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健康まめ知識

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今年の検診結果は いかがでしたか?(2006年10月)

 

今年の検診結果は いかがでしたか?

社団法人 茨城県栄養士会

管理栄養士 井出 理美
 
 
 

10月に入り、いよいよ秋本番です。秋といたら、やっぱり“食欲の秋”です。

ここ茨城は、肥沃な土壌に恵まれ、おいしい農産物がたくさん収穫されます。

サツマイモ、栗、りんご、柿、ぶどう・・・等ついつい食べ過ぎてしまいがちですね。

でも、同じ量食べるにしてもちょっとしたコツ・工夫を知っているだけで健康的な食生活が送れます。

1.ところで、今年の健診結果はいかがでしたか?

すべてが正常だった方は、これからもストレスをためずにバランスの良い食生活を心がけてください。

血液データがいくつかひっかかってしまった黄信号の方に、今回は特にお話したいと思います。
血圧、コレステロール、中性脂肪、血糖値等が少し高かった方、是非ここでしっかり意識してほしいと思います。これは、体の内部を数値で表した大切なあなたのデータです。今、あなたの体が“SOS”をだしていると理解してください。

食事の仕方、運動の有無によって、数年後データが青信号になるか、赤信号になるか、ちょうどその移行期にいるということです。

2.メタボリックシンドロームをご存知ですか?

心筋梗塞、脳梗塞などの虚血性心疾患、脳血管疾患等を発症する危険性を高める複合型リスク症候群のことをいいます。

    メタボリックシンドロームの診断基準

 将来、心筋梗塞、脳梗塞などの虚血性心疾患、脳血管疾患等を発症するリスクを低くするためにも、是非、食事療法、運動療法を取り入れましょう。どうしてもデータが芳しくない時は、最後の手段として薬物療法を考えましょう。

食事療法については、お近くのかかりつけ医・市町村の管理栄養士にどうぞご相談ください。また、運動療法については、手軽なウォーキングをお勧めします。でも、中には、腰や膝が痛くて出来ないという方もいらっしゃると思います。そこで、家の中で手軽に筋力トレーニングが出来るチューブ体操という方法もあります。無理なく自分に合った運動を、継続的に実践してみてください。

今後も、毎年忘れずに健診を受けて、健康的な生活をお過ごしください。

 

 

 

食欲の秋到来!腸内環境を整えて、おいしく食べよう。(2006年9月)

 

     
 
9月のテーマ:
食欲の秋到来!腸内環境を整えて、おいしく食べよう。
 残暑は続きますが、季節は徐々に秋へと色づいてきました。さて、秋と言えばやっぱり”食欲の秋” 健康と食は切っても切れない大切な関係。健康の源である食事をおいしく楽しむために、胃腸の自己管理は欠かせません。そこで今回は、腸内環境についてお話しします。
 
     

 

健康に役立つ”腸内細菌”
 

  私たちの体の中には無数の細菌が棲息しています。細菌と聞くと、なんだか体に悪いもののように感じますが、常在菌と呼ばれるこの細菌たちは、病原菌など身体へ有害な菌の進入や増殖を防ぐ大切なもの。その中で、腸内に棲息する細菌を腸内細菌と呼びます。

●腸内細菌とは

常在菌が最も多く棲息しているのが消化管内で、胃腸管の内壁を覆うように棲みつく無数の細菌が腸内細菌です。腸内細菌は、食べた栄養素から体を構成するのに必要なタンパク質などを合成したり、ビタミンを生成したり、免疫機能を強化させたり、中性脂肪や血糖などの代謝を促進させたりと、健康に関わる多くの働きをしています。

●善玉菌と悪玉菌

さて、腸内細菌といえば善玉菌という言葉を耳にしたことがある人も多いかと思います。お腹に良いとされる「乳酸菌」がそれで、糖類を分解して乳酸や酢酸を生産したり、便秘や下痢を防いだり、消化・吸収・代謝を助けるなどの働きをもつ細菌の総称です。

ちなみに、腸内細菌には、この善玉菌と悪玉菌、そして食生活や体調によって善玉・悪玉のどちらにもなりうる日和見菌の3種類が存在します。悪玉菌は、その名の通り体に悪い働きをする菌で、ブドウ球菌やウェルシュ菌などが挙げられます。

生まれたばかりの赤ちゃんのお腹の中はほとんどが善玉菌ですが、成長と共に悪玉菌が増え、菌のバランスが崩れていきます。悪玉菌が増える原因には、ストレスや薬の服用によるもの、便秘、食生活や疾病などが挙げられますが、悪玉菌が増えると様々な有害物質が生成されることになり、免疫力が低下したり生活習慣病が発症しやすくなると言われています。

体と健康に大切な腸内細菌ですが、一度バランスの崩れた腸内環境は、放っておけば改善されるというものではありません。腸内細菌のバランスを整えるには、偏った食事ではなく、腸内細菌が好んで食べる乳酸菌やオリゴ糖、食物繊維などをしっかりと摂るように心がけることが大切です。

 
ビタミンを作る腸内細菌
 

健康づくりに欠かせないもののひとつにビタミンがありますが、このビタミンを生成するのが腸内の善玉菌。腸内細菌がつくり出すビタミンには、ビタミンB郡(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12)、葉酸、ビタミンKなど、多くの種類が確認されています。

●ビタミンの種類

【ビタミンA】

皮膚や粘膜を丈夫にする。

【ビタミンB1】

脳を活性化し、疲労を防ぐ。

【ビタミンB2】

発育を促進する成長ビタミン。

【ビタミンB6】

タンパク質をつくる。

【ビタミンB12】

貧血を改善する。

【ビタミンC】

コラーゲンの生成を助ける、ビタミンの代表格。

【ビタミンD】

強い骨や歯をつくるカルシウムを調整する。

【ビタミンE】

活性酸素から体を守る。

【ビタミンK】

血液凝固と骨の健康に役立つ。

【ベータカロチン】

緑黄色野菜に豊富に含まれる、抗酸化ビタミン。

【ビオチン】

皮膚の健康を保つ。

【葉酸】

赤血球や細胞を作るのに役立つ

 

 
ストレスは善玉菌の大敵!
 
強いストレスは腸の蠕動(ぜんどう)運動をコントロールする自律神経中枢にも影響を及ぼし、便秘や下痢を引き起こす要因となります。不規則な便通は腸内細菌のバランスを崩し、善玉菌を減らして悪玉菌を増殖させてしまいます。

●便秘

便通が不規則で、水分の少ない便が出るのが便秘です。便が何日も腸内に滞ると、悪玉菌が繁殖して便を腐敗させます。腐敗した便は有毒物質やガスを発生し、これらの毒素が血液によって全身に運ばれると、様々な病気を引き起こす原因ともなります。便秘気味の人は、食物繊維と水分をしっかりととり、正しい食生活を心がけましょう。

●下痢

便に含まれる水分が腸内で十分に吸収されずに排泄されるのが下痢です。体を冷やさないように気をつけ、温かいスープなどで失われた水分や栄養素を補給しましょう。ただし、腹痛や嘔吐、発熱、血便など異常を感じる下痢の場合は食中毒などの可能性も考えられるので、速やかに医師の診断を受けましょう。

 気持ちのいいお通じは腸の健康につながり、便通を正しく整えることが腸内環境を良好に保つ秘訣です。そのためにもストレスをためないように自分なりの解消法を見つけるなど工夫し、積極的に食物繊維を摂るように心がけましょう。

食物繊維の一日の摂取量の目安は、20~30gです。食物繊維は玄米や麦芽米などの穀類、大豆などの豆類、さつまいもや山芋などのいも類、ごぼうやにんじんなどの根菜類などの野菜に多く含まれています。また、わかめやひじき、寒天などの海藻、きのこ類、乳製品なども食物繊維を多く含む食品。これらの食材を毎日の食事に積極的に取り入れ、上手に食物繊維を摂取しましょう。

 
「食欲の秋」と言えば、気になるのがダイエット。しかし、食べる量を減らすダイエットは便の量と体内の水分を減らすことになり、便秘へとつながる恐れも。また、食事を抑えるだけで運動をしないダイエットも、筋肉を落とし腸の働きを鈍くしてしまうため、腸内環境には好ましくないものです。健康な腸の働きを助けるのは、規則正しい生活とバランスのよい食事、そして快便です。おいしく食べて、体の中から健康管理に努めましょう。

 

 

水には味がある! お水の話し(2006年9月)

 

水には味がある! お水の話し

社団法人 茨城県栄養士会

栄養士 小林麻衣子
 
 
 

人体の60%は水でできているといわれています。水がなければ人間は生きていけません。それほどい人間にとって、大切な命の源『水』。しかし昨今社会の都市化・工業化進み、水の汚染が心配されています。そんなこともあってか世は『水』ブーム。コンビニやスーパーの飲料水コーナーを覗いて、「最近、水が増えたなあ」と感じる方も多いはず!輸入品から国産品まで種々様々の水が売られている『水(ミネラルウォーター)』ブームの中身を覗くと共に身近過ぎる『水』について考えてみませんか?

1.人体の60%は水。水なしで人間は生きられない。

人間の体内で水の占める割合は、新生児で約80%、成人でも約60%とも言われています。水分が失われると脱水症状が現れ、15~20%を失うと生命の危機があるといいますから、私達の体にとって、水は非常に重要なものとも言えます。

2.水分補給のタイミング

成人が1日に必要な水分は2.000~2.500ml。このうち飲料水として摂りいれるのは800~1.300mlと言われています。

≪上手に水分補給をするには?≫

≪朝1杯の水を習慣に≫

寝ている間に汗をかき、水分が奪われしまうため、朝起きて水分を摂取しないでいると、どろどろとした血液が詰まって脳梗塞の発作を起こしてしまう可能性が高くなるからです。また朝起きぬけにコップ1杯の冷たい水を飲むと、腸が刺激され便秘解消にもなります。

≪1日1リットルを目標に≫

1度にがぶ飲みしても意味が無い1回200ml程度を何度かに分けて摂取すると摂取しやすい。1日のサイクルとしては・・・

朝目覚め1杯 午前10時1杯 午前3時1杯 入浴後1杯 就寝前1杯

≪乾く前に飲む≫

喉が渇いたからといってガブ飲みするのは避けましょう。汗をかいた
後の身体は、水分だけでなくミネラル分も失われています

水分だけ大量に共給すると、体液中のミネラル濃度が薄くなって
しまいます。まずは『喉が渇いた』と思う前に積極的に
水分を補給するよう心かけましょう。

≪入浴前・後は必ず補給≫

お風呂に入るとたくさんの汗をかきます。

十分な水分補給をしてから入浴しましょう。

また、入浴後は皮膚がふやけているので水分があるように思いますが、やはりたくさんの汗をかいています。入浴後も十分な水分補給を心がけましょう。

3.『おいしい水』とは?

本来水は水は無味無臭なものです。雨水を調べてみても、蒸留水に近くミネラル成分をほとんど含んでいません。雨水が地球に降った後に、いろんな地質層や岩石層の狭い隙間に浸み込んでいって、いろいろなミネラル成分(カルシウム・マグネシウム)を溶かし込みます。

水に味があるというのは、飲み水が純粋なH2Oでなく、鉱物分などを溶かし込んでいるからなのです。

さらに水には硬度があります。

水には軟水と硬水があり水に含まれているミネラル成分によって分けられます。

この硬度は水の味を決める大きな要素の一つなのです。

≪おいしい水とはどのような水?≫

「おいしい水」を決定づけるのは、とても難しいこと。味は個人的嗜好もあり一概には決めることはできません。ここでは「あなたの好み」に合いそうな水探しのヒントをご紹介します。

水質項目
おいしい水の要件
おいしさの違いは?
蒸留残留物 30~200mg/l 主にミネラルの含有量を示す。量が多いと苦味・渋味が増し、適度に含まれるとこくのある、まろやかな味がする。
硬   度 10~100mg/l 硬度の低い水は「くせ」がない。高いと「くせ」があるため、人によって好き嫌いが出る。カルシウムに比べ、マグネシウムの多い水は苦味をます。
遊離炭酸 3~30mg/l 水にさわやかな味を与えが、多いと刺激が強くなる
水   温 最高20℃以下 水は冷すことによっておいしく飲める。

4.『硬い水』と『軟らかい水』

水はミネラル分が多く含まれると水の味は硬く感じられ、少ないと軟らかかく感じられます。
『硬度』とは水に含まれるカルシュウムとマグネシウムの量を測定したものです。

◆軟水

1リットル中100mg以下のもの。味はまろやか。

ミネラル分は少なめ。日本産のミネラルウォーター

はほとんどこれにあたります。

◆硬水

1リットル中301mg以上のもの。

口当たりにはややクセがありますが、ミネラル補給には効果的です。

◆中硬水

1リットル中101mg以上300以下のもの。

違和感のない味わいで、ミネラル補給も同時にできます。

海外産ミネラルウォーターではエビアンなどがこのタイプです

◆超硬水

1リットル中1000mg以上のもの。

コントレックスはこのタイプです。

一般的に硬い水は口に含むと引き締まった味がします。一方軟らかい水は口の中でやさしく広がります。

5.『ミネラルウォーター』の効能

6.ミネラルウォーター使い分け術

 
緑茶
紅茶
地域
日本
欧州
軟水
まろやか
香りが薄い
硬水
渋みが出る
香りが良く出る
硬度50以下

(軟水)

野菜煮物・炊飯・和風のだし・緑茶
硬度50~100

(中程度の軟水)

料理・コーヒー・紅茶
硬度170前後

(硬水)

ウイスキー水割り・洋風だし・肉の煮込みやアク抜き
硬水300

(非常な硬水)

食欲増進の効果があるので食前酒の代わりに
硬度600を超える水

(更に非常な硬水)

便秘対策・スポーツ後のミネラル補給など

一口に『水』といっても、軟水・硬水・炭酸水など、様々な種類があり、それぞれの性質と、体に及ぼす効能も違います。私達にとっては、本当に日常的な飲み物。だからこそ『たかが水』など思わずに、関心を深めることにより楽しく、用途や利用目的によってミネラル成分や硬度を確認してから購入してみてはいかがでしょうか?きっとあなた好みの『水(ミネラルウォーター)』が見つかるかもしれませんね。

 

 

 

寝苦しい季節、環境を整えて快眠を手に入れよう。(2006年8月)

 

     
 
8月のテーマ:
寝苦しい季節、環境を整えて快眠を手に入れよう。
寝苦しい夏の夜。クーラーなしでは寝つけなかったり、起きたら汗びっしょり…なんて人も多いのではないでしょうか? 夏に限らず、生活リズムの乱れやストレスの多い現代社会の影響か、現代人は5人に1人が不眠に悩まされているそうです。十分な睡眠時間が得られない人も、すっきりとした寝覚めが感じられない人も、睡眠環境を整えて『快眠』を手に入れましょう。
 
     

 

理想の睡眠時間は8時間?
 

よく理想の睡眠時間は「1日8時間」と言われますが、実はこれには医学的根拠はありません。多くの人の睡眠時間が6~9時間程度という統計から出された平均値に過ぎず、また、この平均値も年々減少傾向にあるようです。国民生活時間調査(2000年NHK調べ)によると、日本人の平均睡眠時間は7時間23分で、年代別に見ると30代が6時間57分、40代が6時間59分と、働き盛りの年代に特に睡眠時間が短いという現象が見られます。

睡眠時間にはかなりの個人差があり、毎日3~4時間の睡眠で十分な睡眠が得られる人もいれば、9時間以上の睡眠が必要な人もいるのが実情。基本的には、日中眠気がなく活動できるのに十分な睡眠時間が確保されていれば、睡眠時間は何時間でも構わないと言われています。

 
睡眠の仕組み
 

睡眠には浅い眠りのレム睡眠と、深い眠りのノンレム睡眠があります。寝付いたあとにはまずノンレム睡眠があらわれ、次に浅い眠りのレム睡眠へと移行します。そのあと再びノンレム睡眠へと移行し、この繰り返しが約90分周期で1晩に4~5回、一定のリズムで繰り返されるのです。

●ノンレム睡眠

脳が眠っている状態で、眠りの深さによって4段階に分けられます。浅い眠りから深い眠りへと進み、一番深いところまでいくと再び浅い眠りに向い、そのあとレム睡眠へと移行します。寝付いた直後はまずノンレム睡眠がおこるため、居眠りはほとんどがノンレム睡眠。そのため、ほんの少し居眠りするだけで脳の休息が得られます。

ノンレム睡眠の特徴は

・入眠直後にあらわれる

・夢はほとんど見ない

・身体を支える筋肉は働いている

・眠りが深くなるにつれ、呼吸回数・脈拍が少なくなる

といったものが挙げられます。

●レム睡眠

一方、身体は深く眠っていても脳が起きているような状態の眠りがレム睡眠。眠りが浅く、寝覚めの準備状態でもあるため、このレム睡眠時に目覚めるとすっきり目覚められます。

レム睡眠の特徴は

・眼球がキョロキョロ動く(まぶたは閉じています)

・身体の力は完全に抜けている

・呼吸や脈拍が不規則

・夢を見やすい

長い時間眠る人でも、脳の睡眠時間であるノンレム睡眠の時間は睡眠時間の短い人と変わらないとの調査結果もあり、長時間の睡眠を確保するよりも睡眠のリズムを知り「質」重視を心がけることで熟睡感が得られるようです

 

 
いびきをかくのは疲れている証拠?
 
「グーグー」といびきをかいて眠る人、はたから見るとぐっすり眠っているように見えますが、実際はどうなのでしょうか。寝ている間に舌や喉の奥の筋肉が緩み、気道が狭くなるために口の中の軟部組織が振動して音が出るのがいびきの仕組み。歳をとればとるほどいびきの回数が多くなると言われ、60代では男性の6割、女性の約半数が一晩に1回はいびきをかくといわれています。

疲れているときやお酒を飲みすぎたとき、鼻炎や扁桃腺炎などの人もいびきをかきやすくなりますが、いびきが多いからといって健康上に問題があるという心配はありません。

●睡眠時無呼吸症候群

ただし、いびきをかく人の中には、新幹線運転手の件などで一時話題になった「睡眠時無呼吸症候群」という病気がかくれていることがあります。いびきの合間に無呼吸状態になる病気で、昼間に耐えられないほどの眠気におそわれる経験のある人は要注意。大きないびきのあとに突然静か(無呼吸状態)になり、そのあと「ヒュー」という空気が抜けるような音や、「ガガっ」というような大きないびきをかく場合は睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。この無呼吸状態は高血圧や動脈硬化を引き起こしやすく、脳梗塞や心不全など命に関わる危険もあるので、家族のいびきが気になる場合は一度注意して観察してみましょう。

●いびき対策

病気とは関係ない普通のいびきでも、隣で眠っている人にとっては騒音に…。いびきをかきやすい人は、以下のような点に注意してみましょう。

・仰向けでなく横向きに寝る

→仰向けで寝ると、舌などが重力で下向きに落ち込み気道が狭くなり、いびきをかきやすくなります。

・枕を高めにしてみる

→頭の位置を上げることで、気道が確保されやすくなります。

・生活習慣を見直そう

→肥満の人はダイエットを、アルコールのとりすぎもいびきの原因になることがあります。

 
ぐっすり眠れる環境づくり
 

快眠を得るためには、寝室の環境も大切。静かで快適な、落ち着ける寝室づくりで、気持ちよい眠りを手に入れましょう。

●快眠できる寝室の条件

・音

→周りが静かになる分、夜間はちょっとした物音でも寝付けない原因に。二重サッシや遮音カーテンなどを利用して外からの騒音を防ぐほか、就寝時間の違う家族間でも協力しあいましょう。

・光

→寝室の理想的な明るさは、20~30ルクス(おぼろげに物が見える程度)が良いとされています。ただし、人によって「真っ暗にしないと眠れない」「多少明かりがあったほうが安心して眠れる」など好みがあるため、実際は自分にとって一番眠りやすい明るさがベスト。ただし明るすぎる寝室は脳を刺激して眠りに入るのを邪魔するため、部屋全体の照明は消して、明るさの調節できる間接照明などを利用するとよいでしょう。

・湿度と温度

→理想的な室温は、夏場が25℃、冬場は15℃、湿度は年間を通じて50%が良いとされています。エアコンをつける場合は、冷房は25~28℃、暖房は18℃~22℃を目安に設定しましょう。また、掛け布団などの寝具も、夏は涼しく、冬は暖かく眠れるように季節に応じて工夫しましょう。

・色

→ベージュやブラウンなど、落ち着いた色合いが好ましく、刺激的な色彩は避けましょう。

●スムーズに眠りに入るために

スムーズに眠りに入るためには、眠る1~2時間前から脳をリラックスさせることが大切。眠りたい時間の直前まで仕事や勉強、ゲームなど頭を酷使する作業をすることは避け、心身ともにリラックスして眠る準備に入りましょう。

・入浴法を工夫

→ぬるめのお風呂にゆっくりつかると緊張がほぐれ、リラックスできます。

・ハーブの香りでリラックス

→カフェインの含まれていないハーブティーは、香りにもリラックス効果があります。お茶だけでなく、アロマオイルやキャンドルを使ってみるのも良いでしょう。神経の緊張や不安を和らげる効果のあるラベンダー、気分を沈静させて不眠症にも効果のあるといわれるカモマイルなど、リラックスできる好みの香りを見つけましょう。

・リラックス音楽を聴いてみる

→脳がリラックスしているときに出るといわれるα波。最近はα波を引き出すような音楽を集めたCDも売られているので、これらの音楽でのんびりとリラックスするのもひとつの手。ただし個人の好みがあるので、却って落ち着かないという人には向きません。

・ホットミルクで身体を温める

→空腹感は眠りにつくのを邪魔しますが、寝る前の過度な飲食も体内リズムによくありません。眠る前に空腹感を感じたときは、ホットミルクがおススメです。

 
それでもなかなか寝付けないときは、眠れないこと自体がストレスになり、余計眠れなくなることも。気分を変えて一度布団から出て、軽いストレッチをしたり、読書をしたり、リラックスした時間を過ごせば自然と眠気がやってきます。

また、十分な時間寝ているのにまだ眠いという人は、生活リズムに原因があるかもしれません。決まった時間に眠り、決まった時間に起きる。本来の生活リズムを取り戻し、気持ちよい熟睡感と目覚めを手に入れましょう

 

 

足の指の皮がポロポロ…これって水虫?(2006年7月)

 

     
 
7月のテーマ:
足の指の皮がポロポロ…これって水虫?
 湿度の高い日本の夏。梅雨があければ、本格的に夏本番です。暑さとともに、食欲不振や日射病、夏バテなどの体調不良も心配になってくるので、身体の調子には注意して過ごしましょう。

さて、蒸し暑い時期は特に気になる靴の中の蒸れ。そう、水虫の多くなる季節です。特効薬のない病気、オヤジの病気と言われた時代も今は昔。対処法や効果的な薬が開発される一方、若い女性や子供の水虫も多くなっています。そこで今回は水虫についてのお話。本人はもちろん、家族に水虫がいる人もぜひご一読ください。

 
     

 

水虫ってどんな病気?
 

 テレビCMなどでご存知の方も多いと思いますが、水虫は一種のカビ。皮膚糸状菌という一種のカビによって生じる感染症を言い、多くは白癬菌というカビが原因です。高温多湿を好むカビの特性と、皮膚のたんぱく質(ケラチン)を栄養源とする性質があるため、足の裏や足指の間などが「住みやすい場所」となるようです。

また、足に発症した場合は水虫ですが、生じる場所が爪なら爪水虫、体ならたむし、股ならいんきんたむし、頭皮ならしらくもと呼び名が変わり、必ずしも足だけに生じるものではありません。

 
足水虫の特徴
 
さらに、足の水虫にもいくつかのタイプがあります。
・ジュクジュクタイプ(趾間型)

一番多いタイプの水虫。足指の間が、びらん(ジュクジュクした状態)して白くふやけるタイプ。皮がむけたり、赤くただれてきたりします。
・ポツポツタイプ(小水疱型)

足裏などに小さな水ぶくれがポツポツとでき、その後薄皮がむけるタイプ。水ぶくれの周りが腫れてくる場合もありますが、水ぶくれが目立たず、薄皮がむけるだけの場合もあります。ちなみに、水ぶくれが破れたときの汁には白癬菌はいないため、この汁から水虫がうつる心配はありません。
・ガサガサタイプ(角質増殖型)

足裏の角質が厚くなりガサガサになって割れたりはがれたりするタイプ。このはがれた皮には白癬菌がすんでいるため、ここから家族などへ感染する場合もあります。また、水ぶくれやかゆみなどがないため、水虫と気付かない場合も多いタイプなので注意が必要です。
・爪水虫

爪の色が白色から黄色に濁り、厚くなるタイプ。進行してくると爪がもろくなって欠けたり、でこぼこになったりします。足水虫が爪にうつることで発症することが多いようです。

 「かゆい」というイメージの強い水虫ですが、かゆみを感じない場合も意外と多いのが実際のところ。特にガサガサタイプの場合、水虫と気付かずに過ごしている人も多いようです。一度自分の足を見て、「もしかして…」と感じるところがあれば、皮膚科へ行ってみましょう。

 
水虫に似た皮膚病
 
 水虫になると、大抵の人は市販の水虫薬で治療を試みます。しかし「薬を塗っても治らない」と、皮膚科に訪れる人も多く、なんとその3割近くが別の病気なんだとか。逆に水虫じゃないと思っていたのに水虫だったというケースもありますが、水虫に似た病気には以下のようなものが挙げられます。
・掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

手のひらや足の裏などの皮膚に、膿をもったプツプツができる皮膚病
・汗疱(かんぽう)

手のひらや足の裏などの皮膚に、小さな水ぶくれができる皮膚病
・かぶれや湿疹

手のひらや足の裏などがかぶれたり湿疹ができ、赤みやかゆみができる

これらの症状は水虫と間違いやすいものですが、水虫ではないので水虫薬を塗っても治らなくて当然ですね。このような間違いを防ぐためにも、疑わしい場合はやはり皮膚科での診断をおすすめします。

 
水虫治療はどう行うの?
 

●皮膚科での診断

では、皮膚科ではどのような診断と治療をするのでしょうか。一般的な流れをご紹介します。

皮膚科ではまず皮膚の状態をみて診断しますが、水虫かどうかの判断は、白癬菌の確認によって行います。皮膚の表面をこすって、顕微鏡で白癬菌の有無を確認することで、水虫かどうかを判断するのです。

●水虫薬について

水虫と診断されたら、そのあとは外用薬による治療が始まります。抗真菌薬を患部に塗布しますが、ジュクジュク水虫や白くふやけている場合、化膿やかぶれを伴っている場合などは、まずはその症状を抑えてから抗真菌薬による治療を開始します。また、爪の水虫の場合は内服薬が必要になりますが、肝臓へ負担がかかることもあるため、医師の指示に従いましょう。

薬を使用する際、大切なのは毎日続けて塗布することです。水虫は角質層の奥深くに寄生している場合が多いため、表面上治ったようにみえても、菌が残っているおそれが高いのです。皮膚のターンオーバーのサイクルは約1ヶ月。つまり、角質層が新陳代謝によって完全に生まれ変わるのには約1ヶ月かかるのです。このことからも、症状が治まったように見えても、それから最低でもさらに1ヶ月は薬を塗布し続けることが水虫治療のポイントなのです。塗るタイミングは、毎日の入浴後がベスト。清潔なのはもちろん、皮膚が柔らかくなっており、成分が浸透しやすい状態になっているからです。また、かゆいところや赤くなっているところ以外にも菌の広がっている可能性があるため、患部周辺になるべく広範囲に塗るようにしましょう。

 
 水虫の正体はカビ。ということは、カビが繁殖しづらい環境を作ることが水虫撃退の第一歩です。カビは高温多湿を好むので、足を蒸らさない、乾燥させる、こまめに洗う、などしてカビの繁殖しにくい状態を保ちましょう。

バスマットやスリッパなどから感染するケースも多いため、家族に水虫のいる家庭はもちろん、プールや公衆浴場、スポーツジムなどでも、最後に足をキレイに洗う、自分専用のスリッパを持参するなどして対処しましょう。また、靴や靴下も通気性のよいものを選ぶようにして、足の蒸れを減らしましょう。

治りにくいと思われている水虫ですが、正しい治療を根気よく続ければ約1ヶ月でよくなるはずです。民間療法も多く出回っていますが、症状を悪化させたりかぶれやただれなどを引き起こしてしまう場合もあるので、おすすめできません。やはり一番は医師の診断を受け、早めに正しい治療を始めること。家族に水虫のいる家庭は、本人だけでなく家族揃って診断するのがよいでしょう。素足になる機会もおおい季節、キレイな足で気持ちよく過ごしましょう。

 

 

健康づくりの中のおやつ作り(2006年7月)

 

健康づくりの中のおやつ作り

社団法人 茨城県栄養士会

管理栄養士 吉田和子
 
 
 

間食の必要性

幼児にとって間食は3つの側面から必要である。

第1点は栄養的な面の役割である。幼児期の食事摂取基準は、幼児の体重1kg当たりで見ると成人の2~3倍にもなる。しかし、消化吸収などの機能はまだ未熟で発育途上にある。

このため、多くの食物を一度に処理することができず、大人のように三回の食事だけで必要な栄養量を充足することが困難である。そのため間食を食事の一部分と考え、身体発育の面からエネルギー及び各栄養素のバランスが大切である。また、代謝が活発であり、水分補給の点からも重要視されている。

第2点は精神的な面の効果を考えられる。おやつは幼児にとって食べることの楽しみを体験できるひとときである。通常の3度の食事とは異なる雰囲気や、時には友達や家族を含め食卓の団らんなどのコミュにケーションの仲立ちにもなり、幼児に休息、気分転換の機会を与える。また、おやつはその形態や食べ方の面において、子供の好みを取り入れやすく、心の発達を助ける点からも効果的である。

第3点は、しつけや健全な食習慣を形成するための栄養教育の効果的な場として評価できる。間食を通して食事のマナーや食物の衛生的な取扱い等を無理なく自然な形で教育でき、また、クッキーづくりなど、作ることの喜びや直接素材にふれることのできる体験学習の場として、食べ物に対して子供の関心をさらに高められる。

間食の与え方と問題

与える回数は1~2歳児は午前(朝食と昼食の間)と午後(昼食と夕食の間)の2回

3~5歳児は午後(昼食と夕食の間)1回として与えることが一般的だ。個々の幼児の生活リズムに合わせることも大事である。

与える量は間食全体で1日に必要な食事摂取基準の10~15%位が適当である。1~2歳児は100~180kcal、3~5歳児では140~240kcalに相当する。

しかし、最近の幼児の間食の実態は、間食による摂取エネルギーの割合が25%前後にもなることが多く、1日の食事の栄養配分や肥満などの面から問題となっている。

注意点

① 間食の種類として望ましいものは、

栄養的な偏りの少ないもの

薄味で甘味、塩味の強くないもの

消化のよいもの(胃内停留時間の短いもの)

ある程度の容積を持ち満腹感を与えられるもの

水分補給できるもの

脂肪や糖質の多すぎないもの

食品

牛乳、乳製品を中心とした飲み物、果物、野菜類、穀類、芋類、豆類等の糖質性食品を基本に手作りされたもの

これらは市販のおやつに含有量の少ないビタミン、ミネラルなどが豊富に含まれている。

最近は栄養成分が表示されている菓子も流通されているので添加物の表示内容や製造年月日なども確認して利用することが必要である。

②間食に市販食品を用いた場合、容器包装のまま多量に与えない。

間食として使用頻度の高いスナック菓子類の中には非常に多くの脂肪や食塩が含まれている。放任すれば1袋食べてしまう。次の食事が十分に摂取できない場合も生じる。

③間食の時刻を決めることは、食生活リズムを整える上から重要である。 

だらだらと遊び食いにならないように、間食所要時間は20~30分以内ですます。

④幼児期になると簡単な買い物行動も可能となる。このとき、買い物の場において直接食べることがある。これは食生活リズムを乱し、幼児のわがままを助長し、さらには衛生面での問題を生じる。

⑤間食の内容については幼児の好みを取り入れることは幼児に喜びを与えるが、その際には間食の意義を逸脱しないよう配慮する。

⑥幼児期は、特に地域の同年齢の子供たちの影響を受けやすい。近隣の幼児の母親同士の情報交換や話し合いにより子供にとって最も望ましい間食について考え、間食の作り方なども紹介しあい、健全な食習慣の形成に努める。間食を軽視しない。

好ましいおやつの例

① 材料そのもの風味を味わうおやつの例

  • にんじん、きゅうり、セロリのステック:1歳頃から与えると野菜になじみやすい。
  • 季節の果物、果汁:果物はあまり手を加えない。
  • 牛乳、ヨーグルト、チーズ、ゆで卵:カルシウム、たんぱく質が不足するときに用いる。
  • 枝豆、そら豆、とうもろこし、焼栗、ナッツ類:季節を味わう。
  • 芋や南瓜の素揚げ、焼き芋、じゃがいものバター焼き、衣かつぎ、干しいも:胃に満腹感を与える。
  • そばがき、麦こがし、餅、かき餅、きな粉おはぎ:伝統的味覚を養う。
  • するめ、昆布、いりこ:噛みごたえのあるもの

② おやつの組み合わせ例(エネルギー量)―水分を同時にとる

  • 牛乳100gとポップコーン10g(109kcal)
  • 牛乳200gとビスケット20g(225kcal)
  • りんご果汁100gと焼きじゃがいも80g、バター5g(145kcal)
  • お茶100gと餅50g、チーズ20g、海苔1g(185kcal)
 

 

 

血管の健康、気づかっていますか?(2006年8月)

 

血管の健康、気づかっていますか?

社団法人 茨城県栄養士会

染谷まゆみ
 
 
 

サラサラの血液

ふだんは血管の状態など考えたこともない方がほとんどだと思います。でも血管は休むことなく私たちの体を維持するために、血液を体全体に届ける役目を果たしてくれています。その大切な血管を知らず知らずに酷使していませんか。糖分やアルコール・脂肪などを摂りすぎたり、ストレスが溜まったりすると血液の粘度が増し、ドロドロとした血液になります。その結果血液の流れが悪くなり、血管に負担をかけることになります。そのような状態が長く続くと血管壁が厚くなったり弾力が失われたりして動脈硬化につながり、更に脳梗塞や心筋梗塞になる恐れもあります。次のような点に気をつけて血液がサラサラになるような食生活を心がけ、血管をいたわりましょう。

〔心がけたいこと〕

1.健康に良いといわれている食品でも食べすぎは禁物。エネルギーや塩分のとりすぎになりやすいので注意が必要です。今までの食事に追加するのではなく、食べ過ぎていたと思う食品を減らしてその変わりに食べる方がよいでしょう。

2.バランスの良い食事を適量摂取しましょう。できる限り主食(ご飯、パン、麺など)・主菜(肉、魚、卵、大豆製品など)・副菜(野菜、きのこ、海草など)をそろえるように心がけます。ごはんと汁物・おかずを組み合わせる日本型の食事はバランスがとりやすいでしょう。

3.野菜・きのこ・海草類を十分に摂りましょう。

これらは低エネルギーで、かつ血管に良い影響を及ぼす成分の宝庫です。ビタミンC、ビタミンE、β-カロテンが多く含まれており、血液をサラサラにする効果があります。食物繊維も豊富で血中のコレステロールを下げ動脈硬化を防ぐ効果や、血糖値の上昇を抑える作用もあります。野菜は小鉢に1~2杯を目安に毎食食べたいものです。

4.青背魚も積極的に食べましょう。魚に含まれる不飽和脂肪酸は血液の流れを良くします。夏向けにさっぱりとしたイワシ料理をご紹介いたします。開いた生のイワシに少量の酒と醤油で下味をつけ、たたいた梅干と千切りのしその葉を混ぜたものをのせて焼くだけです。

 

 

 

 

胃が痛いのはストレスのせい?(2006年6月)

 

     
 
6月のテーマ:
胃が痛いのはストレスのせい?
 すっかり暖かくなり、半そで一枚で過ごせる陽気になりましたね。でも夜には肌寒い日もしばしば。風邪などに気をつけて過ごしましょう。さて、今回も前回に引き続きストレスが引き起こす心身の不調についてのお話です。今回は大切な消化器官・胃に注目し、胃潰瘍をはじめとするストレス潰瘍についてお話します。
 
     

 

ストレス潰瘍とは?
 

 ストレス潰瘍とは、胃潰瘍(十二指腸潰瘍も含む)の中でも、ストレスの影響が強いもののことで、多発性な上、再発しやすいという特徴をもっています。潰瘍の大きさや深さは様々で、同時にいくつもの潰瘍ができるケースも珍しくありません。

簡単に言うと胃壁や十二指腸がただれて潰瘍ができるという病気ですが、症状で特徴的なのは空腹時におこる腹痛がです。このほか、胸やけやげっぷ、悪心、嘔吐、便秘などがあります。吐血や下血を伴う場合は潰瘍がひどくなっている可能性が高く、早急な治療が必要です。

 
ストレスと潰瘍の関係
 
 近年、潰瘍の原因にヘリコバクター・ピロリという細菌(ピロリ菌)の存在が注目されていますが、ストレスもやはり潰瘍の大きな誘因であると考えられています。

胃潰瘍の原因は、消化器官である胃で分泌される胃液と、その胃液から胃の粘膜を守るはたらきとのバランスがくずれることによると考えられています。精神的なストレスは胃液の分泌を異常に高める一方で、胃壁の防御機能を弱めるため、自分の胃液で胃壁をいじめる結果になり、潰瘍をおこしてしまうのです。

また、慢性的な過労による不眠、倦怠感、肩こり、頭痛など体の不調と同時に、焦燥感、抑うつ感、過敏など精神的な不調を伴うこともあり、胃潰瘍はやはり生活上のストレスと深く関わっていると考えられます。

 
こんな人は、うつの可能性がピロリ菌について
 
 一方、潰瘍はストレスが直接の因子ではなく、ピロリ菌こそが最大の原因であるとの説もあります。これまで、胃には強い酸があるため細菌は存在しないと考えられていましたが、1983年に胃の中から細菌が分離・培養され、その存在が確認されました。ピロリ菌は自らが作り出すアンモニアで胃酸を中和し、胃の中にすむことができる細菌で、様々な毒素を出すため、胃炎や潰瘍を引き起こします。

ピロリ菌の感染源についてはまだ解明中ですが、水や糞便を介して、口から感染するという説が今のところ有力なようです。これは衛生設備の整った先進国では感染の割合が低いことに比べ、発展途上国では多くの人がピロリ菌に感染していることから推測されています。日本では40代以降の人の約半数が保菌者であると言われ、発展途上国と同じくらいの感染率となっています。しかし、30代までの人では、他の先進国と同様低い感染率にとどまっているようです。

ピロリ菌こそが潰瘍の最大の原因であると考える説では、ストレスは潰瘍の誘因にはなりうるものの、ピロリ菌に感染していない人は例え大きなストレスがかかったとしても、潰瘍にはならないと言われます。これまで、潰瘍が再発を繰り返すのは、潰瘍自体は抗潰瘍薬で治すことができるものの、「潰瘍症」という体質までは治せないためだと考えられていました。しかし、ピロリ菌を除菌すれば抗潰瘍薬を服用しなくても、潰瘍は再発しないという研究結果が多く発表され、「潰瘍症」という体質に対して疑問の声もあがっています。

ピロリ菌の感染については血液検査、または内視鏡検査で簡単に分かり、尿や便から調べることもできます。除菌治療で一般的なのは抗生物質と胃酸分泌抑制薬を1週間服用する方法が一般的で、8割以上の人が除菌に成功すると言われています。除菌に成功すれば、以後胃炎や潰瘍の薬を飲み続ける必要がなくなると、その効果が注目されています。

 
一般的な治療
 

●何科に行けばいいか

胃潰瘍が心配な場合、まずは内科、消化器科、胃腸科へ行き、診断を受けましょう。胃X線検査で異常が発見されると、内視鏡検査で確認という手順が一般的で、これらで外科的治療が必要と判断されると、消化器外科へ転送されます。

●内科的治療

内科的治療では、攻撃因子である胃酸をおさえる胃酸分泌抑制剤と、防御因子を強める粘膜保護剤の服用が行われます。医師の指示を守り、処方された薬をきちんと服用すれば、ほとんどの症状が2~3週間で軽快します。ピロリ菌に感染している場合は、先にも述べたように抗生物質を併用して除菌をすると、再発はしないと言われています。しかし、ストレスの影響で潰瘍が治りにくい場合や、再発を繰り返す場合は、心療内科的治療を薦められることがあります。この場合、カウンセリングや自律訓練法を行ってストレスを軽減したり、抗不安剤や抗うつ剤などの薬物療法を行います。

 
 ストレス潰瘍になりやすい人の性格傾向として、几帳面、内向的、こり性、過剰適応(周囲に気を使いすぎる)、感情を表に出さない(自分の中に溜め込む)などが挙げられます。予防のためにも、お酒の飲みすぎや食べすぎ、タバコの吸いすぎに注意し、日頃の体調管理に気を配ることも大切ですが、自分なりのストレス解消法や悩みを話せる相談相手を見つけるなど、ストレスをためないような気配りも必要です。また、消化を助けるために食べ物はよく噛む、胃の調子が悪いときは刺激物(香辛料、アルコール、コーヒーなど)の摂取を控える、喫煙を控えるなど、胃の負担を減らしてあげることも大切。

胃の調子が悪いと、食欲がわかず、体も心も元気がなくなってしまいます。胃腸を大切にし、おいしく食べて、健康に暮らしましょう。

 

 

赤ちゃんと虫歯(2006年6月)

 

赤ちゃんと虫歯

社団法人 茨城県栄養士会

寺門久美子
 
 
 

赤ちゃんには虫歯はありません

  生まれたばかりの赤ちゃんに歯がないので、当たり前ですネ。

赤ちゃんが5~6ヶ月位になると、離乳食を食べ始めます。離乳食は、初めはドロドロ状に仕上げ、次に舌でつぶすことのできる柔らかさの粒状に、そして歯ぐきでかめる程度の噛みごたえのある形に変えていきます。その頃には乳歯がはえてきます。

離乳食を、お母さんが口に入れて、カミカミして食べさせることがあります。これはお母さんの口の中のバイキンも一緒に食べさせることになり、やがて赤ちゃんが虫歯になってしまいます。

  虫歯は、歯の表面のエナメル質や、その内側のぞうげ質が侵されて、内部に向かって穴が空いた状態をいいます。

乳児は、エナメル質やぞうげ質の層が薄いために、虫歯の進行が速く、普段からのケアが大切です。初期の虫歯は、痛みがないので発見は難しいのですが、歯の一部の色が黄褐色になってきます。子どもが物を食べるときに、噛むのを嫌がる、熱い物や冷たい物がしみているときなどは要注意です。そのまま放っておくと、激しい痛みと共にあごの下のリンパ腺が腫れることがあります。

虫歯になると、痛みのため歯の噛み合わせが悪くなったり、あごの筋肉の発達に影響を及ぼしますし、発育に必要な栄養が十分にとれなくなります。

〔起きる原因〕

  歯質、糖分、虫歯菌(ミュータンス菌)が原因で虫歯になります。虫歯菌は糖分をエサとして、デキストランという歯垢を作ります。歯に付着した歯垢の中では虫歯菌によって酸ができ、これが歯の表面のエナメル質を溶かします。

〔予防と治療法〕

  赤ちゃんの時から薄味に慣れさせることです。三度の食事はバランスの取れたものをおやつは、ケーキ、おまんじゅう、甘みの強いジュース、あめ、アイスクリーム、チョコレートなどの糖分の多いものは避け、せんべい、さつまいも、りんご、にぼし、こんぶ、するめなどを、それぞれ時間を決めて与えるといいでしょう。

  乳歯が生え揃ってきたら、歯を磨くようにします。子どもが歯磨きをしたら、お母さんの膝のうえに子どもの頭を乗せて、「寝かせ磨き」をしましょう。そして、良くできたことをほめてあげましょう。

  予防には、食後と夜寝る前には歯を磨くものだという意識づけと習慣が大切です。フッ素を塗ったり、奥歯の小さなくぼみをシーラント(液状プラスチックの充填剤)でおおう方法もあります。

  治療としては、初期ならば進行止めの薬を塗ります。黒い色が多少つきますが、よく磨けばそれ以上の進行を防げます。

  食事は食物繊維の多い、ごぼう、れんこんなどの根菜類や、骨まで食べられる小魚など、噛みごたえのある食品を取り入れ、よく噛んで食べる習慣をつけましょう。

 

 

 

これって 5 月病? うつにご用心(2006年5月)

 

     
 
5月のテーマ:
これって 5 月病?

うつにご用心

 新しい年度が始まり、学校や職場、引越しなどで環境が変わった人も多いのではないでしょうか?新しい生活が始まってすぐは、新鮮な毎日を送り、疲れや忙しさもあまり気にならないものですが、徐々に慣れてきた 5 月、 6 月頃はストレスが心身の不調としてあらわれやすい時期です。これがいわゆる 5 月病。今回は慢性の 5 月病ともいうべき「うつ」についてのお話です。
 
     

 

うつってどんな病気?
 

 うつ病で特徴的なのは、「憂うつ感」「無気力・無関心」などの心の症状。うつ病とは、気分が落ち込み、これまで楽しんでいたことや好きだったものに興味がなくなり、楽しめなくなる病気なのです。それに加え、「疲れやすい」「眠れない」「頭痛がする」などちょっとした体の不調もうつが原因のことがあります。厚生労働省の報告によると、日本人の15人に1人はうつになる可能性があるといわれており、身近な病気としても注意が必要です。

最近ではテレビや雑誌などでうつが取り上げられるようになり、うつに対しての理解も進んできました。それでもまだ、病院に行かずにひとりで悩んでいたり、うつとは気付かずに落ち込んだ気持ちで日々過ごしている人も多いのが現状です。

「なんとなく気分が晴れない」「憂うつ感を感じる」などの心の症状もありますが、「疲れがとれない」「いつも疲れている気がする」「食欲がない」「眠れない」などの体の不調が前面に出る軽いうつは、本人もうつと気付きにくいものです。うつを正しく理解し、早めの対処ができるようにしましょう。

 
なぜうつになる?
 
  うつにかかるきっかけは人それぞれですが、ストレスが主な原因といわれています。例えば、仕事や受験の失敗、失恋、身近な人の死などのショックな出来事により気分が落ち込みます。普段であれば、これらのショックも時間と共に薄れ、心も回復していくものです。しかし、落ち込んだ気分がなかなか晴れずに大きなストレスを感じ続けた場合、気持ちが切り替えられず、うつ状態になってしまうことがあります。うつ状態をそのままにしておくと、自分のつらい気持ちを理解してもらえない→さらに気分が落ち込んでいくという悪循環に陥り、重度のうつへと進行してしまいます。そうなるまえに、まずは医師に相談しましょう。
 
こんな人は、うつの可能性が?
 
  「疲れやすい」「頭痛が続く」といった体の不調も、うつが原因の場合があります。特に、診察は受けたけど原因が分からない場合などは、注意が必要です。「調子が悪いな」と感じながらも、我慢すれば済んでしまう程度の場合は、本人も周囲の人もそれがうつであると気付きにくいものです。以下のような症状が2週間以上続くような場合は、うつを疑ってみましょう。

●うつの可能性があるこんな症状

・眠れない、または朝早く目が覚めてしまう

・体がだるい、疲れやすい

・何を食べてもおいしくない

・ときどきめまいがする

・息切れがする、息苦しさがある

・胃のもたれ、ムカつきを感じる

・食欲がない、最近急に痩せてきた

・頭痛がする

・微熱が続いている

・肩こりがひどい

・生理不順

・性欲が落ちた

・下痢、便秘など

また、他の病気が原因でうつになることもあります。糖尿病や高血圧症などの生活習慣病には高い頻度でうつが合併するとも言われ、うつによる変化を「病気で気分が落ち込んでいるせい」と見逃されてしまいがちなのも問題のひとつ。病気に関わらず、「おかしいな」と感じたら早めに医師へ相談しましょう。

●うつを伴いやすい体の病気

・糖尿病

・高血圧症

・狭心症

・心筋梗塞

・脳血管障害

・脳腫瘍

・老人性痴呆

・てんかん

・パーキンソン病

・甲状腺機能の亢進症または低下症

・更年期障害

・慢性間接リウマチ

・全身性エリテマトーデスなどの膠原病

・がん

・手術後

・血液透析

・インフルエンザ

・肝炎などのウイルス感染症など

 
医療機関ではこんな対処をしてくれます
 
  うつは脳内の神経伝達物質の活性が低下するために起こると考えられていることから、うつの治療は薬物療法や心理的治療を行います。抗うつ剤を処方された場合は、医師の指示にきちんと従い、自己判断で薬の量を変えたり服用をやめたりしないこと。そして、心身ともに充分な休息を心がけましょう。病院での治療を早期に受けるとこで、一般的には半年から1年ほどで回復するといわれています。治療のポイントは、焦らず気長に取り組むこと。治療には健康保険も適用され、保険証から会社など周囲の人へ「うつで病院に通っている」ということが知られることもないので、安心して通いましょう。
 
「心の風邪」とも呼ばれるうつ病は、その名のとおり風邪と同じく誰にでもかかる可能性がある身近な病気です。まじめで完全主義な人ほどストレスを感じ、うつになりやすいといわれています。うつを防ぐには、まずは自分を知ること。「無理しているな」と感じたら、肩の力を抜き、マイペースを心がけて。失敗しても必要以上に自分を責めず、頑張り過ぎないことが大切です。