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赤ちゃんと虫歯(2006年6月)

 

赤ちゃんと虫歯

社団法人 茨城県栄養士会

寺門久美子
 
 
 

赤ちゃんには虫歯はありません

  生まれたばかりの赤ちゃんに歯がないので、当たり前ですネ。

赤ちゃんが5~6ヶ月位になると、離乳食を食べ始めます。離乳食は、初めはドロドロ状に仕上げ、次に舌でつぶすことのできる柔らかさの粒状に、そして歯ぐきでかめる程度の噛みごたえのある形に変えていきます。その頃には乳歯がはえてきます。

離乳食を、お母さんが口に入れて、カミカミして食べさせることがあります。これはお母さんの口の中のバイキンも一緒に食べさせることになり、やがて赤ちゃんが虫歯になってしまいます。

  虫歯は、歯の表面のエナメル質や、その内側のぞうげ質が侵されて、内部に向かって穴が空いた状態をいいます。

乳児は、エナメル質やぞうげ質の層が薄いために、虫歯の進行が速く、普段からのケアが大切です。初期の虫歯は、痛みがないので発見は難しいのですが、歯の一部の色が黄褐色になってきます。子どもが物を食べるときに、噛むのを嫌がる、熱い物や冷たい物がしみているときなどは要注意です。そのまま放っておくと、激しい痛みと共にあごの下のリンパ腺が腫れることがあります。

虫歯になると、痛みのため歯の噛み合わせが悪くなったり、あごの筋肉の発達に影響を及ぼしますし、発育に必要な栄養が十分にとれなくなります。

〔起きる原因〕

  歯質、糖分、虫歯菌(ミュータンス菌)が原因で虫歯になります。虫歯菌は糖分をエサとして、デキストランという歯垢を作ります。歯に付着した歯垢の中では虫歯菌によって酸ができ、これが歯の表面のエナメル質を溶かします。

〔予防と治療法〕

  赤ちゃんの時から薄味に慣れさせることです。三度の食事はバランスの取れたものをおやつは、ケーキ、おまんじゅう、甘みの強いジュース、あめ、アイスクリーム、チョコレートなどの糖分の多いものは避け、せんべい、さつまいも、りんご、にぼし、こんぶ、するめなどを、それぞれ時間を決めて与えるといいでしょう。

  乳歯が生え揃ってきたら、歯を磨くようにします。子どもが歯磨きをしたら、お母さんの膝のうえに子どもの頭を乗せて、「寝かせ磨き」をしましょう。そして、良くできたことをほめてあげましょう。

  予防には、食後と夜寝る前には歯を磨くものだという意識づけと習慣が大切です。フッ素を塗ったり、奥歯の小さなくぼみをシーラント(液状プラスチックの充填剤)でおおう方法もあります。

  治療としては、初期ならば進行止めの薬を塗ります。黒い色が多少つきますが、よく磨けばそれ以上の進行を防げます。

  食事は食物繊維の多い、ごぼう、れんこんなどの根菜類や、骨まで食べられる小魚など、噛みごたえのある食品を取り入れ、よく噛んで食べる習慣をつけましょう。

 

 

 

これって 5 月病? うつにご用心(2006年5月)

 

     
 
5月のテーマ:
これって 5 月病?

うつにご用心

 新しい年度が始まり、学校や職場、引越しなどで環境が変わった人も多いのではないでしょうか?新しい生活が始まってすぐは、新鮮な毎日を送り、疲れや忙しさもあまり気にならないものですが、徐々に慣れてきた 5 月、 6 月頃はストレスが心身の不調としてあらわれやすい時期です。これがいわゆる 5 月病。今回は慢性の 5 月病ともいうべき「うつ」についてのお話です。
 
     

 

うつってどんな病気?
 

 うつ病で特徴的なのは、「憂うつ感」「無気力・無関心」などの心の症状。うつ病とは、気分が落ち込み、これまで楽しんでいたことや好きだったものに興味がなくなり、楽しめなくなる病気なのです。それに加え、「疲れやすい」「眠れない」「頭痛がする」などちょっとした体の不調もうつが原因のことがあります。厚生労働省の報告によると、日本人の15人に1人はうつになる可能性があるといわれており、身近な病気としても注意が必要です。

最近ではテレビや雑誌などでうつが取り上げられるようになり、うつに対しての理解も進んできました。それでもまだ、病院に行かずにひとりで悩んでいたり、うつとは気付かずに落ち込んだ気持ちで日々過ごしている人も多いのが現状です。

「なんとなく気分が晴れない」「憂うつ感を感じる」などの心の症状もありますが、「疲れがとれない」「いつも疲れている気がする」「食欲がない」「眠れない」などの体の不調が前面に出る軽いうつは、本人もうつと気付きにくいものです。うつを正しく理解し、早めの対処ができるようにしましょう。

 
なぜうつになる?
 
  うつにかかるきっかけは人それぞれですが、ストレスが主な原因といわれています。例えば、仕事や受験の失敗、失恋、身近な人の死などのショックな出来事により気分が落ち込みます。普段であれば、これらのショックも時間と共に薄れ、心も回復していくものです。しかし、落ち込んだ気分がなかなか晴れずに大きなストレスを感じ続けた場合、気持ちが切り替えられず、うつ状態になってしまうことがあります。うつ状態をそのままにしておくと、自分のつらい気持ちを理解してもらえない→さらに気分が落ち込んでいくという悪循環に陥り、重度のうつへと進行してしまいます。そうなるまえに、まずは医師に相談しましょう。
 
こんな人は、うつの可能性が?
 
  「疲れやすい」「頭痛が続く」といった体の不調も、うつが原因の場合があります。特に、診察は受けたけど原因が分からない場合などは、注意が必要です。「調子が悪いな」と感じながらも、我慢すれば済んでしまう程度の場合は、本人も周囲の人もそれがうつであると気付きにくいものです。以下のような症状が2週間以上続くような場合は、うつを疑ってみましょう。

●うつの可能性があるこんな症状

・眠れない、または朝早く目が覚めてしまう

・体がだるい、疲れやすい

・何を食べてもおいしくない

・ときどきめまいがする

・息切れがする、息苦しさがある

・胃のもたれ、ムカつきを感じる

・食欲がない、最近急に痩せてきた

・頭痛がする

・微熱が続いている

・肩こりがひどい

・生理不順

・性欲が落ちた

・下痢、便秘など

また、他の病気が原因でうつになることもあります。糖尿病や高血圧症などの生活習慣病には高い頻度でうつが合併するとも言われ、うつによる変化を「病気で気分が落ち込んでいるせい」と見逃されてしまいがちなのも問題のひとつ。病気に関わらず、「おかしいな」と感じたら早めに医師へ相談しましょう。

●うつを伴いやすい体の病気

・糖尿病

・高血圧症

・狭心症

・心筋梗塞

・脳血管障害

・脳腫瘍

・老人性痴呆

・てんかん

・パーキンソン病

・甲状腺機能の亢進症または低下症

・更年期障害

・慢性間接リウマチ

・全身性エリテマトーデスなどの膠原病

・がん

・手術後

・血液透析

・インフルエンザ

・肝炎などのウイルス感染症など

 
医療機関ではこんな対処をしてくれます
 
  うつは脳内の神経伝達物質の活性が低下するために起こると考えられていることから、うつの治療は薬物療法や心理的治療を行います。抗うつ剤を処方された場合は、医師の指示にきちんと従い、自己判断で薬の量を変えたり服用をやめたりしないこと。そして、心身ともに充分な休息を心がけましょう。病院での治療を早期に受けるとこで、一般的には半年から1年ほどで回復するといわれています。治療のポイントは、焦らず気長に取り組むこと。治療には健康保険も適用され、保険証から会社など周囲の人へ「うつで病院に通っている」ということが知られることもないので、安心して通いましょう。
 
「心の風邪」とも呼ばれるうつ病は、その名のとおり風邪と同じく誰にでもかかる可能性がある身近な病気です。まじめで完全主義な人ほどストレスを感じ、うつになりやすいといわれています。うつを防ぐには、まずは自分を知ること。「無理しているな」と感じたら、肩の力を抜き、マイペースを心がけて。失敗しても必要以上に自分を責めず、頑張り過ぎないことが大切です。

 

 

家族で毎朝 朝ごはんを食べよう(2006年5月)

 

家族で毎朝 朝ごはんを食べよう  
會澤千恵子
 
 朝ごはんを食べることは、心身が睡眠モードから活動モードに切りかわるので、生活リズムを整える上でとても大切なことです。また、睡眠中に下がった体温が上昇して血流がよくなるので、体が元気良く動きだします。さらに、消化器系も活動し始め腸が刺激されて、便通がよくなります。

<なぜ 朝ごはんが大切なのか?>
 人も子どもも年々朝食の欠食率が増加してきています。平成 14年の国民栄養調査では、約10%の人が、児童生徒も学年が上がるにつれて欠食率が上昇しています。この原因は、大人の生活が夜型化しているため、夜中に夜食をお腹いっぱい食べるなど不規則な食事になっていることや、就寝時間が遅くなり、朝起きられず、食べる時間がないことや、食欲もわかないので朝食が欠食になってしまっています。これに引きずられるように子どもたちの中にも、朝食を食べない子どもたちが増えてきているのです。

なぜ、朝ごはんが大切なの?

それは

  朝ごはんを食べることで、睡眠モードから活動モードに心身が切りかわるので、生活リズムを整える上でとても大切なことです。また睡眠中に下がった体温が上昇して血流がよくなり、身体が元気良く動きだします。また消化器系も活動し始め腸が刺激されて、便通がよくなります。

 

 

忙しい朝は、時間をかけずに用意をすることが大切です。事前に献立を考え、夕食の残りを利用したり、前日に料理の下準備をしておきましょう。

 

 

近頃

  お菓子やインスタント食品、栄養補助食品などを朝ごはんがわりにしている人が増えています。それらの食品は、「食事の補助」や「間食」用なので、食事代わりにすると栄養の偏りなどの問題がでてきます。

 

 

新生活の始まり。朝食を摂って元気な1日を!(2006年4月)

 

     
 
4月のテーマ:
新生活の始まり。朝食を摂って元気な1日を!
 4月。新年度、新学期のスタートです。新たな生活が始まった人はもちろん、環境に特別何も変わりがないという人でも、4月は「新しい始まりの季節」ではないでしょうか?

1日の始まりは朝。元気な1日を過ごすために、今回は「きちんと朝ごはんのススメ」についてのお話です。

 
     

 

朝ごはんは、なぜ大切か?
 

食事 人間の体は、1日の24時間を1サイクルとして、体を構成する組織や臓器がリズムを保って活動しています。そのリズムの基となるのは太陽の光で、その明るさや暗さが脳の中枢神経を刺激し、活動を弱めたり強めたりして体の働きを調節するのです。また、食事を摂ることも神経系を刺激する作用があり、血液中の栄養成分の濃度を高めて、組織や内臓の働きを活発にします。

●朝ごはんを食べないと…

全身の組織や内臓の働きは起床した直後に活発になるわけではありません。体温は低く、脳の働きも不十分な状態です。この状態のまま、体をあまり動かすことなく食事もとらずに、仕事や勉強など日中の活動を始めると、脳も体も栄養不足で十分に働きません。このままでは集中力を欠いたまま午前中を過ごすことになってしまいます。

●朝ごはんを食べると

それに対し、起床してから体を動かして筋肉を刺激し、血液の流れや胃腸の働きを活発にして、食欲をあげてから朝ごはんを食べるとどうでしょう。体温と血糖が上がり、脳と体はリズムにのって働き始めます。そうすると仕事や勉強にも集中でき、朝から気持ちよく過ごすことができるのです。

 
朝食抜きの原因とは?
 
不振  さて、朝ごはんが大切なことは分かっていても、忙しい現代人はなかなか朝ごはんを食べられないという実態があります。あるアンケート調査では、独身でひとり暮らしの女性の場合、朝食を毎日きちんと摂ると答えた人はなんと全体の半数以下という結果でした。

では、なぜ朝ごはんが食べられないのでしょうか?その原因と対策を、以下にご紹介します。

●朝は食欲がない

1日のリズムでいえば、本来、朝は1日のうちで一番お腹が空く時間のはずです。前日午後8時に夕食を摂ったとして、睡眠、起床と翌朝7時までは約11時間。お菓子や夜食を食べた場合は別として、ほぼ半日もの間、体に栄養が入っていないことになります。こういうリズムで生活を送っている人は、朝お腹が空いた状態で目覚めることができるでしょう。

これに対して、夕食が遅い人、寝る前にお菓子や夜食を食べる人は、朝あまり食欲がわかないのは当然ですね。また、就寝時間が遅すぎるのも、夜中に食べてしまう原因のひとつ。睡眠不足だと食欲刺激ホルモンが増え、食欲抑制ホルモンが減るという現象が起こります。つまり夜更かしすればするほど余分に食べてしまい、翌朝は体があまり食事を欲しない状態になってしまうのです。だからといって朝食を抜くと、昼食までの時間が空きすぎるので、体はエネルギーを蓄えようとして、食べたものが脂肪に変わりやすくなり、皮下脂肪のつきやすい体質になってしまいます。

●ダイエット中なのでなるべく食べたくない

これが間違った考えというのは、すでに多くの皆さんがご存知でしょう。上にも書いたように、朝食を抜くと脂肪のつきやすい体質になるため、朝食を抜くことはダイエットには逆効果になります。毎朝きちんと朝食を摂ることで体のリズムが正常になり、消化や代謝の働きが整うので、ダイエットにも良い傾向が出てきます。また、食事を摂ることは腸を刺激するため、排便のリズムも整います。

●ギリギリまで寝ていたい

朝ごはんを食べる時間がもったいなくて、それならその分寝ていたい…という声も多く聞きます。しかし10分長く寝ても、朝ごはんを食べなくては体はすっきりと目覚めず、午前中をぼーっと過ごすことになります。かえって時間がもったいないと思いませんか?

それならば、いつもより少し早く起きて、朝食をとることが効率的だと考え方を変えてみましょう。また、目覚めてすぐに朝食を摂ろうとせず、朝の準備などをして体を少し動かしてから朝食を摂るようにしましょう。それによって胃腸をはじめとする体の組織が働き出し、空腹感がおきて、朝ごはんをおいしく食べることができるのです。

●朝食を準備する時間がない

これも上の「ギリギリまで寝ていたい」派と同じような意見です。確かに、朝は何かと忙しく、時間がないもの。だからといって朝ごはんを犠牲にするのはよくありません。晩ご飯やお弁当のおかずを多めに作って、朝食用に残しておいたり、温めるだけでたべられるように前の晩から用意しておくなど対策はいくらでもあります。「朝は食欲がない」という人も、ヨーグルトや果物、シリアル、スープなど、手軽に食べられるものから始め、少し早起きして朝食を食べる習慣をつけていきましょう。

 
朝食をきちんととることは、体の健康だけでなく心の健康にも関わってきます。朝食を抜くと、集中力が低下するだけでなく、体調不良で元気が出ない、なんとなく体がだるい、エネルギー不足で貧血気味、空腹によるイライラ感など、脳と体に様々な悪影響を及ぼします。 子供の場合も同じで、朝食を食べる習慣のない家庭で育つと、朝から元気が出ない、学校に行く気力がない、という状態になってしまい、体の成長ばかりか心の成長まで妨げてしまう恐れがあります。「食育」という言葉をよく耳にしますが、子供の成長にも朝ごはんは大切なのです。 夜食・夜更かしを控え、少し早起きする生活を徐々に習慣づけていくと体のリズムも整い、生活習慣病の予防にも役立ちます。気持ちのよい1日の始まりは、おいしい朝ごはんから。朝ごはんをきちんと食べて、健康的な毎日を送りましょう。

 

 

サプリメントって一体何者?(2006年4月)

 

サプリメントって一体何者?

社団法人 茨城県栄養士会

サプリメントアドバイザー

根本 偉代

 
 
 
近年、私達の日常生活の中で『サプリメント』という言葉をよく聞きますが、『サプリメント』って一体何でしょうか?
 
★サプリメントは薬それとも食品?
 
サプリメント(supplement)には補うという意味があります。

私達が口から入れるものの中で法律上
 「医薬品(医薬部外品含む)」
 「食品」のどちらかに位置付けされます。


医薬品
  • 病気の治療や予防を目的としてつくられたものです。
  • 用法用量が細かく決められていて効能効果もはっきり書くことができます。
  • 医師・薬剤師の指示・アドバイスが必要です。
   
サプリメント
  • 薬のように即効性があったり、病気の治療を目的としたものではありません。
  • ビタミン・ミネラル・アミノ酸など毎日の食事で不足しがちな栄養素を補うもので「栄養補助食品」ともいいます。
  • 錠剤やカプセルなど薬に似た形をしていますが、薬ではなく食品なので効果を表示することは出来ません。
   
★どこまでがサプリメント?
 
図1 保健機能食品の分類と名称
<保健機能食品>
医薬品

(医薬部外品を含む)

特定保健用食品

(個別評価型)

栄養機能食品

(規格基準型)

一般食品

(いわゆる健康食品を含む)

  栄養成分含有表示

保険用途の表示

(栄養成分機能表示)

注意喚起表示

栄養成分含有表示

栄養成分機能表示

注意喚起表示

 
厚生労働省医薬局長通知「保健機能食品制度の創設について」2001年3月より
・健康維持、増進に役立つ健康食品のうち一定の条件を満たしているものには、「保健機能食品」と表示できます。
栄養機能食品
  • 栄養機能表示が認められているのは、ビタミンA・βカロテン・ビタミンD・ビタミンE・ビタミンB1・ビタミンB2・ビタミンB6・ビタミンB12・ナイアシン・葉酸のビタミン類です。
  • カルシウム・鉄・銅・亜鉛・マグネシウムのミネラル類です。
   
特定保健用食品(トクホ)
  • 保健食品、栄養補助食品と呼ばれている食品の中で保健の用途、有効性、安全性など医学、栄養学的に明らかにされたものです。
  • 健康への効果の表示が認められたものです。
  • 成分として、オリゴ糖・乳酸菌・食物繊維・ペプチド・たんぱく質・脂質・ミネラルなどです。
  • 表示内容・・・8つに分類
  1. おなかの調子を整える食品
  2. コレステロールが高めな方の食品
  3. 血圧が高めな方の食品
  4. ミネラルの吸収を助ける食品
  5. 骨の健康のための食品
  6. 歯の健康のための食品
  7. 血糖値が気になる方の食品
  8. 血中中性脂肪が上昇しにくい食品

となっています。

   
健康食品

(いわゆる保健食品)

  • 規定する法律、科学的根拠は認められていません。
  • 健康維持、増進の目的に期待されている食品ということです。
  • 栄養素を「補う」として本来はここがサプリメントとしての場所なのですが、一般に「栄養機能食品」をサプリメントとして呼んでいるようです。
   
★飲み方は?
 
サプリメントの説明書には「食生活は、主食・主菜・副菜を基本に食事のバランスを」と書かれています。

まずはご自分のライフスタイルから見直してみましょう。

いかがですか・・・・・・

サプリメントは『魔法』の薬ではありません。
毎日の食事の中からどうしても不足してしまう栄養素を補う『補助食品』であることを知っておいて欲しいのです。
サプリメントを利用したいときは、目的と十分な理解と判断で上手に活用して頂きたいと思います。

 

 

 

偏頭痛、この痛みを何とかしたい!(2006年3月)

 

     
 
3月のテーマ:
偏頭痛、この痛みを何とかしたい!
 徐々に暖かくなり、春めいた気分を感じる 3 月。そんな季節の訪れとは裏腹に、季節の変わり目は体調に異常をきたしやすい時期でもあります。ホルモンバランスの変化や、新しい生活への不安などからくるストレスが、偏頭痛のきっかけとなることも…。今回は、辛い痛みを防ぎ、軽やかな気分で新しい季節を迎えるためのお話です。 
 
     

 

偏頭痛とは?
 
 

経験された方は良く分かる、というより、経験しなくては分からないのが偏頭痛の痛み。自分の脈や血液の流れに呼応するように、頭がズキズキと激しく痛むのが偏頭痛の痛みです。主に頭の片側だけに起こるといわれ、ときにはめまいがしたり嘔吐してしまうほど、ひどい痛みを伴うこともあるようです。 偏頭痛で悩む人には女性が多く、それも 20~50 歳代の年齢層に多いという特徴があります。月に数回頭痛が起こり、一度始まると数時間からひどいときは 3 日間に渡って頭痛が続くことも。また、頭痛が始まると音や光に敏感になり、喧騒やテレビの音などが神経に障ってさらに頭痛が増したり、症状が悪化するなどの悪循環に陥る場合もあります。

 
偏頭痛の原因
 
  偏頭痛は血管性の慢性頭痛で、脳の中に張り巡らされた血管が拡張するときに、周囲の神経が引っ張られて痛みを引き起こします。その血管が拡張する原因はさまざまで、女性ホルモンの急激な変化や、血管収縮物質であるセロトニンの過剰放出によるセロトニンの減少であるなど、いろいろな説が出されています。偏頭痛の原因は、実はまだはっきりとは分かっていないのです。
 
卒中の種類

偏頭痛の起こる誘因

 
過労・ストレス・睡眠不足
 

睡眠不足が続いたり、疲れがたまる過労状態、仕事・人間関係などのさまざまな精神的ストレスは脳に影響を与えます。過労やストレスなどで脳が緊張状態になると、脳内の血管が収縮し、その後反動で血管が拡張するため、偏頭痛が起きやすくなります。

気候の変化
 

低気圧が近づいたり、気温が下がるなどの変化があると、脳内の血管が収縮し、偏頭痛が起きやすくなります。

女性ホルモンのバランス
 

月経や妊娠などで、女性ホルモンの分泌は変化し続けています。このホルモンバランスの変化も、偏頭痛の誘因のひとつと言われています。

   
偏頭痛は遺伝する性質もあり、人によってはアルコールなど特定の食品が偏頭痛の誘因となることもあるようです。
偏頭痛の対策・予防策
 

ひどい痛みを感じたらまずは医師にかかることですが、偏頭痛については先ほどもお話したとおり、はっきりとした原因が分かっていません。そのため、頭痛の原因が特定できなかったり、処方してもらった薬で改善しないケースもみられます。

そこで大切になってくるのが「体質および生活習慣の改善」です。まずは、脳の活動に影響をおよぼす自律神経の働きを整えるため、早寝・早起きといった規則正しい生活を普段から心がけましょう。痛みが始まったときは、音や光を避けるようにし、暗い静かな部屋で安静にします。そして、患部を冷やしたり、こめかみのあたりを少し強めにゆっくりと押さえてみましょう。また、コーヒーやお茶などに含まれるカフェインは血管を収縮させる作用があるので、気分を落ち着けるためにも、暖かいコーヒーやお茶を飲むのもいいでしょう。

ちなみに、偏頭痛にはミネラルの一種であるマグネシウムの不足が関係するとも言われています。 400mg のマグネシウムを毎日摂取すると、 1 ヶ月後には偏頭痛の起こる頻度が減少したという例も報告されています。マグネシウムはサプリメントで摂ることもできますが、食品なら黒豆やひじきなどに多く含まれています。

 

<代表的な食品におけるマグネシウムの含有量( 100g あたり)>

 

干しひじき  540mg

ごま      350mg

黒豆      220mg

納豆      100mg

カルシウム不足も脳血管を緊張させる原因となるので、カルシウムもあわせて摂取を。カルシウムとマグネシウムを「 2 :1」の割合で摂取し、規則正しい生活をこころがけ、偏頭痛になりにくいカラダつくりをめざしましょう。

 

 

ストレスに強くなる食事の工夫!!(2006年3月)

 

ストレスに強くなる食事の工夫!!

社団法人 茨城県栄養士会

根本 鈴子
 
 
 
 

私たちの生活をとりまく環境は、近頃ますます複雑になってきており、人間関係にも影響をおよぼすなど、何かと精神的緊張を増して健康を阻害する大きな要因になっています。日常の食生活に十分気をつけて、ストレスに負けないようにしましょう。
 
★1 ストレスに強くなる食生活の基本は、やはり”バランス”のとれた食生活
 

強いストレスや心配事があったり、イライラしている時など胃酸の分泌が高まり、胃潰瘍や胃からの出血が起こることが少なくありません。この予防のためには普段から栄養素のバランスのとれた食生活を続ける事が大切です。特に胃の弱い人は、バランスのとれた食事を摂るとともに規則正しい生活を送るように心がけましょう。


   
★2 良質のたん白質を毎日欠かさず摂りましょう
 
ストレスが加わると、副腎皮質の機能が高まり、体のたん白質が壊されていきます。その結果、体力が消耗し、ストレスに対しての耐性も弱まります。そのような意味からも、体のたん白質の量が多いほど、ストレスに対応する抵抗力が強いといえます。

たん白質は、毎日の食事で十分に補っていかなければならない大切な栄養素ですが、とくに良質のたん白質を毎日必ず摂取するように心がけましょう。

   
★3 各種のビタミン、とくにCを十分摂りましょう
 

ストレスが加わる副腎髄質ホルモンの分泌が増して、体内での代謝が高まります。それによって各種ビタミン、とくにビタミンCの消耗が激しくなります。ふだんからビタミンCの補給に十分に心がけることが大切です。ビタミンCの働きは様々なビタミンの相互作用でも高まりますから、他のビタミンについてもバランスよく摂取しなければなりません。

ストレス社会を健康的に生きるためには、毎日規則的に食事をとるだけではなく、十分に睡眠と休養をとって生活リズムを調える、適度の運動をするなど、望ましいライフスタイルをつくり上げることが大切です。

 

 
 

 

 

最後の寒気、 冬場は脳卒中の危険度大!(2006年2月)

 

     
 
2月のテーマ:
最後の寒気、

冬場は脳卒中の危険度大!

 暦の上では春、徐々に暖かい日も増えてきました。しかし年間で一番気温が低いとも言われる季節です。晴れた日中などは春の陽気ですが、それでも夜間は冷え込むことも多いのがこの時期。そこで注意したいのが、暖かい室内から急に寒い室外へ出たときや、お風呂場・お手洗いなど暖房のきいてない場所へ移動したときなどに起こりやすい脳卒中。寒い時期の脳卒中発症率は、暖かい時期の1.5倍になると言われています。今回は、その脳卒中についてご紹介します。日常生活から気を配り、危険を減らしましょう。
 
     

 

脳卒中ってどんな病気?
 
 

脳卒中とは、脳の血管がつまったり破れるなどしたために、その先に酸素が届かなくなり脳細胞が死んでしまう病気のこと。脳が急に(卒然と)悪い風に当たる(中る)ために起こる病気と解釈され、このような名前がつけられたと言われています。

大きな発作が起こると、半身麻痺になったり急に倒れて意識がなくなったりします。一方、脳の血管が一時的につまるために起こる「前触れ」の発作が出ていることもあります。この前触れには、一時的に半身が麻痺したり言葉が出てこなくなったりするほか、手足のしびれ、物が二重に見えるなどの現象があり、前触れに気づいて早めに治療をすることが大切です。脳はきわめてデリケートな器官のため、血管の病変によってうけた障害は、迅速に処置しないと大きなダメージが残ってしまうので、脳卒中の治療は時間との戦いと言われています。

 
脳卒中の種類
 
脳梗塞
 

脳を養う血管がつまるタイプで、次の3種類に分けられる。脳卒中死亡の60%以上を占めています。

「アテローム血栓性梗塞」

脳の太い血管の内側に、ドロドロしたコレステロールのかたまりができ、そこに血小板が集まって動脈をふさいでしまう。

「ラクナ梗塞」

脳の細い血管に動脈硬化が起こり、血管がつまってしまう。

「心原性脳塞栓症」

心臓にできた血栓が流れてきて、血管をふさいでしまう。

脳出血
 

脳の中の細い血管が破れて出血し、神経細胞が死んでしまうタイプ。高血圧や、加齢によって脳血管が弱くなることで、血管が破れてしまうことが主な原因となる。日中活動しているときに頭痛やめまい、半身の麻痺、意識障害などが起こる症状で、脳卒中死亡の約25%を占めます。

くも膜下出血
 

脳を覆っている軟膜、くも膜、硬膜という3つの層の膜のうち、くも膜と軟膜の間にある動脈瘤が破れて、あふれた血液が脳全体を圧迫することで起こる。動静脈奇形が出血の原因となる場合もあり、突然激しい頭痛が起きたり、嘔吐、ケイレンなどが起こる。意識不明になり急死することもある。脳卒中死亡の10%強を占める。

常生活の注意点
 
 脳卒中を防ぐには、高血圧予防が第一。そのため、高血圧の原因となる生活習慣を見直し、改めることが大切です。
日頃から自分の血圧を把握し、基礎疾患の管理をしておく
 

健康診断や測定器具などを利用して、自分の血圧がどのくらいなのか把握しておきましょう。血圧が高めな人は、食事のバランスなどにも気をつけて。特に塩分のとり過ぎは血圧を上げる原因になるので、血圧の高い人は一日7gを目安に。

急激な温度変化を避ける
 

暖かい場所から、急に寒い場所へ移動すると血圧が急激に上がるため危険です。特に冬場のお風呂や夜間のお手洗いなどは要注意。お風呂は熱いシャワーを出しておくなどして浴室内を温めておくとよいでしょう。

過労・睡眠不足に注意する
 

過労や睡眠不足は血圧を高めます。夜更かししないよう、気をつけて生活リズムを整えましょう。また、ストレスも身体の大敵。睡眠と併せてリラックス法などを見つけ、上手にストレスを解消しましょう。

喫煙・飲酒はほどほどに
 

毎日お酒を飲む人(日本酒なら1合以上の量)は、脳卒中で死亡する人が多くなるという統計が出ています。また、1日平均40本以上のたばこを吸う人は、吸わない人に比べて死亡率が約4倍にもなります。

肥満に注意する
 

肥満は脳卒中の危険因子である高血圧や糖尿病の原因になるため、間接的に脳卒中の危険因子となります。肥満を防ぐためにも、日ごろから運動する習慣を。また、運動不足は肥満につながるだけでなく糖尿病や高脂血症、高血圧も引き起こすので要注意!

便秘にも注意する
 

あまり意識しないことですが、排便時にりきむと、血圧が上昇します。なんとクモ膜下出血の20%は用便中に起きているという報告もあるのです。便秘がちな人は特に、便通にいいとされる食物繊維を多く含む食品や水分を多く摂るなど、食生活にも気をつけましょう。

 

 脳卒中は、発症してからの迅速な対応が大切ですが、それよりもまずは脳卒中にかかる危険を減らす身体と生活習慣づくりが最優先の課題。血圧管理をはじめ、食事に気をつけて塩分やコレステロールの摂取を減らすよう気をつけて生活しましょう。

 

 

「一年の計は元旦にあり」(2006年2月)

 

一年の計は元旦にあり」

茨城県栄養士会

大津 音江

 
 
 
 「一年の計は元旦にあり」といいますが、皆さんの年明けはいかがだったでしょうか?

健康も、実は年初めの食生活が大きく影響するのです。

寒さと日照時間の短さによる運動不足、忘年会やクリスマスなどでの年末に酷使した胃袋にさらに拍車をかけるようなおせち料理や新年会などの宴会料理が続きます。必要以上に蓄積された体脂肪、そのまま引きずってはいませんか?1kg増えた体重を元に戻すには7000Kcalの消費が必要ですが、1日30分【分速60m】歩行しても消費カロリーは100 Kcal程度、2ヶ月以上もかかります。その上2月はますます寒さが厳しい季節、外に出るのも億劫になる時期です。気づいた頃には体調不良で病院通い、生活習慣病の発症なんてことにもなりかねません。生活習慣病は、過食・偏食、運動不足、喫煙、多飲、ストレス、肥満などが起因する慢性疾患ですが、自覚症状のないうちに予防するのが一番です。さあ今日からでも遅くはありません。今年1年無病息災(一次予防、二次予防、三次予防)健康成就を願って食生活(日常生活)を見直してみましょう!!

 
自覚症状で健康チェック

(A)
1
のどが渇く【口渇】□
2
ジュースや水がやたらにほしくなる【多飲】□
3
夜間おしっこに何回も起きる【多尿】□
4
ジュースやコーラは水代わりに飲む、

1日ペットボトル1リットル~2リットルは飲んでしまう□

5
果物やまんじゅうがすき、毎日2~3個は食べる□
(B)
6
漬物や梅干、味の濃いお惣菜が好きで毎食のように食べている□
7
刺身にはたっぷりの醤油をかけて食べる、

塩焼魚にも醤油をかけて食べるのがすき□

8
ラーメンやうどんなど麺類が好き、つゆも残さず飲みきるほうだ□ 
(C)
9
てんぷらやフライなど揚げ物はよく食べる、

トンカツの脂身のところが特にすき□

10
ケーキやシュークリームなど洋菓子が大好き、

ソフトクリームもよく食べる□

11
あん肝や霜降り肉がすき、鍋物は水炊きよりすき焼きが好き□
12
和食より洋食、中華料理が好き、お浸しや酢の物は嫌い□
13
お酒はよく飲む、ほとんど毎日飲まないと寝付けない□
14
最近 体重が増えてきた、運動不足を自覚している□
15
お腹のまわりが眼に見えて太ってきたのがわかる□
(D)
16
スポーツの後に飲むビールと、焼肉は最高!毎日でもいける□
17
最近 胃の調子が悪い、食欲がない、背が張る、肩が凝る□
18
最近 寝起きの顔がむくんでいるような気がする、頭がすっきりしない□
19
野菜やきのこ類は苦手だ、ほとんど口にしない□
20
朝食抜き、昼は麺類か菓子パン、

夜はカップラーメンか外で飲むことが多い□

 
1~20の項目であなたはいくつ該当しますか?
(A)
2型糖尿病によくみられる症状です
(B)

高血圧のリスクファクター【要因】

(C)
高脂血症、脂肪肝(内臓肥満)、アルコール性肝炎などが疑われます
(D)
痛風や腎機能の低下、胆のう炎(胆石)、胃腸はだいじょうぶ?
 

※生活習慣病は、日常生活の多様な悪循環が複合して起きる病気です

該当する項目がある方は、早めに病院で検査してみましょう

病気は早期発見・早期治療で、あなたの健康寿命を延ばします 

食事も良質のたんぱく質や食物繊維の豊富な野菜をたっぷりとりましょう

 

《お知らせ》

 

◎栄養診断は、茨城県栄養士会で行っています

◎食事摂取基準や治療食について詳しくお知りになりたい方は、

専門の管理栄養士がお答えします

   
   

 

 
 

 

 

ウォームビズで 低温やけどを予防しよう!(2006年1月)

 

     
 
1月のテーマ:
ウォームビズで

低温やけどを予防しよう!

 新年明けましておめでとうございます。今年も一年、家族揃って健康で元気な生活を送れるよう、日ごろから体に気をつけていきましょう。さて、今回は寒い季節に大活躍のカイロやコタツについてのお話を。この時期手放せないあったかアイテムも、使い方を誤ると重症な低温やけどの原因となることもあるのでご注意を!
 
     

 

低温やけどとは?
 
 

人間が快適で暖かいと感じる温度を放出する熱源でも、それが同じ部位に長時間接触することによっておこるやけどのこと。 60 ℃前後で約 1 分、 50 ℃前後で約 3 分、 45 ℃前後でも約 6 時間同じ部位に接触していると起きるといわれています。熱湯などによる高温やけどの場合は、「熱い」と感じてすぐに熱源から離れることができ、対処もできますが、低温やけどの場合は低い温度でゆっくりとやけどが進行するため、自覚することが遅れ、症状も重くなってしまいます。熱源に長時間触れていなければ何の問題もありませんが、「熱い」と感じる温度ではないため、普段何気なく使っている温熱器具が低温やけどの原因となることも。温熱器具を日常的に使用する冬場こそ、日ごろの注意が必要なのです。

 
低温やけどの原因と症状
 
■ 低温やけどの原因となる温熱器具のベスト 5

1.使い捨てカイロ

2.湯たんぽ

3.あんか

4.電気コタツ

5.ホットカーペット

使い捨てカイロやホットカーペット、湯たんぽなど直接体に触れる物の他、あんかや電気コタツなど体に直接触れない器具でも低温やけどの原因になるのです。

また、低温やけどは、表面上それほどひどくないように見えても症状が重いケースが多い、恐いやけどです。通常やけどの程度は症状によって3段階に分けられ、表皮のみのごく軽いやけどを指す「1度熱傷」、表皮の下にある真皮まで達してしまい水疱ができてかなりの痛みを伴う「2度熱傷」、そして。真皮の下の皮下脂肪までに及ぶ相当重い「3度熱傷」となります。

なんと、低温やけどは内部では2度熱傷や3度熱傷にまで達してしまう場合が非常に多いのです。ちなみに3度熱傷まで達すると再生可能な細胞組織がすべて壊死してしまい、痛みは感じず皮膚も再生してきません。そのため、やけどの面積が広いと皮膚移植が必要になります。また、皮膚組織が壊死してしまった場合、感染症にかかりやすくなるので注意が必要なのです。

低温やけどの治療と予防
 
 温熱器具を使っているときに、皮膚が赤くなっていたら低温やけどを起こしている可能性があります。低温やけどになってしまった場合は、水で冷やしても効果はありません。そのため、たとえ患部が狭くても速やかに病院へ行き診察を受けましょう。先に書いたとおり、感染症の予防のためにも必ず医師の処置が必要なのです。また、低温やけどが広い範囲に及ぶようなら、皮膚移植が必要になってしまうこともあるので、自分で判断せず、必ず病院へ行くこと!
低温やけどを防ぐには
 

・使い捨てカイロは肌に直接貼らない。

・湯たんぽはタオルなど布にきちんとくるんで使う。

・暖房器具の温度は低めに設定する。

・コタツや、ホットカーペットの上で眠らない。起きているときもクッション等を使って、熱源が肌に直接触れないように気をつける。

   
 

以上、日ごろから注意できることばかりです。疲れているときやお酒を飲んだ後などは、熱さに気付かない場合が多いので特に注意しましょう。また、乳幼児やお年寄り、思うように動けない病人へは周りの家族が注意して配慮してあげる必要があります。

ちなみに、かかとやくるぶし、すねなどは皮膚のすぐ下に骨があるため、毛細血管が圧迫され、やけどをしやすい部位といわれています。

 

 最近では、ノートパソコンで低温やけどをしたという事例も出ています。熱を持ちやすいノートパソコンは、キーボードの上も熱くなりやすく、長時間手を置いて作業していたために手のひらが低温やけどになってしまったそうです。また、靴(靴下)用カイロの使用にも注意が必要。これは酸素の少ない靴の中での使用を目的として製造されているので、腰やお腹などに使用した場合酸化反応が過剰に起こり、高温になることがあります。これは靴を脱いだあとに貼り続けていても同じ状態になります。これらの事例も踏まえ、使用法にはくれぐれも注意しましょう。

近頃叫ばれている「ウォームビズ」。低温やけど防止のためにも、温熱器具の使用を控え、重ね着やブランケットなどを活用して体に優しい温かさを得る工夫をしましょう。