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風邪をひかない体を作る(2012年1月)

 

     
 
1月のテーマ:
風邪をひかない体を作る

寒さが厳しくなると風邪をひきやすくなります。風邪は万病のもと。新年を明るく健康に過ごすために、風邪やインフルエンザにかからないようにすることがポイントです。
イラスト風邪にかからないためには、日常生活の中でかぜの原因となるウイルスの感染から身を守ること、そして抵抗力・免疫力をつけておくことが大切になります。風邪をひきやすい人とひきにくい人の違いは何でしょうか?それには生活環境や規則正しい生活、そして食生活が大きく関わっています。

 
     

 

規則正しい生活を心掛ける
 

休みだからといってダラダラと遅くまで起きている生活は身体を疲れさせ、抵抗力を弱めます。睡眠をしっかりとり、規則正しい生活を心掛けましょう。日頃から適度な運動をし、汗をかくことで新陳代謝も良くなります。軽い体操やウォーキングを続けることは自身の抵抗力を高め、風邪をひきにくい健康な体を作ります。太陽の日差しを浴びることも有効ですので、天気の良い日はなるべく外に出て身体を動かしましょう。

イラスト

   
風邪を予防する環境づくり
 

寒い冬は締め切った部屋でストーブやエアコンをつけるために室内の換気が十分出来ず、空気も乾燥しがちです。空気が乾燥すると鼻やのどの粘膜も乾燥してウィルスに感染しやすくなります。加湿器を使用したり、濡れたタオルを室内にかけて保湿に務めるようにすること、室内では、温度20~25℃、湿度60~80%を保つように心がけましょう。

ホコリやカビも抵抗力を弱めます。適度に換気をして空気を入れ替え、掃除をまめにしてホコリをためないようにしましょう。また、外から帰ったらうがいや手洗いを忘れずにすること。石鹸を使って指の間や腕もしっかり洗うようにしてください。なるべく人ごみに近寄らないようにする、やむをえない時はマスクを携帯するなど予防に努める心掛けも大切です。

   
風邪を予防する食事
 

バランスの取れた栄養価の高い食生活は風邪の予防の基本です。ビタミンA,Cを多く含む食品を摂りましょう。ビタミンAは風邪のウィルスが侵入してくる粘膜を強くする働きがあり、免疫力を強化します。ビタミンCはコラーゲンを生成、不足すると身体の抵抗力が弱まるため風邪をひきやすくなります。また、寒い冬は鍋やシチューなどの食品を取って身体を内側から温めるよう努めましょう。食べる時間を一定に保ち、規則正しい食生活をすることで太りにくい身体を作り、抵抗力を高めます。忙しい人はサプリメントや健康食品で足りない栄養を補いましょう。サプリメントには免疫力をアップしたり、体内環境を整える働きがあります。

 

冬本番を前に!お肌の乾燥対策(2011年11月)

 

     
 
11月のテーマ:
冬本番を前に!お肌の乾燥対策

秋は春から夏にかけて浴び続けた紫外線のダメージが肌にダイレクトに現れる季節です。秋の肌は紫外線に加え、乾燥した空気にさらされ、肌の再生もしにくくなります。

冬本番を前にお肌の乾燥対策を取りましょう。「洗顔後、肌がつっぱるような感じがする」「うるおいやしっとり感が無くなってきた、毛穴が目立ってきた」「口元や頬、目の下など、カサカサする所が増えたかも?」そんな変化に気づいたらもう乾燥は始まっています。

 
     

 

まずは日頃の洗顔から
 
まずは日頃の洗顔から

秋は今までの季節とは違い、皮脂の分泌が低下して肌が乾燥してきます。

洗顔料を使用する場合は肌に合ったものを選んで、しっかりと汚れを落とすように洗い上げます。洗うときは、36~38度位のぬるま湯がいいでしょう。熱いお湯だと皮脂が流れ落ちますし、逆に冷たい水だと毛穴が開かないので、汚れが肌に残ってしまいます。

乾燥や紫外線のダメージにより保湿機能が失われやすくなっているので、洗顔後は化粧水や乳液、美容液を使ってうるおいを回復させましょう。また、洗顔後に蒸しタオルを30秒ほど顔に乗せることで血行やリンパの流れがよくなり肌の再生を促します。

   
身体の内側からも対策を
 

外側からだけでなく、ビタミン、コラーゲン、CoQ10、ヒアルロン酸、セラミドなどを含んだサプリメントなどを取り入れることで、内側からも夏のダメージ回復に効果てきめんです。

ビタミンをたっぷりふくんだ野菜や果物のジュースを飲んでもいいでしょう。食事をきちんと取ること、肌は眠っている間に生まれ変わりますので、十分な睡眠も乾燥肌を改善するには欠かせません。

また水をたっぷり飲むようにすることも体内にきれいな水が循環し、肌の水分量が増えてみずみずしい肌になるための大切なポイントです。

身体の内側からも対策を
   
適度な運動で美肌をキープ
 

ウォーキングや体操、ストレッチなどで適度に身体を動かし、汗をたっぷりかくことも肌の健康のために大変よい効果を生み出します。

運動して基礎代謝量を上げ、新陳代謝を活発にすることで体内の老廃物を吐き出し、皮膚のターンオーバーをスムーズに行い、綺麗で清潔な肌を保つことができるのです。

運動の後はゆっくりと入浴して心身ともにリラックスしましょう。ストレスの無い状態が美肌を生み出す源、心と肌は繋がっています!

適度な運動で美肌をキープ
   
暖房器具の使いすぎに注意
 

エアコンは部屋の湿度を低下させ、肌の乾燥を確実に招きますので、季節に関係なく、エアコンの使用を最低限に抑えましょう。

風が直接あたる場所にいると、余計に肌が乾燥してしまいますので注意してください。また、ただでさえ乾燥してしまう冬にエアコンや電気の暖房器具を使うと湿度が低下し肌の保湿に大敵です。ストーブなど燃焼系の暖房器具を使用した方がいいでしょう。

加湿器を使用して部屋の湿度を上げたり、濡れたタオルや洗濯物を部屋にかけておく、洗面器に水を入れて部屋に置くなどして手軽に加湿することもできます。

 

上手に使おうサプリメント(2011年10月)

 

     
 
10月のテーマ:
上手に使おうサプリメント

毎日の食事で不足しがちなビタミンやミネラル、アミノ酸などの栄養補給やダイエットに気軽にドラッグストアやコンビニエンスストア、通信販売で購入できるようになったサプリメント。

栄養補助食品(えいようほじょしょくひん)、健康補助食品(けんこうほじょしょくひん)とも呼ばれており、近年、私達の暮らしに身近になってきました。

 
     

 

サプリメントの歴史
 

サプリメントは、「食事だけでは、必要な栄養素を摂れないときに、それを補うもの」という目的で近代になってアメリカで誕生しました。

アメリカでは日本のような国の保険制度がないため、病気になると高額な医療費もかかるため、人々の健康管理に対する意識も世界トップレベルといわれています。

予防医学への関心から「サプリメント大国」とも言われているくらい、サプリメントが一般的に広く利用さており、米国成人の6割以上が何らかの形で日常的にサプリメントを利用していると言われています。

サプリメント

アメリカのサプリメントは「ダイエタリー・サプリメント」と呼ばれ、DSHEA という法律で「薬と食品の中間のもの」 と定義されており、厳しく規制されています。

日本ではアメリカのような規制はなく 「サプリメント」 とは、医薬品ではなく「食品」 と同じ扱いとなっており、サプリメントに関する薬効は認められていません。

しかし栄養機能の表示については一定の取り決めがあり、栄養素ごとに、成分の規格基準が定められています。

   
特定保健用食品(トクホ)との違い
 

最近、「トクホ」という言葉をコマーシャルなどでよく聞くようになりました。特定保健用食品(トクホ)は、科学的根拠の分析、有効性や安全性の審査を踏まえた上で、一定の有効性が確認され、厚生労働省が認可した食品のことを言います。

これらの食品には、国が認めた印として“トクホマーク”がついています。サプリメントや栄養ドリンクは栄養機能食品と呼ばれ、特定保健用食品の基準は満たしていません。

   
サプリメントの種類
 
サプリメントには成分と効果によっていくつかの種類があります。大切なのはまずビタミン・ミネラルを充分摂り体を正常な状態に機能させた上でより健康を増進させるものや特定の部位に働きかけるものを摂取することです。

サプリメントの種類
   
[1] 人間が生きていく上で必ず必要になる栄養
 

ビタミン、ミネラル、必須脂肪酸(DHA、EPA)など。これらの本来食事から摂取する身体の基本になる栄養素は生きていくために必要不可欠なもので、不足した場合に様々な不調が起こる原因となります。

[2] 摂取することでより体の機能が良くなる栄養
 

アロエやイソフラボン、クロレラ、霊芝、ビール酵母、黒酢などです。[1]にプラスして摂取することでより健康を増進できる栄養素です。

[3] 特定の部分に働きかける栄養
  主にハーブや薬草類が原料で古来より疾病の治療や予防に使われてきた物が多くあります。イチョウ葉やセントジョーンズワートなどが代表格です。
 
サプリメントの摂り方
 
サプリメントは栄養補助の役割り サプリメントの摂り方
 

サプリメントはあくまでも足りない栄養を補うものですので、サプリメントを摂ってさえいれば、食事はどうでもいいというわけではありません。

基本的には、毎日の食事で必要な栄養素を摂るのが理想です。

一日の摂取量を守って服用
 

サプリメントの表示ラベルには1日の摂取(目安)量が書かれています。成分によっては摂りすぎによる過剰症を起こす場合がありますので、必ず1日の摂取量を守るようにしましょう。

また成分によっては単独ではなく、何種類か組み合わせて服用することで効果を発揮する場合がありますので、よく調べてみましょう。

薬ではありませんが、基本は食事の後に摂取するのが理想的といわれています。

保存に気をつけましょう
  品質の劣化を防ぐためにも、高温多湿な場所に長時間置いかないなど、保存方法にも気を付けましょう。

製品によっては保存方法がラベルに表示されていますので、必ず守るようにしましょう。

 

今年は大流行! 大人も気をつけたい手足口病(2011年9月)

 

     
 
9月のテーマ:
今年は大流行!

大人も気をつけたい手足口病

主に夏場に流行し、乳幼児や子供の手足や口内などに発疹ができる夏風邪の一種「手足口病(てあしくちびょう)」が西日本を中心に全国で大流行しており、1医療機関あたりの患者数は、1982年の調査開始以降、過去最多を記録しております。今年の手足口病は例年の症状とは異なり、高熱や大きな発疹が広範囲に現れるため、水痘などと誤診され、深刻な状態に陥る場合もあり注意が必要です。子供から大人に移ることもある手足口病。この秋から冬にかけて東日本でも発生が予想されていますので注意が必要です。

 
     

 

手足口病の原因と症状
 

子供や乳幼児を中心に発症する「手足口病」はウィルスが原因によって起こる感染症で、主にコクサッキーウイルスA16、エンテロウイルス71(EV71)です。原因となるウイルスが数種類あるので、何度もかかることがあります。(今年は「コクサッキーA6」が多く検出されています)せきやくしゃみなどの飛沫や便の中に排泄されたウイルスが口に入って感染することで知られています。

潜伏期間は3~4日程度で、口の中や手のひら、手の甲、足底、足の甲、臀部などに2~3ミリ大の水疱性の発疹が出たり、38~40度程度の高熱が出ることもあります。口の中の発疹は潰瘍になるため、激しく痛むことがあります。水疱は3~5日ぐらいで消えてしまい、あとが残ったりすることはありません。ほとんどは、1週間から10日程度で完治しますが、まれに髄膜炎、小脳失調症、脳炎などの中枢神経系の合併症のほか、心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺など、さまざまな症状が出ることもあります。

今年の手足口病の特徴はひとつひとつの水疱が大きく、全身に広がる傾向があり、高熱をともなう症状も見られます。抗体がなければ子供から大人へと移るため、お子さんから発症し、両親へ感染するケースもあるそうです。



   
有効な治療はない?
 

手足口病には根本的な治療薬は現代医学ではありません。発熱、頭痛、口腔内の潰瘍の痛み等のそれぞれの症状に対する対処療法が中心です。発疹や発熱だけですと、家で安静にしていればほとんどが自然に治りますが、高熱や頭痛、おう吐がある場合は小児科か大人なら皮膚科を早めに受診してください。

口の中にも水疱ができた場合、物を食べる時に痛がることがあるので、熱い食べ物や刺激のあるものは控えたほうがよいでしょう。食欲が無い時は脱水症状を防ぐために、ジュース、アイスクリーム、ヨーグルトなどののどごしのよいものがおすすめです。

   
清潔にすることで予防
 

手足口病のウイルスは、手を介して口に入りますので、外遊びや外出先から帰宅した後や食事の前、トイレの後などはきちんと手洗いやうがいをすることが大切です。便による感染力は長く2~4週間にわたってウイルスが排出されるため、排便後はしっかり手洗いする必要があります。かかってしまったら人との接触を少なくし、飛沫感染を防ぐためにマスクをするのも効果的です。プールや入浴施設へ行くのも避けたほうがいいでしょう。

 

 

怖い虫さされ(2011年8月)

 

     
 
8月のテーマ:
怖い虫さされ

夏休みになり、海や山など野外に出かける機会が多くなります。そこで遭遇するのが「虫」。虫刺されにもいくつか種類があり、刺した虫によって症状にも違いがあります。共通する症状としては赤味を伴う発疹、かゆみといったものですが、中にはスズメバチのように強い毒性やアレルギー症状を引き起こすものもあり、注意が必要です。

 
     

 

人を刺す夏の虫
  ■スズメバチ
スズメバチスズメバチは8月から10月が活動期であり、被害が最も多くなる時期です。まずは巣に近付かないこと、スズメバチが近くに来ても、追いかけたり腕を振り回したりしないこと。またスズメバチは黒いものを襲撃する習性があるので、黒系の服や帽子を避けることもポイントです。

もし刺されてしまったら、すぐに毒を体外に出してください。針のついていない注射器や専用の器具で吸い出し、刺された場所を冷やして心臓より高く上げ、病院へ。口で毒を吸い出すのは、口内の傷や虫歯から体内へ毒が入る場合があるので避けてください。「スズメバチに刺されたら尿をかける」ということもよく言われますが効果はありません。

最も怖いのは、「アナフィラキシーショック」と呼ばれるアレルギー症状で、蜂の毒に過敏に反応してしまうアレルギーを持った人の場合、呼吸困難や血圧低下などを起こし、最悪の場合、死にいたることもあります。アナフィラキシーショックは短時間で起こるので、少しでも様子がおかしいと感じたら、救急車を呼ぶなど速やかに対処するようにしてください。

■ブヨ
虫除けブヨ(ブユ)はハエより若干小さく、体長3~5mm程度の吸血性の虫です。幼虫は小川や渓流で育ち、綺麗な水辺を好むため、夏場のキャンプ場や渓流、ゴルフ場や田んぼなどに生息しています。ブヨは刺される(蚊のように皮膚に針を刺すのではなく、皮膚を噛み切ります)と猛烈に痒いだけでなく、人によっては激しい痛みを生じたり、赤黒く腫れが残ったります。リンパ管炎やリンパ節炎を併発し、時に発熱を伴い、歩行困難になるというような症状が出ることもありますので、アレルギー症の人は特に注意する必要があります。

まずブヨを避けるためには肌をむき出しにしないこと。足(膝より下)を良く刺されますので、長ズボンをはいて予防してください。またまめに虫よけスプレーを使って虫よけを行ってください。もし刺されてしまったらまず患部が熱を持っているときは冷やすこと。そして早めにかゆみ止めの軟膏(ステロイド軟膏など)を塗り、掻きむしかないように注意してください。そこから雑菌が入り、化膿してしまいます。かゆみや腫ればひどい場合は皮膚科を受診してください。

■マダニ
腫れるマダニは吸血性のダニの中でも大型のダニの総称で、5月から8月にかけて活発に活動し、野山の木や公園の草むらなどの葉、枝、草の先端に生息します。人間のまぶたや耳、首、脇の下、内股など柔らかい部位に寄生します。マダニに刺されても最初は軽い痒みと痛みを伴うだけですが、ある程度マダニが血を吸って大きくなると血豆のように皮膚が腫れます。マダニに食いつかれた場所を中心に、徐々に大きくなる赤い発疹が現れ、慢性化すると神経、筋肉、関節、心臓などが冒されていくことがあります。マダニの持つボレリアに感染すると、ライム病(遊走性紅斑)と呼ばれる皮膚病やツツガムシ病になる恐れがあります。

野山で野外活動する際には、首周りや手首、足首から侵入するのを防ぐこと、明るい色合いの服装がダニの付着防止と発見に役立ちます。また野外から帰宅後は入浴し、からだをよく洗うとよいでしょう。マダニが食いついているのを発見したら、無理やり手で取らず、ピンセットや毛抜きで跡が残らないように丁寧に取り除き、化膿を防ぐ薬を塗ってください。

■毛虫
毛虫毛虫は蚊やダニなどと違って吸血するのではなく、毛虫の持つ毒針によって人を刺します。毛虫による虫刺されの症状は強い痒みと腫れです。小さな赤い発疹ができて、ピリピリとした痛みが生じた後、強いかゆみが出るのが特徴です。

毛虫に刺されたらまずは水でしっかりと毒毛を洗い流すようにしましょう。ケムシの毛が残っていたらガムテープなどで取り除き、患部を強くこすらずに、石鹸で何度も洗い流します。市販のかゆみ止めをつけ、腫れや痛みがある場合は病院で診察を受けましょう。

   
虫を予防する
  夏はついつい半袖半ズボンなど薄着になりがちですが、野外で遊んだり作業をする時はできるだけ長袖・長ズボンを着用しましょう。首まわりにタオルを巻くなども有効です。帽子や手袋も虫よけに効果的です。顔の前に虫よけネットのついた帽子も販売されています。また、外出する前は虫よけのスプレーや防虫剤を肌の露出部分にかけておくとブヨや蚊を避けられます。顔の前に虫よけネットのついた帽子や虫よけシールやリングなど子供達が楽しんで使える便利なグッズも最近は数多く販売されているようです。
   

 

省エネもいいけれど…気をつけたいのは熱中症~熱中症の予防と対策~(2011年7月)

 

     
 
7月のテーマ:
省エネもいいけれど…気をつけたいのは熱中症~熱中症の予防と対策~

全国で30度以上の真夏日を記録した6月29日、各地で熱中症による救急搬送が相次いだ。千葉、長野、愛知、奈良で計4人が死亡。18都県で少なくとも309人が搬送され、14人が重症と診断された。(6/29・毎日新聞ニュースより) 東京電力福島第1原発事故の影響で省エネが叫ばれ、クールビズなど冷房を控える動きもありますが、35度以上の極度の猛暑では「熱中症」にかかってしまう方も増えているようです。最悪の場合、命が奪われることもある怖い「熱中症」とは一体どんな症状なのでしょうか?

 
     

 

熱中症の原因と症状
 

 熱中症とは、外気の高温多湿等が原因となって起こる身体の症状の総称のことをいい、軽い症状から重い症状へと症状が進行します。特に怖いのは熱射病(日射病)で高齢者や乳幼児ほど重症化の傾向があります。10代は運動中、20~50代は仕事中、60代以上は日常生活の中で発症するケースが目立ち、特徴的なのは「高温化した室内や車の中」での発症が目立ちます。

[上から軽度→重度の順]
●熱痙攣・・・・・・・体力のある人が汗を多量にかき、水分を補充するが塩分を摂らず、低ナトリウム血症を起こしている場合に生じる。突然のけいれん、激しい痛みと手足痙縮が起こる。

●熱失神・・・・・皮膚の血管が拡がることにより血流量の減少、血圧の低下、脳へ送られる血液量が減少するために起こる。いきなりバタンと倒れる一過性の意識消失がみられることが多い。

●熱疲労・・・・・・・暑さによって塩分(電解質)と水分が過剰に失われる状態で、血液量が減少する。頭痛やめまい、吐き気や脱力感、失神や虚脱がみられることもある。脱水症状ともいう。

●熱射病(日射病)・・・夏の暑い日差しを浴びて歩き回ったときに体温調節機能が失われ、身体がオーバーヒートして起こる。顔が赤くなって息遣いが荒くなる。発汗もみられなくなり、目まいや頭痛、吐き気などの重い症状があり、ひどいときは意識不明になり死亡することもある。

●意識不明、死亡も?

   
熱中症の予防
    熱中症は乳幼児や高齢者などがかかりやすいとされています。また下痢等をしやすいなどの脱水傾向にある方、発熱のある方、また肥満気味や睡眠不足の場合にかかりやすくなります。体調だけでなく、気温や湿度、日差しの強さなどさまざまな気象条件が重なって影響するので注意が必要です。一人で運動や作業をしている場合には熱中症の症状発見が遅くなり危険です。

  1. 発汗によって失った水分と塩分の補給をこまめに行う。スポーツドリンクなど塩分と糖分を飲みやすく配合した飲み物がよい。
  2. 睡眠を十分に取り、運動や作業前には内臓の負担にならない程度に出来るだけ多くの水分を摂取する。十分に休憩を取りながら作業・運動を行うようこころがける。
  3. 直接の日射を防ぎ、風通しの良い場所にいるようにする。風を身体にあてたり、また水をかぶったり、濡れタオルなどで熱を気化させて体温を下げるなどの工夫も必要。
  4. 外出時は日傘・帽子を持参する。吸湿性の良いゆったりした服装をし、太陽光線を吸収する黒や紺など濃い色や長袖は避ける。
  5. 日中は高温になる室内や車中にいるのを避け、室内は窓を開けて風を入れる。(特に体力的に弱い高齢者や乳幼児は注意が必要)気温30度以上、湿度70-80%、風の弱い時等は、特に熱中症が起こりやすいので、時々室温を測ったり、気温に常に気を配る。携帯型の熱中症計などを持ちあるくのも有効。
   
熱中症の治療
 

 おかしいな?と思ったら、まずは体温を下げる事が必要です。木陰や庇、冷房の効いた室内など、涼しい場所で休み、安静にします。そのような場所がない場合には、うちわなどで扇いでなるべく早く体を冷やすようにします。特に氷やアイスノンなどで対処する場合は、脇の下、首、足の付け根など太い血管のある部分を冷やすようにすると効果的です。

 その他の応急処置としてはスポーツドリンクや塩分(塩、塩飴、梅干し、昆布等)を含んだ水分などを飲ませます。その際、冷えすぎた飲料を大量に摂取すると胃痙攣を起こす場合がありますので注意が必要です。また水だけを大量に摂取すると、血中食塩濃度が薄くなり、さらに水分を欲するようになり、余分な水分を尿として排泄する作用が起こって結果として体液の量を回復出来なくなります。

 目まいや筋肉痛など熱中症の軽い症状があれば、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

意識がなく、心停止状態にある場合は、[1]救急車を呼ぶ、[2]心臓マッサージを行う、[3]救急車到着前にもAED(自動対外式除細動器)を探して応急処置を取ります。

熱中症は症状によっては死に至る怖い病気であるを十分に認識し、予防する観点からも、暑い日には気温をチェックし、適切な水分補給と体調管理に努めていきたいものですね。

 

 

「食中毒」に気をつけよう!~食中毒の予防と対策~(2011年6月)

 

     
 
6月のテーマ:
「食中毒」に気をつけよう!

~食中毒の予防と対策~

梅雨時期ということもあり、蒸し暑い日やジメジメと湿気の多い日が続いています。スコールのような雨が急に降ったり、日が落ちると冷え込んだり、お天気が不安定な時期でもあるので、お出かけのときには雨具や上着を忘れないようにしたいものです。今回は、前回に引き続き、高温多湿の季節に増える「食中毒」について、普段から気を付けておきたいポイントをご紹介します。

 
     

 

食中毒の原因と症状
 

 食中毒とは、食中毒の原因物質である細菌やウイルスが付着した食品や、有害・有毒な物質が含まれた食品を食べることによって起こる健康被害のことです。

食中毒にかかると、多くの場合嘔吐や腹痛・下痢など、急性の胃腸障害が起こりますが、ほとんどは軽い症状で済むことが多いと言われています。しかし、中にはO-157やフグ毒のように死に至る食中毒もあります。また、体の抵抗力の弱い子どもや高齢者が食中毒にかかると重症化する傾向があるため、特に注意が必要です。

   
「食中毒三原則」
    食中毒を予防するためには、普段から「つけない、増やさない、やっつける」の食中毒三原則を守ることが大切です。

■ポイント1.細菌を「つけない」
●調理をする際の注意

手洗いの敢行はもちろん、健康管理にも注意し、調理に関係ない人や物、ペットなどを調理場に入れない(置かない)こと。
●調理場を清潔にする

まな板や包丁、食器やふきんは常に清潔なものをつかい、調理台やシンク、天井や床なども衛生的な管理を心がけること。
■ポイント2.細菌を「増やさない」
●食材管理の注意

新鮮な材料を使って衛生的な調理を心がけ、生鮮食品はなるべく5℃以下で保存し、早めに使うこと。
●調理後の注意

加熱調理した食事でも、室温で放置せず、調理したらすぐに食べるよう心がけること。
■ポイント3.細菌を「やっつける」
●加熱調理の際の注意

加熱が必要な食材は、75℃以上で1分間以上加熱し、必ず中心部まで火が通るようにすること。
●保存の際の注意

細菌の繁殖を防ぐため、室温での食品保存は避け、冷蔵庫で保存する際は0℃以下の状態で行うこと。

   
普段から気をつけたい「食中毒予防」のポイント
  ■キッチン編
調理を始める前、食事の前には必ず手を洗いましょう。(※手の洗い方については次項で詳しく解説します) また、調理の前にキッチンや調理器具をチェックし、清潔な状態であることを毎回確認する習慣をつけましょう。まな板や包丁などは違う食材を調理するごとに洗浄するようにし、特に生ものを調理した後は熱湯消毒を心がけてください。
■買い物編
食材は新鮮なものを選び、買い置きの際は特に、消費期限に十分注意しましょう。 生ものや冷凍食品など、冷蔵・冷凍が必要な食品は買い物の最後にカゴへ入れ、持ち歩きの時間をなるべく少なくしましょう。また、購入後の車内放置には特に注意し、速やかに帰宅して冷蔵(冷凍)庫へ入れるようにしてください。
■お弁当編

常温に中~長時間置いてから食べることの多いお弁当は、特に注意が必要です。職場・学校などで冷蔵庫が使えれば活用し、無い場合も直射日光の当たる場所などには絶対に置かないようにしましょう。
<お弁当づくりのポイント>
・弁当箱は常に清潔なものを使い、水滴が残ったまま食材を詰めないこと。

・弁当箱はできるだけ通気性のよいものを使用するか、保冷材などを活用して細菌が繁殖しづらい状態を保つ工夫をすること。

・レタスやキュウリなど生野菜は避けること。

・熱い食品(ご飯を含む)を詰めるときは、できるだけ急速に冷ましてから詰めること。

   
食中毒を予防する、手洗い方法
 

  1. 時計や指輪を外し、両手を流水でよくぬらす
  2. 液体石けんを手のひらにとり、手の平をよく洗う

    (※固形石けんは細菌の繁殖場所となっている場合があるため、液体石けんのほうが好ましいとされています)

  3. 両手の甲をよく洗う
  4. 指をからませるようにして、指の間をよく洗う
  5. 片方をじゃんけんのグーの形にし、その手の指の背や爪の部分を洗う

    (反対も同様に)

  6. 親指をもう片方の手のひらで包み、親指をくるくると回すように洗う

    (反対も同様に)

  7. 指先、爪の部分をよく洗う

    (爪はなるべく短くしておき、爪の間も洗う習慣をつける)

  8. 手首をもう片方の手の平で包み、手首をくるくると回すように洗う

    (反対も同様に)

  9. 流水でよく洗い流し、ペーパータオルや乾燥した清潔なタオルで拭く

    (※エプロンや共用のタオルなどでは絶対に手を拭かないこと。また、消毒用アルコールなども併用すると更に効果的ですが、必ず清潔に洗い乾燥させた手に使用するようにしましょう)

   
食中毒にかかったときの対処法
  ■早めの受診が第一!
食中毒は、場合によっては死に至ることもあるということを忘れず、決して軽視はせずに早めに医療機関へ行くようにしてください。

また、受診する際、原因と思われる食品やおう吐物、便などをビニール袋などに入れて持参すると、診断の際の重要な手がかりになります。(※二次感染を防ぐため、取り扱いには十分に注意してください!)
■家庭での対処法

食中毒で下痢やおう吐を繰り返すと、水分が不足し、脱水症状を起こす場合があります。

水分補給と適当な塩分、糖分などの補給に気を配りましょう。

(スポーツドリンクなどは手軽に水分・ミネラルが取れるので便利です)

市販の下痢止め薬などは安易に使用せず、まずは医療機関を受診して医師に相談してください。

くどいようですが、「たかが食中毒」と軽視は禁物です。「いつも食べているから大丈夫」「加熱したから大丈夫」と油断せずに、清潔・安全を確認してから食事をするようにするだけで、食中毒のリスクは減らせます。清潔な手、清潔な食器で、安心して食事を楽しめるよう普段から気をつけていきましょう。

 

 

「食中毒」に気をつけよう!~食中毒の主な原因と症状~(2011年5月)

 

     
 
5月のテーマ:
「食中毒」に気をつけよう!

~食中毒の主な原因と症状~

天気の良い日は半袖一枚でも過ごせるほど暖かい日も増え、初夏を感じる季節になりました。今年は冬から春にかけて寒さが長引いたため、気温の上昇が余計に急激に感じられるようです。気温や湿度が上がるにつれて、心配になるのが「食中毒」です。焼肉店で起こった食中毒事件も記憶に新しいですが、外食時はもちろん、普段の食事にも潜む「食中毒」の危険についてお話します。

 
     

 

食中毒とは
 

 食中毒とは、食中毒の原因となる細菌やウイルスが付着した食品や、有害・有毒な物質が含まれた食品を食べることによって起こる健康被害のことです。

主な症状は嘔吐や腹痛・下痢などの胃腸障害ですが、なかにはO-157やフグ毒のように死に至る食中毒もあります。特に、体の抵抗力の弱い子どもや高齢者が食中毒にかかると重症化する傾向があります。また、食中毒は通常、人から人へ感染することはありませんが、腸管出血性大腸菌(O-157など)、ノロウイルス、赤痢菌などは感染力が強く、人から人へ感染することがあります。

   
食中毒のおもな原因物質と症状
    食中毒には様々な原因物質がありますが、微生物(細菌、ウイルスなど)によるもの、化学物質によるもの、自然毒によるもの及びその他に大別されます。

■細菌によるもの
<感染型>
・サルモネラ菌

生肉、生レバー、食肉加工品、生野菜、生ケーキ、うなぎ、スッポンなどに含まれます。 潜伏時間は約5時間から72時間(平均12時間)で、主な症状は、下痢・腹痛・発熱(38℃~40℃) の他、嘔吐・頭痛・脱力感・倦怠感を起こすこともあります。
・腸炎ビブリオ

近海の魚介類(赤貝、アオヤギなど)、魚介類調理後の包丁、まな板などに含まれます。

潜伏時間は約10時間~24時間(短い場合で2~3時間)で、主な症状は、激しい腹痛、下痢などの他、発熱・はき気・おう吐を起こす場合もあります。
・カンビロバクター

生肉(鳥肉など)、サラダ(二次汚染)などに含まれます。

潜伏期間は1~7日(平均2~3日)と長いことが特徴で、主な症状は、下痢、腹痛及び発熱の他、倦怠感、頭痛、めまい、筋肉痛等が起こることがあります。

初期症状は、風邪と間違われることもあります。
・エルシニア菌

牛乳、乳製品、食肉などの冷蔵品に含まれます。

潜伏期間は2~5日と長く、摂取した菌の量や感染者の年齢によって、症状は異なりますが、発熱、下痢、おう吐などの症状の他、虫垂炎のような猛烈な腹痛におそわれることもあります。
<毒素型>
・黄色ブドウ球菌

おにぎり、弁当、菓子、煮豆などに含まれます。

潜伏時間は1~5時間(平均3時間)と他の食中毒菌に比べて短いのが特徴で、激しい嘔吐・腹痛の他、下痢を伴うこともあります。発熱は少ないようです。
・ボツリヌス菌

缶詰・びん詰め食品、いずし(魚肉発酵食品)などに含まれます。

潜伏時間は8時間~36時間で、主な症状は吐き気、嘔吐など。症状が進むと視力障害、言語障害、えん下困難(食品を飲み込みづらくなる)などの神経症状が現れ、重症例では呼吸困難により死亡することもあります。
<その他>
・病原性大腸菌(O-157、O-111など)

生レバー、生肉、生サラダ、水などに含まれます

潜伏期間は3~5日で、激しい腹痛と大量の新鮮血を伴う下痢が特徴ですが、健康な成人では軽症または無症状に終わる場合もあります。また、まれに下痢が始まってから数日から2週間以内に貧血や急性腎不全などの症状を呈する溶血性尿毒症症候群(HUS)を発症することがあります。

ベロ毒素という毒素をつくるので若年齢層の子供などは重症化しやすい傾向があります。

■ウイルスによるもの
<感染型>
・ノロウイルス

生かきなどの食品、水などに含まれます。

潜伏時間は24~48時間で、吐き気やおう吐・腹痛・下痢・発熱(38℃以下)があります。通常はこれらの症状が1~2日続いた後に治癒し、後遺症もありませんが、体力の弱い乳幼児、高齢者で脱水症状がひどい場合には、水分と栄養補給を行い、体力が消耗しないように注意が必要です。

また、感染しても発症しない場合や軽い風邪のような症状で済む場合もあります。
・A型肝炎ウイルス

水、野菜、魚介類などに含まれる。

感染力が強く集団発生することがある食中毒で、急性肝炎、全身倦怠感、発熱、筋肉痛、黄疸、肝腫大、食欲不振などが起こります。

■自然毒によるもの
<植物性自然毒>
・毒キノコ

ツキヨタケ、カキシメジ、クサウラベニタケ、ニガクリタケなど。 摂取後30分~3時間程度で徴候があらわれ、嘔吐、下痢、腹痛などの症状が起こります。 ドクツルタケ・シロタマゴテングタケは猛毒で、徴候は6時間以上(通常10時間程度)であらわれ、嘔吐、腹痛、下痢、肝臓腎臓の機能障害を起こして死亡する例もあるので特に注意が必要です。
・ジャガイモの芽

ジャガイモはソラニンやチャコニン(カコニン)などの有毒なアルカロイド配糖体を含みます。特に皮層や芽に多く含まれ、嘔吐、下痢、呼吸困難などの症状が起こることがあります。
・青梅、アンズなどの種子

体内呼吸を止め、死に至らせる猛毒・青酸(シアン)配糖体を含んでいます。
<動物性自然毒>
・フグ毒

フグの種類や季節によってテトロドトキシンを含む部位や毒の強さは異なりますが、フグ毒はテトロドトキシンと呼ばれ、青酸カリの1,000倍の毒力を持っています。 潜伏期間は1時間以内と短く、くちびるや手の感覚麻痺、運動神経麻痺、呼吸麻痺などが起こり、発症後死に至るまでは8時間以内と言われています。

■化学毒によるもの
・農薬など

洗剤や農薬等が混入した食品を摂取したことによって起こる食中毒です。 嘔吐や腹痛、下痢が起き、ときにはめまいやショック症状を伴うこともあり、死亡する危険性もあります。
・ヒ素・銅・鉛・錫など

金属の器具や容器から溶出したスズや銅を摂取したことによって起こる食中毒や、ヒスタミンを多く蓄積した食品を摂取したことによるアレルギー様の食中毒があります。 嘔吐や腹痛、下痢が起こる他、めまいやショック症状を伴うことがあり、死亡する危険性もあります。

このように、食中毒は場合によっては死に至ることもあるため、軽視は絶対に禁物です。食中毒かな?と思ったら、すぐに医療機関で受診をしてください。その際、原因と思われる食品やおう吐物、便などをビニール袋などに入れて持参すると、診断の際の重要な手がかりになります。(※二次感染を防ぐため、取り扱いには注意してください)

食中毒を防ぐには、細菌(原因物質)を体内に入れないことが大原則です。次回は食中毒の予防と対策についてお話します。

 

 

「地震酔い」 その予防と対処法!(2011年4月)

 

     
 
4月のテーマ:
「地震酔い」 その予防と対処法!

未曾有の大震災発生から半月以上が経過しました。被災者の皆さまには、心よりお見舞い申し上げます。

避難所での生活を余儀なくされている方はもちろん、その他の地域の方も、余震や原発事故への不安、停電や断水、そして様々な品不足など、普段通りの暮らしができない環境に身を置く方が多いのではないでしょうか。しかし、こんな時だからこそ、体調管理にはいつも以上に気を付けたいものです。今回は、被災者の後遺症ともいえる“地震酔い”についてお話しします。

 
     

 

地震酔いとは
 

地震酔いとは 東北地方太平洋地震の発生以降、「実際には地震が起きていないのに揺れているような感じがする」「目まいや吐き気がする」といった症状を訴える人が増えているそうです。大地震を経験した恐怖や、悲惨な光景をテレビや新聞で見たショックなどがトラウマになっているせいとも考えられますが、それ以上に、頻発する余震の影響で「地震酔い」をしている可能性が高いと思われます。
地震酔いは「後揺れ症候群」と呼ばれるもので、車酔いや船酔いなどのいわゆる「乗り物酔い」と同じようなものです。

車酔いや船酔いは視覚情報と平衡感覚とのズレが原因で起こりますが、地震酔いも原理は同じで、地震によって身体が揺れることで三半規管で感じる平衡感覚がズレて、目まいや吐き気などが起こります。
しかし何故「実際には揺れていないのに揺れているように感じる」のでしょうか。これは、人間の脳が持つ「速度蓄積機構」というシステムのせいで、このシステムが、直前に体験した加速度や回転の情報を蓄えているために地震酔いが起こると考えられます。皆さんも、ボートやつり橋など、常に揺れている環境でしばらく過ごした後、大地の上に立っているのに自分の体が揺れているような感覚を味わったことはないでしょうか?地震酔いもこの感覚と同じような現象ですが、地震は特に、人体に与える刺激が強いため揺れている感覚が残りやすいのです。

地震酔いは周期が長い揺れが何度も続く場合に起きやすいと言われますが、今回の地震は揺れた時間が長く、余震の回数も多いため、症状を訴える人が多いようです。また、「余震がまた来るかも知れない」という不安感やストレスが揺れに対する感覚を敏感にさせ、症状を強めている面もあると考えられています。

   
地震酔いの対処法
   乗り物酔いをした場合、車や船から降りてしばらくすれば自然と治るのと同じように、地震酔いもほとんどの人は時間の経過と共に症状は軽くなっていきます。また、余震が今後も続いたとしても、徐々に揺れに身体が慣れて、地震酔いする人は減ってくると考えられています。

吐き気や目まい、不快感など、どうしても耐えられない場合は乗り物酔いの薬を服用すると楽になる場合もありますが、まずは深呼吸してリラックスするようにしてみましょう。
<地震酔いの予防・対処法>

ゆっくり深呼吸して、リラックスする 深呼吸
 

気分の悪さを感じたら、ゆっくりとした呼吸で気持ちを落ち着けましょう。一度大きくゆっくりと息を吐き出すと、自然と呼吸が整います。その後、緊張や不快感が和らぐまで何度か深呼吸を繰り返してみましょう。

身体をリラックスさせる
 

ネクタイやベルト、身体を締め付ける下着などは避け、身体をリラックスさせるようにしましょう。

水分を摂る
  口の渇きを感じる場合は、水やスポーツドリンクなどを飲みましょう。飲み水が不足しているときも、少し口に含むだけでも効果があるので試してみてください。ハーブティーなど、香りにリラックスやリフレッシュ効果のあるドリンクでも良いでしょう。
しっかりと睡眠をとる
 

睡眠不足も地震酔いの要因になります。不安や寒さなどでなかなか寝付けない場合もあるかと思いますが、睡眠不足は様々な体調不良の原因にもなるので、睡眠の確保を心がけてください。

睡眠
ストレスをためない
 

不自由な暮らしや不安のせいでストレスが溜まりやすくなっていますが、身体だけでなく神経を休めることも大切です。軽い運動をする、温かいお茶を飲む、周囲の人と会話するなど、気持ちを楽にできることを見つけてください。

 
 
皮肉な話ですが、今回の大震災がきっかけで、「命の大切さ」や「生きている喜び」に改めて気づいたという声も多く聞かれます。不安な日々が続いていますが、一日も早い復興のためにも、健康第一で前向きに過ごして行きましょう!

 

 

疲れ目、ドライアイ ―「目」のトラブルは現代病!?(2011年3月)

 

     
 
3月のテーマ:
疲れ目、ドライアイ

―「目」のトラブルは現代病!?

暦の上ではすっかり「春」ですが、冷え込む日も多く、本格的な春の日差しが待ち遠しい今日この頃。風邪やインフルエンザへの対策もまだまだ気が抜けませんが、花粉症にも注意が必要な厳しい春になりそうです。花粉症の症状のひとつに「目のかゆみ」がありますが、眼精疲労やドライアイなど、「目」に起こるトラブルは意外と多いもの。今回は“目の健康”についてお話します。

 
     

 

目の乾き・疲れはパソコンや携帯が原因!?
 

 多くの人が、普段あまり意識せずに行っている「まばたき」。通常、人は3秒間に1回まばたきをすると言われています。そして、まばたきをすることで、目の表面が乾き切る前に新たな涙の層が形成され、眼球を乾燥から守っているのです。

しかし、パソコンのディスプレイや携帯電話の画面を“凝視”する機会・時間の多い現代の生活スタイルによって、まばたきの回数が減少する傾向にあるようです。まばたきの回数が減ると涙の蒸発量も増え、当然目が乾きやすくなります。

目の表面に定着した涙の層が乾き始めるまでの時間はおおよそ10秒ですが、5秒間目を開けていられない場合は、ドライアイの可能性がかなり高いと言われています。

   
ドライアイとは
   「ドライアイ」とは、涙液の量的不足または質的異常が原因で、様々な自覚症状とともに種々の角結膜上皮障害をきたす状態を総称したものです。ドライアイの原因にはいくつかのタイプがあり、加齢とともに涙の排出機能不全が起こる、自己免疫疾患で涙腺が破壊される、などが挙げられますが、最も多いのはまばたきの減少や涙液成分の異常で角膜表面が乾燥し、目が“肌荒れ”したような状態になる「蒸散型」と言われています。

「蒸散型」のドライアイは中高年の男性にも多く見られ、「目が乾く」「目が疲れる」などの自覚症状から、老眼と思い込んで放っておいてしまう方も多いようですが、ドライアイの場合は治療による症状の改善が可能なので、心当たりのある方は一度専門医の受診をお勧めします。

   
ドライアイが起こるわけ
   目の表面を覆う「涙」は3層構造になっていて、一番外側から、被膜として水分の蒸発を防ぐ「油層」、栄養分と水分を含む「水層」、角膜表面に直接触れる「ムチン層」で構成されています。油層の主成分は、まつげの生え際にあるマイボーム腺から分泌されますが、なんらかの原因でこの腺が目詰まりすると、油層の形成が不完全になって水層の蒸発が早まることになります。

一方、ムチン層の主成分はタンパク質で、粘性が高く、涙を目の表面に定着させる働きがあります。この成分は結膜のゴブレット細胞から分泌されていますが、炎症などでこの分泌機能が低下すると、涙の「保持力」が落ちてしまいます。また、それ以外でもコンタクトレンズの長期使用などで角膜表面が荒れている場合も、涙が瞳の表面に定着しにくくなります。

さらに、現代人の多くが抱える「ストレス」もドライアイの原因のひとつと言われ、緊張による交感神経優位の状態によって涙が枯れることもあるそうです。
<ドライアイの症状>
 通常は「眼が乾く」という症状をはじめ、「眼がゴロゴロする(異物感がある)」「眼が痛い」「光や風が眼にしみる」などが主体です。しかし、その他にも、「眼が疲れる」「眼がかゆい」「不快感がある」「めやにが出やすい」「すぐ充血する」など、眼精疲労やアレルギー性結膜炎あるいは慢性結膜炎に類似した症状を示すことも少なくありません。さらに悪化してくると、「目を開けていられない」「頭が痛い・重い」「肩がこる」「気分が悪い」などの症状が起こることもある、軽視できない病気なのです。
<ドライアイセルフチェック>

以下のような症状が現れた場合は、「ドライアイ」の恐れがあります。早めに専門医を受診するようにしましょう。

■目が乾く

■目がショボショボする

■目がゴロゴロする

■光がまぶしい

■目が痛む

■視界がかすむ

■10秒間以上目を開けていられない

■目が重たく感じる

■視力が低下してきた

   
ドライアイ・疲れ目を防ぐ「目の体操」
   目がかゆいからといってこするのは良くありませんが、目の周りのツボ指圧は、目の病気の予防・改善効果が期待できます。自分の指だけで手軽に行えるので、仕事や勉強の合間、起床時などに行ってみてください。
<目の体操(ツボ指圧)>

1. まゆ頭のやや下の骨のくぼみにある天応(てんおう)のツボを、指先や指関節で40~50回、ゆっくり数えながら指圧する。
2. 目頭と鼻の付け根との境にある睛明(せいめい)のツボを、指先や指関節で40~50回、ゆっくり数えながら指圧する。
3. 鼻腔の端から左右にそれぞれ指3本ぶん、ほおの中央部にある四白(しはく)のツボを、指先や指関節で40~50回、ゆっくり数えながら指圧する。

※眼球を指で押さないよう、十分注意しながら行ってください。

 
 
花粉症の方は特に、目のかゆみや異物感、不快感などが起こりやすい季節ですが、その症状ももしかすると「ドライアイ」が原因かもしれません。デスクワークの方など、長時間パソコンの画面を見る習慣のある方も要注意!ドライアイの治療の基本は点眼薬の使用ですが、体質や症状によって最適な点眼薬も違うので、眼科で処方してもらうのが一番です。目を大切にして、快適な「春」を送りましょう。