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血管年齢とは?動脈硬化を防ぐために血管を健やかに保とう(2022年9月)

日本では、約4人に1人が血管の病気で亡くなっているといいます。日本人の死因で上位を占める脳卒中や心筋梗塞は、実は脳や心臓の病気ではなく、血管の病気であることはご存知でしょうか。血管年齢とは、その名の通り血管の老化具合を表したものですが、近年は実年齢以上に血管の老化が進んでいる人が増えているといいます。今回は、血管の老化が進んでしまう原因や、血管年齢を健やかに保つポイントなどをご紹介します。

◆血管年齢についての基礎知識

「人は血管とともに年を取る」といわれているように、血管は加齢とともに老化します。しかし、血管年齢と実年齢が同じとは限りません。ここでは、血管年齢の基礎知識をご紹介します。

・血管年齢とは?

血管は、老化が進むと血管の壁が硬くなったり狭くなったりします。いわゆる「動脈硬化」と呼ばれる老化現象のことで、進行すると血流が悪くなり、さまざまな病気を引き起こす原因になります。血管年齢とは、動脈硬化の進み具合を表す言葉です。

動脈硬化は、加齢以外にも食生活や生活習慣などが原因で進行してしまいます。実年齢以上に血管年齢が高い人は、血管の病気のリスクも高い状態といえるでしょう。しかし血管年齢は、生活習慣を改善すれば健やかに保つことができるといわれています。

・血管年齢があがることで生じるおそれのあるリスク

血管年齢が高くなると血流が悪くなるため、冷えや腰痛、肩こり、肌荒れなどの不調が現れます。進行が進めば、脳・心筋梗塞や深部静脈血栓症など、血管の病気のリスクも高くなってしまうため注意が必要です。

動脈硬化は、症状の悪化に気づきにくいことから、「サイレント・キラー(静かな殺し屋)」と呼ばれることもあります。知らず知らずのうちに動脈硬化が進み、ある日突然重大な病気を引き起こすことも珍しくありません。

◆血管年齢があがる要因

血管年齢は加齢にともない高まりますが、血管年齢は生活習慣と密接に関係しています。高脂血症(脂質異常症)や高血圧、不整脈などの生活習慣病は、動脈硬化を加速させてしまいます。そのため、生活習慣病の要因となる、食生活の乱れや運動不足、睡眠不足、ストレス、喫煙などの習慣は、血管年齢があがる要因であるといえるでしょう。

◆血管年齢を健やかに保つ生活習慣

動脈硬化の進行を防ぐために、血管年齢を健やかに保つ生活習慣を取り入れましょう。もっとも効果的な方法は、食生活の改善です。

・バランスの良い食事と減塩を心がける

偏りの少ない野菜中心の食事を心がけましょう。脂質や糖質の摂りすぎは、血管の細胞を傷つけたり血液の流れを妨げたりするおそれがあります。肉だけでなく、動脈硬化の予防に効果的なEPAやDHAが豊富な青魚も積極的に摂りましょう。

高血圧を予防するために、減塩に気を遣うことも大切です。体内の塩分を排出させる働きをもつ、カリウムを多く含む大豆や海藻は、意識的に食事に取り入れましょう。

・血管を強くするために運動習慣を作る

有酸素運動には、血行促進効果があります。有酸素運動やストレッチで血管に適度な刺激を与えることで、血管が強くしなやかになります。過度な運動でなく、無理なく続けることが大切です。駅まで歩いてみたり、エスカレーターでなく階段を使用したり、生活のなかにできる範囲で運動を取り入れてみましょう。

・生活習慣を見直す

睡眠不足や喫煙などの生活習慣も、血管年齢をあがる原因になります。日ごろからできるだけ早寝早起きを心がけ、自律神経のバランスを整えましょう。喫煙の習慣がある人は、自身の健康のためにも周囲の人への悪影響を避けるためにも、禁煙を検討してみてください。

血管年齢は年齢とともに高くなりますが、食生活の乱れや運動不足などで老化が進むといわれます。一方で、生活習慣の改善で血管を健やかに保つことができます。さまざまな病気の原因となる動脈硬化の進行を防ぐためにも、血管年齢を意識しながら生活習慣を見直してみましょう。

便秘になりやすい人となりにくい人の違いとは?便秘体質になる習慣と対策(2022年8月)

 

腹痛や肌荒れ、食欲不振など、体にさまざまな悪影響を及ぼす「便秘」。便秘とは、3日以上排便がない状態、または毎日排便はあるものの残便感がある状態を指します。便秘体質が解消されず、慢性的に便秘に悩まされている方も少なくないといいます。では、毎日同じ食事を摂っている家族でも、便秘になりやすい人と便秘になりにくい人がいるのはなぜでしょうか。便秘になりやすい人は、知らず知らずのうちに便秘になりやすい生活習慣を送っているかもしれません。今回は、便秘になりやすい人の特徴を解説したうえで、便秘解消のための対策をご紹介します。

 

◆便秘になりやすい人の特徴

便秘になりやすい人は、便秘になりやすい生活習慣を送っている可能性があります。ここでは、便秘になりやすい人の特徴をご紹介します。便秘にお悩みの方は、当てはまる項目がないか確認してみましょう。

・水分が不足している人

便は、水が主成分です。水分摂取量が少なければ生成されにくくなるため、便秘の原因になってしまいます。発汗により体内水分量が減る場合も同様です。普段からあまり水分を摂らない人や、汗をかいても水分を摂らない人は便秘になりやすいといえるでしょう。

 

・食物繊維が不足しがちな人

食物繊維は、小腸で消化吸収されず大腸まで達するため、整腸効果や便通を整える効果が期待できる食品成分です。食物繊維の摂取量が少ないと便の量が少なくなるため、便秘につながるおそれがあります。食事の栄養バランスが偏っていたり食事の量が少なかったりする人は、食物繊維不足が原因で便秘になりやすくなっている可能性があります。

 

・運動不足の人

普段何気なく排便しているつもりでも、実は排便にもそれ相応の筋力を使っています。運動不足で腸から便を排出する力が弱まり、便秘につながるケースもあるのです。普段運動したり歩いたりする機会が少なく、腸腰筋や腹筋が弱まっている人は、便秘になりやすいといえるでしょう。また、加齢によって筋力が衰えたことにより便秘になってしまうこともあります。

 

・ストレスを抱えている人

ストレスによって自律神経が乱れると、腸の働きが低下してしまうため便秘になりやすくなります。仕事などで忙しく、日常的にストレスを抱えている人は、便秘になりやすいといえます。また、不規則な生活や寝不足など、自律神経のバランスが崩れてしまう生活習慣を送っている人も同様に注意が必要です。

 

◆便秘解消のための対策

便秘の原因は人それぞれですが、生活習慣の見直しが便秘解消の近道です。ここでは、便秘解消のためにすぐに始められる対策をご紹介します。

 

・生活リズムを一定に保つ

便秘解消のために、まずは自分の排便リズムを作りましょう。睡眠時間をしっかり確保し、できるだけ1日3食決まった時間に食事を摂ることが大切です。生活リズムを一定に保つことで腸が正常に機能し、毎日決まった時間に便意を感じられるようになるでしょう。

 

・食事を見直す

毎日の食事を見直し、乳酸菌や食物繊維など、整腸作用のある食材を取り入れましょう。乳酸菌や食物繊維は、適度な水分を含み、腸の通過もスムーズな理想的な便を作ってくれます。また、便の主成分である水分をしっかり摂取することも大切です。

 

・運動不足を解消する

腸に集まった便をしっかり排出できるよう、適度に運動を取り入れましょう。激しい運動ではなく、毎日のウォーキングや軽い腹筋運動などでも十分効果が期待できます。通勤時に1駅分を歩いてみたり、お風呂上りにストレッチやマッサージをしたり、意識的に運動を取り入れてみてください。

 

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便秘になりやすい人の特徴や、便秘解消のための対策法をご紹介しました。便秘になりやすい人は、便秘の原因となる生活習慣がある可能性が高いといえます。便秘に悩まされている人は、ご紹介した便秘解消のための対策を、意識的に日常に取り入れてみてください。

 

怒りが健康に与える影響とは?アンガーマネジメントを身につけよう!(2022年7月)

思い通りにいかないことがあったときや身勝手な人に振り回されたときなど、イライラして怒鳴ったり周りに当たったりしてしまうこともあるでしょう。怒ることに対してネガティブなイメージを持たれている方も多いかもしれませんが、怒りの感情そのものは決して悪いものではありません。しかし、怒りやイライラなどのストレスは、健康に悪影響を及ぼすとされています。怒りやストレスはなくすことはできませんが、だからこそうまく付き合っていくことが大切です。そこで今回は、怒りが健康に与える影響や、怒りを管理する「アンガーマネジメント」を身につける方法などをご紹介します。

◆怒りが健康に与える影響

「怒ると血圧が上がる」と耳にしたことがあるのではないでしょうか。血圧とは、心臓から送り出された血液が血管内部にかける圧力のことです。心臓は脳の命令ではなく自律神経の働きで動いており、怒りを感じると自律神経が乱れるといわれています。

 

自律神経には交感神経と副交感神経の2種類がありますが、怒りやイライラなどの心的ストレスは交感神経の活動を活発にさせます。交感神経は、心臓の鼓動を早めたり血管を収縮させたりする働きがあるため、怒ると血圧が上がるといわれているのです。ストレスや高血圧は、健康にさまざまな悪影響を及ぼします。

◆アンガーマネジメントとは?

アンガーマネジメントとは、怒りの感情とうまく付き合いコントロールするための手法です。誤解されることもありますが、アンガーマネジメントは怒らないことを目標とするものではありません。怒りの感情とうまく付き合い、発生した怒りをうまく扱いながら適切な対応をすることを目標とするものです。身につけることでさまざまな効果が期待できるとして、家庭や職場はもちろん、スポーツ界などでも注目されています。

◆アンガーマネジメントを身につける方法

アンガーマネジメントを身につけるためには、自分の意識から変えていく必要があります。ここでは、すぐに実践できる怒りをコントロールするテクニックをご紹介します。

 

・ストップシンキング(思考停止)

怒りを感じたときに、まず思考を停止させる方法です。怒りの感情を態度・行動に移す前に、思考を強制的に断ち切りましょう。怒りが継続する時間は6秒間といわれているため、何も考えずにピークが過ぎるのを待つことで怒りが増幅してしまうのを防げます。

 

・スケールテクニック(怒りの数値化)

怒りの度合いを客観的に見て、10段階評価やパーセンテージなどで数値化する方法です。数値化を癖づければ、「今日は○%だから先日ほどではない」と気づけることもあるでしょう。

 

・グラウンディング(意識をそらす)

怒りを感じたら、怒りの対象となるものから意識をそらし、まったく関係のないものに注意を向ける方法です。たとえば空を見上げてみたり、時計の秒針を目で追ってみたり、別のものに集中してみましょう。怒りの感情から意識をそらすことで、距離を置いて冷静に考えることができます。

 

・コーピングマントラ(心が落ち着く言葉を唱える)

心が落ち着く言葉を心の中で唱え、怒りが収まるのを待つ方法です。「大丈夫」「問題ない」など、気持ちを落ち着かせる言葉を自分自身に投げかけることで、冷静に対処できることがあります。好きな人やペットの名前など、心が落ち着く言葉であればなんでも構いません。

 

・タイムアウト(仕切り直す)

上記のテクニックを試しても怒りが抑えられない場合は、一旦その場から離れ、仕切り直しましょう。休憩を挟んだり後日改めて話し合いの場を設けたりすることで、冷静に怒りの原因と向き合うことができます。どうしても怒りが収まらないときは、無理に抑え込まず、時間をしっかり置いてみてください。

 

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怒りの感情が健康に与える影響や、怒りを管理するアンガーマネジメントのテクニックなどをご紹介しました。怒りの感情は、避けることができない自然な感情の一つです。怒りに振り回され、心や体に悪影響が及ぶのを防ぐためには、怒りの感情とうまく付き合っていくことが大切です。体のためにも、心穏やかに過ごせるようアンガーマネジメントを身につけてみてください。

 

 

冷房病とは?夏場に冷房と上手に付き合うための対策法を紹介(2022年6月)

気温が高くなる夏場は、熱中症の予防として冷房(エアコン)の使用が推奨されています。暑い時期でも涼しく快適に過ごすことができる冷房は、夏には欠かせない存在といえるでしょう。一方で、設定温度が自由に変えられないオフィスや学校などでは、「冷房病」と呼ばれる弊害も起きています。今回は、冷房病の基礎知識や、予防・対策法についてご紹介します。

◆冷房病とは?

冷房病(クーラー病)とは、冷房が効いた寒い部屋で過ごしたり、気温差の激しい屋内外を行き来したりすることで起こってしまう、さまざまな体調不良のことです。人それぞれ体感温度や適温は違いますが、オフィスや学校では冷房の設定温度が自由に変えられない場合も多いでしょう。そのため、冷房に合わせて羽織ものを準備しておくなど、対策が必要とされます。冷房が効きすぎて寒いと感じても、対策を取らずに我慢していると冷房病になってしまうおそれがあるため注意しましょう。

◆冷房病の原因と症状

人間の体は、自律神経の働きによって体温を一定に保つよう調節し、気温の変化に順応できるようになっています。暑さを感じると血管を広げて血流を良くし、汗をかきやすくすることで熱を逃がそうとします。一方、寒さを感じると血管や筋肉を収縮させ、熱の放出を防ごうとするのです。

体が気温の変化に慣れるには、2週間ほどかかるといわれています。その間、しっかり体調管理を行えば、自律神経に負担をかけることなく慣れていくことが可能です。しかし、冷房の効きすぎているオフィスで長時間仕事をしたり、温度差の激しい屋内外を行き来したりすると、自律神経のバランスが崩れてしまいます。自律神経が正常に働かなくなると、気温差に体がついていけなくなり、さまざまな不調が起きてしまうのです。

冷房病の症状として、体のだるさや倦怠感、頭痛、腹痛、肩こり、風邪症状、食欲不振、消化不良、不眠などが挙げられます。自律神経が乱れると体温調節がうまくできなくなるため、「冷え」に対する抵抗力が弱くなってしまうのです。この「冷え」によって引き起こされるさまざまな体調不良は、総称して冷房病と呼ばれています。また、自律神経はホルモンにも大きく関わっているため、女性は生理不順や生理痛の悪化などがみられる場合もあります。

◆冷房病予防と対策法

冷房病を予防するためには、できるだけ自律神経への負担を減らすことが大切です。オフィスや学校で、すぐに取り入れられる対策法をご紹介します。

◎体を冷やさない服装

冷房の設定温度が自由に変えられない環境にある場合は、できるだけ体を冷やさないようにする必要があります。カーディガンやひざ掛けを持参したり、腹巻を着用したりと自衛しましょう。また、体を温めるためには、首・手首・足首を温めると効率がいいといわれています。スカーフやレッグウォーマーなどを活用し、冷えを予防しましょう。

◎体を冷やさない食事・飲み物

暑い夏は、冷たい食事や飲み物を摂ってしまいがちですが、冷たいものを摂取すると、体を内外から冷やすことになります。冷房病を予防するなら、意識的に温かい食べ物・飲み物を摂るようにしましょう。また、体を温める効果があるとされる、ショウガやネギ、玉ねぎ、にんにく、唐辛子などを積極的に食事に取り入れるのもおすすめです。

◎適度な運動と入浴

日ごろから適度な運動を取り入れると、血流が良くなり体が冷えにくくなります。デスクワークの場合は、定期的に席を立ち、歩いたり、屈伸運動をしたりして足先まで血液が流れるよう工夫しましょう。また、暑い時期のお風呂はシャワーのみで済ますという方も多いようですが、湯船に浸かることも冷房病を予防に効果的です。入浴後の湯冷めを避けるために、ぬるめのお湯にゆっくり浸かりましょう。

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冷房病の基礎知識や、予防・対策法をご紹介しました。夏の暑い時期を涼しく快適に過ごせる冷房は、熱中症対策としても不可欠です。冷房病対策をとりながら冷房と上手に付き合い、健康に夏を乗り切りましょう。

 

睡眠の質を高めて毎日快活に過ごそう!質の良い眠りを誘うコツとは?(2022年5月)

睡眠は、私たちが健康的な生活を営むうえで欠かせない生活習慣の一部です。しかし、睡眠に関する悩みを抱えている方は多いといいます。たくさん眠ったのに朝に疲れがとれていないと感じたり、日中に頻繁に眠気やだるさを感じたりするときは、質の良い睡眠がとれていない可能性があります。睡眠の質が悪いと、健康や仕事へのパフォーマンスに悪影響を及ぼす恐れがあるため注意が必要です。そこで今回は、質の良い睡眠に関する基礎知識や、睡眠の質を上げるコツをご紹介します。

◆質の良い睡眠とは?

睡眠は、肉体疲労はもちろん、脳の疲労も回復させる重要な生活習慣です。疲れがたまると、脳から発せられる睡眠欲求が強くなり睡眠へと誘われます。

質の良い睡眠とは、「スムーズな入眠」「朝までぐっすり眠れる」「スッキリ目覚められる」などが当てはまる睡眠のことです。眠りが浅く夜中に何度も目が覚める、眠っても疲れがとれない、などの悩みを感じている方は、質の良い睡眠がとれていない可能性があります。睡眠の質の向上に努め、毎日を快活に過ごしましょう。

質の良い睡眠は心身の疲労回復はもちろん、ストレス解消や健康維持、肥満防止など、さまざまな効果が期待できます。

◆睡眠の質を上げるコツ

睡眠の質を上げるためには、睡眠環境と生活習慣、食生活で気をつけたいポイントがあります。睡眠に関して悩んでいる方は、心当たりのあるところから少しずつ、日々の生活に取り入れてみてください。

◎睡眠の質を上げる睡眠環境

・自分に合った寝具を使用する

寝具は、吸湿性・放湿性に優れ、寝心地が良いと感じるものを選ぶことが大切です。起きたときに首や肩にコリを感じる場合は、枕の高さやベッド(敷き布団)の硬さなどが合っていない可能性があります。体型や好みに合わせ、適切なものを選びましょう。

・気持ちが落ち着くアロマや音楽を取り入れる

リラックス効果のあるアロマや、ヒーリングミュージックを取り入れるのもおすすめです。安眠効果があるとされるラベンダーやカモミールなど、お気に入りの香りを探してみてください。また、ヒーリングミュージックは、副交感神経が優位になる作用があります。リラックス効果が期待できるため、心が落ち着き、心地よい眠りに導いてくれるでしょう。

◎睡眠の質を上げる生活習慣

・起床後は自然の光を浴びる

体内時計は、朝起きて日光を浴びることでリセットされます。朝起きたらカーテンを開け、自然の光をしっかり全身に受けましょう。また、目覚める時間を毎日同じ時刻にすると、体内時計のリズムが整いやすくなります。休日もできるだけ同じリズムで過ごすのがおすすめです。

・ぬるめのお湯にゆっくり入浴する

ぬるめのお風呂は副交感神経を優位にさせるため、睡眠の質の向上が期待できます。人は、深部体温が下がると自然に入眠しやすいとされています。入浴後すぐは深部体温が高い状態のため、就寝の1時間前を目安に入浴しておくのがおすすめです。

◎睡眠の質を上げる食生活

・食事は就寝の3時間前までに済ませる

寝る直前に食事をすると、寝ている間も消化吸収が必要となり、睡眠の質の低下を招くおそれがあります。胃腸を休ませるためにも、食事は就寝する3時間前までに食べ終えるのが目安です。食事は1日3食、規則正しくバランスよく食べるのが基本ですが、夕食が遅くなる場合は消化のいいものを心がけましょう。

・カフェインの摂取は控える

カフェインは、眠るために必要な副交感神経の働きを鈍らせる作用があります。また、覚醒作用もあるため、眠る前はカフェインの摂取は控えましょう。一方で、温かい飲み物はリラックス効果が期待できます。眠る前は、温かいハーブティーなど、ノンカフェインの飲み物がおすすめです。

 

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質の良い睡眠に関する基礎知識や、睡眠の質を高めるコツをご紹介しました。睡眠の質を上げるためには、睡眠環境や生活習慣、食生活などの見直しが大切です。1日の終わりには質の良い睡眠で心身の疲れを回復し、健康で快活な毎日を過ごしましょう。

 

オーラルフレイルとは?お口の機能を維持するための予防と対策(2022年4月)

最近、うまく噛めない食べものが増えたり、滑舌が悪くなったように感じたりすることはございませんか? このような症状は、もしかすると「オーラルフレイル」の前兆かもしれません。高齢になり、心身の活力が低下した状態を「フレイル」と呼びますが、オーラルフレイルは、全体的なフレイル進行の前兆になると考えられています。今回は、オーラルフレイルについての基礎知識や、口腔機能を維持するための予防・対策法をご紹介します。

 

◆オーラルフレイルとは?

オーラルは「口」、フレイルは「虚弱」という意味を持つ言葉です。オーラルフレイルとは、噛む・飲み込む・話すなどの口腔機能が衰えることを指します。
オーラルフレイルは、早期の老化現象を示唆する重要なサインであるといわれています。また、噛む力が衰えることで食の偏りが起きたり、滑舌が悪くなることで他者との関わりの減少を招いたりするため、フレイルとの深い関係性が指摘されています。オーラルフレイルの進行が、身体的・精神的・社会的な健康に悪影響を及ぼすと考えられているのです。
オーラルフレイルは早期発見および適切な対応を行うことで、元の健康な状態に戻すことができるという大きな特徴があります。ただし、オーラルフレイルの始まりは、食べこぼしや少しのむせ、滑舌の低下、口の乾燥など、些細で見逃しやすいため注意が必要です。

◆オーラルフレイルの予防法

オーラルフレイルが進行すると、筋力や認知機能など、心身の活力が低下したフレイル状態に陥りやすくなるといえます。要介護のリスクを減らすためにも、オーラルフレイルの予防に努めましょう。

・口腔内を清潔に保つ

オーラルフレイルは段階的に進行し、虫歯や歯周病がその第一段階といわれています。虫歯や歯周病が進行すると、口腔機能が低下し、食べることや話すことに支障が出てきてしまいます。虫歯や歯周病のリスクを減らすために、口腔内の清潔を保ちましょう。毎日の歯磨きやフロス、歯間ブラシに加え、かかりつけの歯科で定期的に検診を受けることをおすすめします。

・口腔機能維持のためのトレーニング

口腔機能とは、食べる機能や会話をしてコミュニケーションをとる機能など、日常生活に欠かせない大切な機能といえます。食べるためには、歯で食べものを口に取り込み(捕食)、飲み込む(嚥下)という一連の動作(咀嚼)を行う必要があります。また、人との会話を楽しむためにも、発音したり表情を作ったりなど、喉や唇、舌、口周りの筋肉を多く使用していることがわかります。口腔機能の衰えを予防するために、以下にご紹介するトレーニングを、ぜひ試してみてください。

◆オーラルフレイルの対策トレーニング

オーラルフレイルは進行してしまっても、適切な対策をとることで改善する可能性があります。ここでは、オーラルフレイルの予防・改善に役立つ、トレーニング法をいくつかご紹介します。

・口周りや舌の筋力をアップさせるトレーニング

唇をすぼめて「う」の発音、唇を横に開いて「い」の発音を繰り返すことで、唇や口の動きがスムーズになります。また、うがいするように頬を膨らませたりすぼめたりする動きを繰り返せば、頬の体操になります。どちらも、気がついたときにいつでも行えるトレーニングです。

・嚥下機能をアップさせるトレーニング

大きく口を開けて10秒間保持した後、しっかり口を閉じて10秒間休みます。朝晩2セット行いましょう。また、舌先を少し出したまま、口を閉じてつばを飲み込むだけでも嚥下機能アップ効果が期待できます。

・咀嚼機能をアップさせるトレーニング

ガムを噛むだけでも咀嚼に必要な筋肉を鍛えることが可能です。片側のみで噛まず、唇を閉じて左右両側で均等に噛むようにしましょう。食事の際も、ひと口で30回以上噛んだり歯ごたえのある食材を選んだりすることで、咀嚼のトレーニング効果が期待できます。

 

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オーラルフレイルの基礎知識や、予防・対策法などをご紹介しました。オーラルフレイルは、可逆的であるという特徴があるため、早めに気づいて対策をとることで改善が望めます。オーラルフレイルは全体的なフレイルと深い関わりがあると考えられます。今回ご紹介したトレーニングなどを日常生活に意識的に取り入れ、予防に努めましょう。

 

ストレスで白髪は増える?気になる白髪のメカニズムと対策法(2022年3月)

年齢を重ねるごとに、髪に関する悩みは増えるもの。なかでも白髪は、身近な老化現象の一つとして知られています。加齢のサインというイメージが強いため、男女を問わず、白髪を気にする人は多いのではないでしょうか。しかし昨今は、20代でも白髪に悩んでいる人も多いといいます。今回は、白髪が生えるメカニズムと原因、おすすめの対策法などをご紹介します。

 

◆白髪が生えるメカニズムとは?

髪の色は、毛根部分にあるメラノサイト(色素細胞)から作られるメラニン色素によって決まります。メラニン色素は、「ユーメラニン(真メラニン)」と「フェオメラニン(亜メラニン)」の2種類に分けられます。アジア人の髪が黒色なのは、ユーメラニンが多いためです。メラニンが少ないとブロンドの髪色になり、フェオメラニンが多いと黄赤色系の髪色になります。

白髪は、どちらのメラニンもほとんど含まない状態を指します。もともと毛根で作られたばかりの髪の毛は白髪であるため、メラノサイトの機能が衰えたり、メラニン色素が作られなくなったりすると、白髪のまま生えてくるのです。

 

◆白髪の原因とは?

白髪になる原因はいくつかありますが、断定するのは難しいといわれています。主な原因としては、以下のものがあげられます。

 

・加齢

白髪になる最も大きな原因は、加齢です。年齢とともにメラノサイトの機能が衰え、メラニン色素が作られなくなってしまうため白髪になります。また、メラノサイトがメラニン色素を作る際に必要なチロシナーゼという酵素は、加齢によって減少することが明らかになっています。白髪の生え始めの時期や量には大きな個人差があるため、一概に何歳以上になると白髪が生え始めるとはいい切れません。

・栄養不足

髪の毛は「ケラチン」という、数種類のアミノ酸が結合してできたタンパク質によって構成されています。また、メラニン色素を黒い色に変えるメラノサイトの働きを活性化させるのは、ミネラルの役目です。そのため、タンパク質やミネラルが不足すると、白髪や抜け毛などにつながる恐れがあります。

・ストレス

心身的にストレスがかかると、毛細血管が収縮した状態になります。それが頭皮の毛細血管にまで及ぶと、毛根に酸素や栄養が行き届きにくくなります。すると、白髪など髪のトラブルにつながってしまうのです。ストレスと白髪の関係は長年注目されており、科学的に解明されつつあります。

・遺伝的な要因

白髪は、遺伝的な要因も関係していると考えられています。そのため、同じ年齢の人が同じ環境で過ごしたとしても、白髪の生えやすい人と生えにくい人がいます。とくに若白髪に関しては遺伝的な要因が考えられ、親が若白髪の場合、その子どもも若白髪になる可能性があるようです。

◆おすすめの白髪対策法

白髪を減らしたり予防したりできる特効薬などは、未だ作られていません。白髪を防ぐためには、原因として考えられるものを取り除く必要があるといえます。たとえば、ストレスによってメラノサイトの働きが妨げられている場合、ストレスを取り除くことで黒い髪の毛が生えてくる可能性もあると考えられています。

タンパク質やミネラルを意識して栄養バランスのとれた食事を摂り、十分な睡眠を心がけましょう。また、日々の生活に適度な運動や趣味を楽しむ時間を取り入れるなど、ストレスをためない生活を送ることも大切です。

白髪は抜くと増えるという噂もありますが、科学的な根拠はありません。気になる場合は白髪を抜かずに、カットするか染めて対処することが望ましいといえます。

 

白髪は加齢の影響もあり、誰もが避けては通れない老化現象の一つです。一本でも見つけると気になってしまうものですが、白髪を気にすること自体がストレスになってしまうこともあります。可能な限り白髪を増やさないよう規則正しい生活やバランスの良い食事を心がけ、頭皮・毛髪の健康にも気を配りましょう。

長引く鼻水に要注意!慢性化する前に知っておきたい副鼻腔炎について(2022年2月)

風邪や花粉症で大量の鼻水が出ると思っていたら、粘り気のある鼻水や鼻づまりが長引いたり、匂いが分からなくなったりした経験はございませんか? つらい鼻の症状が長引く場合は、副鼻腔炎(ふくびくうえん)を起こしてしまっている可能性があります。放っておくと慢性化し、治療が困難になるため注意が必要です。今回は、副鼻腔炎の基礎知識や、予防法などをご紹介します。

◆副鼻腔炎とは?

副鼻腔炎は風邪や花粉症と併発することも多く、見分けるのが難しいため、自分が副鼻腔炎に罹患していることに気づかない人も多いといいます。まずは、副鼻腔炎の原因と症状を確認してみましょう。

・副鼻腔炎の原因

副鼻腔とは、鼻の穴(鼻腔)と小さな穴でつながる形で顔の左右に広がる、4対(計8つ)の空洞のことを指します。眉間あたりにある「前頭洞(ぜんとうどう)」、目の間の「篩骨洞(しこつどう)」と、その奥あたりに位置する「蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)」、頬に広がる「上顎洞(じょうがくどう)」です。

副鼻腔炎は、副鼻腔に何らかの原因で細菌やウイルスが入り込むことで起こります。副鼻腔炎のもっとも多い原因は、細菌やウイルスの感染によるものです。風邪などによって鼻腔が炎症を起こし、副鼻腔につながる穴が塞がってしまうと、副鼻腔内の粘液の排出が困難になります。そうすると副鼻腔内で炎症が進み、粘膜が腫れたり膿が溜まったりしてしまうのです。

・副鼻腔炎の症状

副鼻腔炎の主な症状は、鼻水や鼻づまり、鼻水が鼻の奥からのどに垂れ落ちる後鼻漏などです。透明のサラサラした鼻水ではなく、濁ったドロドロした鼻水が特徴です。風邪の症状と似ているため判別が難しく、副鼻腔炎になっていることに気づかない人も多いといいます。副鼻腔のある両目の奥の方や頬に痛みを感じる、匂いがわかりにくいといった症状がある場合は、副鼻腔炎を併発しているおそれがあります。

発症から4週間以内の副鼻腔炎は「急性副鼻腔炎」、3カ月以上長引くと「慢性副鼻腔炎」と診断されます。慢性副鼻腔炎になると、鼻の中に鼻茸(はなたけ)と呼ばれるポリープができることがあります。薬治療で直らない場合は、入院を伴う手術が必要になるため注意が必要です。ドロドロした鼻水が長引き、嗅覚に異常を感じた場合は早めに病院を受診し、適切な治療を受けましょう。

◆治りにくい慢性副鼻腔炎に注意!

近年、細菌感染による慢性副鼻腔炎とは異なるタイプの、「好酸球性副鼻腔炎」が増えてきています。こちらは好酸球という白血球の一種がかかわる、難治性の慢性副鼻腔炎です。好酸球が副鼻腔内で過剰に活性化することが一つの要因と考えられていますが、その原因ははっきりとはわかっていません。

好酸球性副鼻腔は鼻の中に鼻茸が多くできやすく、嗅覚障害が起こったり、粘度の高い鼻水が出たりするのが特徴です。治療ではステロイドが処方されるほか、鼻茸を除去する手術が必要になる場合があります。症状が悪化する前に、早めに医療機関の受診を検討しましょう。

◆副鼻腔炎の予防法と注意点

副鼻腔炎を予防するためには、大前提として風邪を引かないように心がけることが大切です。万が一引いてしまった場合は、十分な睡眠と休養をとり、早めの回復に努めましょう。

鼻づまり解消のために市販の点鼻薬などを使用すれば、一時的に鼻づまりは解消されます。しかし、原因が取り除かれないまま使い続けると、症状の悪化にもつながりかねません。長期的な使用は控えて、医師にご相談ください。

副鼻腔炎の原因や症状、予防法などをご紹介しました。副鼻腔炎を放置すると慢性化し、治療が長期化したり手術が必要になったりする場合があります。副鼻腔は目や脳に近い部位で、まれに重篤な合併症を引き起こすこともあるため注意が必要です。鼻水・鼻づまりが長引いたり、嗅覚に異常を感じたりした場合は放置せず、病院で正しい治療を受けましょう。

年末年始に太りやすい原因とは?正月太りは早めに解消しよう!(2022年1月)

 

正月太りとは、年末年始の休暇明けに、急激に体がむくんで見えたり体重が増えたりする現象のことです。年末年始には、太りやすいとされる明確な理由があります。正月太りで後悔しないために、原因をしっかり把握し対策しておきましょう。万一太ってしまった場合は、早めに解消へ向けて取り組めると理想的です。今回は、年末年始に太りやすい原因や解消法をご紹介します。

 

◆正月太りの原因とは?

年末年始は、忘年会や新年会、帰省・旅行などでご馳走を食べる機会が増えるもの。お祝い事が重なり、お酒やスイーツの摂取量も増える時期といえます。長期休みで生活習慣が乱れやすい時期に、短期間で何度も暴飲暴食を繰り返すことが正月太りの主な原因といえるでしょう。
また、年末年始は冬の寒さの真っただ中にあるため、外に出て体を動かす機会も減ってしまう時期といえます。普段なら歩いていくような場所へも、乗り物に頼ってしまうという方も多いのではないでしょうか。冬の寒い気候も、正月太りを助長する原因のひとつと考えられます。

 

◆お正月料理のカロリーについて

お正月に食べる食事の定番「おせち料理」は、保存が効くように糖分や塩分の高いものが多い傾向にあります。少量でも意外と高カロリーなものも多いため、食べすぎには注意しましょう。たとえば、お正月によく食べる「お餅」は、100gあたり223kcalとなっています。市販されている切り餅は1個あたり約50gのため、111.5kcalが目安です。

 

比較的低カロリーとされるかまぼこや数の子、ごまめなども、塩分は高いため注意が必要です。おせちやお雑煮は控えめに、フレッシュな野菜サラダなどをプラスしてバランスの良い食事を心がけましょう。

 

◆正月太りの解消法

たった数日間の暴飲暴食を繰り返したとしても、ただちに太ってしまうことはありません。短期間で体重が急増して「正月太りしてしまった」と感じても、多くの場合は水分か便が溜まっているだけだと考えられます。不規則な食生活が定着しないよう、正月太りは早めに解消しましょう。ここでは、正月太りの解消法をご紹介します。

 

・胃腸を休ませる

暴飲暴食した次の日は、できるだけ胃腸を休ませるようにしましょう。食欲がなければ、朝食は常温の水か白湯、お茶のみで過ごす方法もあります。何か食べるときは炭水化物と脂質は避け、野菜や果物を中心に摂りましょう。何も食べない時間が長いほど胃腸を休ませることができるため、夕飯はできるだけ早めに、かつ軽めに摂ることをおすすめします。

 

・適度な運動を心がける

寒いからと家に閉じこもってばかりいると、運動不足になってしまいます。冬は体温を上げるために基礎代謝が高くなるといわれますが、運動不足によって筋肉量が減ってしまうと代謝が落ちやすくなります。また、体を動かさないと、うまく寝つけずに生活リズムが崩れてしまったり睡眠の質が落ちてしまったりする可能性があります。初詣や初売りに出かけたり、親戚の子どもと凧あげや羽子板で遊んだりと、積極的に体を動かすように心がけましょう。

 

・生活リズムの改善

年末年始は深夜まで夜更かししたり昼間で寝たりと、生活リズムが崩れがちです。生活リズムの乱れは、睡眠不足やストレスによる過食を引き起こす恐れがあるため注意しましょう。十分な睡眠、規則正しい生活は健康の基本です。正月太りを解消し、代謝を高めて痩せやすい体を手に入れるためにも、生活リズムの改善を心がけましょう。

 

 

正月太りの原因や解消法をご紹介しました。年末年始はイベントごとが重なるため、ついつい暴飲暴食してしまいがちです。食べすぎてしまったときは、規則正しい生活とバランスの良い食事を心がけ、早めに生活リズムを整えて正月太りを解消しましょう。

冬の脱水症の予防と対策のために、電解質を意識して水分補給をしよう(2021年12月)

冬は、汗をかく機会があまりなく水分を失っている自覚も少ないため、飲料摂取量が少なくなってしまう傾向にあります。空気の乾燥により体の水分も失われやすく、脱水を引き起こす可能性が高い季節といえます。また、ノロウイルスやインフルエンザなど、感染症にかかりやすい季節でもあるため、下痢や嘔吐で脱水症に陥ってしまう人も珍しくありません。今回は、そんな冬場の水分補給をより効果的にする、「電解質」についてご紹介します。

 

 

◆電解質とは?

電解質とは、水に溶けると電気を通す性質をもった物質のことです。人間の体の水分(体液)には、もともと電解質が含まれています。水中では電解質は電気を帯びたイオンになり、体内の水分量やpHを一定に保ったり、神経細胞や筋肉細胞の働きにかかわったりしています。

電解質はそれぞれバランスを取りながら、生命の維持に重要な役割を果たしています。そのため、バランスが崩れてしまうと腎機能やホルモンの働きが低下し、命にかかわることもあるのです。

 

◆おもな電解質とその役割

おもな電解質は、ナトリウム・クロール・カリウム・マグネシウム・カルシウムの5つです。これらは、5大栄養素のうちのミネラルに属します。こちらでは、それぞれの働きや性質をご紹介します。

 

・ナトリウム (Na)

ナトリウムは、体の水分や浸透圧を調節する働きを持っています。神経伝達や筋肉の収縮にも深いかかわりをもつ成分です。

 

・クロール(Cl)

大部分のクロールはナトリウムとともに存在しており、体の水分量や浸透圧の調節などを行っています。胃酸の分泌や酸塩基平衡の維持にもかかわる成分です。

 

・カリウム(K)

神経伝達や筋肉の収縮、心臓の収縮にかかわります。カリウムが低くなると神経麻痺や摂食障害、高くなると不整脈や腎不全などが起こる可能性が高く、生命維持に大きな役割を果たしている重要な成分です。

 

・マグネシウム(Mg)

マグネシウムは神経や筋肉を正常に機能させ、骨や歯を作る働きをもちます。また、体内にある酵素も、マグネシウムがなければ正常に機能しません。カルシウムやカリウムの代謝にもかかわる成分です。

 

・カルシウム(Ca)

カルシウムは、骨や歯を作ったり、血液を凝固させたりする働きをしています。体内のカルシウムの99%は、骨や歯などに蓄えられており、血中のカルシウム濃度が低下すると、骨から血液中に移動して濃度を保っています。

 

◆より効果的に水分補給するためのポイント

普段の生活をするうえでは、定期的に適量の水分を摂るように心がけていれば何も問題はありません。しかし、大量に汗をかいたときや、風邪や胃腸炎などにかかって嘔吐や下痢の症状があるときなどは注意が必要です。水分とともに電解質も失っていることになるため、水やお茶だけでは適切な水分補給ができているとはいえません。

 

電解質を失った状態で水を飲んだ場合は、一時的に体液が増え、体液における電解質の濃度が下がります。すると体は、電解質の濃度を一定に保とうとして、過剰な水分を尿として排出してしまうのです。結果として体液量が回復できず、水分補給ができていない状態を「自発的脱水」と呼びます。このような場合、電解質を含む飲料で水分補給すれば、体液を薄めずに水分補給ができます。水分とともに電解質を失った場合は、経口補水液やイオン飲料で水分補給することが大切です。

 

脱水症の予防には、塩分濃度が0.1~0.2%のスポーツドリンクなどが有効です。脱水症が発生した場合は、スポーツドリンクに比べナトリウム量が多く水分吸収速度の速い経口補水液が適しています。

 

 

より効果的に水分補給するために、意識しておきたい電解質についてご紹介しました。電解質は、生命を維持するためになくてはならない存在です。感染症にかかりやすく脱水症を起こしやすい冬は、電解質を含む経口補水液やイオン飲料を常備してみてはいかがでしょうか。