画像

健康まめ知識

アーカイブ: 健康まめ知識

今年は何型?インフルエンザは予防が肝心!(2006年11月)

 

     
 
11月のテーマ:
今年は何型?インフルエンザは予防が肝心!
 にわかに寒くなり、季節はいよいよ冬めいてきました。秋から冬、この季節の変わり目に注意したいのは、やっぱり「風邪」。なかでも、インフルエンザは普通の風邪とは違う感染症で、特に注意が必要な病気です。国内で毎年約1,000万人がかかるというインフルエンザ。今回は、本格的な流行を前に、インフルエンザの予防についてお話します。
 
     

 

インフルエンザと風邪の違いは?
 

インフルエンザと風邪は、そもそも原因となるウィルスの種類が違います。インフルエンザは高熱が出るだけでなく、筋肉や関節の痛みなど全身に出る症状が強く、気管支炎や肺炎を併発しやすいなどの特徴があり、抵抗力のない乳幼児や高齢者にとっては生命にかかわる危険も。また、突然大流行することもある、恐ろしい病気です。

「普通の風邪と思っていたら、インフルエンザだった」ということのないよう、以下のような症状を感じたら早めに医師の診断を受けましょう。

<チェックポイント>

・地域内、職場・学校などでインフルエンザが流行している。

・一般的な風邪の症状(咳や鼻水など)がなく、突然高熱が出る。

・38℃以上の発熱およびひどい悪寒を感じる。

この他、間接や筋肉の痛み、倦怠感や疲労感、頭痛、寝込んでしまうほどの症状が出た場合も「ただの風邪だから」と見過ごさずにインフルエンザを疑いましょう。

 
インフルエンザの流行型
 

インフルエンザにはさまざまな型があり、原因となるインフルエンザウイルスは大きく分けてA型、B型、C型の3つに分類されます。さらに毎年の流行を経て変異株があらわれ、特にA型ウイルスは多くの変異株があり、世界的な流行を引き起こすこともあります。A型ウイルスは渡り鳥などによって国を越えて運ばれ、どの型が流行するかという予測は、地球規模の動向を解析して行われます。

予測技術が高まり、毎年実際の流行とほぼ一致するため、予防にはその年の予測をもとに作られた混合ワクチンが効果的です。新型ウイルスが出現しないかぎり、ソ連型、A香港型、B型、どの型が流行しても効果があります。ワクチンの効果が出るのは、接種から約2週間後で効果は5ヶ月前後持続します。日本でインフルエンザが流行するのは例年12月~3月で、1月下旬から2月初旬にピークを迎えることが多いといわれるので、流行前のこの時期に予防接種を受けておくのがいいでしょう。

ただし、体調やアレルギーなどの既住症などによって接種できないこともあるので、医師に相談しましょう。

 
日常生活から予防を!
 
インフルエンザ予防のポイントは、体力をつけて体の抵抗力をつけておくことと、ウイルスに接触しないこと。以下にまとめた予防法を、今日から実践してください。

・栄養と休養を十分とる

食事と睡眠をしっかりとり、体力をつけておきましょう。体の抵抗力をつけておくことで感染しにくい体になります。

・人ごみを避ける

感染の原因となるウイルスに接触しないよう、多くの人が集まる場所は極力避けるように。外出時はマスクを着用するのも良いでしょう。

・温度と湿度を適度に保つ

ウイルスが好むのは、低温・低湿の環境。特にインフルエンザウイルスは湿度に弱いため、加湿器などを活用して室内を快適な湿度に保ちましょう。

・手洗いとうがいを励行する

外出後は、手洗いとうがいを必ず行いましょう。手洗いは接触による感染を、うがいはのどの乾燥を防ぎ、ウイルスの感染を予防します。

 
まずは予防が第一ですが、万が一インフルエンザの疑いがあるような症状が出た場合は、早めに診断を受けること。発症から48時間以内であればインフルエンザウイルスの増殖を抑える薬が処方されるようになり、その服用は早いほど効果的です。ウイルスがのどや鼻の粘膜に広がり高熱が出てしまうと、根本的な治療が間に合わず、長期間休まなくてはならなくなってしまうこともあります。また、乳幼児や高齢者にとっては命にかかわる危険もあるため、できるだけ早く診断を受けるようにしましょう。

とにかく「インフルエンザは普通の風邪と違って恐ろしい感染症」であることを知り、予防に細心の注意を払って冬を乗り越えましょう。

 

 

風邪の予防と食生活(2006年11月)

 

風邪の予防と食生活

社団法人 茨城県栄養士会

 
 
 
 

 かぜは、いろいろな病気の中でも私たちが一番かかりやすい病気です。かぜを予防するためには、十分な睡眠と栄養バランスのとれた食事を心がけることが大切です。

1.かぜを予防するために大切なこと

(1)  日ごろから栄養、運動、休養のバランスを心がけましょう。

体の抵抗力が低くなると、かぜにかかりやすくなってしまいます。特に寝不足が続いたり、食事をぬいたりした時には要注意です。

うがいimage
(2)  戸外から帰ったら、必ずうがい、手洗いを忘れずに。

うがいやていねいな手洗いは、体の中にかぜのウイルスが入ってくるのを防いでくれます。習慣づけをしましょう。

(3)  室内の温度と湿度を適度に保つ。

冬の快適温度は21から23℃、湿度50%前後です。暖房した部屋は、まめに換気をしたり、湿度が低くならないように上手にコントロールしましょう。

2.食生活のポイント

(1) たんぱく質を十分に補う

たんぱく質は、寒さに対する抵抗力を強めます。それから、私たちの体内にかぜのウイルスが入った時に、それを退治してくれる成分が白血球の中に含まれています。この成分は、たんぱく質からつくられているのでかぜを予防するためには、魚や肉、卵、牛乳、大豆製品などを十分のとることが大切です。

(2) 脂肪も不足しないように

脂肪は体の皮膚や口、のどの粘膜を丈夫にして、かぜのウイルスに対する抵抗力を高めます。また、少しの量でたくさんのエネルギーを出すので体を暖かくします。そのほかにも、ビタミンAやビタミンEの働きをよくしてくれます。

(3) ビタミンの補給も忘れずに

ビタミンAやビタミンCは、かぜのウイルスに対する抵抗力を強くする働きがあります。野菜サラダ、さつま芋、ほうれん草、にんじん、みかんなどの野菜やくだものをいつも食べるように心がけましょう。

もし、かぜをひいてしまった時には、暖かくして早めに体を休ませましょう。(保温・安静・睡眠)食事は、「消化によい食材を使って体が温まるもの」を食べて、発汗を促すことが大切です。

 

 

 

食欲の秋到来!美食家は痛風になりやすい?(2006年10月)

 

     
 
10月のテーマ:
食欲の秋到来!美食家は痛風になりやすい?
 食欲の秋。暑さも過ぎ、食べ物がおいしい季節です。「うまい肴をつまみにお酒を飲むのが何よりの楽しみ」という人もいるかと思いますが、そんな人は特に注意して欲しいのが痛風という病気。「オヤジの病気」のイメージが強い痛風ですが、若い男性にも意外と多いもので、全国に数十万人の患者がいるといわれる病気です。今回は、あのレオナルド・ダ・ヴィンチも苦しめられたという「痛風」についてお話します。
 
     

 

痛風ってどんな病気?
 

「風が吹いただけで痛い」ほど足の関節が痛む病気、として知られる痛風。ある日突然足の親指の付け根が腫れ、立ち上がれないほどの痛みが発作的に起こります。この発作はたいていの場合1週間ほどで治まりますが、半年から1年の期間を経てまた同じような痛みが起こり、繰り返すうちに足首や膝の関節まで広がってくるように。怖いのは、この痛みと併行して内臓が侵されていくこと。間接の強烈な痛みだけでなく、腎臓などの内臓にも障害が起こってしまう病気と覚えておきましょう。

 
痛風の原因
 

痛風の原因となるのは尿酸という物質で、人間の体の中に必ず一定量あるものです。この尿酸値が何らかの原因で上昇し、蓄積していくと、ナトリウムと塩を作り結晶になります。その尿酸塩の結晶が間接の内面に沈着してしまうのが、痛風発作の原因。尿酸塩は間接以外の部分にも溜まり、特に腎臓には溜まりやすいので痛風の人は腎機能にも注意が必要です。

●痛風にかかりやすいのは男性

痛風患者のほとんどは男性。100人の患者のうち、女性は1、2名ほどしかいないほど男性に多い病気です。その理由は血液中の尿酸濃度(血清尿酸値)の違いにあり、一般的に男性よりも女性のほうが尿酸値が低いもの。女性ホルモンには腎臓からの尿酸の排泄を促す働きがあるためですが、閉経後に女性ホルモンの分泌が減ると尿酸値も少しずつ上昇するので、おおむね50歳以上の年代では男女の尿酸値の差は縮まってきます。

 
痛風を防ぐには
 
痛風を防ぐには、尿酸値を下げることが大切。それには尿酸のもとになるプリン体という物質を減らすのが第一です。

●尿酸値を上昇させる要因

・食生活

「美味しいものにはプリン体が多い」と言われていましたが、厳密な制限は難しいため、最近では痛風患者に対しての食品制限はそれほどされなくなっています。ただし、肥満度が高いほど尿酸値も上がるため、食事の総量を減らすことは大切です。

・遺伝

痛風患者の約2割は、父親や叔父、従兄弟に痛風もちがいます。痛風には遺伝的な体質が関連するので、親類に痛風患者がいる人は注意が必要です。

・アルコール

アルコールを飲むと尿酸値は一時的に上昇します。特にビールにはプリン体が多く含まれるので、痛風には大敵。焼酎やウイスキーなどの蒸留酒にはあまり含まれませんが、アルコールが代謝するときに尿酸値が上がるため、アルコール自体好ましくありません。

・ストレス

様々な病気の原因となるストレス。ストレスや激しい運動は尿酸値を上昇させる原因となります。

・他の病気の影響

腎機能の低下や、血液の病気などによって尿酸値が上がることも。悪性腫瘍が原因で高尿酸血症になることもあるので、注意が必要です。

●尿酸値を下げるには

尿酸値を下げるため日常生活で注意するポイントに、以下のようなものがあります。

・肥満を解消する

摂取カロリーの総量を制限すること、そして標準体重をキープすること。多品目を少しずつ、ゆっくり噛んで食べるよう心がけましょう。

・アルコールを控える

多量の飲酒は避け、特にビールを控えましょう。休肝日をつくるのは、肝臓を含め他の臓器にも良いことです。

・水分を十分とる

尿が1日2リットル以上になるのが理想。そのため、毎日2リットル以上の水分をとるようにしましょう。

・軽い運動をする

激しすぎる運動は尿酸値を上昇させてしまいますが、ウォーキングなどの有酸素運動ならOK。痛風患者に多い高血圧などの合併症にも効果的です。

 
痛風発作が起こった場合は、患部を冷やし、間接を安静にしましょう。痛み止めの内服薬は発作を悪化させることもあるので服用を避け、早めに医師の診断を受けること。

ダイエットと同じく厳しい食事制限を続けることは難しいものですが、日常生活での注意ポイントを守ることが大切。痛風は「尿酸が溜まっているから注意しろ」という身体からのサインと考えましょう。

 

 

今年の検診結果は いかがでしたか?(2006年10月)

 

今年の検診結果は いかがでしたか?

社団法人 茨城県栄養士会

管理栄養士 井出 理美
 
 
 

10月に入り、いよいよ秋本番です。秋といたら、やっぱり“食欲の秋”です。

ここ茨城は、肥沃な土壌に恵まれ、おいしい農産物がたくさん収穫されます。

サツマイモ、栗、りんご、柿、ぶどう・・・等ついつい食べ過ぎてしまいがちですね。

でも、同じ量食べるにしてもちょっとしたコツ・工夫を知っているだけで健康的な食生活が送れます。

1.ところで、今年の健診結果はいかがでしたか?

すべてが正常だった方は、これからもストレスをためずにバランスの良い食生活を心がけてください。

血液データがいくつかひっかかってしまった黄信号の方に、今回は特にお話したいと思います。
血圧、コレステロール、中性脂肪、血糖値等が少し高かった方、是非ここでしっかり意識してほしいと思います。これは、体の内部を数値で表した大切なあなたのデータです。今、あなたの体が“SOS”をだしていると理解してください。

食事の仕方、運動の有無によって、数年後データが青信号になるか、赤信号になるか、ちょうどその移行期にいるということです。

2.メタボリックシンドロームをご存知ですか?

心筋梗塞、脳梗塞などの虚血性心疾患、脳血管疾患等を発症する危険性を高める複合型リスク症候群のことをいいます。

    メタボリックシンドロームの診断基準

 将来、心筋梗塞、脳梗塞などの虚血性心疾患、脳血管疾患等を発症するリスクを低くするためにも、是非、食事療法、運動療法を取り入れましょう。どうしてもデータが芳しくない時は、最後の手段として薬物療法を考えましょう。

食事療法については、お近くのかかりつけ医・市町村の管理栄養士にどうぞご相談ください。また、運動療法については、手軽なウォーキングをお勧めします。でも、中には、腰や膝が痛くて出来ないという方もいらっしゃると思います。そこで、家の中で手軽に筋力トレーニングが出来るチューブ体操という方法もあります。無理なく自分に合った運動を、継続的に実践してみてください。

今後も、毎年忘れずに健診を受けて、健康的な生活をお過ごしください。

 

 

 

食欲の秋到来!腸内環境を整えて、おいしく食べよう。(2006年9月)

 

     
 
9月のテーマ:
食欲の秋到来!腸内環境を整えて、おいしく食べよう。
 残暑は続きますが、季節は徐々に秋へと色づいてきました。さて、秋と言えばやっぱり”食欲の秋” 健康と食は切っても切れない大切な関係。健康の源である食事をおいしく楽しむために、胃腸の自己管理は欠かせません。そこで今回は、腸内環境についてお話しします。
 
     

 

健康に役立つ”腸内細菌”
 

  私たちの体の中には無数の細菌が棲息しています。細菌と聞くと、なんだか体に悪いもののように感じますが、常在菌と呼ばれるこの細菌たちは、病原菌など身体へ有害な菌の進入や増殖を防ぐ大切なもの。その中で、腸内に棲息する細菌を腸内細菌と呼びます。

●腸内細菌とは

常在菌が最も多く棲息しているのが消化管内で、胃腸管の内壁を覆うように棲みつく無数の細菌が腸内細菌です。腸内細菌は、食べた栄養素から体を構成するのに必要なタンパク質などを合成したり、ビタミンを生成したり、免疫機能を強化させたり、中性脂肪や血糖などの代謝を促進させたりと、健康に関わる多くの働きをしています。

●善玉菌と悪玉菌

さて、腸内細菌といえば善玉菌という言葉を耳にしたことがある人も多いかと思います。お腹に良いとされる「乳酸菌」がそれで、糖類を分解して乳酸や酢酸を生産したり、便秘や下痢を防いだり、消化・吸収・代謝を助けるなどの働きをもつ細菌の総称です。

ちなみに、腸内細菌には、この善玉菌と悪玉菌、そして食生活や体調によって善玉・悪玉のどちらにもなりうる日和見菌の3種類が存在します。悪玉菌は、その名の通り体に悪い働きをする菌で、ブドウ球菌やウェルシュ菌などが挙げられます。

生まれたばかりの赤ちゃんのお腹の中はほとんどが善玉菌ですが、成長と共に悪玉菌が増え、菌のバランスが崩れていきます。悪玉菌が増える原因には、ストレスや薬の服用によるもの、便秘、食生活や疾病などが挙げられますが、悪玉菌が増えると様々な有害物質が生成されることになり、免疫力が低下したり生活習慣病が発症しやすくなると言われています。

体と健康に大切な腸内細菌ですが、一度バランスの崩れた腸内環境は、放っておけば改善されるというものではありません。腸内細菌のバランスを整えるには、偏った食事ではなく、腸内細菌が好んで食べる乳酸菌やオリゴ糖、食物繊維などをしっかりと摂るように心がけることが大切です。

 
ビタミンを作る腸内細菌
 

健康づくりに欠かせないもののひとつにビタミンがありますが、このビタミンを生成するのが腸内の善玉菌。腸内細菌がつくり出すビタミンには、ビタミンB郡(ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12)、葉酸、ビタミンKなど、多くの種類が確認されています。

●ビタミンの種類

【ビタミンA】

皮膚や粘膜を丈夫にする。

【ビタミンB1】

脳を活性化し、疲労を防ぐ。

【ビタミンB2】

発育を促進する成長ビタミン。

【ビタミンB6】

タンパク質をつくる。

【ビタミンB12】

貧血を改善する。

【ビタミンC】

コラーゲンの生成を助ける、ビタミンの代表格。

【ビタミンD】

強い骨や歯をつくるカルシウムを調整する。

【ビタミンE】

活性酸素から体を守る。

【ビタミンK】

血液凝固と骨の健康に役立つ。

【ベータカロチン】

緑黄色野菜に豊富に含まれる、抗酸化ビタミン。

【ビオチン】

皮膚の健康を保つ。

【葉酸】

赤血球や細胞を作るのに役立つ

 

 
ストレスは善玉菌の大敵!
 
強いストレスは腸の蠕動(ぜんどう)運動をコントロールする自律神経中枢にも影響を及ぼし、便秘や下痢を引き起こす要因となります。不規則な便通は腸内細菌のバランスを崩し、善玉菌を減らして悪玉菌を増殖させてしまいます。

●便秘

便通が不規則で、水分の少ない便が出るのが便秘です。便が何日も腸内に滞ると、悪玉菌が繁殖して便を腐敗させます。腐敗した便は有毒物質やガスを発生し、これらの毒素が血液によって全身に運ばれると、様々な病気を引き起こす原因ともなります。便秘気味の人は、食物繊維と水分をしっかりととり、正しい食生活を心がけましょう。

●下痢

便に含まれる水分が腸内で十分に吸収されずに排泄されるのが下痢です。体を冷やさないように気をつけ、温かいスープなどで失われた水分や栄養素を補給しましょう。ただし、腹痛や嘔吐、発熱、血便など異常を感じる下痢の場合は食中毒などの可能性も考えられるので、速やかに医師の診断を受けましょう。

 気持ちのいいお通じは腸の健康につながり、便通を正しく整えることが腸内環境を良好に保つ秘訣です。そのためにもストレスをためないように自分なりの解消法を見つけるなど工夫し、積極的に食物繊維を摂るように心がけましょう。

食物繊維の一日の摂取量の目安は、20~30gです。食物繊維は玄米や麦芽米などの穀類、大豆などの豆類、さつまいもや山芋などのいも類、ごぼうやにんじんなどの根菜類などの野菜に多く含まれています。また、わかめやひじき、寒天などの海藻、きのこ類、乳製品なども食物繊維を多く含む食品。これらの食材を毎日の食事に積極的に取り入れ、上手に食物繊維を摂取しましょう。

 
「食欲の秋」と言えば、気になるのがダイエット。しかし、食べる量を減らすダイエットは便の量と体内の水分を減らすことになり、便秘へとつながる恐れも。また、食事を抑えるだけで運動をしないダイエットも、筋肉を落とし腸の働きを鈍くしてしまうため、腸内環境には好ましくないものです。健康な腸の働きを助けるのは、規則正しい生活とバランスのよい食事、そして快便です。おいしく食べて、体の中から健康管理に努めましょう。

 

 

水には味がある! お水の話し(2006年9月)

 

水には味がある! お水の話し

社団法人 茨城県栄養士会

栄養士 小林麻衣子
 
 
 

人体の60%は水でできているといわれています。水がなければ人間は生きていけません。それほどい人間にとって、大切な命の源『水』。しかし昨今社会の都市化・工業化進み、水の汚染が心配されています。そんなこともあってか世は『水』ブーム。コンビニやスーパーの飲料水コーナーを覗いて、「最近、水が増えたなあ」と感じる方も多いはず!輸入品から国産品まで種々様々の水が売られている『水(ミネラルウォーター)』ブームの中身を覗くと共に身近過ぎる『水』について考えてみませんか?

1.人体の60%は水。水なしで人間は生きられない。

人間の体内で水の占める割合は、新生児で約80%、成人でも約60%とも言われています。水分が失われると脱水症状が現れ、15~20%を失うと生命の危機があるといいますから、私達の体にとって、水は非常に重要なものとも言えます。

2.水分補給のタイミング

成人が1日に必要な水分は2.000~2.500ml。このうち飲料水として摂りいれるのは800~1.300mlと言われています。

≪上手に水分補給をするには?≫

≪朝1杯の水を習慣に≫

寝ている間に汗をかき、水分が奪われしまうため、朝起きて水分を摂取しないでいると、どろどろとした血液が詰まって脳梗塞の発作を起こしてしまう可能性が高くなるからです。また朝起きぬけにコップ1杯の冷たい水を飲むと、腸が刺激され便秘解消にもなります。

≪1日1リットルを目標に≫

1度にがぶ飲みしても意味が無い1回200ml程度を何度かに分けて摂取すると摂取しやすい。1日のサイクルとしては・・・

朝目覚め1杯 午前10時1杯 午前3時1杯 入浴後1杯 就寝前1杯

≪乾く前に飲む≫

喉が渇いたからといってガブ飲みするのは避けましょう。汗をかいた
後の身体は、水分だけでなくミネラル分も失われています

水分だけ大量に共給すると、体液中のミネラル濃度が薄くなって
しまいます。まずは『喉が渇いた』と思う前に積極的に
水分を補給するよう心かけましょう。

≪入浴前・後は必ず補給≫

お風呂に入るとたくさんの汗をかきます。

十分な水分補給をしてから入浴しましょう。

また、入浴後は皮膚がふやけているので水分があるように思いますが、やはりたくさんの汗をかいています。入浴後も十分な水分補給を心がけましょう。

3.『おいしい水』とは?

本来水は水は無味無臭なものです。雨水を調べてみても、蒸留水に近くミネラル成分をほとんど含んでいません。雨水が地球に降った後に、いろんな地質層や岩石層の狭い隙間に浸み込んでいって、いろいろなミネラル成分(カルシウム・マグネシウム)を溶かし込みます。

水に味があるというのは、飲み水が純粋なH2Oでなく、鉱物分などを溶かし込んでいるからなのです。

さらに水には硬度があります。

水には軟水と硬水があり水に含まれているミネラル成分によって分けられます。

この硬度は水の味を決める大きな要素の一つなのです。

≪おいしい水とはどのような水?≫

「おいしい水」を決定づけるのは、とても難しいこと。味は個人的嗜好もあり一概には決めることはできません。ここでは「あなたの好み」に合いそうな水探しのヒントをご紹介します。

水質項目
おいしい水の要件
おいしさの違いは?
蒸留残留物 30~200mg/l 主にミネラルの含有量を示す。量が多いと苦味・渋味が増し、適度に含まれるとこくのある、まろやかな味がする。
硬   度 10~100mg/l 硬度の低い水は「くせ」がない。高いと「くせ」があるため、人によって好き嫌いが出る。カルシウムに比べ、マグネシウムの多い水は苦味をます。
遊離炭酸 3~30mg/l 水にさわやかな味を与えが、多いと刺激が強くなる
水   温 最高20℃以下 水は冷すことによっておいしく飲める。

4.『硬い水』と『軟らかい水』

水はミネラル分が多く含まれると水の味は硬く感じられ、少ないと軟らかかく感じられます。
『硬度』とは水に含まれるカルシュウムとマグネシウムの量を測定したものです。

◆軟水

1リットル中100mg以下のもの。味はまろやか。

ミネラル分は少なめ。日本産のミネラルウォーター

はほとんどこれにあたります。

◆硬水

1リットル中301mg以上のもの。

口当たりにはややクセがありますが、ミネラル補給には効果的です。

◆中硬水

1リットル中101mg以上300以下のもの。

違和感のない味わいで、ミネラル補給も同時にできます。

海外産ミネラルウォーターではエビアンなどがこのタイプです

◆超硬水

1リットル中1000mg以上のもの。

コントレックスはこのタイプです。

一般的に硬い水は口に含むと引き締まった味がします。一方軟らかい水は口の中でやさしく広がります。

5.『ミネラルウォーター』の効能

6.ミネラルウォーター使い分け術

 
緑茶
紅茶
地域
日本
欧州
軟水
まろやか
香りが薄い
硬水
渋みが出る
香りが良く出る
硬度50以下

(軟水)

野菜煮物・炊飯・和風のだし・緑茶
硬度50~100

(中程度の軟水)

料理・コーヒー・紅茶
硬度170前後

(硬水)

ウイスキー水割り・洋風だし・肉の煮込みやアク抜き
硬水300

(非常な硬水)

食欲増進の効果があるので食前酒の代わりに
硬度600を超える水

(更に非常な硬水)

便秘対策・スポーツ後のミネラル補給など

一口に『水』といっても、軟水・硬水・炭酸水など、様々な種類があり、それぞれの性質と、体に及ぼす効能も違います。私達にとっては、本当に日常的な飲み物。だからこそ『たかが水』など思わずに、関心を深めることにより楽しく、用途や利用目的によってミネラル成分や硬度を確認してから購入してみてはいかがでしょうか?きっとあなた好みの『水(ミネラルウォーター)』が見つかるかもしれませんね。

 

 

 

寝苦しい季節、環境を整えて快眠を手に入れよう。(2006年8月)

 

     
 
8月のテーマ:
寝苦しい季節、環境を整えて快眠を手に入れよう。
寝苦しい夏の夜。クーラーなしでは寝つけなかったり、起きたら汗びっしょり…なんて人も多いのではないでしょうか? 夏に限らず、生活リズムの乱れやストレスの多い現代社会の影響か、現代人は5人に1人が不眠に悩まされているそうです。十分な睡眠時間が得られない人も、すっきりとした寝覚めが感じられない人も、睡眠環境を整えて『快眠』を手に入れましょう。
 
     

 

理想の睡眠時間は8時間?
 

よく理想の睡眠時間は「1日8時間」と言われますが、実はこれには医学的根拠はありません。多くの人の睡眠時間が6~9時間程度という統計から出された平均値に過ぎず、また、この平均値も年々減少傾向にあるようです。国民生活時間調査(2000年NHK調べ)によると、日本人の平均睡眠時間は7時間23分で、年代別に見ると30代が6時間57分、40代が6時間59分と、働き盛りの年代に特に睡眠時間が短いという現象が見られます。

睡眠時間にはかなりの個人差があり、毎日3~4時間の睡眠で十分な睡眠が得られる人もいれば、9時間以上の睡眠が必要な人もいるのが実情。基本的には、日中眠気がなく活動できるのに十分な睡眠時間が確保されていれば、睡眠時間は何時間でも構わないと言われています。

 
睡眠の仕組み
 

睡眠には浅い眠りのレム睡眠と、深い眠りのノンレム睡眠があります。寝付いたあとにはまずノンレム睡眠があらわれ、次に浅い眠りのレム睡眠へと移行します。そのあと再びノンレム睡眠へと移行し、この繰り返しが約90分周期で1晩に4~5回、一定のリズムで繰り返されるのです。

●ノンレム睡眠

脳が眠っている状態で、眠りの深さによって4段階に分けられます。浅い眠りから深い眠りへと進み、一番深いところまでいくと再び浅い眠りに向い、そのあとレム睡眠へと移行します。寝付いた直後はまずノンレム睡眠がおこるため、居眠りはほとんどがノンレム睡眠。そのため、ほんの少し居眠りするだけで脳の休息が得られます。

ノンレム睡眠の特徴は

・入眠直後にあらわれる

・夢はほとんど見ない

・身体を支える筋肉は働いている

・眠りが深くなるにつれ、呼吸回数・脈拍が少なくなる

といったものが挙げられます。

●レム睡眠

一方、身体は深く眠っていても脳が起きているような状態の眠りがレム睡眠。眠りが浅く、寝覚めの準備状態でもあるため、このレム睡眠時に目覚めるとすっきり目覚められます。

レム睡眠の特徴は

・眼球がキョロキョロ動く(まぶたは閉じています)

・身体の力は完全に抜けている

・呼吸や脈拍が不規則

・夢を見やすい

長い時間眠る人でも、脳の睡眠時間であるノンレム睡眠の時間は睡眠時間の短い人と変わらないとの調査結果もあり、長時間の睡眠を確保するよりも睡眠のリズムを知り「質」重視を心がけることで熟睡感が得られるようです

 

 
いびきをかくのは疲れている証拠?
 
「グーグー」といびきをかいて眠る人、はたから見るとぐっすり眠っているように見えますが、実際はどうなのでしょうか。寝ている間に舌や喉の奥の筋肉が緩み、気道が狭くなるために口の中の軟部組織が振動して音が出るのがいびきの仕組み。歳をとればとるほどいびきの回数が多くなると言われ、60代では男性の6割、女性の約半数が一晩に1回はいびきをかくといわれています。

疲れているときやお酒を飲みすぎたとき、鼻炎や扁桃腺炎などの人もいびきをかきやすくなりますが、いびきが多いからといって健康上に問題があるという心配はありません。

●睡眠時無呼吸症候群

ただし、いびきをかく人の中には、新幹線運転手の件などで一時話題になった「睡眠時無呼吸症候群」という病気がかくれていることがあります。いびきの合間に無呼吸状態になる病気で、昼間に耐えられないほどの眠気におそわれる経験のある人は要注意。大きないびきのあとに突然静か(無呼吸状態)になり、そのあと「ヒュー」という空気が抜けるような音や、「ガガっ」というような大きないびきをかく場合は睡眠時無呼吸症候群の疑いがあります。この無呼吸状態は高血圧や動脈硬化を引き起こしやすく、脳梗塞や心不全など命に関わる危険もあるので、家族のいびきが気になる場合は一度注意して観察してみましょう。

●いびき対策

病気とは関係ない普通のいびきでも、隣で眠っている人にとっては騒音に…。いびきをかきやすい人は、以下のような点に注意してみましょう。

・仰向けでなく横向きに寝る

→仰向けで寝ると、舌などが重力で下向きに落ち込み気道が狭くなり、いびきをかきやすくなります。

・枕を高めにしてみる

→頭の位置を上げることで、気道が確保されやすくなります。

・生活習慣を見直そう

→肥満の人はダイエットを、アルコールのとりすぎもいびきの原因になることがあります。

 
ぐっすり眠れる環境づくり
 

快眠を得るためには、寝室の環境も大切。静かで快適な、落ち着ける寝室づくりで、気持ちよい眠りを手に入れましょう。

●快眠できる寝室の条件

・音

→周りが静かになる分、夜間はちょっとした物音でも寝付けない原因に。二重サッシや遮音カーテンなどを利用して外からの騒音を防ぐほか、就寝時間の違う家族間でも協力しあいましょう。

・光

→寝室の理想的な明るさは、20~30ルクス(おぼろげに物が見える程度)が良いとされています。ただし、人によって「真っ暗にしないと眠れない」「多少明かりがあったほうが安心して眠れる」など好みがあるため、実際は自分にとって一番眠りやすい明るさがベスト。ただし明るすぎる寝室は脳を刺激して眠りに入るのを邪魔するため、部屋全体の照明は消して、明るさの調節できる間接照明などを利用するとよいでしょう。

・湿度と温度

→理想的な室温は、夏場が25℃、冬場は15℃、湿度は年間を通じて50%が良いとされています。エアコンをつける場合は、冷房は25~28℃、暖房は18℃~22℃を目安に設定しましょう。また、掛け布団などの寝具も、夏は涼しく、冬は暖かく眠れるように季節に応じて工夫しましょう。

・色

→ベージュやブラウンなど、落ち着いた色合いが好ましく、刺激的な色彩は避けましょう。

●スムーズに眠りに入るために

スムーズに眠りに入るためには、眠る1~2時間前から脳をリラックスさせることが大切。眠りたい時間の直前まで仕事や勉強、ゲームなど頭を酷使する作業をすることは避け、心身ともにリラックスして眠る準備に入りましょう。

・入浴法を工夫

→ぬるめのお風呂にゆっくりつかると緊張がほぐれ、リラックスできます。

・ハーブの香りでリラックス

→カフェインの含まれていないハーブティーは、香りにもリラックス効果があります。お茶だけでなく、アロマオイルやキャンドルを使ってみるのも良いでしょう。神経の緊張や不安を和らげる効果のあるラベンダー、気分を沈静させて不眠症にも効果のあるといわれるカモマイルなど、リラックスできる好みの香りを見つけましょう。

・リラックス音楽を聴いてみる

→脳がリラックスしているときに出るといわれるα波。最近はα波を引き出すような音楽を集めたCDも売られているので、これらの音楽でのんびりとリラックスするのもひとつの手。ただし個人の好みがあるので、却って落ち着かないという人には向きません。

・ホットミルクで身体を温める

→空腹感は眠りにつくのを邪魔しますが、寝る前の過度な飲食も体内リズムによくありません。眠る前に空腹感を感じたときは、ホットミルクがおススメです。

 
それでもなかなか寝付けないときは、眠れないこと自体がストレスになり、余計眠れなくなることも。気分を変えて一度布団から出て、軽いストレッチをしたり、読書をしたり、リラックスした時間を過ごせば自然と眠気がやってきます。

また、十分な時間寝ているのにまだ眠いという人は、生活リズムに原因があるかもしれません。決まった時間に眠り、決まった時間に起きる。本来の生活リズムを取り戻し、気持ちよい熟睡感と目覚めを手に入れましょう

 

 

足の指の皮がポロポロ…これって水虫?(2006年7月)

 

     
 
7月のテーマ:
足の指の皮がポロポロ…これって水虫?
 湿度の高い日本の夏。梅雨があければ、本格的に夏本番です。暑さとともに、食欲不振や日射病、夏バテなどの体調不良も心配になってくるので、身体の調子には注意して過ごしましょう。

さて、蒸し暑い時期は特に気になる靴の中の蒸れ。そう、水虫の多くなる季節です。特効薬のない病気、オヤジの病気と言われた時代も今は昔。対処法や効果的な薬が開発される一方、若い女性や子供の水虫も多くなっています。そこで今回は水虫についてのお話。本人はもちろん、家族に水虫がいる人もぜひご一読ください。

 
     

 

水虫ってどんな病気?
 

 テレビCMなどでご存知の方も多いと思いますが、水虫は一種のカビ。皮膚糸状菌という一種のカビによって生じる感染症を言い、多くは白癬菌というカビが原因です。高温多湿を好むカビの特性と、皮膚のたんぱく質(ケラチン)を栄養源とする性質があるため、足の裏や足指の間などが「住みやすい場所」となるようです。

また、足に発症した場合は水虫ですが、生じる場所が爪なら爪水虫、体ならたむし、股ならいんきんたむし、頭皮ならしらくもと呼び名が変わり、必ずしも足だけに生じるものではありません。

 
足水虫の特徴
 
さらに、足の水虫にもいくつかのタイプがあります。
・ジュクジュクタイプ(趾間型)

一番多いタイプの水虫。足指の間が、びらん(ジュクジュクした状態)して白くふやけるタイプ。皮がむけたり、赤くただれてきたりします。
・ポツポツタイプ(小水疱型)

足裏などに小さな水ぶくれがポツポツとでき、その後薄皮がむけるタイプ。水ぶくれの周りが腫れてくる場合もありますが、水ぶくれが目立たず、薄皮がむけるだけの場合もあります。ちなみに、水ぶくれが破れたときの汁には白癬菌はいないため、この汁から水虫がうつる心配はありません。
・ガサガサタイプ(角質増殖型)

足裏の角質が厚くなりガサガサになって割れたりはがれたりするタイプ。このはがれた皮には白癬菌がすんでいるため、ここから家族などへ感染する場合もあります。また、水ぶくれやかゆみなどがないため、水虫と気付かない場合も多いタイプなので注意が必要です。
・爪水虫

爪の色が白色から黄色に濁り、厚くなるタイプ。進行してくると爪がもろくなって欠けたり、でこぼこになったりします。足水虫が爪にうつることで発症することが多いようです。

 「かゆい」というイメージの強い水虫ですが、かゆみを感じない場合も意外と多いのが実際のところ。特にガサガサタイプの場合、水虫と気付かずに過ごしている人も多いようです。一度自分の足を見て、「もしかして…」と感じるところがあれば、皮膚科へ行ってみましょう。

 
水虫に似た皮膚病
 
 水虫になると、大抵の人は市販の水虫薬で治療を試みます。しかし「薬を塗っても治らない」と、皮膚科に訪れる人も多く、なんとその3割近くが別の病気なんだとか。逆に水虫じゃないと思っていたのに水虫だったというケースもありますが、水虫に似た病気には以下のようなものが挙げられます。
・掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

手のひらや足の裏などの皮膚に、膿をもったプツプツができる皮膚病
・汗疱(かんぽう)

手のひらや足の裏などの皮膚に、小さな水ぶくれができる皮膚病
・かぶれや湿疹

手のひらや足の裏などがかぶれたり湿疹ができ、赤みやかゆみができる

これらの症状は水虫と間違いやすいものですが、水虫ではないので水虫薬を塗っても治らなくて当然ですね。このような間違いを防ぐためにも、疑わしい場合はやはり皮膚科での診断をおすすめします。

 
水虫治療はどう行うの?
 

●皮膚科での診断

では、皮膚科ではどのような診断と治療をするのでしょうか。一般的な流れをご紹介します。

皮膚科ではまず皮膚の状態をみて診断しますが、水虫かどうかの判断は、白癬菌の確認によって行います。皮膚の表面をこすって、顕微鏡で白癬菌の有無を確認することで、水虫かどうかを判断するのです。

●水虫薬について

水虫と診断されたら、そのあとは外用薬による治療が始まります。抗真菌薬を患部に塗布しますが、ジュクジュク水虫や白くふやけている場合、化膿やかぶれを伴っている場合などは、まずはその症状を抑えてから抗真菌薬による治療を開始します。また、爪の水虫の場合は内服薬が必要になりますが、肝臓へ負担がかかることもあるため、医師の指示に従いましょう。

薬を使用する際、大切なのは毎日続けて塗布することです。水虫は角質層の奥深くに寄生している場合が多いため、表面上治ったようにみえても、菌が残っているおそれが高いのです。皮膚のターンオーバーのサイクルは約1ヶ月。つまり、角質層が新陳代謝によって完全に生まれ変わるのには約1ヶ月かかるのです。このことからも、症状が治まったように見えても、それから最低でもさらに1ヶ月は薬を塗布し続けることが水虫治療のポイントなのです。塗るタイミングは、毎日の入浴後がベスト。清潔なのはもちろん、皮膚が柔らかくなっており、成分が浸透しやすい状態になっているからです。また、かゆいところや赤くなっているところ以外にも菌の広がっている可能性があるため、患部周辺になるべく広範囲に塗るようにしましょう。

 
 水虫の正体はカビ。ということは、カビが繁殖しづらい環境を作ることが水虫撃退の第一歩です。カビは高温多湿を好むので、足を蒸らさない、乾燥させる、こまめに洗う、などしてカビの繁殖しにくい状態を保ちましょう。

バスマットやスリッパなどから感染するケースも多いため、家族に水虫のいる家庭はもちろん、プールや公衆浴場、スポーツジムなどでも、最後に足をキレイに洗う、自分専用のスリッパを持参するなどして対処しましょう。また、靴や靴下も通気性のよいものを選ぶようにして、足の蒸れを減らしましょう。

治りにくいと思われている水虫ですが、正しい治療を根気よく続ければ約1ヶ月でよくなるはずです。民間療法も多く出回っていますが、症状を悪化させたりかぶれやただれなどを引き起こしてしまう場合もあるので、おすすめできません。やはり一番は医師の診断を受け、早めに正しい治療を始めること。家族に水虫のいる家庭は、本人だけでなく家族揃って診断するのがよいでしょう。素足になる機会もおおい季節、キレイな足で気持ちよく過ごしましょう。

 

 

健康づくりの中のおやつ作り(2006年7月)

 

健康づくりの中のおやつ作り

社団法人 茨城県栄養士会

管理栄養士 吉田和子
 
 
 

間食の必要性

幼児にとって間食は3つの側面から必要である。

第1点は栄養的な面の役割である。幼児期の食事摂取基準は、幼児の体重1kg当たりで見ると成人の2~3倍にもなる。しかし、消化吸収などの機能はまだ未熟で発育途上にある。

このため、多くの食物を一度に処理することができず、大人のように三回の食事だけで必要な栄養量を充足することが困難である。そのため間食を食事の一部分と考え、身体発育の面からエネルギー及び各栄養素のバランスが大切である。また、代謝が活発であり、水分補給の点からも重要視されている。

第2点は精神的な面の効果を考えられる。おやつは幼児にとって食べることの楽しみを体験できるひとときである。通常の3度の食事とは異なる雰囲気や、時には友達や家族を含め食卓の団らんなどのコミュにケーションの仲立ちにもなり、幼児に休息、気分転換の機会を与える。また、おやつはその形態や食べ方の面において、子供の好みを取り入れやすく、心の発達を助ける点からも効果的である。

第3点は、しつけや健全な食習慣を形成するための栄養教育の効果的な場として評価できる。間食を通して食事のマナーや食物の衛生的な取扱い等を無理なく自然な形で教育でき、また、クッキーづくりなど、作ることの喜びや直接素材にふれることのできる体験学習の場として、食べ物に対して子供の関心をさらに高められる。

間食の与え方と問題

与える回数は1~2歳児は午前(朝食と昼食の間)と午後(昼食と夕食の間)の2回

3~5歳児は午後(昼食と夕食の間)1回として与えることが一般的だ。個々の幼児の生活リズムに合わせることも大事である。

与える量は間食全体で1日に必要な食事摂取基準の10~15%位が適当である。1~2歳児は100~180kcal、3~5歳児では140~240kcalに相当する。

しかし、最近の幼児の間食の実態は、間食による摂取エネルギーの割合が25%前後にもなることが多く、1日の食事の栄養配分や肥満などの面から問題となっている。

注意点

① 間食の種類として望ましいものは、

栄養的な偏りの少ないもの

薄味で甘味、塩味の強くないもの

消化のよいもの(胃内停留時間の短いもの)

ある程度の容積を持ち満腹感を与えられるもの

水分補給できるもの

脂肪や糖質の多すぎないもの

食品

牛乳、乳製品を中心とした飲み物、果物、野菜類、穀類、芋類、豆類等の糖質性食品を基本に手作りされたもの

これらは市販のおやつに含有量の少ないビタミン、ミネラルなどが豊富に含まれている。

最近は栄養成分が表示されている菓子も流通されているので添加物の表示内容や製造年月日なども確認して利用することが必要である。

②間食に市販食品を用いた場合、容器包装のまま多量に与えない。

間食として使用頻度の高いスナック菓子類の中には非常に多くの脂肪や食塩が含まれている。放任すれば1袋食べてしまう。次の食事が十分に摂取できない場合も生じる。

③間食の時刻を決めることは、食生活リズムを整える上から重要である。 

だらだらと遊び食いにならないように、間食所要時間は20~30分以内ですます。

④幼児期になると簡単な買い物行動も可能となる。このとき、買い物の場において直接食べることがある。これは食生活リズムを乱し、幼児のわがままを助長し、さらには衛生面での問題を生じる。

⑤間食の内容については幼児の好みを取り入れることは幼児に喜びを与えるが、その際には間食の意義を逸脱しないよう配慮する。

⑥幼児期は、特に地域の同年齢の子供たちの影響を受けやすい。近隣の幼児の母親同士の情報交換や話し合いにより子供にとって最も望ましい間食について考え、間食の作り方なども紹介しあい、健全な食習慣の形成に努める。間食を軽視しない。

好ましいおやつの例

① 材料そのもの風味を味わうおやつの例

  • にんじん、きゅうり、セロリのステック:1歳頃から与えると野菜になじみやすい。
  • 季節の果物、果汁:果物はあまり手を加えない。
  • 牛乳、ヨーグルト、チーズ、ゆで卵:カルシウム、たんぱく質が不足するときに用いる。
  • 枝豆、そら豆、とうもろこし、焼栗、ナッツ類:季節を味わう。
  • 芋や南瓜の素揚げ、焼き芋、じゃがいものバター焼き、衣かつぎ、干しいも:胃に満腹感を与える。
  • そばがき、麦こがし、餅、かき餅、きな粉おはぎ:伝統的味覚を養う。
  • するめ、昆布、いりこ:噛みごたえのあるもの

② おやつの組み合わせ例(エネルギー量)―水分を同時にとる

  • 牛乳100gとポップコーン10g(109kcal)
  • 牛乳200gとビスケット20g(225kcal)
  • りんご果汁100gと焼きじゃがいも80g、バター5g(145kcal)
  • お茶100gと餅50g、チーズ20g、海苔1g(185kcal)
 

 

 

血管の健康、気づかっていますか?(2006年8月)

 

血管の健康、気づかっていますか?

社団法人 茨城県栄養士会

染谷まゆみ
 
 
 

サラサラの血液

ふだんは血管の状態など考えたこともない方がほとんどだと思います。でも血管は休むことなく私たちの体を維持するために、血液を体全体に届ける役目を果たしてくれています。その大切な血管を知らず知らずに酷使していませんか。糖分やアルコール・脂肪などを摂りすぎたり、ストレスが溜まったりすると血液の粘度が増し、ドロドロとした血液になります。その結果血液の流れが悪くなり、血管に負担をかけることになります。そのような状態が長く続くと血管壁が厚くなったり弾力が失われたりして動脈硬化につながり、更に脳梗塞や心筋梗塞になる恐れもあります。次のような点に気をつけて血液がサラサラになるような食生活を心がけ、血管をいたわりましょう。

〔心がけたいこと〕

1.健康に良いといわれている食品でも食べすぎは禁物。エネルギーや塩分のとりすぎになりやすいので注意が必要です。今までの食事に追加するのではなく、食べ過ぎていたと思う食品を減らしてその変わりに食べる方がよいでしょう。

2.バランスの良い食事を適量摂取しましょう。できる限り主食(ご飯、パン、麺など)・主菜(肉、魚、卵、大豆製品など)・副菜(野菜、きのこ、海草など)をそろえるように心がけます。ごはんと汁物・おかずを組み合わせる日本型の食事はバランスがとりやすいでしょう。

3.野菜・きのこ・海草類を十分に摂りましょう。

これらは低エネルギーで、かつ血管に良い影響を及ぼす成分の宝庫です。ビタミンC、ビタミンE、β-カロテンが多く含まれており、血液をサラサラにする効果があります。食物繊維も豊富で血中のコレステロールを下げ動脈硬化を防ぐ効果や、血糖値の上昇を抑える作用もあります。野菜は小鉢に1~2杯を目安に毎食食べたいものです。

4.青背魚も積極的に食べましょう。魚に含まれる不飽和脂肪酸は血液の流れを良くします。夏向けにさっぱりとしたイワシ料理をご紹介いたします。開いた生のイワシに少量の酒と醤油で下味をつけ、たたいた梅干と千切りのしその葉を混ぜたものをのせて焼くだけです。