしょう。

2.皮下脂肪型(洋梨型)

多くが「下半身肥満」で、腕や足、お尻などの皮下に脂肪がたまり、ぶよぶよしたタイプ。日本女性の典型的な体型とも言われ、女性に多く見られる体型です。

女性は年齢と共に脂肪のつく場所に変化が見られることが多く、20代後半ころまではお尻や太ももについていた脂肪が、30歳を過ぎたあたりからウエストやお腹まわりにつきやすくなり、更に皮膚のハリがなくなることや筋力の減退、重力の関係でお尻が垂れ下がってきます。肥満による合併症を起こす心配はあまりありませんが、美容の面からも余分な脂肪をためないこと、適度な筋肉を維持することは大切です。

脂肪細胞からみた分類
 

1.脂肪細胞肥大型

脂肪細胞のサイズが大きくなる肥満で、痩せると脂肪細胞のサイズが小さくなります。成人期以降に多く見られ、内臓脂肪型に多い肥満のタイプです。

2.脂肪細胞増殖型

脂肪細胞の数が増え、痩せても脂肪細胞の数は減りません。乳児期や思春期に多く見られ、皮下脂肪型に多い肥満のタイプです。

脂肪細胞は見た目には分かりにくいため、肥満になった時期で判断しましょう。注意すべきなのは、一度増えた脂肪細胞は小さくはなってもなくなることはないということ。思春期頃までにすでに肥満で、それ以降に太るという、脂肪細胞肥大型と増殖型のふたつのタイプを併せ持った肥満は、重度の肥満症に陥りやすくなるので注意が必要です。
肥満の弊害
 
「肥満は万病のもと」とも言われ、肥満になると多くの器官に異常を起こし、合併症にかかる危険性が高くなります。
循環器系では
 

循環血液量、心拍数が増加して「高血圧」「心疾患」を引き起こします

呼吸器系では
 

脂肪が呼吸の妨げとなって、一時期話題となった「睡眠時間無呼吸症候群」の原因となります

骨格系では
  重い体重が負担となって「腰痛」などを引き起こします。
内分泌、代謝系では
  インスリンの感受性が低下して「糖尿病」に、血中脂肪が増加して「高脂血症」に、尿酸が増加して「痛風」に、卵巣機能障害により「無月経」「過少月経」になるなどの弊害が心配されます。
このほか「脂肪肝」や「胆石症」などの誘引因子にもなり得、健康な生活を送るためにも過度の肥満は大敵ということが分かります。
目的をもったダイエットを
  さて、肥満のメカニズムと弊害について紹介したところで、いよいよダイエットについてお話ししましょう。

まず、最初にはっきりさせておきたいのがなぜ「痩せたい」のか、ということです。ひとことでダイエットといってもその動機はさまざま。「きれいになりたい」「健康を維持したい」「昔の服が着られるようになりたい」などなど。しかし、いつの間にか体重を減らすことだけに集中してしまうケースが多く見られるのです。

 
きれいになるためには「シェイプアップ」
 

たとえばきれいになりたくてダイエットを始めたとしましょう。しかし努力の甲斐あって体重は減ったのに、お腹や足のお肉は残ったままで、なんだかしまりがないという人。それは本来の「きれいになりたい」=「体重を落としてシェイプアップしたい」という目的のうち「シェイプアップ」に失敗してしまったのだということになります。

体重が減ったのは食事制限などのダイエットによるもので、落ちた体重の内わけは筋肉や骨の減少に過ぎない場合が多いのです。

体重だけにとらわれたダイエットは間違い!
 

ダイエット=体重を減らすという考えになってしまい、毎日体重計にのって体重を測ることに集中すると、筋肉の重量が見えなくなってしまいます。筋肉は脂肪より密度が高く、重いものだということを常に覚えておいてください。美しく痩せる、シェイプアップするためには筋肉は不可欠のもの。筋力トレーニングや運動をしながらダイエットすると、筋肉がつくため体重が減らなかったり、逆に増えることもありますが、それを「リバウンドだ」「ダイエットに失敗した」と判断しないでください。

体重以外にダイエットの進み具合を目で確かめるには、毎日鏡を見たり、気になる部分のサイズをはかってメモしておいたり、定期的に全身の写真を撮るなどして体型の変化を視覚的にとらえる方法が良いでしょう。

ダイエットの成功は筋肉にあり
  体重が減っても、お肉が残っているように見えるのは、脂肪を支える筋肉が衰えたせいです。筋肉がないと骨の少ない、お腹などの柔らかい部分の脂肪が重力でたるんだ状態になってしまうのです。たるんでしまった部分の脂肪は、食事制限などで摂取カロリーを減らしても減ることはありません。そこを引き締めるためには、筋肉を鍛えて脂肪を持ち上げるしか方法はないのです。筋肉を増強することは基礎代謝の向上にも役立つので、いずれにしてもダイエットには大切なことなのです。

ちなみに、筋肉をつくる栄養素は肉類、魚類、豆類、乳製品、卵に多く含まれるたんぱく質。これらの食品を意識的に摂り、筋肉量を効果的に増やしましょう。また、脂質が気になるときは低脂肪の食品(赤身の肉、ささみ、白身魚、低脂肪乳、豆腐などの豆製品)を選ぶとよいでしょう。

自己分析で、正しいダイエットを
 
肥満度を測定しよう
 

ダイエットを始める前に、まずは自己分析。自分の肥満度や体脂肪を計り、自分に必要なダイエットを知ることからはじめましょう。

肥満度チェックの目安となるBMI(Body Mass Index)指数の測定

BMI=体重(kg)÷身長(m)2

BMIの標準値は、18.5~25で、理想数値は22です。つまり身長(m)2×22が理想体重(kg)となります。数値が25以上だと生活習慣病のリスクが高いといえるので、BMI値が25を超える人は注意しましょう。また、18.5を下回る場合は標準体重より少ないということになるので、体重を減らすダイエットが本当に必要なのかどうか、もう一度考えてみてください。体重は軽いのにたるみが気になる場合は、先にも述べたとおり、筋肉を鍛えてシェイプアップすることをお勧めします。

体脂肪を測定しよう
 

ヒトの身体は水、骨、筋肉、脂肪で構成されています。体脂肪率とは全体重に占める脂肪の割合で、この数値からも自分の肥満度を知ることができます。測定機は手軽に使えるものが出回っているので、ダイエットを始めるのならば一台用意してみましょう。

  男性 女性
適正 10.0~24.9% 15.0~29.9%
少し太り気味 25.0~29.9% 30.0~34.9%
肥満 30.0%以上 35.0%以上
(IMC基準)

体脂肪率は、一日のうちでも変動します。正しく測るために、朝・夕食前、入浴後など、なるべく同じ条件、同じ時間帯で測定する習慣をつけましょう。

BMI値と体脂肪率を測定し、自分の理想の体重を知ることでダイエットの目安としてください。

健康的なダイエット目標の目安は、1ヶ月で3kg程度、肥満の方で5kgまでといわれています。食事を抜いたり、同じ食品だけを食べ続ける単品ダイエットは、身体に必要な栄養素が足りなくなり、身体に負担をかけるので危険です。ダイエット中こそ3食を規則正しくとり、貧血、骨粗しょう症、便秘など無理な食事制限で起こりやすい弊害に気をつけましょう。ドカ食いをやめて摂取カロリーを減らすこと、運動でカロリーを消費し、筋力をつけること、これを頭に置いて、健康的に美しくダイエットしましょう!

 

 

「健康と食事」 「予防食」?それとも「治療食」?(2005年10月)

 

「健康と食事」

「予防食」?それとも「治療食」?

社団法人茨城県栄養士会

小室秀子

 
 
 
 食べることは、とっても楽しくかつうれしいものです。今夜が大好きな献立とわかったらその時から、お腹がグウ、グウ、心はわくわくするものです。

そのような楽しみをいつまでも続けられたらどんなによいでしょう。私達日本人は世界一の長寿国です。少しでも長く健康を保ち『食』を楽しみたいものです。

メタポリックシンドロームをチェック
内臓脂肪(腹腔内脂肪)蓄積立位、軽呼気時、臍レベルにて計測 
 
ウエスト周囲径 男性:85cm以上

女性:90cm以上

  上記に加え以下のうち2項目以上
脂質代謝異常
 
トリグリセリ度値(中世脂肪)150mg/dl以上

かつ/またはHDLコレステロール値40mg/dl未満

血圧高値
  収縮期血圧130mmHg以上           

かつ/または拡張期血圧85mmHg以上

糖代謝異常
  空腹時血糖値110mg/dl以上
   
いずれも軽度の疾患ですが重なることにより心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる

動脈硬化性疾患を引き起こす率が急激に高くなります。

家族皆で『学んで食して』健康を目指しましょう!
ポイント1
一日3食、決められた時間に(まとめ食いはインスリンを沢山必要となります)
ポイント2
主食(ご飯、パン、麺類等)はしっかり食べましょう。
ポイント3
主菜は一食1品、魚、肉、豆腐、卵等から1品、
ポイント4
野菜は毎食、できれば一食2品、350g以上/日
ポイント5
牛乳、果物は午前10時か午後3時頃におやつとして
ポイント6 砂糖は一日大匙1/2~1(単純糖質で速やかに血糖値を上げます)
ポイント7 油は一日大匙1~2、計量の習慣をつけ一食に油料理を重ねない。
ポイント8 薄味の工夫をしましょう。

減塩醤油、醤油1:酢1、醤油1:だし汁、醤油1:酢1:だし汁等利用出しを濃くしたり、香辛料を利用して薄味でも美味しく食べましょう。

ポイント9 みそ汁は具沢山にして朝食に
◆とっても大切なこと~健診を受ける習慣をつけましょう。
1.
病院受診時は『治療食』を目指し管理栄養士、栄養士に相談しましょうできれば『食事記録』をつけてみてみましょう。
2.
検査値の理解と、治療を中断しない理由を学びましょう。
   
学んだ『予防食』、『治療食』を実行してみてその効果(体調、気分、検査値)を実感し継続に繋がるようにしましょう。
   
ウォーキングや筋肉や骨を刺激し身体づくりをする運動(チューブ体操等)も取り入れましょう。