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空気の乾燥する季節。 乾燥肌対策を万全に!(2005年11月)

 

     
 
11月のテーマ:
空気の乾燥する季節。

乾燥肌対策を万全に!

 今年も残すところあと2ヶ月、そろそろ冬めいて空気が冷たくなるとともに乾燥してまいります。寒い季節になると、腕や足、背中がカサカサ乾燥してかゆくなってしまう人も多いのではないでしょうか?そこで、今回は乾燥肌を防ぐ対策法をご紹介します。乾燥は美容の大敵でもあるので、女性のみなさんもしっかり乾燥対策&保湿をして潤いのあるお肌を手に入れてください。
 
     

 

乾燥肌とかゆみのメカニズム
 
 乾燥肌には生まれつきの肌質も関係していますが、日ごろの生活や肌のお手入れによって乾燥しやすくなってしまうケースも多く見られます。人間の肌は何層にも分かれていて、一番上の層、外気と接する層が「角質層」です。角質層には外界の刺激物質や細菌から皮膚を守る役目と、肌の潤いを保つという役目がありますが、その厚さはわずか2,000分の1mmしかありません。その薄さの中に、15~40%の水分を含んでいます。角質層の水分が少ない状態が乾燥肌ということになります。

かゆみを感じる神経線維は、肌の奥にある真皮から表皮に向かって伸びています。皮膚が乾燥してくると、皮膚の基底層の細胞から神経を伸ばす作用のある神経成長因子(NGF)という物質が放出され、角質層のすぐ真下までかゆみ線維を成長させてしまいます。つまり、皮膚の一番表面に近いところまでかゆみを感じる神経線維が伸びてくるため敏感に反応しやすくなってしまうのです。また、身体を洗うときにナイロンタオルでこすったり、かみそりでむだ毛を処理したりすることで角質層が必要以上にはがれてしまうと、角質層を保護するセラミド(角質細胞間脂質)や天然保湿因子(NMF)が失われ、敏感肌の原因にもなります。さらに冬は皮脂の分泌量が減るため、皮膚を保護する油分が不足してますます乾燥しやすくなってしまいます

乾燥肌対策いろいろ
 
 それでは、家庭で行える乾燥肌対策をご紹介します。乾燥を防ぐ=保湿。今日から実践して、潤いのあるお肌を手に入れましょう。
お風呂編
 

・摩擦の多いナイロンタオルは使わない。

身体を洗うときは石鹸をよく泡立て、手で洗うようにしてみましょう。もしくは、敏感肌用のボディタオルなどを利用し、石鹸など洗浄料をつけないで軽くこすり洗いするのもおススメです。お湯につかって体温が上がると毛穴が開き、皮脂や汗と一緒に老廃物などが浮き上がってくるため、洗浄料なしでも汚れは落ちます。

・入浴剤を利用する。

市販されている入浴剤のほとんどは乾燥肌に効果がありますが、保湿効果と水分揮発防止効果(素肌に膜をはり、集めた水分を逃さない作用)の2つの効果を併せ持った入浴剤がベストです。

・湯船の湯気を有効活用する。

まず、熱すぎない湯船に浅めにつかり、頭からタオルをかぶります。次に顔をお湯に近づけて1分間くらい湯気を顔にあてます。身体を起こして少し休憩し、再びタオルをかぶってまた1分。これを5回ほど繰り返すと、スチーム効果でお肌がしっとりすべすべになります。

・かみそりでのむだ毛処理は、入浴中にしない。

入浴中にかみそりを使うと、角質層が必要以上にはがれてしまいます。むだ毛をかみそりで処理する場合は、お風呂上りの清潔な状態で、かみそりとの摩擦を防ぐために保湿剤を塗った状態で行うようにしましょう。

・熱いシャワーは避ける。

必要以上に熱いシャワーは、直接肌を傷める原因となり、乾燥を悪化させます。冬場は冷えますが、ぬるめのお湯にゆっくりつかる入浴が一番。洗顔のときも、シャワーを直接顔にかけるのは刺激が強すぎるのでやめましょう。

・お風呂あがりにはたっぷり保湿する。

お風呂上りの身体は、内側からも乾いています。たっぷり水分をとり、体内から真皮へ、そして表皮へと潤いをあたえましょう。また、入浴で失われたお肌の水分や皮脂分は、乳液やクリーム、ボディローションでしっかり補うこと。ひじやかかとなどがガサガサしている場合は、ホホバオイルなどを塗るといいでしょう。

生活編
 

・部屋の湿度に気を配る

エアコンの使用は、部屋の湿度を低下させて肌の乾燥を招きます。エアコンの使用は最低限にし、加湿器を使用するなどして部屋の湿度を保ちましょう。加湿器がない場合は、濡れたタオルを室内にかけておくだけでも加湿効果が得られます。

・身体を動かして、血行をよくする

肌をつくる栄養素を運んでいるのは、身体中を巡る血液です。血行が悪くなると栄養が行き届かなくなるため、皮膚の生まれ変わり(ターンオーバー)が遅れ、肌の乾燥につながります。肌へとつながる血管の末端部分には、心臓のポンプの圧力が届かないため、身体の筋肉を動かすことでしか血液を行き届かせることができないのです。毎日少しでも身体を動かし、血行をよくすることを心がけましょう。

・規則正しい生活と食事を心がける

健康な肌を作るには、規則正しい生活と十分な睡眠時間が欠かせません。また、肌を作る栄養素は、食べ物から摂取するので、バランスよい食事をとることも忘れずに。規則正しい生活と食事が、肌の細胞分裂を活発にし、健康で瑞々しい肌を保ってくれます。

 

・化粧品にも気を配る

毎日のお化粧も、肌の乾燥を招きます。特にパウダリーファンデーションや粉おしろいは肌の潤いを取ってしまうので注意が必要。お化粧前には「つけすぎかな」と思うくらいたっぷりの美容液(セラミドなどの保湿成分を含んだものがベター)や乳液をつけ、少し時間をおいてからメイクします。保湿効果のある化粧下地を使うのもよいでしょう。

・日焼け止めの使用にも注意する

日焼け止め用の化粧品などに含まれている紫外線散乱剤は、紫外線対策には欠かせない成分ですが、同時に肌の乾燥を招いてしまいます。冬場はあまり使用する機会はないかもしれませんが、使うときは量や時間に気をつけ、乾燥しやすい目元・口元への使用は最低限にしましょう。

   私たちの肌に含まれる水分量は、赤ちゃんのときがピークで、20歳を過ぎた頃から急激に減少します。さらに40代にさしかかる頃には、肌表面の油分も失われてくるため肌の乾燥はより加速してしまします。化粧品のCMなどで、よく「アンチエイジング」という言葉を耳にします。しかしどんなに気をつけても肌の老化は進み、乾燥しやすくなっていきます。ハンドクリームやボディクリーム、そして保湿化粧品などを積極的に使うとともに、普段の生活でも乾燥対策を万全にして乾燥する季節をのり越えましょう。

 

 

「健康の食事」(2005年11月)

 

「健康の食事」
社団法人 茨城県栄養士会

小林 智子

 
 
 
 大方の人は1日3食の食事をほぼ規則正しく摂り、日々繰り返される食事が健康とかかわりを持っていることを、おぼろげながら理解しつつ生活を続けていると思います。健康を損なってはじめて毎日の食事がいかに大切なものかを知るという方もいるはずです。

「食べること」は、人間にとって欲求のひとつです。その欲求を制限されることは、とてもつらいことです。ある期間、あるいは場所によっては生涯になるかもしれない自制の食生活。しかも、今日食べたから、あるいは食べなかったからといって、すぐに結果のでないのが食事です。ある一定期間の経過がなければ、それなりの結果が望めません。健康と食事の深いかかわりや社会環境・文化と密接につながる食生活を理解し、より健康な生涯を送るために私たちの道しるべとなるものが「食生活指針」です。

私たち一人ひとりの健康増進、生活の質の向上、食料の安定供給の確保などを図ることを目的にした「食生活指針」は文部省(現 文部科学省)、厚生省(現 厚生労働省)、農林水産省によって共同で平成12年3月に策定されたものです。10項目からなる「食生活指針」は食料の生産流通から食卓、健康へと幅広く食生活全体を見渡した内容です。実践のための具体的な方策も示されています。

食生活のあり方は、ライフスタイルや家族形態等と深くかかわっています。「食生活指針」は食生活に関する問題の解決の糸口を示すものです。家族や仲間と豊かで健康な暮らしを実現させるために「食生活指針」の活用をお勧めいたします。

<食生活指針の内容>
食事を楽しみましょう。
 
  • 心とからだにおいしい食事を、味わって食べましょう。
  • 毎日の食事で、健康寿命をのばしましょう。
  • 家族の団らんや人との交流を大切に、また、食事づくりに参加しましょう。
1日の食事のリズムから、健やかな生活リズムを。
 
  • 朝食で、いきいきした1日を始めましょう。
  • 夜食や間食はとりすぎないようにしましょう。
  • 飲酒はほどほどにしましょう。
ごはんなどの穀類をしっかりと。
 
  • 穀類を毎食とって、糖質からのエネルギー摂取を適正に保ちましょう。
  • 日本の気候・風土に適している米などの穀類を利用しましょう。
野菜・果物、牛乳・乳製品、豆類、魚なども組み合わせて。
 
  • たっぷり野菜と毎日の果物で、ビタミン、ミネラル、食物繊維をとりましょう。
  • 牛乳・乳製品、緑黄色野菜、豆類、小魚などで、カルシウムを十分にとりましょう。
食塩や脂肪は控えめに。
 
  • 塩辛い食品を控えめに、食塩は1日10g未満にしましょう。
  • 脂肪のとりすぎをやめ、動物、植物、魚由来の脂肪をバランスよくとりましょう。
  • 栄養成分表示を見て、食品や外食を選ぶ習慣を身につけましょう。
適正体重を知り、日々の活動に見合った食事量を。
 
  • 太ってきたかなと感じたら、体重を量りましょう。
  • 普段から意識して身体を動かすようにしましょう。
  • 美しさは健康から。無理な減量はやめましょう。
  • しっかりかんで、ゆっくり食べましょう。
食文化や地域の産物を活かし、ときには新しい料理も。
 
  • 地域の産物や旬の素材を使うとともに、行事食を取り入れながら、自然の恵みや四季の変化を楽しみましょう。
  • 食文化を大切にして、日々の食生活に活かしましょう。
  • 食材に関する知識や料理技術を身につけましょう。
  • ときには新しい料理を作ってみましょう。
調理や保存を上手にして無駄や廃棄を少なく。
 
  • 買いすぎ、作りすぎに注意して、食べ残しのない適量を心がけましょう。
  • 賞味期限や消費期限を考えて利用しましょう。
  • 定期的に冷蔵庫の中身や家庭内の食材を点検し、献立を工夫して食べましょう。
自分の食生活を見直してみましょう。
 
  • 自分の健康目標をつくり、食生活を点検する習慣を持ちましょう。
  • 家族や仲間と、食生活を考えたり、話し合ったりしてみましょう。
  • 学校や家庭で食生活の正しい理解や望ましい習慣を身につけましょう。
  • 子どものころから、食生活を大切にしましょう。
 

 

 

食欲の秋。 正しい知識で健康的にダイエット!(2005年10月)

 

     
 
10月のテーマ:
食欲の秋。

正しい知識で健康的にダイエット!

 徐々に肌寒くなり、道行く人々の服装にも重ね着が目立ってきました。真夏のように露出度の高い格好をすることは減りましたが、食欲の秋と考えるとやはり気になるのが「太る」という言葉。特に世の多くの女性や、中年太りの気になるお父さん達にとって「ダイエット」は常に気になる話題ではないでしょうか。今回は肥満とダイエットについて取り上げ、ただ痩せるのではなく健康的に、効果的に、身体を「引き締める」方法についてご紹介します。
 
     

 

「肥満」のメカニズム
 
肥満とは、その人の標準体重より重いということではなく、体脂肪が過剰に蓄積した状態のことをいいます。下に肥満のタイプをいくつかの分類に分けて挙げますので、自分のタイプと問題点、適したダイエット法をチェックしてみましょう。
体型による分類
 

見た目で判断する、一番分かりやすい分類。脂肪の多くついている部分で判断します。
1.内臓脂肪型(リンゴ型)

多くが「上半身肥満」で、腹部の内臓に脂肪がたまり、弾力のあるタイプ。「ビール腹」ともいわれるいわゆる中年太りの体型で、男性に多く見られるタイプです。肥満による合併症を起こしやすいタイプでもあり、運動による減量が効果的です。

内臓脂肪型は生活習慣病と関わりが深く、高血圧、脳卒中、糖尿病、虚血性心疾患などのリスクファクターとなりますが、運動による減量で効果が出やすいので、日ごろから積極的に身体を動かすように心がけると良いでしょう。

2.皮下脂肪型(洋梨型)

多くが「下半身肥満」で、腕や足、お尻などの皮下に脂肪がたまり、ぶよぶよしたタイプ。日本女性の典型的な体型とも言われ、女性に多く見られる体型です。

女性は年齢と共に脂肪のつく場所に変化が見られることが多く、20代後半ころまではお尻や太ももについていた脂肪が、30歳を過ぎたあたりからウエストやお腹まわりにつきやすくなり、更に皮膚のハリがなくなることや筋力の減退、重力の関係でお尻が垂れ下がってきます。肥満による合併症を起こす心配はあまりありませんが、美容の面からも余分な脂肪をためないこと、適度な筋肉を維持することは大切です。

脂肪細胞からみた分類
 

1.脂肪細胞肥大型

脂肪細胞のサイズが大きくなる肥満で、痩せると脂肪細胞のサイズが小さくなります。成人期以降に多く見られ、内臓脂肪型に多い肥満のタイプです。

2.脂肪細胞増殖型

脂肪細胞の数が増え、痩せても脂肪細胞の数は減りません。乳児期や思春期に多く見られ、皮下脂肪型に多い肥満のタイプです。

脂肪細胞は見た目には分かりにくいため、肥満になった時期で判断しましょう。注意すべきなのは、一度増えた脂肪細胞は小さくはなってもなくなることはないということ。思春期頃までにすでに肥満で、それ以降に太るという、脂肪細胞肥大型と増殖型のふたつのタイプを併せ持った肥満は、重度の肥満症に陥りやすくなるので注意が必要です。
肥満の弊害
 
「肥満は万病のもと」とも言われ、肥満になると多くの器官に異常を起こし、合併症にかかる危険性が高くなります。
循環器系では
 

循環血液量、心拍数が増加して「高血圧」「心疾患」を引き起こします

呼吸器系では
 

脂肪が呼吸の妨げとなって、一時期話題となった「睡眠時間無呼吸症候群」の原因となります

骨格系では
  重い体重が負担となって「腰痛」などを引き起こします。
内分泌、代謝系では
  インスリンの感受性が低下して「糖尿病」に、血中脂肪が増加して「高脂血症」に、尿酸が増加して「痛風」に、卵巣機能障害により「無月経」「過少月経」になるなどの弊害が心配されます。
このほか「脂肪肝」や「胆石症」などの誘引因子にもなり得、健康な生活を送るためにも過度の肥満は大敵ということが分かります。
目的をもったダイエットを
  さて、肥満のメカニズムと弊害について紹介したところで、いよいよダイエットについてお話ししましょう。

まず、最初にはっきりさせておきたいのがなぜ「痩せたい」のか、ということです。ひとことでダイエットといってもその動機はさまざま。「きれいになりたい」「健康を維持したい」「昔の服が着られるようになりたい」などなど。しかし、いつの間にか体重を減らすことだけに集中してしまうケースが多く見られるのです。

 
きれいになるためには「シェイプアップ」
 

たとえばきれいになりたくてダイエットを始めたとしましょう。しかし努力の甲斐あって体重は減ったのに、お腹や足のお肉は残ったままで、なんだかしまりがないという人。それは本来の「きれいになりたい」=「体重を落としてシェイプアップしたい」という目的のうち「シェイプアップ」に失敗してしまったのだということになります。

体重が減ったのは食事制限などのダイエットによるもので、落ちた体重の内わけは筋肉や骨の減少に過ぎない場合が多いのです。

体重だけにとらわれたダイエットは間違い!
 

ダイエット=体重を減らすという考えになってしまい、毎日体重計にのって体重を測ることに集中すると、筋肉の重量が見えなくなってしまいます。筋肉は脂肪より密度が高く、重いものだということを常に覚えておいてください。美しく痩せる、シェイプアップするためには筋肉は不可欠のもの。筋力トレーニングや運動をしながらダイエットすると、筋肉がつくため体重が減らなかったり、逆に増えることもありますが、それを「リバウンドだ」「ダイエットに失敗した」と判断しないでください。

体重以外にダイエットの進み具合を目で確かめるには、毎日鏡を見たり、気になる部分のサイズをはかってメモしておいたり、定期的に全身の写真を撮るなどして体型の変化を視覚的にとらえる方法が良いでしょう。

ダイエットの成功は筋肉にあり
  体重が減っても、お肉が残っているように見えるのは、脂肪を支える筋肉が衰えたせいです。筋肉がないと骨の少ない、お腹などの柔らかい部分の脂肪が重力でたるんだ状態になってしまうのです。たるんでしまった部分の脂肪は、食事制限などで摂取カロリーを減らしても減ることはありません。そこを引き締めるためには、筋肉を鍛えて脂肪を持ち上げるしか方法はないのです。筋肉を増強することは基礎代謝の向上にも役立つので、いずれにしてもダイエットには大切なことなのです。

ちなみに、筋肉をつくる栄養素は肉類、魚類、豆類、乳製品、卵に多く含まれるたんぱく質。これらの食品を意識的に摂り、筋肉量を効果的に増やしましょう。また、脂質が気になるときは低脂肪の食品(赤身の肉、ささみ、白身魚、低脂肪乳、豆腐などの豆製品)を選ぶとよいでしょう。

自己分析で、正しいダイエットを
 
肥満度を測定しよう
 

ダイエットを始める前に、まずは自己分析。自分の肥満度や体脂肪を計り、自分に必要なダイエットを知ることからはじめましょう。

肥満度チェックの目安となるBMI(Body Mass Index)指数の測定

BMI=体重(kg)÷身長(m)2

BMIの標準値は、18.5~25で、理想数値は22です。つまり身長(m)2×22が理想体重(kg)となります。数値が25以上だと生活習慣病のリスクが高いといえるので、BMI値が25を超える人は注意しましょう。また、18.5を下回る場合は標準体重より少ないということになるので、体重を減らすダイエットが本当に必要なのかどうか、もう一度考えてみてください。体重は軽いのにたるみが気になる場合は、先にも述べたとおり、筋肉を鍛えてシェイプアップすることをお勧めします。

体脂肪を測定しよう
 

ヒトの身体は水、骨、筋肉、脂肪で構成されています。体脂肪率とは全体重に占める脂肪の割合で、この数値からも自分の肥満度を知ることができます。測定機は手軽に使えるものが出回っているので、ダイエットを始めるのならば一台用意してみましょう。

  男性 女性
適正 10.0~24.9% 15.0~29.9%
少し太り気味 25.0~29.9% 30.0~34.9%
肥満 30.0%以上 35.0%以上
(IMC基準)

体脂肪率は、一日のうちでも変動します。正しく測るために、朝・夕食前、入浴後など、なるべく同じ条件、同じ時間帯で測定する習慣をつけましょう。

BMI値と体脂肪率を測定し、自分の理想の体重を知ることでダイエットの目安としてください。

健康的なダイエット目標の目安は、1ヶ月で3kg程度、肥満の方で5kgまでといわれています。食事を抜いたり、同じ食品だけを食べ続ける単品ダイエットは、身体に必要な栄養素が足りなくなり、身体に負担をかけるので危険です。ダイエット中こそ3食を規則正しくとり、貧血、骨粗しょう症、便秘など無理な食事制限で起こりやすい弊害に気をつけましょう。ドカ食いをやめて摂取カロリーを減らすこと、運動でカロリーを消費し、筋力をつけること、これを頭に置いて、健康的に美しくダイエットしましょう!

 

 

「健康と食事」 「予防食」?それとも「治療食」?(2005年10月)

 

「健康と食事」

「予防食」?それとも「治療食」?

社団法人茨城県栄養士会

小室秀子

 
 
 
 食べることは、とっても楽しくかつうれしいものです。今夜が大好きな献立とわかったらその時から、お腹がグウ、グウ、心はわくわくするものです。

そのような楽しみをいつまでも続けられたらどんなによいでしょう。私達日本人は世界一の長寿国です。少しでも長く健康を保ち『食』を楽しみたいものです。

メタポリックシンドロームをチェック
内臓脂肪(腹腔内脂肪)蓄積立位、軽呼気時、臍レベルにて計測 
 
ウエスト周囲径 男性:85cm以上

女性:90cm以上

  上記に加え以下のうち2項目以上
脂質代謝異常
 
トリグリセリ度値(中世脂肪)150mg/dl以上

かつ/またはHDLコレステロール値40mg/dl未満

血圧高値
  収縮期血圧130mmHg以上           

かつ/または拡張期血圧85mmHg以上

糖代謝異常
  空腹時血糖値110mg/dl以上
   
いずれも軽度の疾患ですが重なることにより心筋梗塞や脳梗塞など命に関わる

動脈硬化性疾患を引き起こす率が急激に高くなります。

家族皆で『学んで食して』健康を目指しましょう!
ポイント1
一日3食、決められた時間に(まとめ食いはインスリンを沢山必要となります)
ポイント2
主食(ご飯、パン、麺類等)はしっかり食べましょう。
ポイント3
主菜は一食1品、魚、肉、豆腐、卵等から1品、
ポイント4
野菜は毎食、できれば一食2品、350g以上/日
ポイント5
牛乳、果物は午前10時か午後3時頃におやつとして
ポイント6 砂糖は一日大匙1/2~1(単純糖質で速やかに血糖値を上げます)
ポイント7 油は一日大匙1~2、計量の習慣をつけ一食に油料理を重ねない。
ポイント8 薄味の工夫をしましょう。

減塩醤油、醤油1:酢1、醤油1:だし汁、醤油1:酢1:だし汁等利用出しを濃くしたり、香辛料を利用して薄味でも美味しく食べましょう。

ポイント9 みそ汁は具沢山にして朝食に
◆とっても大切なこと~健診を受ける習慣をつけましょう。
1.
病院受診時は『治療食』を目指し管理栄養士、栄養士に相談しましょうできれば『食事記録』をつけてみてみましょう。
2.
検査値の理解と、治療を中断しない理由を学びましょう。
   
学んだ『予防食』、『治療食』を実行してみてその効果(体調、気分、検査値)を実感し継続に繋がるようにしましょう。
   
ウォーキングや筋肉や骨を刺激し身体づくりをする運動(チューブ体操等)も取り入れましょう。
 

 

 

スポーツの秋到来! 筋肉痛の予防とアフターケア(2005年9月)

 

     
 
9月のテーマ:
スポーツの秋到来!

筋肉痛の予防とアフターケア

 暦の上ではすっかり秋となり、子どもの運動会や会社のスポーツ大会などに参加する機会もあることでしょう。普段から身体を動かしてる人ならまだしも、日頃は運動しないのにここぞとばかりに張り切って参加する、となると心配なのが筋肉痛。今回は筋肉痛の仕組みと予防、対処法についてご紹介します。
 
     

 

筋肉痛のおこる仕組み
 
【筋肉痛になる原因は、主として下の2つ】

筋疲労によるもの
 

 激しい筋収縮により、筋肉への酸素供給が間に合わなくなる。するとエネルギー源となるブドウ糖が不完全燃焼を起こし、代謝産物(乳酸)が残ってしまう。この乳酸が筋肉中に蓄積することにより痛みを生じる。

筋損傷によるもの
 

 普段使わない筋肉を急に使うなどすると、筋繊維が損傷し、炎症を起こしてしまう。この炎症が痛みを生じる。ちなみに、運動によって起こる筋肉痛は前者の場合がほとんど。また、大きな力を出すほど、長時間運動するほど筋肉痛になりやすく、「筋肉に力を入れた状態で、その筋肉が引き伸ばされる」運動が最も筋肉痛になりやすいと言われます。

これは、筋肉は本来「縮んで力を出す」つくりになっているため、階段を下るときのように「力をだしながら筋肉をゆるめる」運動をすると筋肉が傷つきやすくなるから。階段を上るときより下るときのほうが筋肉痛になりやすいという実験結果も出ています。

2日後の筋肉痛は老化のシルシ?
 
 歳をとると筋肉痛が遅れて出てくるといいますが、これは筋肉の衰えによるもの。筋肉痛は運動直後に起こるものと1~2日後に起こるものがあり、それぞれ以下のような特徴があります。
運動直後
 

 筋原繊維(筋繊維のもと)の損傷による。早期解消し、痛みがあるうちも軽い運動は問題なし。

1~2日後
 

 運動の際、極度の筋緊張が起こったため。ひどいものだと痛みと腫れを伴い、治りにくい。内出血していたりへこんでいる場合は肉離れを起こしていると考えられるため、動かさないように。

そもそも痛みというのは体の防御反応で、生きるために必要な感覚。筋肉痛も例外ではなく、遅れて起こる遅発性筋肉痛は、筋肉に何らかの異常が起こっている危険信号とも考えられます。1週間以上も筋肉痛が取れないような場合は、動脈硬化が原因となっている疑いもあるので病院で循環器系の検査を受けることを勧めます。

筋肉痛のアフターケア
 
基本は「温-冷-温」
 

 痛み=冷やすと考えがちですが、筋肉痛の場合は温めるケアが適しています。「冷やす」のは主に炎症を抑え、痛みを(一時的に)軽くする等の効果があると考えられているので、痛みのひどいときは冷やし、あとは温めるのがいいでしょう。

1.運動後、痛みが出ない間は温めておく。

2.痛みが発生したら、痛みが峠を越すか横ばいになるまでは冷やす。

3.痛みが良くなりはじめたら(まだ痛みがあっても)温める。

「温める」のは筋肉組織の血液の循環を促進し、筋肉痛を直すリサイクル全般を早める働きをします。ただし、炎症の進行中は、温めると炎症を促進してしまうので、一時的に痛みが激しくなることもあります。

お風呂やサウナ、マッサージ、軽い運動をする、などは血液の循環を促進するので主に「温」の効果があります。入浴する際は38~40度のぬるめのお湯にゆっくり入るのが効果的です。

運動後にはクール・ダウン
 

 激しい運動後は急に寝たり休んだりせず、軽いランニングでクール・ダウンし、血液の循環を急激に落とさないようにしましょう。そのあと力を入れた腕や足などの筋肉を重点的にストレッチングし、この2段階を踏んでから休息します。この時先に紹介したように入浴などで身体を温めて血液の循環をよくするとさらに効果的です。(※最初から痛みのある場合は除く)

筋肉痛の予防策
 
 筋肉痛の予防には日ごろからジョギングなどで筋肉を鍛えておくのが理想的な方法、とは言ってもなかなかできないもの。普段運動不足だったり筋力に自信のない人は、運動前にストレッチングすることで運動後の筋肉痛の軽減をめざしましょう。

ストレッチのやり方は、運動前に日ごろ使っていない筋肉を十分に伸ばすこと。筋肉を温め、血流を良くする効果があります。呼吸しながら20秒ほどゆっくりと筋肉を伸ばと良いでしょう。

運動前後の十分なストレッチングと、運動後のクール・ダウンでだいぶ軽減できる筋肉痛。しかし日頃から運動して身体をならしておくのがやっぱり一番。季節はスポーツの秋、涼しくなりジョギングやウォーキングにも最適な季節です。今度の休みは少し時間を取って、街路樹の紅葉を眺めながらウォーキングなんていかがですか?

 

 

秋の味覚の代表『サンマ』(2005年9月)

 

秋の味覚の代表『サンマ』
社団法人 茨城県栄養士会

管理栄養士 根本 鈴子

 
 
 
サンマ 『サンマ』がおいしい季節になりました。今年は豊漁でサイズも大ぶりです。よく脂ののった胴が丸々と太ったサンマが手頃な値段で手に入ります。

『サンマ』には、ドコサヘキサエン酸(DHA)に代表される魚油が多く含まれており、心臓病や脳卒中を防ぎ、ストレスを緩和する作用があることもわかってきています。“心”と“体”の両方に効く注目の食材です。

今回は、秋に味覚として古くから愛好されている『サンマ』について紹介します。

『サンマ』の健康効果
心臓病や脳卒中の予防
 
サンマの魚油には、DHA(ドコサヘキサエン酸)やEPA(エイコサペンタエン酸)などの不飽和脂肪酸が多く含くまれています。DHAやEPAはまとめてn―3系脂肪酸と呼ばれ、血液中の脂肪(中性脂肪)を減らしまた、血小板の凝固を防いで、血液をサラサラにする効果があります。このような効用から心臓病や脳卒中を防ぐといわれています。
ストレスの緩和
 
DHAは精神の安定にかかわる神経細胞を活性化させイライラの解消に効果が高く、特に、うつ病やヒステリー、マタニティーブルー、緊張型の血行不良や頭痛などをやわらげる作用があります。
ビタミンCやビタミンEなど抗酸化作用のある食品と一緒に摂ると、DHAやEPAの効果をより高めます。例えば焼き魚ならば、レモン汁をかけたり、大根おろしを添えるとGood
おいしい『サンマ』の選び方
背中が厚い(脂が乗っている証拠)
サンマ
頭の後ろが背中にかけて盛り上がっている(脂が乗っている証拠)
頭を持ってピンと立つ(死後硬直の関係で鮮度の良いほど垂直に立つ)
トレイに汁がたまっている(鮮度が落ちた証拠)
背中が青黒く、腹がピカピカ光る(鮮度が良い)
ポイント
  • 「クチバシが黄色い物が鮮度がよい」とは言われるが、サンマの成長の段階を示すもので、基準にはならないとうのが最近の定説。
  • 腹を触って固いもの(鮮度は内臓から悪くなるので基準に)
  • 目が濁っていると鮮度が悪い(水揚げや輸送の段階で傷つく場合もある
『サンマ』の焼き方
1.
塩を振るタイミング

焼く直前(10~15分前)がよい。浸透圧の関係でサンマの内部の旨味があまり早く振ると逃げ出すため。

秋の味
2.
皮をきれいに焼く

焼く直前に網を熱して、油か酢を塗っておく、また皮に切れ目を入れておくのも効果的

3.
尾をきれいに焼く

アルミホイルを巻くか、塩を厚めに塗る(化粧塩)

4.
焼き上がりの目安

黒目の部分が白くなる

5.
焼くバランス

最初に焼く面を3~4分、ひっくり返して焼く面を6~7分を基準に

 

 

楽しい夏の邪魔者「夏風邪」(2005年8月)

 

     
 
8月のテーマ:
楽しい夏の邪魔者「夏風邪」
 夏から秋にかけての季節の変わり目に起こる”夏ばて”。暑さによる食欲不振や、冷房の効いた室内から屋外へ出入りするなど急激な温度差による自律神経の乱れなどが原因で起こります。そんな弱った身体を狙っているのが夏風邪のウイルス。夏風邪でダウンして、楽しいはずの夏休みが台無し…なんてことにならないよう、しっかり予防しましょう。
 
     

 

夏風邪と冬風邪の違い
 
 

 夏風邪も冬風邪も、原因となるのはウイルス。高い気温や湿度を好むウイルスによるものが夏風邪で、症状が徐々に進行して冬風邪よりも長引く傾向があります。一方、冬風邪は主にインフルエンザウイルス(夏場には生きていけない)が原因で、低温と乾燥を好むウイルスによるものです。飛沫感染で流行するのが特徴で、咳や鼻水・鼻づまりなどの症状があらわれるのが夏風邪と違います。

 
 
代表的な夏風邪の種類と症状
 
 
咽頭結膜熱
 

ウイルス:アデノウイルス

症状:39℃前後の高熱が3~5日間続き、喉の強い痛みや、結膜炎(目の充血・目やに)などの症状を伴うことがある。別名「プール熱」と呼ばれ、プールで感染することが多い。

ヘルバンギーナ
 

ウイルス:コクサッキー

症状:38~40℃の急な高熱。喉の痛みを伴い、口の中に水疱や口内炎のような腫瘍ができる。

   
   
夏風邪対策
 
 夏風邪の原因となるウイルスは飛沫感染するインフルエンザとは異なり、主に経口感染が多い。経口感染は手から手、手から口へと感染するので、手洗いが重要な予防策。そして冬風邪と同じく身体の冷えが喉の綿毛の働きを鈍らせ、ウイルスが侵入しやすくなることで感染しやすくなるため、身体を冷やさないことも大切。温度差のある場所を出入りすると自律神経の働き鈍り、温度変化についていけなくなり、皮膚の表面温度低下の原因に。クールビズを実施している会社も多いようですが、自宅の冷房も冷やしすぎないよう気をつけましょう。

その他、カーテンを閉める、エアコンを除湿運転のみにする(湿度が下がれば体感温度も下がります)、扇風機を利用する、照り返しを防ぐため、ベランダに人工芝やプランター・鉢植えなどを並べる、熱を外に逃がすためすだれやよしずなどの日よけを窓の外につける、など、冷房をかけ過ぎることなく涼しい部屋をつくる工夫をしましょう。

夏風邪の対処法
 
 夏風邪かな?と思ったり、だるさを感じたときは無理せず身体を休めましょう。そして

  • 炭水化物や良質たんぱく質を中心とした消化のよい食べ物で栄養をとる
  • 発汗や下痢による脱水症状を防ぐため、こまめに水分を補給する(食塩・電解質を含むスポーツドリンクが最適)
  • 新陳代謝が高まりリラックス効果の期待できる入浴をする。※ただし、症状がかるく熱のない場合のみ
  • クーラーなどを利用し、身体を温めすぎないようにする。※冬風邪治療は身体を温めるものですが、夏風邪の場合保温は体力の消耗につながり逆効果。ただし、温度は適温を心掛け、くれぐれも冷やしすぎないように

などの対処を。治ったように見えても、体内にウイルスが残りやすいので、1ヶ月くらいは注意をしてください。

 
 プール熱など、子供が感染することも多い「夏風邪」。お子さんがプールに行く時は、プールのあとは身体をキレイに洗うこと、タオルは必ず自分専用のものを使うことなどを指導してあげましょう。夏ばてを防ぐためにも食事はきちんと、生活のリズムを崩さないよう気をつけて、夏を元気に過ごしましょう!

 

 

『トクホ』ってなに??(2005年8月)

 

『トクホ』ってなに??
社団法人 茨城県栄養士会
 
 
 
 最近良く耳にする『トクホ:特定保健用食品』って何でしょう?

「特定保健用食品」は、からだの生理機能性分(関与成分)を含んでおり、血圧、血中コレステロールなどを正常に保つことを助けたり、おなかの調子を整えるのに役立つなどの、保健の用途のために利用される食品で、有効性、安全性、品質についての科学的根拠を示して、国の厳しい審査のもとに、厚生労働大臣の許可」を受けた食品です。

現在次のような効果のある食品に対して認可されています。

(認可食品数511品目:平成17年5月現在)

(トクホ許可マーク)

1.
 
おなかの調子を整える食品
2.
コレステロールが高めの方の食品
3.
コレステロールが高めの方、おなかの調子を整える食品
4.
血圧が高めの方の食品
5.
ミネラルの吸収を助ける食品
6.
ミネラルの吸収を助け、おなかの調子を整える食品
7.
骨の健康が気になる方の食品
8.
むし歯の原因になりにくい食品と歯を丈夫で健康にする食品
9.
血糖値が気になり始めた方の食品
10.
血中中性脂肪、体脂肪が気になる方の食品
11.
血中中性脂肪、体脂肪が気になる方、コレステロールが高めの方の食品
表示として認められるもの・・・
 
認められる表示
 
認められない表示
血圧(血糖値・中性脂肪・コレステロール)を正常に保つことを助ける食品です。
高血圧症を改善する食品です。(直接症状、疾病の改善につながる体調の指標)
体脂肪の分解を促進する食品です。体脂肪の増加を抑制する食品です。
解毒作用・脂質代謝促進の効果のある食品です。(明らかに疾病の改善に関係する表示)
便通を良好にする食品です。
老化防止に役立つ食品です。(科学的根拠が不明確)
カルシウムの吸収を高める食品です。
   
肉体疲労を感じる方に適した食品です。
   
※特定の人しか食べてはいけない商品なのでしょうか??
 そんなことはありません。健康が気になる人や健康診断などを受けて生活習慣病のことが気になっている人が保健の効果を期待して食べる食品ですので、誰でも利用できます。

健康が気になる人や、健康診断などを受けて生活習慣病のことが気になっている人が保健の効果を期待して食べるのも良い方法です。

 
     
     

 

 

夏の日差しにご用心。 熱中症に気をつけよう!(2005年7月)

 

     
 
7月のテーマ:
夏の日差しにご用心。

熱中症に気をつけよう!

すっかり日が長くなり、日差しも日々強くなってきました。子供たちにとっては待ちに待った夏休みの季節。海や山、プールやキャンプに出かけたりと、野外で遊ぶ機会も自然と多くなってきます。そこで心配なのが、強い日差しによる日射病などの熱中症。症状が重い場合は意識障害を起こしたり、さらには命にも関わる危険性も。防止策をしっかりと、かかってしまった場合の処置についても知っておきましょう。

 
     

 

熱中症とは
 
 

 読んで字のごとく、「熱に中(あた)る」という状態を表し、体の中と外の「暑さ」によって引き起こされる、様々な体の不調を熱中症といいます。高い気温に長時間さらされたり、激しい運動などで体内でたくさんの熱が発生することが原因でおこり、発汗による放熱機能が追いつかず、体温を調節する生理機能が失調して体温が40℃を超える異常高熱となる状態をいいます。

ここでは熱中症のひとつ日射病と、熱射病についてご紹介します。

 
日射病
 
日射病の原因
 

夏、気温の高い中で長時間活動したときや、炎天下でスポーツをした時などに起こる。

主な症状
 

体温は正常かやや低く、皮膚は冷たく汗ばんでいます。血圧は低下し脈は速く、めまい・頭痛・吐気などを伴い、ひどい場合には痙攣・失神などの意識障害をおこしてきます。

対処法
 

風通しのよい木陰に横たわらせ安静にします。スポーツドリンクなど水・塩分・糖を含んだ飲み物を少しずつ飲ませ、吐気がある場合は顔を横に向かせておく。
<注意!>

熱い飲み物や、アルコール類は飲ませないこと!

防止策
 

頭、特に後頭部と首に直射日光が当たらないようにすること。帽子をかぶるのが一番効果的な防止策です。

熱射病
 
原因
 

高温多湿の環境下で長時間過ごしたときに起こる。体内の塩分や水分がいちじるしく不足し、体温の調節が効かなったために体内に熱がこもってしまった状態のこと。

主な症状
 

症状は日射病と類似し、呼吸は速く頻脈で、口渇・頭痛・吐気を訴え痙攣・視力障害なども生じてきます。日射病と異なるのは体温が上昇し、皮膚が熱いことです。進行すると呼吸抑制・ショック状態となり、死亡する危険性の高い病態です。

対処法
 

一刻も早く体温を下げることが肝要。涼しい木陰に寝かせ、ボタンをはずし衣服をゆるめ、湿ったタオルで首筋や脇の下などを冷やし、あおいだりして風を送ってください。41度以上の高体温になると全身の臓器が障害されてきますので、できるだけ早く救急医療施設に移送する必要があります。

防止策
 

高温多湿の環境下に、長時間いないようにする。真夏、炎天下の車中はまさにこの状態。また、子供と出かけるときも、アスファルトや地面から近い子供のほうが照り返しで熱を受けやすいため注意が必要。ベビーカーに乗せている場合も同様。服の着せすぎにも注意しましょう。

子供や老人は身体の予備力が少なく熱負荷に敏感、症状も進行しやすいので、予防と早めの対応が大切です。激しい肉体労働や、急性・慢性の病気にかかっている人も熱中症にかかりやすいので注意してください。

熱中症はこんなときになりやすい
 
気温が高く日差しの強い真夏以外にも、熱中症を起こりやすくする状況はいくつかあります。

梅雨明けをしたばかりの頃

前日までに比べ、気温が急にあがった時

気温はそれほど高くなくても、湿度が高い時

アスファルトやコンクリート、砂地など草の生えていない場所

身体に疲れがたまっていたり、急に激しい運動をしたとき

 

これらの状態にあてはまる時は、熱中症にならないよう炎天下と同様注意が必要です

とにかくこまめに水分補給を!
 
一般的に、体重の3%以上の水分が失われると体温調節に影響がでると言われています。喉が渇いていると感じた時には既に脱水症状が起きている場合が多いので、喉が渇いたと感じる前に水分補給を心掛けましょう。炎天下でスポーツするときなどは、時間を決めて定期的に給水すると良いでしょう。また、より効果的に水分補給をするには、身体の給水スピードを考えたスポーツドリンクが最適。汗をかくと水分と一緒に塩分も失われ、運動によってカロリーも消費しています。これを補給することを目的に作られたスポーツドリンクは、水に適度の塩分と糖分を含んでいるのです。
  このように、気をつけていれば日射病・熱射病は防げます。出かけるときは、帽子と飲み物を忘れずに。夏を楽しく過ごしましょう!

 

 

野菜を食べましょう(2005年7月)

 

野菜を食べましょう
社団法人 茨城県栄養士会
管理栄養士 入江三弥子
 
 
 
(1)
食物繊維の効用について
食物繊維には、以下のような効用があると言われています。
 
1
 
食物繊維摂取によって糖吸収の遅延がおこり、血糖値上昇を抑制します。またインスリンの急激な分泌をふせぎます。
2  便秘の予防・解消(整腸作用)があります。

理想的な便の量は150g位 大きさで言うと小振りのバナナ一本くらいですが、食物繊維が足りないと便の腸内での停滞時間が長くなり、毎日排便しなかったり、便の量が少なくなったりします。 しかし、摂取することによって便通の改善が行われ、ガンの予防をする可能性が高まります。それは、発ガン性物質などの有害物質の排出を促しているからだと言われています。また、母乳中のダイオキシンなどが減少傾向になるそうです。

3  高脂血症の予防改善に効果的です。

食物繊維の多い食事を取ることによって食物繊維がコレステロールや胆汁酸を吸着し便として排泄されます。そのことによって血中のコレステロールが使われ胆汁酸になりますので、血清コレステロール値が下がると言われています。

4  高血圧の予防効果があります。

ナトリウムと結合し、排出させるようです。 ただし、カルシウムも吸着し、排泄する働きもありますので、カルシウムを含む食品を、目標量摂る事が必要です。

5  胆石の予防などに効果的と報告されています。
6  咀嚼(そしゃく)の増加と唾液分泌を促進します。
7  食物繊維の摂取量が多い人は心筋梗塞のリスクが低いと言われています
 
  《 現代の食生活では食物繊維の摂取量が減少傾向です。 》
 

 平成 15 年の国民栄養調査の結果では、食物繊維源として重要な野菜の摂取量は、全国の平均で
277.5 gでした。

年齢が増えると増加傾向にあり、最も多い 60 歳代では、平均で 339 gでした。しかし、若年の摂取量が少なく 20 歳代では 249 gでした。

このような結果が出た原因を考えてみると、重要な供給源だった穀物(米)の摂取量も減ってきていますし、加えて精製された穀物は、食物繊維をあまり含んでいないのです。

若い人は、年々野菜を食べなくなってきているようなので、野菜の摂取量の多少が食物繊維量に関係しているようです。

食物繊維の総量は、 20 歳代では 12.4 g 60歳代では、 17.5 gでした。

特に 20 歳代の女性は、 12 gと少ない結果でした。ちなみに 1951 年の結果では 23 g、 1960 年には 20 g摂取されていました。現在の食事摂取基準では 20 g程度の食物繊維を摂ることを進めています。ちょうど 1960 年当時と同じく野菜や穀物を食べるように勧めていることですね。

このように、 50 年の年月を経て8gも少なくなった食生活ですが、さてどうすれば、食物繊維を十分に摂ることができるでしょうか。 1960 年代に戻るのは、至難の業でしょうか。生活習慣病の予防のためにも、米や麦を主食に芋や野菜類をたくさん摂るようにお勧めいたします。そして 規則正しい食事が健康への早道だと思います。

茨城県は、日本でも有数の農業が盛んな地域です。新鮮な地場産の野菜をたくさん召し上がって食物繊維の不足を解消しましょう。表のように食物繊維量の多い食品を上げてみました。参考にしてください。

 
表1  食物繊維の多い野菜 一覧表
食品名 食物繊維

(g)

食品名 食物繊維

(g)

食品名 食物繊維

(g)

なばな
4.2 
切り干し大根
20.7 
芽キャベツ
5.5 
あしたば
5.6 
かんぴょう
30.1 
モロヘイヤ
5.9 
5.8 
大根葉
4.0 
山ごぼう
7.0 
アスパラガス
5.3 
ごぼう
5.7 
よめな
7.8 
パセリ
6.8 
こごみ
5.2 
らっきょう
21.0 
枝豆
5.0 
しその実
8.9 
わらび
3.0 
のびる
6.9 
ささげ
4.2 
しめじ
3.2 
グリーンピース
8.6 
春菊
3.2 
なめこ
3.3 
オクラ
5.0 
ズッキーニ
4.3 
エリンギ
4.3 
からしな
5.0 
ゼンマイ(干)
5.2 
わかめ
5.1 
西洋カボチャ
4.1 
蕗のとう
6.4 
昆布(干)
27.1 
「五訂日本食品標準成分表」による

 
野菜を使った料理例 

4品合計で 11.26 gです。

野菜のごま酢和え

1人分食物繊維量 1.8 g

材料 (5人分)
キャベツ・・・250g 
塩蔵わかめ・・・35g
きゅうり・・・80g
あら塩・・・0.8g
白練りごま・・・20g
砂糖・・・12g
しょうゆ・・・20g
酢・・・22g
だし汁・・・20g    
作り方
1

塩蔵わかめは塩抜きし食べやすい大きさに切る。キャベツはざく切りにし、茹でてさます。きゅうりは輪切りにし、あら塩で水だしをする。

2
鍋に水・だしを入れ沸騰させ、だし汁をとり冷ます。調味料を加え調味液を作る。
3 わかめ・キャベツ・きゅうりを調味液とあえる。
 

【サラダうどん】 1人分食物繊維量 1.1 g
材料 (5人分)
うどん ( 冷凍 ) ・・・250g
錦糸卵・・・100g
きゅうり・・・80g
乾わかめ・・・3g
カニカマボコ・・・20g
サニーレタス・・・60g
長ネギ・・・20g
白すりごま・・・5g
おろし生姜・・・10g
おろしにんにく・・・3g
しょうゆ・・・30g
酢・・・30g
酒・・・6g 
ごま油・・・10g
豆板醤・・・2g 
砂糖・・・6g
だし汁・・・30g    
作り方
1

わかめを戻す。うどんをボイルし冷ます。きゅうりは輪切り、サニーレタスはざく切り、長ネギはみじん切りにする。
錦糸卵を作る

2
鍋でだし汁をとる。調味料・長ネギを加え、味を調え冷ます。
3 わかめ・うどん・錦糸卵・カニカマ・きゅうり・サニーレタスを混ぜ合わせ、調味液であえる。

【かぼちゃのいとこ煮】 1人分食物繊維量 5.22 g
材料 (5人分)
かぼちゃ・・・400g
ゆで小豆缶・・・120g
作り方
1

かぼちゃは種を取り除き、1かけら40g程度の大きさに切る。

2

鍋に水を入れかぼちゃをを茹でる。

かぼちゃに火が通ったら、茹で小豆を加えさっと絡める。


【切り昆布の煮物】 1人分食物繊維量 3.14 g
材料 (5人分)
切り昆布・乾燥・・・15g
がんもどき 25g ・・・250g
にんじん・・・150g
こんにゃく・・・150g
サラダ油・・・6g
だし汁・・・300g
酒・・・15g
砂糖・・・15g
しょうゆ・・・40g    
作り方
1

にんじんは乱切り、こんにゃくは短冊切りにし、昆布は戻す。

2
こんにゃくは下ゆでする。
3 鍋にサラダ油を熱し、にんじん・こんにゃくを炒め、だし汁を入れ沸騰させる。
4 にんじんに火が通ったら、がんもどき・切り昆布・調味料を加え煮る。