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健康まめ知識

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「行 事 食」(2005年3月)

 

「行 事 食」
茨城県栄養士会 管理栄養士
廣木 智子
 
 
 
    3月(桃の祭り)
   

 「雛祭り」は桃の枝と柳の枝とを、銚子か瓶子に立て、菱餅に白酒を供えるのが慣わしでした。桃は邪気不祥を払う仙木「御酒古草(みきこぐさ)」という名もあります。

食材には鰈(カレイ)・烏賊(イカ)・田螺(タニシ)・浅蜊(アサリ)などがあります。

節句料理には、田螺の和え物(ぬた)、蛤はなくてはならぬ祝儀もの、蒸蛤・焼蛤・蛤汁・蛤飯・蛤鍋などがあります。

季節の野菜には、わらび、根干・土筆(つくし)・蓼・葉生姜・久年母・木の芽・春筍・蕗のとう・嫁菜・萵苣(ちさ)・鶯菜・あさづき・春菊などがあります。

草餅のいわれは周の国、幽王の時、草餅を作って王に献じたところ、その味がたいへんよかったので、祖霊を慰めるため宗廟に献じたところ、天下が治って民は泰平を喜んだと記されています。

草餅の形も、菱に切られるのが古習で、女の子が生まれると、初節句には菱形、2年目は扁平にした米の粉の団子に小豆餡を入れたものです。

雛壇にみる干菓子は「寒食」かんじきと言われた。冬至から百五日目、 3月節には、清明を尊ぶ心から、終日煙を上げない為、その前日から各種の食物を準備したことから干菓子が生まれたといわれている。雛あられの由来も理解できるはずです。

   
―参考図書 日本の食文化体系 3より―
    雛祭りの料理
   

散らし寿司(ご飯の具:ごぼう・干ぴょう・レンコン・干し椎茸・人参・白らす干

  トッピング:金糸卵・きぬさや・イクラ・甘酢生姜
蛤の清まし汁(蛤・菜の花・柚子)
葉ねぎのぬた(葉ねぎ・海老・砂糖・みりん・柚子)
ヨーグルトゼリーとイチゴ添え(ヨーグルト・ゼラチン・イチゴ)
    クリニカルポイント
   

ごぼう・干ぴょう・レンコン・きのこ類・・・食物繊維が多く含まれ便通を整え、またコレステロールの改善につながります。

ヨーグルト・・・・・腸内細菌が含まれ、便秘の改善につながります、またカルシウムを含み骨形成や血圧の改善に関与します。
果物・野菜・・・カリウムを多く含み、血圧の改善に関与しています。特にバナナ・キューイフルーツ・メロンは豊富です。

散らし寿司はあり合わせの具をご飯に混ぜ、金糸卵を(薄焼き卵を千切りにしたもの)をトッツピングし、きぬさや・みつば・水菜・切りのりなどを散らし、手軽にできる家庭料理です。

葉ねぎのぬたにはアオヤギ・鶏のささみ・イカなどにコンニャク・きのこを加えるのもよいでしょう。

【エネルギー562kcall たん白質 25.2g 脂肪26.5g】
   

 糖尿病の方・・・主食調整 15単位ご飯100g 18単位ご飯150g 20~23単位200g

高血圧の方・・・イクラを花人参(人参を花形にカット)、具の白すをイカなどに変更し、蛤の吸い物のスープは半分にしましょう

コレステロールの高い方・・・イクラを高血圧の方と同じ花人参に、金糸卵は 1/2個は良いでしょう

 

 

寒い季節、冷え症にご用心(2005年2月)

 

     
 
2月のテーマ:
寒い季節、冷え症にご用心

 朝晩の冷え込みが辛い季節。それでなくても冷え症の人は「手足が冷え切ってなかなか眠れない」という経験もあるのではないでしょうか?

そこで、今回は指先まで暖かい生活がおくれるよう、身体を暖める方法などをご紹介します。

 
     

 

「冷え症」の原因は何?
 
人間の身体には本来体温を一定に保つ機能が備わっているもの。しかしこの体温調節機能にトラブルが起こると「冷え症」になってしまいます。その代表的なトラブルを以下に挙げます。
【皮膚神経の低下

周囲の気温が下がると、皮膚から脳に「寒い・冷たい」という情報が伝達され、体温を調節しようとする。しかし暖房のきいた室内と外との気温差が激しく、そこを出入りする生活が続くことで気温の変化を感じる神経が鈍くなってしまう。また、季節を問わず冷たい飲み物や食べ物をとることで、内臓内の温度調節機能も鈍くなってしまい、体全体で温度を感じる神経の機能が鈍くなる。
【自律神経の機能低下

体温調節は、脳内の自律神経から各器官に指令が送られることで行なわれる。この自律神経は喜怒哀楽などの感情をコントロールする神経中枢(交感神経、副交感神経)の影響を受けているため、強いストレスが続く生活を送っているとうまく機能しなくなってしまうことがある。
【血液の流れの低下

「寒い・冷たい」と感じると、皮膚の毛細血管は一時的に収縮し、皮膚からの放熱を防ぐように働く。しかし血液の流れが悪いと身体の末端まで温かい血液が流れなくなり、指先などが冷えてしまう。また、静脈の流れが悪いと動脈の血液が身体中に行き渡る前に冷えてしまうため、手足だけでなく下腹部も冷え、腰の冷えの原因となる。貧血や低血圧も、温かい血液が毛細血管まで届かないため「冷え」の原因のひとつ。
冷えたら温める
 
 

「冷え」を感じたら、とにかく温めるのが一番。冬場は靴下を2枚履く、重ね着をする、外出時は手袋を着ける、ひざ掛けを持ち歩くなど、身体を温める工夫をしましょう。また、お風呂はシャワーだけで済まさず、湯船につかって身体を温めてあげましょう。

【芯から身体を温める入浴法

 
少しぬるめのお湯にゆっくり入る
 

体温より少し高め、38~40℃くらいのお湯にゆっくりつかる。胸から下だけを湯につける半身浴で20~30分入浴すると効果的。

入浴剤を使う
 

入浴剤を入れると香りや色でリラックス効果もあがり、湯あたりもよくなりお風呂に入るのが楽しみになる。薬用成分が配合されている入浴剤は、湯上りの身体が冷えにくくなるという検証結果もある。

湯船の中でマッサージを
  ただのんびりお湯につかるのもいいが、足指のマッサージをすると血流がさらに良くなる。足の指の付け根には自律神経の通り道があるため、マッサージすることで活性化させることができる。
   
   入浴後すぐは身体中がポカポカと温かく、つい薄着で過ごしてしまいますが、これでは湯冷めのもと。温まった身体が急速に冷えるとかえって冷え症を悪化させてしまうこともあります。特に冷えやすい足元には注意して、お風呂上りにも靴下を履くようにしましょう。お風呂に入れないときは深いバケツなどにお湯をはって足湯をするだけでも温まります。このときは少し熱めの42~43℃くらいのお湯がよいでしょう。

ちなみに、身体を温める食べ物もあります。かぼちゃ、にら、ねぎ、にんじん、みょうが、にんにく、とうがらし、いわし、えびなどが身体を温める食べ物。ビタミン E には血液の流れを良くする働きがあるため、ビタミン E を多く含む食品やサプリメントをとるのも「冷え」対策のひとつに。身体の外と内、両方から温めて「冷え」のない生活を送りましょう!

 

 

「日本型食生活」(2005年2月)

 

「日本型食生活」
社団法人 茨城県栄養士会
 
 
 
 
    日本型食生活
     日本人は、古来から「米・魚・豆・野菜・海草」を基本とした和食(日本型の食生活)の食文化を作りあげてきました。

ごはんに、具だくさんの汁、野菜・海草・きのこ・大豆製品のおかずを中心に、魚や肉・卵を組み合わせる食事が健康づくりに役立っています。

長寿世界一を誇る日本の食生活が、世界的に注目されています。

しかし、日本人の食生活は、高エネルギー、高たんぱく、高脂肪の欧米型へ変わってきました。生活習慣病(糖尿病・高脂血症・高血圧症など)の増加など健康上の問題が指摘されるようになりました。

    食生活指針
     食生活のあり方を見直し、健やかな食生活を取り戻すことが、健康づくりの基礎になります。
 
■ 食生活指針 
     
食事を楽しみましょう。
1日の食事のリズムから、健やかな生活リズムを。
主食、主菜、副菜を基本に、食事のバランスを。
ごはんなどの穀物をしっかりと。
 
穀物を毎食とって、糖質からのエネルギー接種を適正に保ちましょう。
 
日本の気候・風土に適している米などの穀類を利用しましょう。
野菜・果物、牛乳・乳製品、豆類、魚なども組み合わせて。
食塩や脂肪は控えめに。
適正体重を知り、日々の活動に見合った食事量を。
食文化や地域の産物を活かし、ときには新しい料理も。
調理や保存を上手にして無駄や廃棄を少なく。
自分の食生活を見直してみましょう。
     

平成12年3月23日

文部省決定、厚生省決定、農林水産省決定

 
    主食、主菜、副菜をそろえましょう
     毎日の食事を考えるときに、料理の組合せをそろえることで栄養バランスのとれた食事をすることができます。

主食・主菜・副菜を上手にそろえることにより、食品のバランスがよくなり、また、バラエティーに富んだ栄養バランスのよい食事をすることができます。

 
 
     
   
主食とは―穀類(ごはん・パン・麺・もちなど)を主材料とする料理
   
エネルギーや各種の栄養素を提供します。
必要なエネルギーの5割程度を主食からとることで、望ましい栄養バランスになります。
   

主菜とは―肉・魚・卵・大豆製品などを主材料とする料理

   
たんぱく質、脂質をはじめ、各栄養素の供給源となります。
目安量は、1食60~80gです。
   
副菜とは―野菜・いも・海草・きのこなどを主材料とする料理
   
ビタミン、ミネラル、食物せんい等を豊富に含みます。
材料の種類が多く、色、形、歯ざわりが多彩です。食事に変化をつけることができます。
毎食50g程度のものを2品以上とることが目安になります。
   
その他―汁物・漬け物・果物・牛乳など
   
ビタミン、ミネラル、食物せんい等を含んでいます。
とりすぎると塩分、糖分などの過剰摂取になりやすいのもや、栄養のバランスを崩すおそれのあるものですので、各々1日1回程度にしましょう。
    季節の産物(旬のもの)を組み合わせましょう
     日本は、四季の変化があり、時節に出来る「旬のもの」があります。特に野菜・きのこ類は季節を代表するものがあります。
 
 
   
春・・・筍、山菜、さやえんどう
 
夏・・・茄子、きゅうり、とうもろこし
 
秋・・・きのこ、里芋、さつま芋
 
冬・・・柚子、白菜、大根、れんこん
   
 
自然の恵みを食材として組み合わせた食事を作りましょう
 
 
 
 
     
     

 

 

1年の健康は一歩から! ウォーキングのススメ(2005年1月)

 

     
 
1月のテーマ:
1年の健康は一歩から!

ウォーキングのススメ

 2005年、新しい年の幕開けです。皆さん『一年の計』はたてましたか?毎日ジョギングする、ダイエットする、禁煙する…健康に過ごすための目標を掲げた人も多いのではないでしょうか?でも早速三日坊主、なんてことになっていませんか?そこで今回は手軽にできるウォーキングについて紹介します。ウォーキングは特別な道具もいらず、誰でも、いつでもどこでもできる手軽な運動。さあ、まずは一歩、健康な1年に向かって歩き出しましょう。

 
     

 

ウォーキングの効果
 
<ダイエットに>

運動には大量の酸素を取り入れながらある程度の時間運動を行なう有酸素運動と、ほとんど呼吸をせず短時間で激しい運動をし、運動後急激に心拍や血圧があがる無酸素運動の2種類があります。

身体が脂肪を燃焼するのは、運動を始めて10~20分後、身体が温まり血液の流れがさかんになってから。短距離走や激しいスポーツと比べ、苦しい思いをせずに長時間続けられるウォーキングは、脂肪の燃焼にも効果的な有酸素運動の代表です。

<糖尿病の予防に>

厚生労働省研究班によると、1日平均1時間以上2時間未満歩くと、糖尿病にかかる割合が男性で13.3%、女性で12.4%減少することが発表されています。

<心臓疾患の予防に>

健康・体力づくり事業財団の資料によると、1日平均10,000歩以上歩くと、高脂血症(中性脂肪)の割合が15.3%減少するとされており、コレステロールの低下によって心臓病の予防効果が期待できます。

正しいウォーキングとは
 
ウォーキングと言っても、ただ歩けばいいというものではありません。骨や筋肉に負担をかけないよう、正しい姿勢で歩くことが大切。そして何より、無理せず自分のペースで歩くことが長続きさせるコツです。
<正しいフォーム>

背筋を伸ばし、上体をまっすぐにして立つ。腹部は引き締めてあごを引き、目は前方を見つめるようにする。

腰の位置を高くするよう意識して、地面を蹴り出すときはひざや足首を十分伸ばすようにする。

足の着地はかかとから柔らかく、離すときは足の裏全体に体重をのせてつま先を蹴り出すようにする。

荷物はなるべく持たずに両手を空け、効果的な腕振りを心掛ける。大きく振る必要はないが、自然に伸ばして前後にテンポ良く振るようにする。

高い姿勢で歩けば歩幅も広がり、伸び伸びとスピードにのって歩くことができます。

<正しい靴選び>
 

きちんとサイズをはかり、自分に合ったものを選ぶ。

つま先をつけて踏み出したとき、親指の付け根と小指の付け根を結んだ線に違和感がないこと。

歩いたとき、かかとの部分がすっぽりと包まれていること。

指先がきつくなく、クッションが適度にきいていること。

 
<歩くための10のアドバイス>
アメリカの厚生省が指摘する「歩くための10のアドバイス」。これを参考に、無理せず怠けず、続けられるウォーキングを目指しましょう

車に乗るよりも、歩く。

靴は底部に弾力があり、ひもで結ぶタイプのランニングシューズを履く。

一度に長時間よりも、分割して歩いてもよい。

昼休みを有効に使う。20~30分歩いた後は、食事もおいしい。

一週間のうち3日は、せめて20分間の速歩をする。

満腹時は歩かない。食後、1時間半経過が目安。

歩数計を腰に、1日1万歩を目標に。

途中で、決めた時間ごとに脈拍を測る。1分間の計測が好ましいが、10秒間計ったものを6倍にしてもよい。

歩く習慣とともに、栄養のバランスを考慮することも習慣づける。

自分のペースを守って歩く。犬を連れての散歩は、自分のペースを乱されることが多いので注意。

 

本格的なウォーキングは面倒で…という人も、会社やデパートではエレベーターを避けて階段を使う、入り口から遠い駐車場に停める、バスや電車の一駅分歩いてみる…。ちょっと気をつけるだけで普段の生活の中でも歩くチャンスは増やせます。万歩計をつけて、現在の生活でどのくらい自分の足で歩いているかを知っておくのもいいでしょう。万里の道も一歩から、今日から早速始めてみませんか。

 

 

胃腸にやさしい食事~正月明けで胃腸が疲れていませんか?~(2005年1月)

 

胃腸にやさしい食事

~正月明けで胃腸が疲れていませんか?~

社団法人 茨城県栄養士会
管理栄養士 小林君枝
 
 
 
     忘年会、クリスマス、お正月、新年会と食べたり、飲んだりすることが続いたのではないでしょうか?お正月明けの胃腸は疲れぎみ。正月明けになると、胃もたれや消化不良を訴える人が多くなります。胃や腸が不調な場合は、規則正しい生活と食事により、粘膜を保護し、胃酸の分泌量を適量に戻すようにし、早期治癒につとめましょう。

そこで今回は、年末年始の暴飲暴食、生活の乱れ、寝不足などで弱った胃腸にやさしい食事をご紹介します。

胃腸をいたわる食事のポイント
 
1. 固いものや繊維の多いものは控え、少量で栄養価が高く、消化のよい食品を選びましょう
 
牛乳・豆腐・白身魚

やわらかく煮た野菜などが最適

油の多いフライ・

天ぷら・中華料理

などは避けましょう

2.
 
酸味の強い食品・コーヒー・香辛料など胃液分泌を促進するような食品は避けましょう
 
3.

熱いもの、冷たいものは控えましょう

4.
過食・過飲を慎み、規則正しい食生活をしましょう
5. よくかんでゆっくり食べましょう
6. 食後はゆっくり休息をとりましょう
7. たばこ・アルコールは避けましょう
   
暴飲暴食で疲れた胃にやさしく、しかも体重増加が気になるあなたに低カロリーのメニューを紹介
 
 一年の無病息災を願って1月7日に食べる七草粥は、お正月のごちそうにそろそろ疲れてきた胃を休め、ビタミンやカロチンなどの栄養がとれる、体にやさしいメニューでもあります。七草粥の変わりに七色粥はいかがですか?
 
【材料】
米1カップ、水7カップ、大根100g、大根の葉80g、かぶ100g、ラデッシュ3個、せり50g、セロリ1本、貝割れ大根20g、塩昆布、塩少々
【作り方】
1.

大根はいちょう切り、かぶ、セロリは薄切りにする。

2.
ラデッシュは薄切り、せりと大根葉は細かく刻む。
3. 土鍋に米と水を入れ、弱火で炊き、30分したら1.入れ、さらに30分したら2.と貝割れ大根を入れて一煮たちさせ、塩で味を調える。
4. 器に盛り、塩昆布をのせる。
 
胃の不調は、食欲不振や胃もたれ、むかつきなどの症状ですぐにわかります。そのサインを見逃さず、思いやりの食生活で胃腸を守りましょう。
 
     
     

 

 

鍋物と栄養 ~ 免疫力を高めて風邪予防 ~(2004年12月)

 

鍋物と栄養 

~ 免疫力を高めて風邪予防 ~

社団法人 茨城県栄養士会
高 文江
 
 
 
     暖冬とは云え、寒さも本格化して来ました。

体を冷やさないための頭寒足熱を心掛けた、体外暖房管理は言うまでもありませんが、体内暖房を起こすための食事管理も、欠かす事が出来ません。

この時期に季節が体に及ぼす影響として、皮膚の乾燥や痒み、抜け毛、ひび、あかぎれ、静電気の影響などがあります。何と言っても”風邪”が心配です。疲労・心労は体力・免疫力低下に繋がりますので予防を心掛けましょう。

今回は、冬季の栄養補給源として持ってこいの献立としての鍋料理の話をします。

古来、日本人の食事形態は、男女はもとより身分や地位により皿数や食事時間および場所までが異なっていた事実が残されています。時代の錯誤はあるものの、竪穴式住居では「いろり」と称する吊した鍋の中に、あり合わせの食材を入れて下から薪を焚いて煮込んだ、ごった煮が、今に残る鍋料理として確立したとされています。

今や、わが国には北海道の石狩鍋やジンギスカン鍋から始まり、九州のふぐちり鍋、さつま汁まで、お国自慢とされる鍋料理が数々あります。一般的とされている湯豆腐やすき焼き、おでんについても、発祥地が示されており、お国自慢が伺えます。

茨城県の鍋料理といえば「あんこう鍋」。主役のあんこう魚については、吊して解体する、あんこうの七つ道具、捨てるところがない等々、知れば知るほど興味が沸いてきます。

    鍋料理はバランス料理
   
鍋料理には、
  1.水煮・・ 素材を出し汁で煮て、好みのたれやポン酢に薬味を加えて食べる
  2.汁鍋・・ 味噌、醤油、キムチなど味付けした汁で煮るなど食べ方はいろいろです
  3.すき鍋・ すき焼きなど濃い味の調味液で煮る
 
 鍋料理大半の栄養面の特徴は、ひとつの鍋に主菜材となる肉、魚介類、大豆製品からは、血や肉を作る蛋白質を摂り、たっぷり加える冬野菜をはじめ、きのこ・こんにゃく・海藻などの副菜からは、ビタミン、ミネラル、繊維が摂取出来ます。最後に少々の雑炊や煮込み麺を食べる事で、主食、主菜、副菜が揃います。

何といっても大きな魅力は、特に不足しがちな副菜がたっぷり摂れ、体内代謝の正常化に繋がる事です。素材の持つ色数や品数も栄養摂取に貢献しますので、好き嫌いなく偏らず食べましょう。

 濃い調味液や汁の飲み過ぎは、塩分や糖分の摂りすぎになりますので気をつけましょう。血圧管理中や高脂血症改善中の方は、特に注意をして下さい。

鍋料理の最大の特徴は、”ひとつの鍋をみんなで囲み食す”事です。個食化の進む中で、同じ鍋の食材を分け合い、おいしく食べる行為が体とこころの栄養吸収に役立つ良い機会になりますように・・

 

 

一年の締めくくりは 人間ドックで健康チェック(2004年11月)

 

     
 
11月12月のテーマ:
一年の締めくくりは

人間ドックで健康チェック

 2004 年も残すところあとわずか。色々あった 1 年を振り返るとともに、自分の身体の状態も今一度見直してみましょう。会社や学校などで定期的に健康診断を受けている人以外は、なかなか自分で受ける機会はないもの。

日ごろ自分では気付かない病気の予兆を発見したり、さまざまな器官の健康状態を確かめるためにも定期的な健康チェックは大切です。「元気だから大丈夫」「面倒くさい」なんて言わずに、この機会に自分の身体を総チェックしてみましょう。

 
     

 

健康診断と人間ドック
 
 

 病気の早期発見・早期治療、病気の予防や生活習慣の改善などに役立つメディカルチェック。代表的なものに「健康診断」と「人間ドック」があります。

 
 
健康診断
 

地方自治体や会社の健康保険組合などで行なわれるものが代表的。主なものに基本健康診査とがん検診があり、他にも骨粗しょう症検診、歯周疾患検診などが実施されることもある。

基本健康診査の主な項目は問診、診察、身体計測、尿検査、血液検査、血圧測定、心電図、眼底検査など。

人間ドック
 

健康診断より検査項目が多く、身体の状態をより総合的にチェックすることができる。数日間入院して内科をはじめ様々な専門医の検査を行う長期ドック、生活習慣病を主とした2~3日の短期ドック、検査から判定までの時間を短縮させた1日ドックや半日ドック
などがある。他にも、婦人病を主としたレディースドックや脳ドック、心臓ドックなど専門的なドックもある。

こんな病気を発見できる
 
 実際に健康診断で発見される病気の種類や発見率は検査の種類、担当医師などによって違いがあるものの、発見される疾患に多いものは糖代謝異常、高血圧、コレステロール高値、肝機能障害など、いずれも生活習慣病。他にも胃潰瘍の疑いや胆のうポリープ、子宮筋腫などさまざまな疾患が発見される。
生活習慣病の対策にも
 
 がん、心臓病、高血圧、糖尿病などの生活習慣病は、ほとんど自覚症状がなく、気が付かないうちに病気が始まってしまうのが怖いところ。自覚症状が出る頃には病気が進行していて、生活習慣の改善や治療で健康な状態に戻すことが難しくなってしまう場合も。

例えば健康診断で自覚症状がない程度の胃がんを早期発見した場合、手術5年後の生存率は83%なのに対し、異変を感じて外来にかかって発見された場合は55%と、かなりの違いが出ることが分かる。

実際、健康診断を行なうと約3人に1人は数値になんらかの異常が見つかるという報告もあり、このことからも生活習慣病の早期発見・生活習慣の改善のためにも定期的な健康診断は重要。

検査値の見方は?
 
 診断結果の数値を見るとき、よく耳にするのが「正常値」「異常値」という言葉。臨床検査ではたくさんの健康人を調べた場合にそのうちの95%の人が示す一定範囲内の値に基づくのが正常値(基準値)。つまり、正常値も異常値もあくまで統計的な数値であり、目安としてとらえる数値。それぞれの数値は気温・運動・食事などの環境因子の影響によって変動することもあり、正常範囲を超えていても健康な場合もある。そのため健康状態を正確に判断する物差しとまではいかないが、自分の検査データは保存しておき、健康時の値を知っておくことは大切。
いざ、人間ドックへ!
 
 健康診断の大切さが分かったら、早速受診を。かかりつけの病院に問い合わせてみましょう。また、茨城県メディカルセンターでも1日人間ドックを実施。80項目以上にわたる精度の高い総合検診で、専門施設ならではの効率的な流れで行なうため、検査にかかるのは3~5時間程度。検査結果は医師から直接説明し、生活面のアドバイスもしています。個人情報をコンピューターで累積管理することで長期的な健康管理のサポートも。
   1年の総決算に、自分の身体を中から総合チェック。生活習慣の改善など、新しい年の目標づくりにも役立てましょう。それでは来年も健康で元気な生活を!

 

 

きのこのはなし(2004年11月)

 

きのこのはなし
 
茨城県栄養士会  伊藤友子
 
 
 

 秋本番の今日この頃。食卓には秋の味覚が満載なのではないでしょうか。

秋の味覚の中でも「きのこ」は松茸を筆頭に季節を味わうにはもってこいの食材ではないでしょうか。最近では松茸の人工栽培が成功したとか。

今回は、ますます身近なものになりつつある「きのこ」についてご紹介したいと思います。

    Q:きのこって植物の仲間ですか?
    A:きのこは植物ではなく、カビと同じ真菌門に属する菌類の一種です。
    Q:きのこは何種類くらいありますか?
    A:

日本に自生するものは4000種類くらいあるといわれていますが、実際に図鑑などで紹介され、名前がついているものは1500種類くらいです。

    Q:どんなきのこをよく食べますか?
    ほぼ年中食べられるきのこは人工栽培をしているもので、国内ではエノキタケ、シイタケ、ブナシメジ、マイタケ、ナメコなどがあります。
    Q:きのこにはどんな栄養がありますか?
    成分は水分が最も多く、タンパク質、炭水化物、繊維質で構成され、栄養成分は種類によって違いはありますが、ビタミンB2、ナイアシン、エルゴステロールなどのビタミン類、カリウムやリンなどのミネラル類が含まれています。
栄養素
特 徴
ビタミンB2
人間の体の成長に必要なビタミンで、一般的に食べられているきのこに多く含まれています。
ナイアシン
口内炎などの皮膚炎や頭痛を予防するビタミンといわれており、主にヒラタケに多く含まれています。
エルゴステロール
きのこに多く含まれているもので、紫外線にあたるとビタミンDに変化します。主に干しシイタケや乾燥キクラゲなどがあります。
カリウム

カリウムは血中のナトリウムを体外に排出することで知られています。高血圧を予防するといわれています。

リン
骨や歯を作る材料となります。ビタミンDはリンの吸着を助ける作用をもっています。
繊維質
コレステロールの吸収を抑制したり、便秘の解消に役立つといわれています。そのため、動脈硬化やダイエットにも効果があります。
    Q:

きのこは抗ガンの他にどんな効果がありますか?  

(1)
コレステロールを下げる
  シイタケだけに含まれている特有の成分「エリタデニン」は、血液中の総コレステロールを下げる働きがあることが知られています。
(2)
血圧をコントロールする
  血小板の凝集をおさえる作用もありますので、血流がよくなります。
(3)
痴呆を改善する
  ヤマブシタケやキヌガサタケから神経成長因子の合成を促進する成分が見つかっていますが、残念ながらまだ実用段階にはありません。
(4)
血糖値を下げる
  霊芝には血糖値を下げる作用があり、セミタケには血糖値を下げる多糖体が見つかっています。
(5)
肥満を予防する
 

きのこは一般的に低カロリーでダイエット向きです。

マイタケには肝機能を活発にし、脂肪の代謝を促進することで、肥満の抑制効果があります。また、ヒラタケには食欲をおさえる「レクチン」が含まれています。

(6)
肝臓病の進行をおさえる
  シイタケ菌糸体から作られたエキスには肝臓内の免疫細胞を活性化させる作用があります。
(7)
活性酸素を消去する
  活性酸素を消去する栄養素で代表的なものはビタミンC、ビタミンE、β -カロチンなどがありますが、ヒラタケ、エノキタケ、マッシュルームにはビタミンCをはるかに上回る効果がでているそうです。煮すぎないで食べることが効果を高めるコツです。
<きのこ簡単レシピ>

きのこからでるエキスまで残さずいただくことができる簡単レシピをご紹介いたします。

● 土瓶蒸し

– 材料 –

松茸・鶏肉・ぎんなん・みつばなど

だし汁・塩・醤油

– 作り方 –

 

(1)
だし汁は塩・しょうゆで味を調える。
(2)
容器に松茸、鶏肉、ぎんなんなど好みの具を入れ、(1)を入れる。
(3)
蒸し器で15分~20分蒸す。(中火程度)
(4)
みつばを入れ、更に5分ほど蒸す。

 ※ きのこはマイタケなどもおすすめです。  

● 天ぷら
– 材料 –

マイタケ・天ぷら粉・揚げ油

 

– 作り方 –

 

(1)
マイタケは好みの大きさに手で裂く。
(2)
水溶きした天ぷら粉にからめて揚げる。

 

※ 天ぷらはきのこなら何でもおいしいです。

  

● きのこご飯
– 材料 –

マイタケ・にんじん・鶏肉・油揚げなど

だし汁・めんつゆ・焼きのり・みつば

 

– 作り方 –

 

(1)
なべに材料を入れ、だし汁を加えて火にかける。
(2)
材料に火がとおったら、めんつゆを加え、好みの味に整える。
(3)
炊き立てのごはんに(2)を混ぜる。
(4)
お好みで焼きのり、みつばをトッピングする。

 

※炊き込みごはんより簡単にきのこごはんが作れます。また、具を多めに作っておけば、いつでもおいしいきのこご飯がいただけます。

※きのこの風味を楽しみたいので、きのこは1種類で作った方がおいしいです。

 

 

目を大切に!(2004年10月)

 

     
 
10月のテーマ:
目を大切に!

10月10日は『目の愛護デー』。「10 10」を横に倒すと眉と目の形になることから制定されたそうですが、昭和38年のこの日にアイバンクが開設されるなど、目には縁のある日です。 

近年日本人に急増している近視。文部科学省の視力調査(平成 10年度)によると、裸眼視力が1.0未満の子供は小学生で4分の1、高校生では 3分の1にものぼり、テレビゲームなどの影響が大きいと言われています。また、パソコンの普及に伴い、大人になってから視力が低下する人も増えており、今までよりも一層目に対して気を使う必要があるのが現代の社会環境。目の愛護デーにちなみ、今月は「目の健康」について考えてみましょう。

 
     

 

目が悪くなるのはなぜ?
 
 そもそも目はなぜ悪くなるのでしょうか。まずは目の仕組みを知り、目が悪くなる原因を理解しましょう。
【目の仕組み】
目はよくカメラの構造にたとえられますが、目で物を見るときまずは光として認識し、瞳を通して入ってきた光は網膜に像を結びます。このときレンズの役割をしてピントを合わせるのが角膜や水晶体で、弾力性のある水晶体が厚みを増して光の屈折率を強くして、近くのものにピントを合わせます。このピント合わせがうまくできない原因のひとつには、疲れなどが関係しているとも言われています。
【近視、遠視、乱視の仕組み】
 
近視
 

網膜よりも前にピントが合ってしまう状態を言います。

「屈折性近視」は、水晶体が厚く膨らんだままピントの調節がうまくいかなくなった状態で、近視の多くはこのタイプが多いようです。

「軸性近視」は、眼球の長さが伸びすぎてしまい角膜から網膜までの距離が長すぎるために起こります。

遠視
 

近視とは逆に、網膜よりも後ろにピントが合ってしまう状態を言います。

「屈折性遠視」は、水晶体が薄く伸びきったままになってしまい、近くを見ようとしても厚く膨らまない状態です。

「軸性遠視」は、眼球の長さが短すぎるために起こります。

乱視
 

光の焦点が1点に合わず、ぼやけて見える状態を言います。

多くは角膜や水晶体の表面が一定の球面でなく歪んでいるために起こり、その歪み方により、倒乱視、斜乱視、直乱視または不正乱視に分かれます。

【その他の病気】
 
白内障
  水晶体が濁る病気で、視界がぼやけたりかすんだりして見えます。多くは老人性によるもので、老化現象のひとつでもあり、最近は手術など治療法も進んできたため、怖い病気ではなくなってきました。
緑内障
  目に栄養を運ぶ水の循環が悪くなる病気で、放っておくと眼圧(目の中の圧力)が高くなってしまい、目の機能に悪い影響を与えます。視野(見える範囲)が狭くなったり、視力が低下するなど、ついには失明にいたることもある怖い病気です。なかには、眼圧が正常なのにこのような症状になる正常眼圧緑内障と呼ばれるものもあります。
ドライアイ
 

パソコンやテレビなどに囲まれ、目が酷使される環境にいて疲れ目の原因となる目の乾きのことです。目が疲れやすい、目が痛い、光がまぶしく感じる、涙が出るなどの症状が起こり、放っておくと眼病のもとにもなります。

目をいたわる環境作りを
 
 視力低下につながる「疲れ目」。疲れ目を防ぐために、次のような対策をオススメします。
 
パソコンのモニタ・ディスプレイの位置を下げる
 

モニタは目よりも下に置くようにし、できれば机と同じくらいの高さにする。伏目がちにすることで眼球が露出する割合が減り、目が乾くのを防ぐことができます。

パソコンのモニタを見やすい環境にする
 

モニタの位置は直射日光を避けた明るい場所にし、照明も明るくする。角度を工夫したり、フィルターをつけるなどして画面に光が写りこまないようにして下さい。

また、モニタと周りの明るさが違うと目が疲れるので、画面も周囲に合わせて明るくして下さい。

部屋の湿度を保つ
  エアコンの効いた部屋は乾燥しがちです。風が直接眼に当たる場合は、特に眼が乾き疲れるため、加湿器などで部屋の湿度を調節して下さい。目安は最低でも 40%、好ましいのは60~80 %です。
遠くを見て目の緊張を解く
 

パソコンのモニタやテレビ画面など一定の距離にあるものばかり見つめていると、ピントの調節機能が固まり、いわゆる「ピントフリーズ」現象になります。

近い物を見つづけるほど目の筋肉は緊張して凝るため、時々遠くをぼーっと眺め、緊張を解すようにして下さい。

1時間行ったら 10分~15分の休憩をとりながら長時間続けて行わないようにしましょう。また、度の合った中間距離用のメガネが必要な場合もあります。

目の疲れをとる
 

目の周りを軽く押さえたり、ギュッと目を閉じてパッと開く、というような無意識のうちに行っている動作などは目の疲れをとるための行為です。

他にも、冷たいタオルと温かいタオルを交互にあてて緊張を解すなど、目の筋肉のケアもからだの他の部分の筋肉と同じです。目をなるべく疲れさせないように、疲れた時は緊張を解して休ませて下さい。

普段から気をつけて、目をいたわってあげましょう。

   

 

 

一日のスタートは朝食から~からだも心も元気な毎日のために ~(2004年10月)

 

一日のスタートは朝食から

~からだも心も元気な毎日のために ~

 
社団法人 茨城県栄養士会
 
 
 
    ご存知ですか
    -平成15年度 茨城県児童生徒の食生活状況調査から-
     朝食を「いつも食べる」と答えた小学生が、平日で89%、休日で74.1%で、中学生では、平日で82%、休日で57.1%でした。

朝食を食べない理由は、1.食欲がない 2.遅く起きるため時間がないです。

    朝食をしっかり食べるとこんなよい事が
   
頭がすっきりとさえます。  
朝のうちに排便(はいべん)ができ、気持ちよく登校できます。
眠(ねむ)っている間に下がった体温がもどり、元気に動けます。
    自分を励ましがんばろう!
 
・その1
リズムある生活習慣を身につけましょう。

早寝早起きに心がけ朝食の時間をGET!

・その2
夜食はできるだけひかえ、朝食をおいしく食べましょう。
 
・その3
朝食ももちろん主菜、副菜をそろえましょう。

主食、主菜、副菜をそろえると栄養バランスがよくなります。

 
   
子どもたちの元気は、未来の日本の元気です!
     健康の問題は、食習慣に起因することが多いと言われています。生涯の健康のためには、子ども一人一人が食習慣の基礎を体得することが必要です。

子どものすこやかな成長を、学校・家庭・地域が共に携え支援していきましょう。