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知っていますか『食事バランスガイド』(2007年2月)

 

知っていますか『食事バランスガイド』

社団法人 茨城県栄養士会

 
 
 
 

最近目にするコマのデザイン

・・・食事バランスガイドっていったいなに?!

食事バランスガイド 「食事バランスガイド」は、望ましい食生活についてのメッセージを示した「食生活指針」を具体的な行動に結びつけるものとして、1日に「何を」「どれだけ」食べたらよいかの目安を分かりやすくイラストで示したものです。

 平成17年6月に策定されました。

 見る人にとって最も目につく上部より、十分な摂取が望まれる主食、副菜、主菜の順に並べ、果物と牛乳・乳製品については、同程度と考え、並列に表現されています。形状は、日本で古くから親しまれている「コマ」をイメージして描き、食事のバランスが悪くなると倒れてしまうということを表しています。また、コマが回転することは、運動することを連想させるということで、回転(運動)しないと安定しないということも、合わせて表現されています。

菓子・嗜好飲料:
食事の量の中でバランスを考えて適度にとる必要があること、一方で、食生活の中で楽しみとしてとられている現状があり、食事全体の中で量的なバランスを考えて適度に摂取する必要があることから、コマを回すためのヒモとして表現されています。

水やお茶は食事の中で欠かせないものであるが、料理等にも水は多く使用されていることから、具体的な量を示すというよりは、象徴的なイメージとして軸で表されています。

フードガイド(図表)
(イラストをクリックすると拡大します)

フードガイドの区分:

主食、主菜、副菜、果物、牛乳・乳製品の5つの料理区分を基本としています。
各料理区分の量的な基準及び数え方:
各料理区分毎に、1日にとる料理の組合せとおおよその量を表しています。
単位:
「1つ(SV:)」と表記されます。(SVというのはサービングの略であり、各料理について1回当たりの標準的な量を大まかに示します)(イラストをクリックすると拡大します)
具体的活用例
「食事バランスガイド」を使って、あなたも食事のバランスをチェックしてみましょう!!

チェックはこちらから→ 内閣府「政府公報オンライン」

 

 今後ファミリーレストランなどの飲食店、スーパーマーケット、コンビニエンスストア等の食品産業における活用を通じた普及活用、地域(健康づくり教室など)や職場を通じた普及活用として利用されていきます。みなさんも是非活用して健康づくりに役立ててください

 

 

 

新しい一年の始まりに、心の健康を考える(2007年1月)

 

     
 
1月のテーマ:
新しい一年の始まりに、心の健康を考える
 みなさん、新年明けましておめでとうございます。健康のこと、生活のこと、仕事や勉強のこと…新しい年の始まりに、一年の目標はたてましたか?お正月休みで緩んだ生活のリズムもそろそろたて直して、今年も元気にスタートしましょう。

さて、ここでは毎回身近な病気などについてお話ししていますが、今回は少し趣向を変え、精神障害のひとつであるPTSD(外傷後ストレス障害)について触れていきます。

 
     

 

PTSD(外傷後ストレス障害)とは?
 

 PTSDとはPost-traumatic Stress Disorderの略称で、戦争や自然災害、事故、家庭内暴力や性的虐待など、自分自身や身近な人の生命や身体に脅威となる外傷的な出来事を経験した後に長く続く心身の病的反応を指します。日本では阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件に関連して大きく取り上げられ、注目されるようになりました。

<主な症状>

PTSDでは、以下の3症状が同時に出現します。

1.再体験

原因となった体験を、意図しないのに繰り返し思い出してしまう(フラッシュバック)ことや、悪夢など。

2.回避

原因となった体験を思い出してしまうような、類似した出来事を意識的もしくは無意識的に避け続ける行動をとること、感情や感覚などの反応性の麻痺など。

3.持続的な覚醒亢進(こうしん)

交感神経の亢進(高ぶる)状態が続き、睡眠障害や神経過敏、集中困難などイライラした状態が続く。

 
PTSDにかかるケース
   PTSDは、心的な外傷を受けた後、上記のような症状が数週間から数ヶ月の間に起こり、数年に渡って続く精神障害です。通常ならば衝撃的な出来事を体験した場合でも、時が経つにつれてそのショックや記憶は薄れていくものですが、受けたショックがあまりにも大きすぎる場合などに発症するとみられています。ただし個人差も大きく、同じような体験をした場合でも発症する人としない人がいるように、個人の性格やストレスへの過敏性など、様々な要因が発症に影響していると研究が進められています。また、幼児期など自我の未発達な段階で受けた大きな心的外傷は特に危険性が大きいと考えられ、早期の対応が必要とされています。

PTSDの重症度には大きな幅があり、比較的軽症のものから重症のものまで、患者によって様々です。大災害や大事故でなくても、家庭や学校、会社内など日常生活をとりまく環境のなかで受けた心的外傷が発端となることもあり、昨年も大きく取り上げられていた「いじめ」問題も重要な要因のひとつと言われています。

 
治療について
   現在のところ、主な治療は薬物療法と心理療法です。睡眠障害や過敏症状などには抗不安薬、抑うつ症状には抗うつ薬などが用いられ、心理療法ではカウンセリングを中心に体験を言葉にする行動療法などが行われています。しかし、多くの患者は、原因となった体験を思い出したくないがために、それについて語るのを避ける傾向があり、周囲からの協力や理解を得にくいという問題点があります。誰かに話して相談できる態勢づくり、また、周囲がその人を心理的に支えていくことが治療の第一歩です。

医療機関では、精神科・心療内科が本症の診療に当たっています。

 
 
 残念ながら事故や事件は後を絶たず、被災者や被害者、その家族の苦しみは続いています。ただし、PTSDはあくまでも回復可能な病気です。原因となった心的外傷を取り除くことはできませんが、その体験が日常生活に大きな障害を起こさなくなることが第一の回復と考えられます。原因となるような事故や事件が起こらないことを願いつつ、今年も一年明るく健康に過ごしましょう!

 

 

障害のある子どもの食生活(2007年1月)

 

障害のある子どもの食生活

社団法人 茨城県栄養士会

茨城キリスト教大学

医学博士・管理栄養士

大和田 浩子

 
 
 
 

(1)障害のある子どもの摂食機能

 「食べること(摂食)」、「飲み込むこと(嚥下)」は人の最も基本的な欲求です。これらは、生命維持の原点ですが、生まれもっている体の機能ではなく、成長とともに学習によって身につけていくものです。しかし、知的発達障害や運動障害をもつ子どもの多くは、十分な学習ができないために摂食・嚥下機能の発達が遅れたり、発達が途中で停止したりします。

(2)摂食機能に応じた食物形態と食事介助

image 障害のある子どもの摂食機能を改善するためには、健常な子どもの発達過程との違いをよく理解したうえで、発達を促すような食物形態や介助方法を実践していくことが大切です。専門の医師・歯科医師による摂食・嚥下機能の診断を受け、専門家による指導のもとで、個々に合った食物形態や訓練の方針を決めるのがよいでしょう。適切な食物形態と食事介助が行われると、障害のある子どもの発達を促すことができます。

1)適切な食物形態

 
基本的には、摂食機能に応じて健常な子どもの離乳食の形態と同じように変化させていきます。柔らかくしたり、トロミをつけたりして食べやすくします。また、固さや形を適切に変化させながら摂食・嚥下機能の訓練をし、発達を促します。月齢や年齢で区切るのではなく、各々の子どもの発達段階がどこにあるのかを観察し、子どもにあったペースで進めていきましょう。

2)適切な食事介助

  食事介助を始める前に、個々の子どもの障害の程度、摂食・嚥下機能の発達過程を把握しておくことが大切です。それによって、より円滑な介助をすることができます。

〔介助の際の留意点〕

(1)食物の認識

 
食べるという行為は、食べ物を見たり、匂いを嗅いだり、食べる前から始まります。介助をする際にも、障害のある子どもがどのような食物かを認識できるように、言葉をかけましょう。

(2)摂食の姿勢

  食事の時に、安定した姿勢がとれるかどうかが摂食機能を左右します。嚥下時に容易に食べ物を咽頭に運べる軽度の子どもでは、体の角度は床面に対して45°~90°を目安とします。ただし、首が座っていない場合には、45°くらいの方が介助がしやすくなります。一方、嚥下時に自力で食べ物を咽頭に運べない重度の子どもでは、体の角度は床面に対して15°~45°を目安とします。これが誤嚥を起こしにくい角度となります。

障害のある子どもの食事は、時間がかかるものです。長時間疲れずに食事がとれるように、しっかり姿勢を支えてあげることが大切です。ゆっくりと食事ができるよう介助者も介助しやすい位置で椅子に座りましょう。

(3)適切な自助具・食器

 手づかみ食べは、持つ、つかむ、といった手の機能の発達を促し、目との協調運動の学習にもなります。十分に手づかみ食べを行ってから、スプーンを使用するようにします。そして、スプーンに使い慣れてから、フォークや箸に移行するようにします。

適切な自助具や食器を使うと、摂食がしやすくなり、食事を楽しむことができます。握る力の弱い子どもは、軽くて太い柄のスプーン(a)を使うとよいでしょう。握る力がなかったり、指が変形してスプーンやフォークの柄を握れない子どもは、ホルダーに手を通すだけで使えるスプーンやフォーク(b)使うとよいでしょう。箸が自由にあやつれない子どもは、箸の握る側にバネを付けた力を入れなくても握れる箸(c)を使うとよいでしょう。その他、こぼれにくく、持ちやすく工夫されたコップ、すべり止めやすくいやすい形の皿なども必要に応じて利用しましょう。

image

(4)感覚過敏

  重度の障害のある子どもは、顔、口唇、口腔内に感覚過敏が発生しやすく、硬直が全身に及ぶこともあり、食べ物の摂取が難しくなります。そのため、食べられる場合でも、スプーンができるだけ口唇に触れないように、注意深く介助することが大切です。

(5)食事はコミュニケーション

  待っているのに食べ物を口に運んでもらえなかったり、せっかちに口に押し込まれたり、思うように食べさせてもらえないと、食事が苦痛になります。介助者からの一方通行にならないように、信頼関係のなかで楽しい食事環境をつくりましょう。

(6)食後の口腔ケア

食後には必ず口腔ケアを行いましょう。

 

 

 

体の芯・骨を丈夫にして骨粗しょう症を予防しよう(2006年12月)

 

     
 
12月のテーマ:
体の芯・骨を丈夫にして骨粗しょう症を予防しよう。
 いよいよ2006年も最後の月。「師走」と呼ばれる通り、何かと忙しい時期ですが、1年の最終チェックに体の芯・骨の健康を考えてみましょう。骨が弱くなると心配されるのが、「骨粗しょう症」という病気です。この機会に、食事をはじめとする生活習慣を見直して、骨を元気に丈夫に保ちましょう。
 
     

 

骨粗しょう症ってどんな病気?
 

 「骨粗しょう症」とは、骨を構成するカルシウム不足が原因で骨の密度が減り、骨がスカスカになって骨折しやすくなる病気です。現在日本では約5,000万人もの患者がいると言われ、高齢の女性に特に多い病気でもあります。

本来骨は硬くて丈夫なものですが、髪の毛や皮膚と同じように新陳代謝を繰り返しています。古くなりもろくなった骨の一部を壊して(骨吸収)、新しい骨に作り替えるはたらき(骨形成)を「骨のリモデリング」と呼び、これは成長期を過ぎたあとも一定のサイクルで続きますが、加齢や運動不足などの生活習慣が原因でこのバランスが崩れると骨粗しょう症の原因となります。

 
なぜ骨が弱くなるの?
 

 骨の主成分となるミネラルで、体内に含まれるカルシウムのうち、99%が骨に含まれています。残りの1%は血液などに含まれ、わずか1%と言えども体や細胞の機能と深い関わりのある大切な役割を担っているため、血中のカルシウム濃度が不足すると、骨からカルシウムを引き出していくしくみになっています。つまり、カルシウム不足の状態が続くと、骨からどんどんカルシウムが溶け出してしまうのです。

 
骨粗しょう症になりやすい人はどんな人?
 
骨粗しょう症になる原因には様々なものがありますが、以下に主なものを挙げます。
○生活習慣に関わるもの

・ カルシウム不足の人

 偏食で栄養バランスの偏っている人や乳製品を摂らない人など、カルシウム不足は大きな原因のひとつです。

・ 体を動かすことの少ない人

 適度な運動は骨に刺激をあたえ、骨を丈夫にします。運動しないと骨は次第に弱くなってしまいます。

・ 日光に当たらない人

 カルシウムの吸収に欠かせないビタミンDは、日光に当たることで皮下に合成されます。日光に当たらない生活を続けていると、カルシウムを摂取していても体内に充分吸収されません。

・ 喫煙習慣のある人

 煙草に含まれるニコチンは、腸からのカルシウムの吸収を阻害し、カルシウムを尿内に排出してしまいます。

・ 極端なダイエットをしている(していた)人

 無理な食事制限など、栄養不足の状態になるダイエットは、同時にカルシウム不足の原因にもなり、骨量の減少を引き起こします。

○体質・年齢に関わるもの

・加齢によるもの

 年をとると、性ホルモンの産出が低下するほか、骨芽細胞(骨をつくる細胞)の働きが弱くなります。高齢者は食事の量が減る傾向もあるため、カルシウムの吸収量も低下します。

・閉経した人

 閉経によって女性ホルモンが急激に減少すると、破骨細胞(骨を壊す細胞)の働きに骨芽細胞の働きが追いつかなくなり、骨が弱くなっていきます。

・骨粗しょう症と診断された家族がいる人

 骨粗しょう症は遺伝するものではありませんが、骨量の減少傾向が同じであったり、乳製品の好き嫌いなど食生活が似ている場合が多く、注意が必要です。
 
  骨粗しょう症の予防法は?
 

 丈夫な骨を保つには、普段の食事と生活スタイルに注意することが大切です。
○食事編

まずは十分な量のカルシウムを摂ること。日本人のカルシウムの1日の所要量は600mgとされています。乳製品や小魚類、大豆食品など、カルシウムを多く含んでいる食品を積極的に取り入れましょう。

カルシウムの吸収に必要なビタミンDなど他の栄養素にも気を配らなくてはいけません。良質のたんぱく質を含む食品など、バランスの良い食生活を心がけましょう。また、スナック菓子やインスタント食品などに含まれるリンは、体に必要な栄養素のひとつですが、摂りすぎるとカルシウムの吸収を妨げてしまうので気をつけましょう。

 ○生活編

適度な運動は、骨を丈夫に保つのに大切な役割を果たします。過激な運動をする必要はなく、ウォーキングなどの軽い運動を毎日続けることがポイントです。元々骨が弱くなっている恐れの高い高齢者の方は、転んで骨折したりする事もありますので、無理な運動は避けてあくまで軽い運動から始めましょう。

また、喫煙やアルコール・コーヒーなど嗜好品の摂取は骨量の減少につながります。喫煙や過度の飲酒にも気をつけましょう。

 
 女性の骨量は、概ね50歳を過ぎると急激に低下するものです。市町村などで行われている骨診断を受けるなどして、まずは自分の骨量を知っておきましょう。閉経後は年1回のペースで骨量を測定し、減少の経過を観察すると良いようです。一方男性は、70歳くらいまでは骨量測定の必要はないと言われていますが、病歴などによっても骨量に差が出てくるので油断は禁物です。

カルシウムをたくさん含んだバランスのよい食事、日中の運動など健康的な生活は骨にも健康を与えます。来年からと言わず、今から骨のために生活改善してみませんか?

 

 

子どもの食物アレルギーと食物除去について(2006年12月)

 

子どもの食物アレルギーと食物除去について

社団法人 茨城県栄養士会

管理栄養士 内山 真理

 
 
 
 

 食物アレルギーと診断されても、一般的には、小学校に入るまでにはほとんどの子が食物制限を必要としなくなります。特に食物アレルギーによるアトピー性皮膚炎は3歳以降は急速に減少するといわれています。

実際、卵アレルギーでも3歳を過ぎると食べ過ぎなければ、症状がでない子どもが多いとも聞いています。

しかし、いつかは治るのだからといって、原因食物を食べ続けていると、なかなか症状が良くならないのも真実です。

食物除去を行う場合は、

 主治医の判断に従って必要最低限の制限を必要期間のみ行うのが原則です。決してお母さんの自己判断で行わないで下さい。

 検査と食物日誌から食物アレルギーと診断されたら、ある一定期間は食物除去を行います。

その間、代替食物について医師から十分な説明をうけ、食物日誌をつけながら栄養バランスに気をくばり、食物除去を続けることが大切です。

特に、乳児では市販のベビーフードは控え、食物内容がわかる手づくり離乳食にし、必要に応じて新たな食材を追加しながら食物除去を続けます。

幼児の場合は、食べ物を制限することによる精神的ストレスを念頭において食物制限をしなければなりません。

食べ物を制限することによって、一時的に症状が良くなっても、食べられないストレスが強くなると、さらに症状が悪化してしまうことがあります。

食べることによって多少症状が悪くなっても、得られる満足感が勝るなら多少は食べてもよいなど、ケース・バイ・ケースの対応を主治医とよく相談しましょう。

★ 食物除去の注意点

 
食物除去療法によって症状がどんなに改善しても、心身の発育障害があっては何の意味もありません。 食物アレルギーで食物除去をする場合も厳しい食物制限は行なわず、必要最低限の食物制限をするのが最近の除去食療法の考えです。

除去食療法のポイント

お母さんが一人で悩まない

医師と二人三脚で除去食内容を考え、必要以上の制限をしない。

代替タンパクあっての除去食療法

代替食品を使って、成長、栄養障害を起さないようにする。

スキンケア、環境整備をきちんと行う

たとえ食物除去中でも、スキンケアと環境整備が重要。

重症の場合は完全除去療法を行う

アナフィラキーショックを起こしたことのある食品に関しては、徹底的な除去を行う。

定期的に発育、発達をチェックする

特に、乳幼児期の成長障害は大人になっても、その障害が残ることがある乳児では1ヵ月ごとに身長、体重を測定し、母子健康手帳についている発育に記入して発育の遅れがないように気をつける。幼児期では急速な変化はないため3ヵ月毎にチェック。体重の増加不良があった場合は食物除去をゆるめる必要がある。特に、身長の伸びが悪い時は要注意。身長の増加不良が認められた場合は即座に除去食療法を中止。

勝手に除去食を始めたり、中止しない

除去食療法は食物アレルギーの療法の一つなので、自己判断は禁物。

★食物アレルギーと給食について

 食物制限のために皆と同じ給食が食べられないということは、子どもにとって大きな心理的負担になります。

食物制限のある場合は、食物アレルギーについて、園や学校側の理解と協力が不可欠です。同級生には担任から理解と協力が得られるよう説明してもらいます。

除去給食を行う場合は、

「人には色々な悩みや苦手なことがあります。○△さんは皆と同じ給食が食べたいのだけれど、お医者さんから食べてはいけないといわれている食べ物があります。本当は全部食べたくても少ししか食べられないことをわかってあげましょう。」

除去給食が不可能な場合は弁当持参となりますが、その場合は

「しばらくの間、お弁当で頑張ると、きっと皆と同じ給食が食べられるようになるので応援しましょう。」などと学校の先生に説明していただくとよいでしょう。

お弁当の場合は、あらかじめ給食の献立表をみて、給食と似た内容の除去食弁当を持たせる気配りをすることも大切です。

しかし、食物アレルギーは5~6歳になるとかなり症状が軽くなり、多少なら食べても症状がでないこともあります。

多くは、牛乳だけが飲めない場合や、特定の食物だけを食べなければよい場合がほとんどです。

残す必要があることを前もって皆に理解しておいてもらえば、給食を食べることができます。

しかし、そばアレルギーの子は命に関わることがあるので、そば給食の日には弁当を持参しましょう。

 

 

 

今年は何型?インフルエンザは予防が肝心!(2006年11月)

 

     
 
11月のテーマ:
今年は何型?インフルエンザは予防が肝心!
 にわかに寒くなり、季節はいよいよ冬めいてきました。秋から冬、この季節の変わり目に注意したいのは、やっぱり「風邪」。なかでも、インフルエンザは普通の風邪とは違う感染症で、特に注意が必要な病気です。国内で毎年約1,000万人がかかるというインフルエンザ。今回は、本格的な流行を前に、インフルエンザの予防についてお話します。
 
     

 

インフルエンザと風邪の違いは?
 

インフルエンザと風邪は、そもそも原因となるウィルスの種類が違います。インフルエンザは高熱が出るだけでなく、筋肉や関節の痛みなど全身に出る症状が強く、気管支炎や肺炎を併発しやすいなどの特徴があり、抵抗力のない乳幼児や高齢者にとっては生命にかかわる危険も。また、突然大流行することもある、恐ろしい病気です。

「普通の風邪と思っていたら、インフルエンザだった」ということのないよう、以下のような症状を感じたら早めに医師の診断を受けましょう。

<チェックポイント>

・地域内、職場・学校などでインフルエンザが流行している。

・一般的な風邪の症状(咳や鼻水など)がなく、突然高熱が出る。

・38℃以上の発熱およびひどい悪寒を感じる。

この他、間接や筋肉の痛み、倦怠感や疲労感、頭痛、寝込んでしまうほどの症状が出た場合も「ただの風邪だから」と見過ごさずにインフルエンザを疑いましょう。

 
インフルエンザの流行型
 

インフルエンザにはさまざまな型があり、原因となるインフルエンザウイルスは大きく分けてA型、B型、C型の3つに分類されます。さらに毎年の流行を経て変異株があらわれ、特にA型ウイルスは多くの変異株があり、世界的な流行を引き起こすこともあります。A型ウイルスは渡り鳥などによって国を越えて運ばれ、どの型が流行するかという予測は、地球規模の動向を解析して行われます。

予測技術が高まり、毎年実際の流行とほぼ一致するため、予防にはその年の予測をもとに作られた混合ワクチンが効果的です。新型ウイルスが出現しないかぎり、ソ連型、A香港型、B型、どの型が流行しても効果があります。ワクチンの効果が出るのは、接種から約2週間後で効果は5ヶ月前後持続します。日本でインフルエンザが流行するのは例年12月~3月で、1月下旬から2月初旬にピークを迎えることが多いといわれるので、流行前のこの時期に予防接種を受けておくのがいいでしょう。

ただし、体調やアレルギーなどの既住症などによって接種できないこともあるので、医師に相談しましょう。

 
日常生活から予防を!
 
インフルエンザ予防のポイントは、体力をつけて体の抵抗力をつけておくことと、ウイルスに接触しないこと。以下にまとめた予防法を、今日から実践してください。

・栄養と休養を十分とる

食事と睡眠をしっかりとり、体力をつけておきましょう。体の抵抗力をつけておくことで感染しにくい体になります。

・人ごみを避ける

感染の原因となるウイルスに接触しないよう、多くの人が集まる場所は極力避けるように。外出時はマスクを着用するのも良いでしょう。

・温度と湿度を適度に保つ

ウイルスが好むのは、低温・低湿の環境。特にインフルエンザウイルスは湿度に弱いため、加湿器などを活用して室内を快適な湿度に保ちましょう。

・手洗いとうがいを励行する

外出後は、手洗いとうがいを必ず行いましょう。手洗いは接触による感染を、うがいはのどの乾燥を防ぎ、ウイルスの感染を予防します。

 
まずは予防が第一ですが、万が一インフルエンザの疑いがあるような症状が出た場合は、早めに診断を受けること。発症から48時間以内であればインフルエンザウイルスの増殖を抑える薬が処方されるようになり、その服用は早いほど効果的です。ウイルスがのどや鼻の粘膜に広がり高熱が出てしまうと、根本的な治療が間に合わず、長期間休まなくてはならなくなってしまうこともあります。また、乳幼児や高齢者にとっては命にかかわる危険もあるため、できるだけ早く診断を受けるようにしましょう。

とにかく「インフルエンザは普通の風邪と違って恐ろしい感染症」であることを知り、予防に細心の注意を払って冬を乗り越えましょう。

 

 

風邪の予防と食生活(2006年11月)

 

風邪の予防と食生活

社団法人 茨城県栄養士会

 
 
 
 

 かぜは、いろいろな病気の中でも私たちが一番かかりやすい病気です。かぜを予防するためには、十分な睡眠と栄養バランスのとれた食事を心がけることが大切です。

1.かぜを予防するために大切なこと

(1)  日ごろから栄養、運動、休養のバランスを心がけましょう。

体の抵抗力が低くなると、かぜにかかりやすくなってしまいます。特に寝不足が続いたり、食事をぬいたりした時には要注意です。

うがいimage
(2)  戸外から帰ったら、必ずうがい、手洗いを忘れずに。

うがいやていねいな手洗いは、体の中にかぜのウイルスが入ってくるのを防いでくれます。習慣づけをしましょう。

(3)  室内の温度と湿度を適度に保つ。

冬の快適温度は21から23℃、湿度50%前後です。暖房した部屋は、まめに換気をしたり、湿度が低くならないように上手にコントロールしましょう。

2.食生活のポイント

(1) たんぱく質を十分に補う

たんぱく質は、寒さに対する抵抗力を強めます。それから、私たちの体内にかぜのウイルスが入った時に、それを退治してくれる成分が白血球の中に含まれています。この成分は、たんぱく質からつくられているのでかぜを予防するためには、魚や肉、卵、牛乳、大豆製品などを十分のとることが大切です。

(2) 脂肪も不足しないように

脂肪は体の皮膚や口、のどの粘膜を丈夫にして、かぜのウイルスに対する抵抗力を高めます。また、少しの量でたくさんのエネルギーを出すので体を暖かくします。そのほかにも、ビタミンAやビタミンEの働きをよくしてくれます。

(3) ビタミンの補給も忘れずに

ビタミンAやビタミンCは、かぜのウイルスに対する抵抗力を強くする働きがあります。野菜サラダ、さつま芋、ほうれん草、にんじん、みかんなどの野菜やくだものをいつも食べるように心がけましょう。

もし、かぜをひいてしまった時には、暖かくして早めに体を休ませましょう。(保温・安静・睡眠)食事は、「消化によい食材を使って体が温まるもの」を食べて、発汗を促すことが大切です。

 

 

 

食欲の秋到来!美食家は痛風になりやすい?(2006年10月)

 

     
 
10月のテーマ:
食欲の秋到来!美食家は痛風になりやすい?
 食欲の秋。暑さも過ぎ、食べ物がおいしい季節です。「うまい肴をつまみにお酒を飲むのが何よりの楽しみ」という人もいるかと思いますが、そんな人は特に注意して欲しいのが痛風という病気。「オヤジの病気」のイメージが強い痛風ですが、若い男性にも意外と多いもので、全国に数十万人の患者がいるといわれる病気です。今回は、あのレオナルド・ダ・ヴィンチも苦しめられたという「痛風」についてお話します。
 
     

 

痛風ってどんな病気?
 

「風が吹いただけで痛い」ほど足の関節が痛む病気、として知られる痛風。ある日突然足の親指の付け根が腫れ、立ち上がれないほどの痛みが発作的に起こります。この発作はたいていの場合1週間ほどで治まりますが、半年から1年の期間を経てまた同じような痛みが起こり、繰り返すうちに足首や膝の関節まで広がってくるように。怖いのは、この痛みと併行して内臓が侵されていくこと。間接の強烈な痛みだけでなく、腎臓などの内臓にも障害が起こってしまう病気と覚えておきましょう。

 
痛風の原因
 

痛風の原因となるのは尿酸という物質で、人間の体の中に必ず一定量あるものです。この尿酸値が何らかの原因で上昇し、蓄積していくと、ナトリウムと塩を作り結晶になります。その尿酸塩の結晶が間接の内面に沈着してしまうのが、痛風発作の原因。尿酸塩は間接以外の部分にも溜まり、特に腎臓には溜まりやすいので痛風の人は腎機能にも注意が必要です。

●痛風にかかりやすいのは男性

痛風患者のほとんどは男性。100人の患者のうち、女性は1、2名ほどしかいないほど男性に多い病気です。その理由は血液中の尿酸濃度(血清尿酸値)の違いにあり、一般的に男性よりも女性のほうが尿酸値が低いもの。女性ホルモンには腎臓からの尿酸の排泄を促す働きがあるためですが、閉経後に女性ホルモンの分泌が減ると尿酸値も少しずつ上昇するので、おおむね50歳以上の年代では男女の尿酸値の差は縮まってきます。

 
痛風を防ぐには
 
痛風を防ぐには、尿酸値を下げることが大切。それには尿酸のもとになるプリン体という物質を減らすのが第一です。

●尿酸値を上昇させる要因

・食生活

「美味しいものにはプリン体が多い」と言われていましたが、厳密な制限は難しいため、最近では痛風患者に対しての食品制限はそれほどされなくなっています。ただし、肥満度が高いほど尿酸値も上がるため、食事の総量を減らすことは大切です。

・遺伝

痛風患者の約2割は、父親や叔父、従兄弟に痛風もちがいます。痛風には遺伝的な体質が関連するので、親類に痛風患者がいる人は注意が必要です。

・アルコール

アルコールを飲むと尿酸値は一時的に上昇します。特にビールにはプリン体が多く含まれるので、痛風には大敵。焼酎やウイスキーなどの蒸留酒にはあまり含まれませんが、アルコールが代謝するときに尿酸値が上がるため、アルコール自体好ましくありません。

・ストレス

様々な病気の原因となるストレス。ストレスや激しい運動は尿酸値を上昇させる原因となります。

・他の病気の影響

腎機能の低下や、血液の病気などによって尿酸値が上がることも。悪性腫瘍が原因で高尿酸血症になることもあるので、注意が必要です。

●尿酸値を下げるには

尿酸値を下げるため日常生活で注意するポイントに、以下のようなものがあります。

・肥満を解消する

摂取カロリーの総量を制限すること、そして標準体重をキープすること。多品目を少しずつ、ゆっくり噛んで食べるよう心がけましょう。

・アルコールを控える

多量の飲酒は避け、特にビールを控えましょう。休肝日をつくるのは、肝臓を含め他の臓器にも良いことです。

・水分を十分とる

尿が1日2リットル以上になるのが理想。そのため、毎日2リットル以上の水分をとるようにしましょう。

・軽い運動をする

激しすぎる運動は尿酸値を上昇させてしまいますが、ウォーキングなどの有酸素運動ならOK。痛風患者に多い高血圧などの合併症にも効果的です。

 
痛風発作が起こった場合は、患部を冷やし、間接を安静にしましょう。痛み止めの内服薬は発作を悪化させることもあるので服用を避け、早めに医師の診断を受けること。

ダイエットと同じく厳しい食事制限を続けることは難しいものですが、日常生活での注意ポイントを守ることが大切。痛風は「尿酸が溜まっているから注意しろ」という身体からのサインと考えましょう。

 

 

今年の検診結果は いかがでしたか?(2006年10月)

 

今年の検診結果は いかがでしたか?

社団法人 茨城県栄養士会

管理栄養士 井出 理美
 
 
 

10月に入り、いよいよ秋本番です。秋といたら、やっぱり“食欲の秋”です。

ここ茨城は、肥沃な土壌に恵まれ、おいしい農産物がたくさん収穫されます。

サツマイモ、栗、りんご、柿、ぶどう・・・等ついつい食べ過ぎてしまいがちですね。

でも、同じ量食べるにしてもちょっとしたコツ・工夫を知っているだけで健康的な食生活が送れます。

1.ところで、今年の健診結果はいかがでしたか?

すべてが正常だった方は、これからもストレスをためずにバランスの良い食生活を心がけてください。

血液データがいくつかひっかかってしまった黄信号の方に、今回は特にお話したいと思います。
血圧、コレステロール、中性脂肪、血糖値等が少し高かった方、是非ここでしっかり意識してほしいと思います。これは、体の内部を数値で表した大切なあなたのデータです。今、あなたの体が“SOS”をだしていると理解してください。

食事の仕方、運動の有無によって、数年後データが青信号になるか、赤信号になるか、ちょうどその移行期にいるということです。

2.メタボリックシンドロームをご存知ですか?

心筋梗塞、脳梗塞などの虚血性心疾患、脳血管疾患等を発症する危険性を高める複合型リスク症候群のことをいいます。

    メタボリックシンドロームの診断基準

 将来、心筋梗塞、脳梗塞などの虚血性心疾患、脳血管疾患等を発症するリスクを低くするためにも、是非、食事療法、運動療法を取り入れましょう。どうしてもデータが芳しくない時は、最後の手段として薬物療法を考えましょう。

食事療法については、お近くのかかりつけ医・市町村の管理栄養士にどうぞご相談ください。また、運動療法については、手軽なウォーキングをお勧めします。でも、中には、腰や膝が痛くて出来ないという方もいらっしゃると思います。そこで、家の中で手軽に筋力トレーニングが出来るチューブ体操という方法もあります。無理なく自分に合った運動を、継続的に実践してみてください。

今後も、毎年忘れずに健診を受けて、健康的な生活をお過ごしください。

 

 

 

食欲の秋到来!腸内環境を整えて、おいしく食べよう。(2006年9月)

 

     
 
9月のテーマ:
食欲の秋到来!腸内環境を整えて、おいしく食べよう。
 残暑は続きますが、季節は徐々に秋へと色づいてきました。さて、秋と言えばやっぱり”食欲の秋” 健康と食は切っても切れない大切な関係。健康の源である食事をおいしく楽しむために、胃腸の自己管理は欠かせません。そこで今回は、腸内環境についてお話しします。
 
     

 

健康に役立つ”腸内細菌”
 

  私たちの体の中には無数の細菌が棲息しています。細菌と聞くと、なんだか体に悪いもののように感じますが、常在菌と呼ばれるこの細菌たちは、病原菌など身体へ有害な菌の進入や増殖を防ぐ大切なもの。その中で、腸内に棲息する細菌を腸内細菌と呼びます。

●腸内細菌とは

常在菌が最も多く棲息しているのが消化管内で、胃腸管の内壁を覆うように棲みつく無数の細菌が腸内細菌です。腸内細菌は、食べた栄養素から体を構成するのに必要なタンパク質などを合成したり、ビタミンを生成したり、免疫機能を強化させたり、中性脂肪や血糖などの代謝を促進させたりと、健康に関わる多くの働きをしています。

●善玉菌と悪玉菌

さて、腸内細菌といえば善玉菌という言葉を耳にしたことがある人も多いかと思います。お腹に良いとされる「乳酸菌」がそれで、糖類を分解して乳酸や酢酸を生産したり、便秘や下痢を防いだり、消化・吸収・代謝を助けるなどの働きをもつ細菌の総称です。

ちなみに、腸内細菌には、この善玉菌と悪玉菌、そして食生活や体調によって善玉・悪玉のどちらにもなりうる日和見菌の3種類が存在します。悪玉菌は、その名の通り体に悪い働きをする菌で、ブドウ球菌やウェルシュ菌などが挙げられます。

生まれたばかりの赤ちゃんのお腹の中はほとんどが善玉菌ですが、成長と共に悪玉菌が増え、菌のバランスが崩れていきます。悪玉菌が増える原因には、ストレスや薬の服用によるもの、便秘、食生活や疾病などが挙げられますが、悪玉菌が増えると様々な有害物質が生成されることになり、免疫力が低下したり生活習慣病が発症しやすくなると言われています。

体と健康に大切な腸内細菌ですが、一度バランスの崩れた腸内環境は、放っておけば改善されるというものではありません。腸内細菌のバランスを整えるには、偏った食事ではなく、腸内細菌が好んで食べる乳酸菌やオリゴ糖、食物繊維などをしっかりと摂るように心がけることが大切です。

 
ビタミンを作る腸内細菌
 

健康づくりに欠かせないもののひとつにビタミンがありますが、このビタミンを生成するのが腸内の善玉菌。腸内細菌がつくり出すビタミンには、ビタミンB郡(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12)、葉酸、ビタミンKなど、多くの種類が確認されています。

●ビタミンの種類

【ビタミンA】

皮膚や粘膜を丈夫にする。

【ビタミンB1】

脳を活性化し、疲労を防ぐ。

【ビタミンB2】

発育を促進する成長ビタミン。

【ビタミンB6】

タンパク質をつくる。

【ビタミンB12】

貧血を改善する。

【ビタミンC】

コラーゲンの生成を助ける、ビタミンの代表格。

【ビタミンD】

強い骨や歯をつくるカルシウムを調整する。

【ビタミンE】

活性酸素から体を守る。

【ビタミンK】

血液凝固と骨の健康に役立つ。

【ベータカロチン】

緑黄色野菜に豊富に含まれる、抗酸化ビタミン。

【ビオチン】

皮膚の健康を保つ。

【葉酸】

赤血球や細胞を作るのに役立つ

 

 
ストレスは善玉菌の大敵!
 
強いストレスは腸の蠕動(ぜんどう)運動をコントロールする自律神経中枢にも影響を及ぼし、便秘や下痢を引き起こす要因となります。不規則な便通は腸内細菌のバランスを崩し、善玉菌を減らして悪玉菌を増殖させてしまいます。

●便秘

便通が不規則で、水分の少ない便が出るのが便秘です。便が何日も腸内に滞ると、悪玉菌が繁殖して便を腐敗させます。腐敗した便は有毒物質やガスを発生し、これらの毒素が血液によって全身に運ばれると、様々な病気を引き起こす原因ともなります。便秘気味の人は、食物繊維と水分をしっかりととり、正しい食生活を心がけましょう。

●下痢

便に含まれる水分が腸内で十分に吸収されずに排泄されるのが下痢です。体を冷やさないように気をつけ、温かいスープなどで失われた水分や栄養素を補給しましょう。ただし、腹痛や嘔吐、発熱、血便など異常を感じる下痢の場合は食中毒などの可能性も考えられるので、速やかに医師の診断を受けましょう。

 気持ちのいいお通じは腸の健康につながり、便通を正しく整えることが腸内環境を良好に保つ秘訣です。そのためにもストレスをためないように自分なりの解消法を見つけるなど工夫し、積極的に食物繊維を摂るように心がけましょう。

食物繊維の一日の摂取量の目安は、20~30gです。食物繊維は玄米や麦芽米などの穀類、大豆などの豆類、さつまいもや山芋などのいも類、ごぼうやにんじんなどの根菜類などの野菜に多く含まれています。また、わかめやひじき、寒天などの海藻、きのこ類、乳製品なども食物繊維を多く含む食品。これらの食材を毎日の食事に積極的に取り入れ、上手に食物繊維を摂取しましょう。

 
「食欲の秋」と言えば、気になるのがダイエット。しかし、食べる量を減らすダイエットは便の量と体内の水分を減らすことになり、便秘へとつながる恐れも。また、食事を抑えるだけで運動をしないダイエットも、筋肉を落とし腸の働きを鈍くしてしまうため、腸内環境には好ましくないものです。健康な腸の働きを助けるのは、規則正しい生活とバランスのよい食事、そして快便です。おいしく食べて、体の中から健康管理に努めましょう。